蒸気機関ト青イ空   作:パラパラガス

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アビドス都市部 とあるラーメン屋

『いやぁここのラーメン美味しいね!来たかいがあったよ!』
 
『・・・美味しいのは確かですけど…』
 
私は隣で口一杯に麺を頬張りリスのようになっている喧嘩相手を睨む
 
『なんでさっきまで喧嘩していた相手を誘ってラーメンを食べれるんですか・・・』
 
『え?・・・それも『浪漫』だから!!』
 
『さっきからなんなんですか!!浪漫浪漫って!それが何の理由になるんですか!!』
 
私はまだ名前も知らない彼女に叫ぶ、ラーメン屋の店主の眉間にしわがよったが気にしない。
 
『だって素敵じゃん!』
 
『はぁ!?』
 
『喧嘩相手と同じ釜の飯を食べる、くぅ!『浪漫』だ!』
 
『・・・はぁ、もういいです。あなたには話が通じない事が分かりました。』
 
『えぇ、ひどい…』
 
『ほら、せっかくのラーメンの麺が伸びてしまいますよ。』
 
彼女は私の言葉を聞いて慌ててラーメンを食べる事に戻った。
 
『ふぁっそうは、そうひへばなばえいっていだがったね。』
 
『飲み込んでから喋ってくださいよ・・・』
 
しばらく彼女は静かになり、彼女の口がモゴモゴと動いて口の物を飲み込んだ後に喋り始めた。
 
『そう言えば私の名前を言っていなかったね、私は『三船イルカ』、『ミレニアムサイエンススクール』の一年生で『エンジニア部』の部員だよ!』




正しい誤解

 

アビドス郊外 廃ビル

 

 

ドタバタした昨日が終わり、朝日が砂漠の向こうから登る頃、俺は廃ビルの瓦礫に腰掛けながら、ある決心をしていた。

 

『よし!昨日はドタバタしてたから滞在期間伸ばそう!』

 

そう、ただの滞在延長宣言である。

 

『さーて・・・どこに行けばいいんだろう…』

 

滞在延長を宣言したが・・・そもそも何処に何があるのか把握していない、一応宿探しで歩き回ったがどこもかしこも廃墟や空き家ばかり、都市部の方に行ってもいいが…D.U地区とあんまり変わらなそう、ブラックマーケットも近くにあるが同じ理由で面白味が無い。

 

『・・・そうだ!!分からないなら現地の人に聞けば良いじゃん!』

 

ひらめきにより思わず指を鳴らしたが、指から発された音は鉄が擦り合わさるちょっと不快な音だった…ちょうど知り合った現地の人が5人もいるから、それぞれのオススメスポットを聞いて回ってみたら面白いかな?なんて思いながら出かける準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先生side

 

セリカ誘拐事件から翌日、私は対策委員会の誘いで学校の『借金』を減らす為にどの様に行動するか、という会議に参加した…筈なんだけど・・・何故か犯罪計画かスクールアイドルをやるかの二択を迫られる事になり、この中では絶対にマシなスクールアイドルを選んだ結果、アヤネの堪忍袋が爆発し、柴関ラーメンで機嫌取りをしていた。そこに見た事がない生徒が来店し、ノノミ達が仲良く話をし、仲良く別れたまでは良かったんだけど・・・

 

【・・・まさか君達が襲撃者だったなんて…】

 

『信じられない!!ラーメンを無料で大盛りにした恩を仇で返すなんて!!』

 

『あはは!!ごめんね〜♪仕事だからしょうがないの!』

 

『悪いけど公私ははっきりしないと。クライアントから受けた仕事はキッチリこなさなくちゃいけない。』

 

少し恩着せがましいセリカのセリフを聞きながら白髪の少女と白と黒のツートーンヘアーの少女が答える。

 

『・・・成程、柴関で言ってた仕事って便利屋の事だったんだ…』

 

納得がいったようにシロコが言うが、その目は自分達に害を及ぼす『敵』を見る目をしていた。

 

『もう!学生なら、他にももっと健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!!』

 

ノノミの言葉を聞いて、暗いピンク髪の少女『アル』が眉を顰める。

 

『今のは聞き捨てならないわね、これはれっきとしたビジネス、そして私の『夢』と『浪漫』よ、決して遊び半分でやっている事じゃ無いのよ。』

 

 

『・・・デジャブだなぁ』

 

 

『それに!ちゃんと肩書きだってあるんだから!!』

 

【ん?】

 

先程までのシリアスな顔から自信満々といった顔になった少女がそれぞれの肩書を紹介する。

 

