剣の勇者の魔王譚   作:のひけしもぬき

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第一章 メルロマルク編
#1 再召喚


「おお……」

 

 感嘆する声に俺はハッと我に返る。

 纏まらなかった視点を前に向けるとローブを着た男達が何やらこちらに向って唖然としていた。

 

「なんだ?」

 

 声のするほうに目を向けると俺と同じように状況を飲み込めていないらしき男が三人。

 

キョロキョロと辺りを見渡すと石造りの壁が目に入る。

 レンガ調という奴か? とにかく、見覚えの無い建物だ。

 下を見ると蛍光塗料を塗られて作られたかのような幾何学模様と祭壇。

 なんとなくファンタジー物に出てくる魔方陣に似たのがある。そんな感じだ。

 その祭壇に俺達は立たされていた。

 

 俺は手に不思議とつく剣を持っていた。

 

とにかく、どうなっているのか気になっている所で前に居る盾を持った奴がローブを着た男に尋ねた。

 

「おお、勇者様方! どうかこの世界をお救いください!」

「「「はい?」」」

 

 俺以外の三人が異口同音で喋った。

 

「それはどういう意味ですか?」

「色々と込み入った事情があります故、ご理解頂ける言い方ですと、勇者様達を古の儀式で召喚させていただきました」

「召喚……」

 

 盾の青年が質問している横で俺は他の青年を見ていた。

 

 金髪長髪のチャラい青年は等身大の槍を、白金の癖毛の同い年くらいの少年は弓を持っていた。

 

 そして、視界の右下にある見覚えのあるアイコン。

 

 その情報により俺は気づいた。

 

(ああ、また四聖勇者になったんだな)と。

 

 

 

 俺、天木練は過去に一度四聖勇者の一人、剣の勇者として世界を救うために動いていた。

 

 結論から言うと俺は世界を救えた。ただし、辛勝だったが。

 

 時代が悪かった、多くの人々が世界の破滅を願っていた、勇者たちが悪かったなど、さまざまな要因があった。

 

 世界を救ったとき、四聖の俺と八聖の一鳥しか生き残らなかった。

 

 とてもギリギリだった。四聖が一人死ぬたびに間隔が短くなる波。俺一人になったときは3日に一度来るようになり、八聖が一人になったら毎日になった。強さが上がっていきどんどん倒れていく仲間、最後の波はもう俺たち勇者の二人しか戦えるものがいなく、ボロボロの状態で戦った。

 

 救えたのは運がよかったとしか言えない。

 

 もう一つ、波があったのならばどうだったか。例えそれを乗り越えたとして、次は?

 

 波以外にも、世界に存在する魔物に抗うことができただろうか?

 

 魔物は波を乗り越えて行くたびに強くなっていく。ただのバルーンでさえ最後に見たときはLV300は超えていた。LV100を超えるだけで、精鋭の兵はもう雑兵に変わらなくなり、人類は生存圏を守るために王侯貴族から始まり兵士に民、動けるものは全員使って特攻や誘導をしていた。

 

 そんな状態だったから四霊による結界システムが使えなかった。

 

 

 心残りもあった。

 

 経験値収集装置(システムエクスペリエンス)

 

 最初は四聖が死んだから魔物のLV上昇が大きくなったのかと思っていた。

 

 違和感を感じたのが何度目かの波のとき、急に波のボスが強くなったとき。戦っている最中の出来事で再鑑定したらLVが上がっていた。

 

 存在をはっきりと認識させたときは四霊の魔物「鳳凰」を相手にしていたとき、弓の勇者とトドメをさそうとしたとき、ある方角から強烈な砲撃がされて弓の勇者が死んだ。

 

 居場所を見つけたときには対処できなかった。奴は大砂漠の中心にいて、大量の悪魔がたむろっていた。俺と八聖四人で特に強い最上位悪魔は倒せたが、奴はそれ以上にとても強くて、八聖の二人が殺された。その後も戦ったがあと少しのところで波が起きて、倒せなかった。この波で八聖が大怪我をおい、すぐに向かうことができなかった。

 

 最後に行ったときには結界がはられ、向かうことができなくなった。

 

 修復に費やしていたのか最後の波まで手を出してこなかった。奴の最後の攻撃は、ボスの大幅なLVアップと砲撃であった。これにフィトリアが俺を庇い負傷した。

 

 

 

 

 フィトリアには申し訳ないと思ったが、こんな世界にいたくなくて元の世界に戻った。

 

 けどまた召喚された今、フィトリアと会いたいと思っている。そして、経験値収集装置(システムエクスペリエンス)を今度こそ倒してみせる。

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