ルカとロイ〜蒸気世界の物語〜
古い子供向けアニメでスチームパンクを扱った珍しい作品
しかしそれ故にかいまいち人気がでず
知る人は知っているマイナーな作品になった
ブラックマーケット
輸送センターブラックキャット
D.U地区への配達は無事に…無事では無かったが終わり、俺はセンター長と先輩配達員に別れを告げていた。
『短い間でしたが、お世話になりました!』
『こちらこそ今までありがとう、君が居たおかげで配達ルートの見直しなどが捗って大助かりだったよ、旅に出ても元気でね。』
センター長が眼鏡を直しながら笑顔で答える。
『うぉぉお!行っちゃうのかぁ!!私はお前と一緒に仕事が出来て楽しかったよぉ!!』
『寂しくなっちまうが、元気でやるんだぞ!』
『うぅ…君が居なくなったら僕は一体どうさb…どう頑張れば…』
『給料引いておくよ』
『そんなぁ!!お慈悲ぉぉぉ!!』
『あはは・・・それじゃあお疲れ様でした!』
俺は皆んなにお礼を言って出て行った。
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ブラックマーケット
廃ビル
俺が廃ビルの入り口を潜ると何かが小さく爆発する音が辺りに響いた。俺が慌てて周りを見ると、ヘルメットの皆んながパーティクラッカーを鳴らしながら俺を出迎えてくれた。
『お疲れ様ですアニキ!!』
『『『『『お疲れ様です!!』』』』』
『あ、ありがとう。ちょっとトラブルはあったけどなんとか帰って来れたよ。』
『トラブル?』
『今回の配達の依頼がD.U地区でそこの抗争に巻き込まれて…あんだけ大規模だったからテレビとかラジオで取り上げられているはずだけど。』
その言葉を聞いた途端、リーダーが泡を食った。
『あれですか!?大丈夫だったんですか!?怪我は!?どっかへこんでたりしてないですか!?』
『大丈夫大丈夫、俺の体の頑丈さは知ってるでしょ、撃たれまくったけどこの体はなんとも無かったよ。』
『だとしても自分の体は大切にしてくださいよアニキ!』
『善処するよ…うん。』
『それ何にも変わんないやつですよアニキ!!』
『嘘嘘、俺自身この体がどこまで耐えられるか分からないからね、なるべく無理はしないようにするよ。』
そんな会話をしていると、ヘルメットの皆んなが机とジュース、さらには大量のお菓子を持って中央に集まった。
『おっと!アニキの送別会始めますよ!』
『こんなに用意したの?お金大丈夫だった?』
『大丈夫ですよ!それにアニキの門出ですからパァーッと祝わないと!!』
周りのヘルメット団員が着々と送別会の準備を整えていく。
『机くっつけて!』
『ジュースはお代わり自由!じゃんじゃん飲んで!』
『全部パーティ開けにしちゃおう!宵越しの菓子は無ぇ!!』
『アニキはこちらにどうぞ!!』
そう言って俺が連れてこられたのはいわゆる主役席なんて呼ばれている机の端っこだった。
『いいの?飲み食い出来ないのにこんないい席座っちゃって?』
『良いんですよ!そもそもアニキが主役なんですから!一緒にジュースやお菓子が飲み食い出来ないのはちょっと残念ですけど…雰囲気だけでも楽しんで欲しいです!』
やがてヘルメットの皆んなにジュースと菓子が配られた。それを確認してリーダーが少し高さのある瓦礫の上に登った。
『えー、本日はお日柄も良く、お足元が・・・駄目だな!こんなの私達には似合わない!!飲んで!食べて!アニキを元気良く送ろう!!』
『乾杯!!』
『『『『カンパーイ!!』』』』
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トリニティ総合学院 ティーパーティテラス
『…連邦生徒会長の失踪…連邦捜査部シャーレ…謎の大人…連邦生徒会長は一体こんな忙しい時に何処へ・・・!!』
1人の翼を持った少女が月夜が降り注ぐテラスで紅茶を飲みながら愚痴を吐いていた。
『自らが指揮していた『例の条約』を放棄して失踪など…ましてや失踪前にこの様な怪しさしかない謎の部活を残していくなんて・・・!!』
『・・・『セイア』…私はもう…』
少女の夜はまだまだ続く、いずれその泣きそうな顔が笑顔に変わるかは・・・また別のお話。
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ゲヘナ学園 万魔殿
ここはゲヘナの最高権力者である議長が作業を行う部屋、その部屋に1人、軍服を着てツノが生えた少女が意地の悪い顔をしながら書類を纏めていた。
『キキキ!風紀委員に送る書類が纏まったぞ!せいぜい頑張るんだな『空崎ヒナ!』キキキキキキ!!』
彼女が独特な笑い声をあげていたその時である、扉がノックされ1人の少女が入室してきた。
『ちょうどいい!今からこの書類を風紀委員会に…』
『D.U地区にて
『・・・それで?』
そこには、意地の悪い笑顔を浮かべながら独特な笑い声をあげる少女はおらず、腕を組みながら真剣に話を聞く1人の議長がそこに居た。
報告に来た少女はポケットから一枚の写真を取り出す。その写真には
『情報によると、ミレニアム近くのブラックマーケットでつい最近活動を始め、銃弾や砲弾をモノともしない装甲、ビルに大穴を開ける程強力で巨大なリボルバー・・・動力が蒸気機関というのが引っかかりますが』
腕を組んでいた少女は鋭い目で写真を見たが、しばらくすると残念そうな目をしながらその写真を報告した少女に返した。
『・・・違うな…おい、ゲヘナの校章はこいつについてたか?』
『・・・いえ…しかしその性能ゆえ報告しました。』