『私が社長!そしてそっちが室長。』

 

『どうも〜♪』

 

室長と言われた白髪の少女が満面の笑みで返答する。

 

『こっちが課長!』

 

『はぁ…社長、あんな啖呵切っておいて肩書きの紹介に移るのはどうかと思うよ…』

 

『誰の差金?…って言っても答えないか。』

 

そう言ってシロコは愛銃を便利屋に向ける。

 

『無力化して無理矢理口を割らせる。』

 

『もちろんクライアントの事は企業秘密よ・・・なら分かるわよね?』

 

アルの言葉に反応して残りのメンバーと傭兵達が銃を構える。

 

『総員!攻撃を開始しなさい!!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイオロスside

 

砂山が所々にある閑散とした道路、そこを巨大な人型が体から蒸気をフシュフシュと噴きながら歩っていた。

 

『いやぁ、手土産のお菓子ようやく見つけられたぁ…』

 

あの後、そのままアビドス高校に行っても良かったが、流石に手土産の一つも無いのは失礼だと思い、俺はお菓子を買いに…行ったは良いが、調べたお菓子屋は最後に買ったところ以外潰れており、しかも潰れた事がネットに乗っていなかった為かなり時間が経ってしまった。

 

『かなり時間が掛かっちゃったな…オススメの場所を聞いて行くの明日にしようかな・・・』

 

そんな事を考えていると、遠くから銃声の様な音が聞こえて来た。しかもその銃声が聞こえてくるのは目的地である高校の方角である。

 

『銃声?・・・なんか昨日のヘルメット団といい、学校の方から聞こえてくる銃声といい、立て続けに問題が起きるなぁ。』

 

俺はそう呟きながらアビドス高等学校への道を急いだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先生side

 

戦況ははっきり言うと劣勢である、傭兵の物量と便利屋メンバーの連携によりこちらは不利な戦いを強いられ、ついにはアビドス高等学校の敷地内まで後退してしまい、もう後退りすら許されなくなった。

 

『さぁ!もう後ろには下がれないわよ!大人しく降参しなさい!!』

 

『誰が降参なんてするの!!絶対にしないわよ!!』

 

『ん、セリカと同じ。』

 

『ですがこちらが不利な状況なのは事実です・・・一体どうすれば…』

 

『・・・うへぇ、先生なんかいい作戦思いつかない?』

 

【・・・少し、危険な賭けになってしまうけど作戦があるよ。】

 

『どっちにしろもう後退も出来ないから乗るよ…どんな作戦?』

 

私はホシノに作戦を伝えた。

 

【このピンチを乗り越える為には、リーダーのアルを倒して相手を退却させるのが一番手っ取り早い、だから身軽なシロコが奇襲を仕掛ける。ホシノ達は奇襲がバレないように弾幕を張りつつ便利屋メンバーや傭兵の注意を集めて欲しいんだ。』

 

私の作戦を聞いたホシノが近くにいた他のメンバーに向かって話す。

 

『いやぁ、もうこれしか無いかぁ・・・皆んな、今の作戦聞いたよね?おじさんが注意を集めるからフォローお願い、シロコちゃんは奇襲お願いね。』

 

『『『『了解!!』』』』

 

【それじゃあ作戦開始!!】

 

その号令を聞いてホシノが盾を構えながら隠れていた障害物から飛び出した。

 

『ふふ、突撃だなんてよっぽど切羽詰まっているみたいね、攻撃よ!!』

 

アルの号令により便利屋メンバーと傭兵達が攻撃するが、ホシノの盾は全ての攻撃を受け止める。

 

『私達も居る事忘れないで下さーい!!』

 

そんな声と共にノノミとセリカが弾幕を貼り始めた。

 

『うわ!?味方が居るのに凄い弾幕!!』

 

『・・・何か引っかかる』

 

ホシノはどんどん撃たれながら距離を詰め、ついにハルカと接敵した。

 

『死んでください!死んでください!死んでください!』

 

『それはちょっと出来ないかなぁ?』

 

『ちょっとハルカ!前に出過ぎ!後ろにさが・・・!!社長!!あいつら1人足りない!!』

 

『え?』

 

そんなアルの気の抜ける返事と共に彼女の頭上に影が差す。アルが頭上を見ると自分に飛び掛かるシロコの姿が見えた。

 

『ちょっと!?』

 

アルはシロコの奇襲をなんとか避けるが、シロコは反撃されないようにアルに接近戦を仕掛けつつ傭兵や便利屋メンバーからアルを盾にして射線を切った。

 

『あぁもう!しつこいわよ!!』

 

