剣の勇者の魔王譚   作:のひけしもぬき

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#5

翌朝

 朝食を終えて、王様からお呼びが掛かるのを待っていた。かなり待って体感昼前にようやく呼ばれた。

 

「勇者様のご来場」

 

 謁見の間の扉が開くと其処には様々な冒険者風の服装をした男女が12人ほど集まっていた。

 騎士風の身なりの者もいる。

 

 俺達は王様に一礼し、話を聞く。

 

「前日の件で勇者の同行者として共に進もうという者を募った。どうやら皆の者も、同行したい勇者が居るようじゃ」

 

 一人に付き3人の同行する仲間が居るのなら均等が取れるな。

 

「さあ、未来の英雄達よ。仕えたい勇者と共に旅立つのだ」

 

 驚いた。あっちが選ぶ側なのか。王に都合の良い人たちなのか?わからないな。

 

 なんか順番に並ばされる。

 ザッザっと仲間達が俺達の方へ歩いてきて各々の前に集まっていく。

 俺、4人

 モトヤス、5人

 イツキ、3人

 ナオフミ、0人

 

 

「ちょっと王様!」

 

 ナオフミが王にクレームをいれる。露骨な差別だな。

 

「う、うぬ。さすがにワシもこのような事態が起こるとは思いもせんかった」

「人望がありませんな」

 

 事もあろうに呆れ顔で大臣が切り捨てる。

 そこへローブを着た男が王様に内緒話をする。

 

 「ふむ、そんな噂が広まっておるのか……」

「何かあったのですか?」

 

 元康が微妙な顔をして尋ねる。

 露骨な差別だから不審感を抱いたか?

 

 「ふむ、実はの……勇者殿の中で盾の勇者はこの世界の理に疎いという噂が城内で囁かれているのだそうだ」

「はぁ!?」

「伝承で、勇者とはこの世界の理を理解していると記されている。その条件を満たしていないのではないかとな」

 

 モトヤスがナオフミの脇を肘で小突く。

 

「昨日の雑談、盗み聞きされていたんじゃないか?」

 

 たしかに盗み聞きはされていた。けどその伝承はおかしいな。前回あった召喚された八聖の何人かはナオフミ程度の知識だと聞いたぞ。ゲーム知識を持った勇者の初期に記されたのか?

 

「つーかレン! お前5人も居るなら分けてくれよ」

 

 何か怯える羊みたいな目で俺に同行したい冒険者(男を含む)が後ろに隠れる。

 一見ナオフミの剣幕に怖がっているように見えるが、目線が王に向いている。

 

 つまり、恐れているのは王であり、ナオフミに一人もいないのは王の方針。

 

 この国はダメだな、早めに脱出しないとな。

 

「俺はつるむのが嫌いなんだ。気が合うやつを自分で探すからあっちに行け」

 

 と、突き放す口調で話すわけだが、こいつらは絶対に動く気配が無い。

 

「モトヤス、どう思うよ! これって酷くないか」

「まあ……」

 

 ちなみに男女比は、女性の方が多いという不思議。

 ある意味ハーレムが完成しかけている。

 

「偏るとは……なんとも」

 

 イツキも困った顔をしつつ、慕ってくれる仲間を拒絶できないと態度で表している。

 ちなみにモトヤスの仲間はみんな女だ。何処までも女を引き寄せる体質なのかコイツは。

 

「均等に3人ずつ分けたほうが良いのでしょうけど……無理矢理では士気に関わりそうですね」

 

 イツキの最もな言葉に俺以外が頷く。

 

「だからって、俺は一人で旅立てってか!?」

 

「あ、勇者様、私は盾の勇者様の下へ行っても良いですよ」

「なっ?!」

 

 モトヤスの部下になりたがった仲間の女性が片手を上げて立候補する。

 

 俺はその顔を見て驚いた。

 

「お? 良いのか?」

「はい」

 

 前回の盾の仲間にいたあの女とそっくりだ。

 似ている程度ではない。

 髪色はともかく眉の形や位置など、いろいろな部分が同じ。

 本人といっても納得できるほどに同じだ。

 

「他にナオフミ殿の下に行っても良い者はおらんのか?」

 

 シーン……誰も手を上げる気配が無い。

 王様は嘆くように溜息を吐いた。

 

「しょうがあるまい。ナオフミ殿はこれから自身で気に入った仲間をスカウトして人員を補充せよ、月々の援助金を配布するが代価として他の勇者よりも今回の援助金を増やすとしよう」

「は、はい!」

「それでは支度金である。勇者達よ、しっかりと受け取るのだ」

 

 俺達の前に四つの金袋が配られる。

 ジャラジャラと重そうな音が聞こえた。

 その中で少しだけ大き目の金袋が俺に渡される。

 

「ナオフミ殿には銀貨800枚、他の勇者殿には600枚用意した。これで装備を整え、旅立つが良い」

「「「「は!」」」」

 

 俺達と仲間はそれぞれ敬礼し、謁見を終えた。

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