「俺はVRMMOの世界だと思うな。」
「VRMMO? バーチャルリアリティMMOか? そんなSFの世界にしかないゲームは科学が追いついてねえって、寝ぼけてるのか?」
「そうだ、ここはネットゲームだ。コントローラーでやるやつだ。」
「ええ、ここはコンシューマーゲームです。」
「寝ぼけてないぞ。というかよく考えろよ。こうした異世界があるんだ。同じ地球だとしても何かが違うという並行世界があるかもしれないぞ。俺のいた所ではVRMMOは普通の技術だ。お前らだって普通だと思ってることが普通ではないものがあるかもしれないぞ。」
「それは…そうかもしれないけど。」
「ゲームだって名前や遊び方が違うだけで、システムとかは同じかも知れないだろ?そんなに自分の知るゲームであることが大事か?」
「それは…」
「そうかもしれませんけど…」
言葉とは裏腹に不満そうだな。言いたくなくなるが、大変なことにならないためにも言うしかない。
「それにここは現実だ。画面の前でポチポチボタンを押すのとは違う。ゲーム感覚でいると取り返しがつかないことが起こるぞ。」
「そう…かも。」
「そんなこと言われなくてもわかってる!」
「ええ!そんなことくらいわかりますよ!」
ナオフミはまだ少し浮かれてるように感じるけどいい感じだ。
だけど、モトヤスとイツキはダメだな。前回の勇者と同じで頑なで、今はもう何を言ってもダメだな。
「ところでみんなはゲームシステムを熟知してる?」
「おう。」
「そうだな。」
「それなりですが。」
「だったらこの世界で戦うためにも教えて欲しいな。俺だけ似たゲームが無かったんだ。」
ナオフミのその言葉を聞いてモトヤスとイツキは何故か優しい目をしている。
「よし、元康お兄さんがある程度、常識の範囲で教えてあげよう」
何かうそ臭い顔でモトヤスがナオフミに片手を上げて話しかけてくる。
「まずな、俺の知るエメラルドオンラインでの話なのだが、シールダー……盾がメインの職業な」
「うん」
「最初の方は防御力が高くて良いのだけど、後半に行くに従って受けるダメージが馬鹿にならなくなってな」
「うん……」
「高Lvは全然居ない負け組の職業だ」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
ネットゲームによくある回避ゲーになるパターンだな。
「アップデート、アップデートは無かったのか?」
「いやぁシステム的にも人口的にも絶望職で、放置されてた。しかも廃止決定してたかなぁ……」
「転職は無いのか!?」
「その系列が死んでるというかなんていうか」
「スイッチジョブは?」
「別の系統職になれるネトゲじゃなかったなぁ」
「お前らの方は?」
俺と樹に目を向けてくる。
それにイツキはサッと目を逸らし、俺は真っ直ぐ見る。
「同じく。」
「同じく…」
その返事にナオフミは放心してしまった。
そんな中モトヤスとイツキはそれぞれのゲームに話題を咲かせる。
どいつもコイツも目の奥に俺ってチート能力に目覚めたんじゃね? って思っているような気がする。
俺はナオフミの近くにいき、小声で話しかける。
「ナオフミ、あまり気にするな。」
「そんなことを言っても…」
うっ。面と向かってお前がいうな、という視線に少し心にくるな。
「言ったろここは現実だって。まるっきりゲームと同じな訳ないだろ。それともナオフミには俺が定形文を喋るNPCに見えるのか?」
「それは…見えないけど…」
「はあ、…言うだけ言うぞ。
ここは現実で異世界だ、地球とは常識が違う。ゲームのチュートリアルNPCと違って聞かないと教えてくれない。
ゲームにはない要素があるかもしれないから、ゲーム知識は参考程度に考えておけ。たまたま一部が似ただけかもしれないからな。
以上だ。」
これだけ言ってダメならその時はしょうがない。
その後、夕飯を食べて俺たちは寝た。