『ん、いい褒め言葉ありがとう。』

 

『あ、アル様を盾にするなんて!!許さない!!許さない!!許さない!!』

 

アルを盾にした事により、ハルカはホシノを置いてアルの所へ行ってしまう。

 

『ちょっとハルカ!!そっち行かないで!!』

 

『いやぁ、道を開けてくれてありがとうねぇ。』

 

『しまっ!?』

 

ハルカがアルの所へ行ってしまった為、盾役が居なくなった前線は崩れてしまいホシノの侵入を許した、それによりホシノのシールドバッシュを受けてしまう。

 

『カヨコちゃん!!』

 

『そこ!!』

 

『きゃぁ!!』

 

吹き飛ばされたカヨコに気を取られた白髪の少女の額に、セリカの弾丸が命中する。

 

『カヨコ!!ムツキ!!』

 

『よそ見厳禁』

 

『くぅ!ちょっと!!雇っているんだから働きなさいよ!!』

 

『無理だって!!この弾幕にあのピンクの盾持ちが邪魔なんだよ!!』

 

『え!?あっ!?あぁ!!』

 

『うへぇ、あのままおじさんの相手していれば勝てたかも知れないのにねぇ?ほらほら、降参なら今のうちだよー?』

 

『・・・許さない…アル様を…皆さんを…こんな事をして…おのれ!おのれ!おのれ!!

 

怒りで我を忘れたハルカがクレイモア地雷を手に持ち

 

『えぇ!?』

 

ホシノ目掛けて()()()()()()

 

『うわぁ!?』

 

爆発によりホシノは吹き飛び、ハルカはシロコに向かい再びクレイモアを振り下ろし爆発させる。シロコは直撃から避けるがその間にアルが形勢を立て直しホシノと共に再びアビドスに押し戻される。

 

『ちょっとハルカ!!大丈夫なの!?』

 

『はい!!アル様を助けられてとても幸せです!!』

 

ハルカの手はクレイモアによる破片で切り傷が出来ていたが、その目は爛々として嬉しそうに口を吊り上げた。

 

『いやそうじゃなくて…まぁいいわ、さぁ!!奇襲が失敗して残念だったわね!!これが最後よ!!降参しなさい!!』

 

『ぐぅぅ!!』

 

『そんな・・・』

 

『ごめん…ホシノ先輩』

 

『…大丈夫だよ、おじさんはまだ戦える。』

 

【・・・みんな、私が囮になるよ、ヘイローが無い私になら相手は油断する筈だよ。』

 

『『『『先生!!』』』』

 

アビドス組が覚悟を決めていたその時、傭兵の1人が痺れを切らした。

 

『あぁもう!!さっきからしつこいんだよ!!こっちはギリギリまで費用削られてイライラしているのにぃ!!さっさとくたばれ!!』

 

『ちょっと!!待ちなさい!!』

 

アルの静止も虚しく傭兵が撃った弾は先生に目掛けて・・・

 

 

 

 

 

 

『2回も目の前で命散らされそうになってたまるかぁぁぁぁぁあああ!!!』

 

 

当たることはなく、巨大な影により甲高い金属音が聞こえ、銃弾は潰れて地面に落ちる。

 

『え!?』

 

『うそ!!なんでこんな所に!?』

 

『・・・これは予想外…』

 

『・・・へ?』

 

そこに立っていたのは3メートルの蒸気機関の人型オートマタ、お馴染みアイオロスであった。

 

【アイオロス君!!】

 

『あんた!!なんで!!』

 

『朝方学校に伺う予定だったんですけど、手土産を探していたら遅れました!!』

 

『うへぇ、救いの神様だねぇ。』

 

『とっても助かります!!』

 

その時、校舎からドローンが飛んできて荷物を次々とアビドスメンバーに落としていく。

 

『みなさん!追加の弾薬です!』

 

『ナイスだよアヤネちゃん!』

 

『ん!反撃を開始する!!』

 

【よーし!それじゃあ!!】

 

その時である

 

 

 

『ま、まさかここであなたと会えるなんて!!アウトロー中のアウトロー!!蒸気の巨人!!』

 

 

【・・・え?】

 

『アウトロー中のアウトロー?』

 

『ん?実は悪い人だった?』

 

 

『なにそれ俺知らない』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アイオロスside

 

 

『あー…アルちゃん?今はちょっと黙っておいた方が…』

 

『何を言ってるのムツキ!!あの時挨拶し損ねたブラックマーケットの蒸気の巨人が目の前に居るのよ!!今挨拶しないでどうするのよ!!』

 

