武器屋を後にしたらすぐに外の平原に向かった。
平原に着いた時ウェルトが
「レン様パーティーの申請を送っていただけないでしょうか?」
「パーティーの申請…ああこれか」
知っているのに知らないふりをするのは結構ストレスがあるな。イライラを顔や態度に出さないのに気をつけないといけない。
「お前たちのレベルはいくつだ?」
「私は14です。」
「吾輩は16だ。」
「私は13です。」
「私は15ね。」
解析技能を使い嘘であるか確認する。…嘘ではないな。
あの王が選んだであろう仲間だ。用心しすぎるくらいでいい。
「ウェルト、ここではどんな魔物がでる?」
「ここではバルーンという魔物が出ます。おそらくレン様一人でも大丈夫です。」
「そうか。最初は俺一人で戦って楽勝だったならLV10まで一人やる。」
「わかりました。」
少し歩くとバルーンが3体現れた。全部オレンジバルーンだ。
俺は剣を上段に構え、まず手前のバルーンに真っ直ぐ切る。次のバルーンに逆袈裟斬り(自分から見て左下から右上に切ること)、最後のバルーンには返す形で左袈裟斬り(逆袈裟斬りの反対の軌道で切ること)をする。オレンジバルーンは3つの残骸を残して死んだ。
色付きバルーン程度、未強化LV1の召喚直後の勇者でも軽く撫でるだけで倒せる。
「お見事です。これなら1人でも大丈夫そうですね。」
「そうだな。」
すでに持っているバルーンの残骸を剣に吸わせる。すでに吸わせてあるが偽装のために仕方ない。バルーンはドロップが大したことないから相手にするのは時間の無駄だ。
途中ウェルトたちも混ざり夜までレベル上げした結果俺は15、ウェルトたちは4上がった。
「今日はここで野宿する。ウェルト村はいつつく?」
「そうですね…このペースなら6日ほどです。」
「そうか。」
俺たちは城下町に近いリユート村を目指している。
なぜなら、ウェルトに勧められて村を周りながら強くなる、という目的を決めたからだ。
まあ国内に留まってほしいという思惑が透けているが、俺も強化方法の一つである[信頼し信頼される]を行うことができるから乗っている。一つ一つが微々たるものでもチリも積もれば山となるからな、バカにできない。
「俺とウェルト、テリシアが寝て残ったのが夜番をする。2交代で行うから途中で起こせ。いいな。」
「わかりました。」
ビー!ビー!
警告音がなったと同時に全力で転がり、起き上がる。この警告音は技能[危険察知]が危険を知らせる音だ。相当集中しなければ発動しない難しいスキルだが、横になり目をつむっていることで条件をクリアしていた。
すると俺が寝ていたところに斧が下ろされる。襲撃者の姿を確認するとマルドにウェルト、テリシア、ファーリーだ。
「よく避けることができましたね。」
「起きていたからな。ウェルト、一応弁明を聞こうか。」
「王の命令です。」
「そうだ!盾の悪魔に協力する勇者などいないのだ!ならば剣の勇者を語る偽物は殺さないといけないのだ!」
盾の悪魔に剣の偽物…か。こいつらは邪教を信仰する邪教徒。それに邪教の国。
宗教にはうんざりする。確かに強化方法の一つである[信頼し信頼される]を簡単に大きくするには宗教は都合がいい。神という基本的に無条件に信頼できるし、神を通して合わずとも間接的に信頼される。
デメリットとして次第に腐っていき集金装置や暴力装置になることだな。地球の言葉に『宗教とは金を稼ぐ画期的な発明だ。』とあるほど金集めが容易い。教皇や上層部は集まる力に自分たちは偉いと考え、信仰する神を蔑ろにする。
いろいろ言ったが要するに、宗教とそれを信じるものたちはろくでもない。
「邪教徒共め、いい加減うんざりだ。」
「なんだと?!我ら三勇教を邪教だと?!」
邪教呼びに顔を怒りに染めるマルドたち。
「ああ。だから、世界のためにお前たちは皆殺しだ。」
「ふん!やれるものならやってみろ!」
突っ込んでくるマルドとウェルトを無視する。狙うのは回復できるテリシア
「ファストアクアショット!」
ただの低レベル低ステイタスの現地人の、しかもファスト級など避けるまでもない。
直撃しても無傷なことに驚いているすきに、心臓を刺し念の為に喉を切る。
あっさり殺されたことに動揺するファーリーも同じ手順で殺害。
「はあああ!」
決死の表情で切り掛かって来るウェルトの剣を受け止める。そこですかさずEPを剣に流してウェルトを剣ごと両断する。
「ひ、ひいぃ!」
マルドがあっという間にやられたウェルトたちを見て逃げ出したが、腰が抜けているのか走るどころか歩けてすらいない。
「わ、悪かった!吾輩の家は金持ちだ!金をやる、だからっ!」
「うるさい、死ね。」
「アアアッ!!」
断末魔を上げてマルドは事切れた。
周りに伏兵がいないことを確認すると死体を剣に入れ始める。
「例え邪教徒だろうと世界のために有効活用してやる。すでに人間シリーズはコンプリートしているが、人類もドロップの対象になることはわかっている。」
人類は魔物とは違う理のせいか、魔物に比べてドロップはあまり強さに依存しない。弱くてもLV30相当の魔物と同じくらいのドロップをする。
だからといって人類を無闇矢鱈に狩るつもりはない。ある程度割り切っているが人類を殺すのは心が痛いし、他の勇者に魔王認定を受けると面倒だからな。
「さて、どこに向かうか。」
俺の長き旅はまだ始まったばかりだ。
次章 世界巡り