蒸気機関ト青イ空   作:パラパラガス

13 / 20

砂を踏み締める音を聞いた私は咄嗟に背後を撃ち抜いた。

その後何かが倒れた音が聞こえたので気絶しただろうと安心して水分補給用に持ってきた水筒から水を目にかけて洗い流していたら

後頭部をいきなり殴られた

『!?』

そのまま前のめりに倒れた事を利用して前転して体勢を立て直し後頭部を殴った奴の顔を拝んだ

『いきなり撃つなんて何考えているこのチビィ!!!』

そこに居たのはヘルメット団ではなく、今まで見た事がない人物がいた。

身長は自分より高く、短く切り揃えられたショートカットの上に『イルカが輪を描くヘイローが浮かび』、明らかに乙女がしてはいけないキレ顔で呼吸を荒げながら睨みつける、謎の人物がいた。

『誰がチビなんですか!?』

『お前の事じゃあ!!この『ピー!!』で『ピー!!』なピンク頭ぁぁ!!』

『言ってはいけない事を言いましたね!?』


それが彼女、『三船イルカ』との最悪なファーストコンタクトだった。


走れ!アイオロス!

 

カタカタヘルメット団は逃げていた。

 

『おい!!もっとスピード出せよ!!』

 

『無理だって!!これがベタ踏みだよ!!』

 

カタカタヘルメット団は逃走していた。

 

『装甲車隊!!とにかく撃ち続けろ!!』

 

『さっきからやってるよぉ!!なんなのあいつ!!砲撃が効かない!!!

 

『だずげでぇ!!お゛いづがれ…きやぁぁぁ!!』

 

叫び声と共に通信が切れ、最後尾を走っていた装甲車が水平に勢い良く回転した後横転した。そして()()()()()()()()()

 

ポッォォォォオオオオ

 

カタカタヘルメット団は恐怖していた。

 

簡単な仕事だと思っていた。先ほどまでは驚く程順調だったのだ。対策委員会のメンバーを誘拐してランデブーポイントで受け渡す。ただそれだけだったはずなのに!!

 

ポッォォォォオオオオ!!

 

どうしてだ!!なぜ私達は逃げている!!なぜ追われている!!私達はこれから勝者になるはずだったのに!!あんな絶望しかない学校に縋り付く負け犬とは違うはずなのにぃ!!なんで!!なんで!!!なんで!!!!

 

『来るなぁ!!化け物!!バケモノォォォオオ!!』

 

『助けてぇ!!リィィダァァァァァアア!!』

 

また通信が切れ、2台の装甲車が宙を舞ってタンブルウィードになる。

 

『クソ!!クソ!!!なんでこんな事になったぁぁぁ!!』

 

『落ち着いてリーダー!!リーダーが冷静じゃ無くなったらもうお終いだよ!!』

 

『分かっている!!』

 

ポッォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!

 

私は体を窓から乗り出し、私達に逃走を強いる元凶を睨む。

 

まだ距離があるが確実に近づいてきている、砲撃すら効かないあの悪魔が。例えるならそいつは()()()()()…私は悪夢でも見ているのか…これは現実?夢?頼む・・・こんな夢・・・

 

 

 

 

『さっさと覚めてくれよぉ・・・』

 

 

 

 

ここから見える人影が吹き出す()()()()の様な音が、これは現実だと冷ややかな声を浴びせた。

 

 

 

 

 

 

『・・・どういう事なのよ…』

 

そしてトラックの荷台で目を覚ましたセリカは訳がわからない状況に対して涙した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先生side

 

バイトが終わったのにセリカが部屋に居ない事をホシノから聞いた私はアロナの助けを借りてセリカが最後に居た場所を特定しようとしていた。

 

『それでえ〜?どうやってセリカちゃんの居場所を特定するの?』

 

【任せて!このタブレットを使って私の権限をフル活用して探すよ!】

 

『うへ〜、それは頼もしいねぇ。』

 

ホシノは頬をかきながらのほほんと言う

 

【まずはセリカの場所を特定しないと…アロナ、セントラルネットワークにアクセス出来る?】

 

[せ、セントラルネットワークですか!?ですが先生!!例え先生でもセントラルネットワークの情報を閲覧する為には様々な審査を通さないといけないですよ!!]