興奮気味に叫ぶアルを収めようとムツキは止めようとするがさらにヒートアップしてしまった。

 

『今の・・・どう言う意味よ…』

 

【セ、セリカ?】

 

『こいつがアウトローって…ブラックマーケットって…どういう事よ…』

 

『あら?知らなかったの?その人、蒸気の巨人は…

 

『ちょっと!社長ストッp』

 

その人はミレニアム近くのブラックマーケットでヘルメット団を配下に従えるアウトロー中のアウトローよ!!恥ずかしい事だけど私が彼の事を知ったのが引越し当日で挨拶出来なかったのが残念だった…けどこうして会えるなんて!!』

 

アルは悪気がないキラキラとした目でアイオロスを見つめている。

 

その時、アイオロスの背後から銃を構える音が聞こえる。

 

『セリカちゃん!?銃を構えないでください!!味方ですよ!!』

 

『味方!?何を言っているんですかノノミ先輩!!あいつはヘルメット団のリーダーである事を隠して私達に近づいて来たんですよ!!』

 

【セリカ!!落ち着いて!!アイオロス君はそんな人じゃ無いんだ!!】

 

『先生もあいつの事を信じるんですか!?』

 

『あの…セリカさん…』

 

俺は何とかセリカさんを刺激しないように声を掛けるが。

 

『動くな!!』

 

『ちょっと待ってよセリカちゃん、相手が嘘をついている可能性だってあるんだよ?』

 

【お願いだセリカ、銃を下ろして…】

 

『じゃあ先生はこいつの事全部分かっているんですか!?』

 

【いや・・・私は全部分かっているつもりはないよ、でも彼の優しさはよく分かっていると思っているよ。】

 

『・・・何よそれ…本当に今日は何なのよ、仲良くなれそうな人達が来たと思ったらこっちを襲撃しにくるし、私を助けようとしてくれていた人はアウトローだなんて言われているし…なんなのよ…』

 

セリカは俯き表情が分からないが銃口はこちらを向いたままである。

 

『・・・セリカさん。』

 

名を呼ぶと同時にセリカの銃口から弾が飛び出し、俺の頭に当たった。

 

『名前を呼ぶな!!』

 

『セリカちゃん!!』

 

『信じていたのに!!嬉しかったのに!!』

 

『・・・誤解されたままなのも嫌なので言いますけど、ヘルメット団を配下にしたりなんてしてません。自分はヘルメット団のアジトで居候していたんです。彼女達とは組織的な上下関係もありません。仲のいい友達です。』

 

『誰がそんな話し信じるの!!それに!!あんな『クズ』の集まりと友達ですって!?』

 

 

・・・・あ?

 

【セリカ!!】

 

『何よ先生!!私達がどれだけあいつらに苦しめられたか知っているでしょ!!』

 

【それでも言っちゃ悪い事があるんだよ!!】

 

『セリカちゃん、流石におじさんも今の言葉は見過ごせないよ。』

 

『ホシノ先輩まで!!』

 

アビドス組の口喧嘩は止まることを知らなかった。

 

 

『私…何かとんでもない事を…』

 

『アルちゃん・・・』

 

『社長、どうする?今なら一網打尽に出来るよ?』

 

『アル様!私が行きましょうか!?』

 

『えっ?えっ・・・と・・・』

 

アルも、まさか自分の言葉でこんな事になるなんて思っていなかった為混乱していた。

 

 

フシュュュュュュウ フシュュュュュュウ

 

奇妙な音が聞こえてくる

 

 

【アイオロス君?】

 

 

フシュュュュュュュュウウ!!フシュュュュュュュュウウ!!

 

アイオロスの体から凄まじい程蒸気が噴き出ている

 

 

『社長、なんだか嫌な予感がする。』

 

『アルちゃん、下がろう?』

 

『・・・えぇ』

 

便利屋達が異変を察知して後ろに下がる。

 

『ア、アイオロスさん…』

 

『ん、なんかやばい。』

 

『…ちょっとまずいかも。』

 

『なによ!!何か文句でもあるの!?』

 

【セリカ!!一旦ストップ!!』

 

フシュュュュュュュユユウウウ!!フシュュュュュュュユユウウウ!!

 

『なんとか言いなさいよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今、あの人達の事をなんて言った?』

 

 

 

 




次回予告

築いた繋がりは崩れ
お互いに後悔する2人
そしてアビドスに
新たな脅威が進行する

次回『風紀とアビドスと暴風と』

蒸気を絶やすな




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な、難産だった・・・コーヒー飲みたい。

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