その答えを聞いて腕を組んだ少女はさらに表情をがっかりさせる。
『なおさらだ、『奴の遺産』には必ず校章がある、一つ残らず、全てにだ。そんな奴が校章をつけ忘れるか?』
『・・・いえ』
報告した少女は深く暗い声で返事を返す。
『まぁ待て、別に詰めている訳じゃない、ただ、次からは校章を確認しろ…いいな?』
『ハッ!』
報告した少女が敬礼をした後部屋を出ていく、ツノが生えた軍服の少女は腕を解き、窓の外の月を見ながらぼやく。
『奴はあんな人と共に歩む様な物は作らん…そうだろ?ヒナ』
その言葉を聞く人物は自分以外の誰も居なかった。
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????? とある一室
どこかも分からないとある場所のとある一室、そこには椅子に座っているロングヘアーの、少女と言うには大人びている女性と無表情な金髪のメイドがいた。椅子に座っている女性の手には纏められた資料が握られており、一枚一枚目を通していた。
『連邦捜査部シャーレ…』
『はい、あの連邦生徒会長が作られた謎の部活と聞いています。』
『問題ないわ、私の計画に支障は・・・!』
ふと大人びた女性の手が止まる、そばにいた金髪のメイドが声をかける。
『どうしましたか?』
『・・・何でもないわ、引き続き頼むわ。』
『了解致しました。』
金髪メイドが優雅に一礼すると部屋から退室する、しばらくすると大人びている女性が先程の資料をめくり、目的の資料を確認する。
『…やっぱり…やっぱり!…なんて事なの!貴女は!貴女はまだここにいるのね…
よく言えばクール、悪く言えば鉄仮面の様な表情が崩れ去り、目元に涙を浮かべながら彼女はある名前を叫ぶ
ルカ!
手元の資料には巨大なリボルバーを握った、蒸気機関で動く巨大なロボットの写真が載っていた。
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ブラックマーケット 廃ビル
お菓子を食い尽くしたヘルメット団員達は思い思いに雑談に花を咲かせていた。その中の1人、リーダーがアイオロスに質問する。
『アニキ、そう言えば最初は何処に旅するんですか?』
『うーん・・・アビドスかな?』
『ア、アビドスですか?あんな砂しか無いところが最初の旅先でいいんですか?』
リーダーは困惑の声をあげてアイオロスに更に質問する。
『アビドスに行くのはちょっと
『やってみたい事?なんですか?』
アイオロスは間をあけて答える
『夜の砂漠で星を見る』
『…アニキって意外とロマンチスト?』
『えー?思わない?静かな砂漠で星空を見上げる、一回やってみたいと思わない?』
『うーん、私は星空より海ですかね、海で皆んなと一緒に遊ぶ、私はそっちの方が良いですね。』
『そっかぁ・・・いつかみんなで海に行けるといいね。』
『あっ、いえ!海自体は毎年行ってますよ!ヘルメット団の集まりが夏にありまして!そこでみんなで遊んだり腹一杯屋台の料理を食べて回るんです!今年はアニキも一緒に行きましょう!!』
『うーん…旅が落ち着いてからだな。』
そんな雑談をしていると1人の団員がリーダーの側に近づき耳打ちする、それを聞いたリーダーは何か忘れていた事を思い出したようで
『あっ』と声を出して、開始の挨拶をした瓦礫の上に急いで立った。
『注目!!みんな雑談を止めて!!送別会が楽しくて忘れていたけど、アニキへのプレゼントを持ってくるよ!!』
『プレゼント?』
そうアイオロスが言うとリーダーは、キメ顔*1をしてアイオロスに言った。
『私達ゴーゴーヘルメット団からアニキへのサプライズプレゼント!!受け取ってください!!』
そうリーダーが言うと、奥から数人の団員に押されて大きな箱が現れた。その大きな箱は、シャッターが付いた鉄製の大きな箱で、まるで車庫を薄くした様な感じである。そしてその箱にはベルトが二つ付いており、そのベルトも相まってその見た目は巨大な
『これは?』
『私達と武器屋の店長で一緒に考えたアニキ用のバックパックです!』
アイオロスは早速バックパックのシャッターを開けて中を見る、右側が何個か仕切られた棚の様になっており、左側は…
『左側にアニキのタイラントを収納出来るスペースと、店長がサービスで弾薬を付けてくれました!』
『店長・・・金は大切にしてくれ…』
『店長曰く『感謝の印に弾薬をプレゼント、昔見た憧れの映画のワンシーンだ!!』らしいです!』
『・・・ならいっか。』
アイオロスはタイラントを収納スペースに入れ、特製バックパックを背負う、肩のベルトを調節してベストな長さに整えると、少し歩いたり、跳んでみたりして確認した。
『凄くいい!ありがとう皆んな!あとここに居ないけど店長!』
『どういたしまして!店長はしばらく新しく建てる武器屋の件で忙しいので私が言っておきます!』
『ありがとう、よし!早速色々と詰め込んでみるか!』
そう言うとアイオロスは一旦バックパックを置き、収納スペースにヘルメット団の皆んなとわちゃわちゃしながら物を入れていった。
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『あの『暁のホルス』には劣りますが、オートマタ、しかも旧型ではありえない
実に興味深い
始まりを告げる風 『完』
次回予告
ヘルメット団に別れを告げアイオロスは旅立った
最初の旅路は砂漠に呑まれた都市
『アビドス』
果たしてアイオロスの旅路はいかに
次章『夢眠る砂漠に風が立つ』
蒸気を絶やすな