 

【お願いアロナ!責任は私が負う!だからセリカの為にセントラルネットワークにアクセスしてくれないかな…?】

 

[・・・分かりました…なるべくバレないように頑張ります!]

 

【ありがとうアロナ!】

 

『・・・うへー、先生?独り言喋ってどうしたの?』

 

【あぁ違うよ!このタブレット、シッテムの箱って言うんだけど、このタブレットの中にアロナって言うAIがいて私をサポートしてくれるんだよ、今は連邦生徒会のセントラルネットワークに接続してくれているんだ。』

 

『セントラルネットワーク?それって良いのかなぁ?おじさんが思うにバレたら多分大目玉だよぉ?』

 

ホシノの正論に対して私は

 

【構わないよ、大切な生徒の為ならいくらでも私は責任を負うよ・・・あっ、でももちろんバレないようにこっそりとやるよ!】

 

『・・・本当、頼もしいねぇ…』

 

[先生!セントラルネットワークにアクセスしてセリカさんの端末位置情報の最終履歴取得に成功しました!もちろんバレないように出来ましたよ!]

 

【ありがとうアロナ!やっぱりアロナは凄いよ!】

 

[えへへへへへ!]

 

シッテムの箱の中でアロナが恥ずかしそうに体を揺らしている。

 

【ホシノ!セリカの端末が最後にあった場所が分かったよ!皆んなの所に行こう!】

 

『分かったよ、それじゃあ皆んなの教室に行こ〜う。』

 

私は報告する為に皆んながいる対策室へ急いだ

 

 

 

 

『・・・チッ』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アビドス郊外 砂漠

 

対策委員会の皆んなのお陰で、攫った相手がカタカタヘルメット団である事、そしてヘルメット団は郊外の砂漠へ向かっている事が分かった。今はセリカを攫ったカタカタヘルメット団を追うために、アヤネが車庫で見つけていた古いSUVに乗って砂漠を移動していた。追っていた道中、私達は奇妙なモノを見た。

 

『前方に車両を目視!!あっあれは!カタカタヘルメット団!?』

 

『カタカタヘルメット団の装甲車?でもひっくり返ってる?』

 

【操作ミス?それにしては車両がボロボロだね…】

 

『あっ、アヤネちゃん、お相手がこっちに気づいたからアクセル蒸したほうがいいよ。』

 

『はい!!突破します!!』

 

スピードを上げたお陰でヘルメット団に銃撃される事なく突破出来た。

 

『それにしても…装甲車をあんなにボロボロにしてしまうなんて何があったのでしょう?』

 

『・・・私の見間違えじゃなきゃ()()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

『拳!?シロコ先輩!!何かの冗談ですか!?』

 

『ん、嘘じゃない、くっきりと拳の跡があった。』

 

【・・・あっ】

 

『うん?どうしたの先生?』

 

【装甲車を殴ってひっくり返す事が出来る人物に心当たりがあるんだ。】

 

『えっ!?心当たりがあるんですか!!』

 

【うん、柴関ラーメンを食べた時にセリカがぶつかったって言った人物、その人なら可能だよ!】

 

『それって・・・』

 

『また装甲車です!!今度は2台です!!』

 

アクセルを蒸しまた突破する、すると今度はホシノが。

 

『うへぇ、本当に拳の跡が側面にあったよぉ…凄いねそのアイオロスって人。』

 

【アイオロス君と初めて会った時、彼は蒸気の圧力で強力なパンチが出来るって言ってたんだ。アイオロス君の可能性が高いよ!】

 

『でもさぁ?なんでそのアイオロスって人がヘルメット団を倒しながらセリカちゃんを追いかけてるの?怪しくない?』

 

『確かに目的が分からないですね…』

 

【大丈夫!きっとアイオロス君は攫われるセリカを発見して追いかけているんだよ、アイオロス君が悪い事の為にセリカを追いかけるなんてしないよ!』

 

『ん、凄い信頼。』

 

【命の恩人って言うのもあるけど…アイオロス君は、()()()()()()()()()()()なんだよ。私はそんなアイオロス君を『信じている』んだ!】

 

『へぇ・・・ん?なんか変な音が聞こえない?』

 

ホシノがそう言い、皆んなが耳を立てるとまるで汽笛の様な音が聞こえてきた。

 

ポッォォォォォォォ・・・

 

『・・・汽笛?』

 

『汽笛だなんて!ここは長い間放棄されている線路ですよ!』

 

