『東方再生録』〜アバッキオの幻想入り〜 作:ディオ・フランドー(ル)
―――だが残すべきものは残した。
アバッキオはカフェにいた。
同僚の警官はもういない。彼は死して尚、アバッキオを恨むことなく、優しく見守っていた。もうその必要はなくなったのだ。
アバッキオ「…ブチャラティ、あとは頼んだ…」
アバッキオはボスの顔のデスマスクを残したが、無事ボスに辿り着けているかが唯一の気がかりだった。
ブロロロロロ…
その時ふと、車の音が聞こえた。
アバッキオ「ん……」
死んだ後のこの場所になぜタクシーが来る?、そうアバッキオは考えていた。
タクシーが止まった。
よく見ると何か書いてある。
アバッキオ「…ったく、死んでも敵が来るのか…、なんて書いてあんだ…?」
(『招待』…、どういう意味だ?)
?「そのままの意味です」
アバッキオ「ッ!?」
(何者だこの狐ッ)
?「ご招待します…、『幻想郷』へ」
途端、視界が黒一色に染まった。
意識も途切れる。
が、次の瞬間には木に寄りかかって寝ていた事に気付いた。
一階が現実なら、地下一階で夢を見ていたのに更にもう一つ下の階で夢を見ている気分だった。
アバッキオ「どこだ…さっきまで俺はサルディニア島に…」
今いるのは深い森の中だった。
アバッキオは記憶の一部が欠落していた。
カフェからタクシーまでの出来事の部分が抜け落ちている。
アバッキオ「…ッまさか、既に攻撃に遭っている…ッ!?」
ジョルノが入団してからの数日間、ほとんど絶え間なく敵スタンド使いが襲ってきていた。
正直な所、死んだことを自覚していないアバッキオはまだ警戒心を解いていなかった。
アバッキオ「ここの土は柔らかい…とりあえず、移動の痕跡を探るか…」
それから探し回って12分、おそらく2人分の足跡を見つけた。
アバッキオ「…ムーディー…ブルース」
ザ…ザ…ザザ…
アバッキオ「『再生(リプレイ)』」
キュルルルルルルル
カシャッ
スタンドのタイマーが34分前を示す。
姿が変わり始めた。
アバッキオ「身長約120cm、黒い服、金髪、髪留め…、いや、これは日本の御札か…?」
(ただのガキだな…)
「…次だ」
?「あーひさしぶりのエモノだぁ」
アバッキオ「ッ!?」
(いつの間にッ!?気配も音もなかった…ッ)
?「暴れないでね…?傷んだら美味しくないもん」
アバッキオ「…いや、痛むのはあんただ」
ビシュッ!
ムーディー・ブルースの拳が少女の頬を掠った。
?「…何それ…」
アバッキオ「見えるか、ならあんたもスタンド使いだ…、あんたみたいなガキも追手になるとはな…」
?「何の話をしているの…?ルーミアは別に追いかけてるわけじゃないの、あなたが勝手に寄ってきただけ」
アバッキオ(こいつ…なにか妙だ…)
「聞きたいのは俺の方だ、何の話をしている?」
ルーミア「あまり長引かせないで、もうお腹ペコペコだよ、…じゃあ、大人しくしててね」
ズアァァアァ…
アバッキオ「ッ」
(この闇…!これが奴のスタンド能力か)
「これがお前の…」
ルーミア「闇符・ダークサイドオブザムーン…、私のテリトリーへご招待」
闇の中にルーミアが紛れ見えなくなった。
光の筋一つ、周辺にはなかった。
ルーミアにとっては、勝利は確定していた。
…『ルーミアにとっては』。
アバッキオ「テリトリー…、いや、『墓穴』だ」
ザザ…ッ
アバッキオ「ムーディー・ブルースッ!」
ドゴッ!
ルーミア「ぅ゙…ッ!?」
何も見えない中、拳が脚に命中した。
ルーミア「なん…でッ!?あなたには見えないはず…ッ」
アバッキオ「さっきあんたの過去の行動をリプレイした、そしてスタンドに覚えさせた…、…あんたの『動きのクセ』をな、言っても分からんと思うが」
ルーミア「そんな…」
アバッキオ「簡単に言えば、あんたの動きはすべて読まれてるってことだ」
ルーミアは焦っていた。
自身のテリトリーの中で動くことが一切通じなかったのだ。
ルーミア(退かなきゃ…、すぐにッ!)
ダッ!
アバッキオ「ッ!逃げるんじゃねぇッ!」
(あっさり逃げやがった…、暗殺チームがああな訳はねぇ…、…なら何者だ?)
?「―――紫様、一人目と接触しました」
縁「…やっぱり彼の力、…面白いわ」
To Be continued.
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