「ねえ、目をつむって険しい顔してるけど気分悪いの?」
と盾を付けた青年が聞いてきた。
「少し…考えことをしていた。」
「そう?なら、王様に自己紹介して君が最後だよ。」
「ああ、俺は天木練。16歳だ。」
俺は話しながら王を観察する。
「ふむ。レンにモトヤスにイツキか」
「王様、俺を忘れてる」
「おおすまんな。ナオフミ殿」
王がナオフミを舐めた目で見ている。ナオフミの名を呼ばなかったのは意図的だな。俺の技能「悪意察知」にも反応があった。
この国または世界は邪教を信仰しているか王が個人的に気に入らないか。
まあ、要警戒だな。
俺は王に気づかれないように鞭の資質向上を行い、LV1にする。これで鑑定魔法を受けても誤魔化せる。
「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい」
「へ?」
「えっと、どのようにして見るのでしょうか?」
樹がおずおずと王様に進言した。
しかし、王はそれに答えずむしろなんでできないか不思議がっている。ほっとくと時間が無駄に進むので口を出す。
「視界の端にアイコンがあるだろ、それに意識を向けろ。」
ステータス画面を見ているのか宙に向かって指を動かしている。
「Lv1ですか……これは不安ですね」
「そうだな、これじゃあ戦えるかどうか分からねぇな」
「というかなんだコレ」
「勇者殿の世界では存在しないので? これはステータス魔法というこの世界の者なら誰でも使える物ですぞ」
「そうなのか?」
思慮が足りないのか、わざとなのか…わからないな。
「それで、俺達はどうすれば良いんだ? 確かにこの値は不安だな」
「ふむ、勇者様方にはこれから冒険の旅に出て、自らを磨き、伝説の武器を強化していただきたいのです」
「強化? この持ってる武器は最初から強いんじゃないのか?」
「はい。伝承によりますと召喚された勇者様が自らの所持する伝説の武器を育て、強くしていくそうです」
「伝承、伝承ね。その武器が武器として役に立つまで別の武器とか使えばいいんじゃね?」
別の武器は使えないのだが今ここで指摘したら怪しまれるな。
「そこは後々、片付けて行けば良いだろ。とにかく、頼まれたのなら俺達は自分磨きをするべきだよな」
勇者たちくらいの年齢にとって、異世界に勇者として召喚される、というのは特別感があり燃えるシチュエーションだ。
ただしそれはゲームやマンガ、ライトノベルでの話。
ここは現実だ。
元の世界と同じように嫌なこともたくさんあるし、この世界特有の嫌なところもある。
彼らは今浮かれている。興奮して自身の武器に御執心だ。
「俺達四人でパーティーを結成するのか?」
「お待ちください勇者様方」
「ん?」
これから冒険の旅に出ようとしていると大臣が進言する。
「勇者様方は別々に仲間を募り冒険に出る事になります」
「それは何故ですか?」
「はい。伝承によると、伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っておりまして、勇者様たちだけで行動すると成長を阻害すると記載されております」
「本当かどうかは分からないが、俺達が一緒に行動すると成長しないのか?」
本当だ。
ヘルプは知ることや体験することで追加されていく。
目が動いているからヘルプが出現しているな。
「本当みたいだな……」
「となると仲間を募集した方が良いのかな?」
「ワシが仲間を用意しておくとしよう。なにぶん、今日は日も傾いておる。勇者殿、今日はゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。明日までに仲間になりそうな逸材を集めておく」
「ありがとうございます」
「サンキュ」
それぞれの言葉で感謝を示し、その日は王様が用意した来客部屋で俺達は休むこととなった。