テレビに映るのはありふれた勧善懲悪
悪の組織から街を守る少女と無口なロボの物語
感情的で正義感に溢れる少女と
無口で不器用だが蒸気の力で彼女を守り共に悪と戦うロボ
そんなありふれた物語
私にはそれがとても輝かしい夢となり
一つの浪漫が心に生まれた
俺がアイオロスになり、ビルの地下から出てきて二週間程の時間が過ぎた。
この二週間はこの世界の常識に度肝を抜かされたり、金を稼ぐ為に奔走していた。
まず常識だが、世界の常識を知らないせいで何回かビルの外で銃撃されてしまい、泣く泣くあの廃ビルに戻りゴーゴーヘルメット団に常識を教えてもらった。
彼女達が快く教えてくれたお陰でこの世界が様々な学園が都市として運用されている学園都市『キヴォトス』である事、特に生徒数が多く巨大な学園都市として名を轟かせている『ミレニアム』『トリニティ』『ゲヘナ』という3大マンモス校がある事、今いるここはミレニアム近くのブラックマーケットである事、銃を所持していない奴は裸より恥ずかしい事・・・これにはびびった、俺は側から見れば変態だったのか…
まぁそんな事で、銃を持たず己の防御力とパワーで生きていこうとしてた俺は常識ハズレらしく、ヘルメット団員に勧められて銃を見繕う事になったのだが、どうやら形だけでも持っていれば舐められる可能性が低くなるらしく、もう使えない壊れた銃を形だけ整えて持ってみたはいいけど、体に対して銃が小さく見えてしまうから逆効果になってしまうと言われた。
そんな時にリーダーである赤ヘルメットの少女が何か心当たりがあるらしく、一緒にブラックマーケット内にある武器屋へと向かった。武器屋の扉を屈みながら入ると、一瞬武器屋の店主であるロボットが驚いた表情をしたが、すぐに表情を戻し、無愛想な挨拶をした。そんな店主に赤ヘルメットの少女が近づき耳打ちをする、店主は目を細めて考える素振りをすると『隣の倉庫に来い』とだけ言って店の奥へ消えていった。
店主の言う通りに隣の倉庫で待っていると、倉庫のシャッターが開き、店主が俺達を手招きした。倉庫に入ると中は様々な銃火器が並んでおり、そんな倉庫の中央に布が掛けられた巨大な何かが置かれていた。俺達が近づくと店主が布を握り思いっきり引っ張った。
それは、銃と呼ぶにはあまりにも大きく、これで撃たれればただでは済まない事が良く分かる程圧倒的な威圧感を放つ
話を聞くと店主が趣味で作り上げたオリジナルのリボルバーで、趣味で作ったはいいが飾りっぱなしでは少し虚しくなってしまい、一度は販売してみたらしいが、あまりにも強すぎる反動により購入者が病院送りになってしまい、それ以来日の目を浴びずにここに置かれているらしい。
そんな時に巨大な銃を求める俺が来た事でこの銃を再び売る気になったらしい、しかしそれには条件があり、このリボルバーの反動に耐えられれば売ってくれると言う、俺と赤ヘルメット…もう面倒だからリーダーは勿論首を縦に振った。
簡潔に言うと結果は大成功、この体は巨大リボルバーの反動をみごとに吸収して、店主が用意した的に…初めて銃を撃った為当たらなかった。けど店主はこのリボルバーを使える奴が現れて嬉しいらしく、かなり元の値段から値引きしてもらった。まぁそれでも30万という大金であった。勿論俺はこの世界のお金*1を待っていない為、リーダーが払おうと震える手で財布からお金を取り出そうとした為、俺は慌ててリーダーの手を止め、自分で使う物なので自分が働いたお金で買うと伝えると、キラキラした目*2をこちらに向けながら『アニキィ…』と熱い視線を送っていた。
店主は『まぁこいつを撃てるやつなんてお前しか居ないから気長に待ってやるよ!』とあんなに無愛想だったのが嘘だったように豪快に笑いながらなんと仕事先まで紹介してもらった。学園に所属していない為、あんな啖呵を切っておいてどうやって稼ごうかと心の中でヒヤヒヤしていた為、渡りに船のありがたい提案であった。
軽い仕事から重い仕事まで様々な仕事を紹介され、この蒸気と金属の体を動かし仕事をこなしていった。その仕事の最中にこの体の機能の一部が発覚した。
まず腕が伸びる、いや、これは伸びるというより蒸気の圧力で腕が高速で前に飛び出し強力なパンチを繰り出せるという感じだろう、ちなみに発覚した原因は配達の仕事中に襲い掛かってきた不良に驚いて手を前に出したら無意識にこの蒸気パンチを繰り出してしまい発覚した。あと不良はちゃんと生きているので安心して欲しい。
次に発覚した機能だが、俺、どうやら少しだけ飛べるらしい。簡単に言うと足の裏に噴射口があり、そこから蒸気を出して大ジャンプが出来る。ちなみにこれは工事現場で作業中に、作業員の1人が落ちてしまい慌ててジャンプして助けた際に発覚した。
あとは俺の動力源であろう『水』とそれを熱する『ボイラー』なのだが、この体、水の補給や燃料の補給が要らないらしい、おそらく製作記録に書いてあった『オーパーツ』が関係していると思うが分からない。他にも機能がないかあれこれやってみたがこの体はうんともすんとも言わなかった。
そんなこんなで今日で大体二週間、様々な仕事をこなしてついに!
『巨大リボルバーを手に入れたぞ!』
『『『『『おぉー!!』』』』』
『おめでとうございます!アニキ!』
『うぅ、これですぐに舐められて撃たれる事は無くなるはず!』
『そんな大口径の銃持っている人に喧嘩を売る奴はいないでしょうけど…ゲヘナ以外。』
『アニキの体格とその銃なら襲われませんよ!…ゲヘナ以外!』
『あぁ、うん、ゲヘナには近づかないようにするよ…』
ヘルメット団員の忠告を聞きながら買ったリボルバーを弄ってると、リーダーがこんな提案をしてきた。
『そうだアニキ!せっかくですし銃に名前とか付けません?ほら!銃に名前を付けるとかっこいいですし、相棒!って感じがしません?』
『銃に名前かぁ・・・そうだなぁ・・・』
(こんなにデカいリボルバーだとどんな名前がいいのか・・・キャノン?はなんかなぁ、ビッグショット…ちょっとこれも安直かなぁ、何かいい名前・・・あっ)
『…タイラント、*3この銃の名前はタイラントだ!』
『タイラント!なんだか厳つい名前ですねアニキ!』
(あのゲームやっててどう言う意味か調べた知識が役に立った。ありがとう!中二病の時の俺!)
『…さて、銃も手に入れたし…仕事だな。』
『え?仕事まだやるんですか?』
『あくまで銃は問題を避ける為だから、俺の目的は学園都市を回って色んな事を体験する事なんだよ。』
『おぉ!旅をして知見を広めるみたいなものですか!!』
『まぁそんな所、よーし!明日から稼ぐぞ!!…お金が貯まるまで雨風凌ぐ為お世話になります。』
そう言って俺はヘルメットの皆んなに頭を下げた。
『・・・なんか締まらないですね、アニキ。』
ぐうの音も出ない
『なぁなぁ!あの噂知ってるか!!
連邦生徒会長が失踪したって噂!!』
次回予告
ヘルメット団の廃ビルでお世話になりつつ仕事をするアイオロス
そんな中街中では連邦生徒会長がいなくなったという噂が広まっていた
そんな噂に便乗して不良達が街で騒ぎを起こし始める
次回『煙立つ街』
蒸気を絶やすな