『ん、もしくは先生が言ったアイオロスって人か。』

 

アヤネは汽笛が聞こえてきた方角にハンドルを切り、しばらく走っていると、蒸気を噴き出しながら砂埃を立てて走っているアイオロスと、おそらくセリカを乗せたトラックと護衛と思われる装甲車が逃げていた。

 

【間違いない!アイオロス君だ!!】

 

『・・・?なんであの装甲車、アイオロスって人を攻撃しないの?』

 

【おそらくだけど、アイオロス君はとても頑丈で戦車の砲撃を受けても全くダメージが無いんだ、だから相手も効果が無い事が分かって逃走しているんじゃないかな?】

 

『凄いねアイオロスって人』

 

 

【よし!皆んな!セリカを助けよう!!】

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイオロスside

 

俺は今、重大な事に気づいた。それは・・・

 

『どうやって目の前のトラックを止めよう・・・』

 

そう、追いかけたはいいけどトラックをどう止めるかどうか考えていなかった・・・俺の馬鹿ぁ!!

 

(無理やり止めたら怪我をしちゃうだろうし…このまま燃料切れまで走れば良いけど…流石に相手も逃げ回るだけじゃ終わらない筈、早くトラックを安全に止める事が出来る方法を考えないと・・・)

 

そんな事を考えていた時、視界の左側に奇妙な物が見えた。それは四枚のプロペラが四方に配置され、その下には二つの箱のような物が付いたそれは・・・

 

『・・・ドローン?』

 

その時、ドローンに搭載されていた箱からミサイルが飛んでいき、誘拐された少女が乗っているトラックのフロントに直撃し、爆発。その勢いでトラックは派手に転がり横転した。

 

 

 

『ハァ!?えっ!?ハァ!?』

 

 

 

俺は慌てて勢いを落とす為にジャンプして幅跳びの要領で砂にスライディングした。トラックの方に目を向けると、猫耳少女と似た制服を着た『銀髪ケモ耳少女』が猫耳少女を保護していた。あれだけ派手に横転したのに猫耳少女は無事だった・・・俺があんなに悩んだ意味・・・

 

【アイオロス君!!】

 

聞き覚えのある声が聞こえ、顔を向けるとそこには車に乗った先生と、同じく車に乗った『眼鏡少女』、そしてゴツイミニガンを持った『のほほんとした少女』、ショットガンに盾というゴリゴリの前衛装備の『ピンク髪の少女』がいた。

 

『先生!と・・・失礼、どちら様でしょうか?』

 

【説明は後でするよ!今は残りの装甲車を無力化して退却する!】

 

『了解です!』

 

俺と少女達は残った装甲車に対して構える。すると先程の爆発したトラックからヘルメット団のリーダー格が這い出てきて怒鳴った。

 

『クソ!クソ!クソ!何なんだよ!!順調に作戦が進んでいたと思っていたのに!!砲弾が効かない化け物!!分かるはずが無いルートを通ったのに追いついてくるお前ら負け犬!!挙げ句の果てには私達を無力化して一件落着?ふざけるなぁぁぁぁあ!!!』

 

『うへー、ご立腹だねぇ、そんなに怒鳴られたらおじさん困っちゃうよー。』

 

『おじ?』

 

『気にしないで、ホシノ先輩の一人称だから。』

 

『あぁこれはご親切にどうも。』

 

『なんだか予想と違って腰が低いですね☆』

 

『全く、さっきまでの装甲車を吹き飛ばす勢いは何処行ったのよ!』

 

『なんか色々あって吹き飛びました・・・』

 

『ゴラァ!!無視しやがって!!後悔させてやるぅ!!お前達行くぞ!!』

 

それを合図にヘルメット団達は行動を始める。

 

【アイオロス君!体に不調は無い?】

 

『大丈夫ですよ!どんな弾でも受け止めます!』

 

【頼もしいね!アイオロス君は守りを固めて前に出て!】

 

俺は腕で前を固めて他の少女達の前に躍り出た。

 

【皆んな!アイオロス君の影に隠れながら迎撃を開始して!必ず学校に帰ろう!!』

 

 

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

 




次回予告

セリカ救出に成功し喜ぶアイオロス達
しかし魔の手はそれを良しとせず
着々とこのアビドスに迫って来ているのだった。

次回『68の悪魔』

蒸気を絶やすな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。