ふと、製作記録の手を止めてロイ・・・いえ人形を見つめる。
ロイを模して作ったただの鉄人形、ロイと呼ぶのもおこがましい。
けどあいつらからロイを逃がす為には仕方がない事、
今まで書いてきた製作記録も、製作記録という名のただの日記。
あいつらがあの仕掛け扉に目を向けるのを避ける為のブラフ、
ロイがここにいる事がバレないように何個も研究所を作った。
出来るだけの手を打った。あとは・・・
この心を整理するだけ、
本当は・・・いえ…抑えて…表に出ないで…後悔してしまう…でも!!
本当は!私は!!私は!!!私は!!!!
ロイ!!やっぱり!!
私はまだあなたと一緒に!!!
扉が爆破され 私の体は衝撃により宙に浮かぶ
様々な衝撃が私を襲い 私は意識を手放した
『ターゲット確保、これより帰還する。』
どうも!ブルアカ知識を朧げなくらいしか知らない憑依転生者のアイオロスです!
俺は今…
『ヒャッハァァァ!!奪え!!壊せ!!』
『連邦生徒会め!!私達の恨みを知れぇ!!!』
『連邦生徒会に滅びあれぇぇぇ!!!』
戦場の真っ只中にいます。
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ブラックマーケット
配送センターブラックキャット
ここはブラックマーケットの物流を支える
配送センター、俺は最後の仕事をする為にここに来ていた。
『そうか…この仕事を最後に辞めてしまうのか、君は特に良く働いてくれるからずっと居て欲しかったんだがね。』
『すいませんセンター長、自分はこのキヴォトスを見て回りたいんです。』
今俺の目の前には椅子に座って眼鏡を掛けた猫の獣人であるセンター長がいた。彼はとても残念そうな顔をしながら眉間を揉んだ。
『そうか…寂しくなるが、これも君が決めた事だ、私は君の新たな門出を祝福するよ、おめでとう。』
『ありがとうございます!それで、最後の配達は何処に行けば良いでしょうか?』
『それなんだが、アイオロス君はD.U地区に行った事はあるかい?』
『いえ?と言うかブラックマーケットから出た事も無いですし、そもそもこの配送センターブラックマーケット以外にも配送してるんですか!?』
『声を大きくして言えないが、自治区で手に入りにくい物を配送するサービスを行っていてね…もちろん騒がれるのが面倒だから違法な物は運ぶのを禁止しているし、ブラックマーケットの業者だとバレないように細工はしてある、今回はこちらの商品をD.U地区のお得意様に届けて欲しい。』
そう言ってセンター長はタブレットを取り出し俺に見せてきた。
そこには両目が飛び出し、嘴を全開にして、舌と思われる物をだらしなくぶらぶらさせている、I♡ D.Uと書かれたシャツを着た鳥の様な何かであった。
『・・・えーと、センター長、この謎の鳥?
はいったい…』
『これはな、生徒達の間で流行している『モモフレンズ』というキャラクターのD.U地区記念モデルでね、生産工場の不祥事で出回る事が無かった初期デザインのレア物なんだよ。今回はこれを運んで貰いたい。』
『りょ…了解しました。』
『あと、君も知っていると思うが連邦生徒会長失踪の噂のせいでD.U地区はピリピリしていてね、まぁ何の問題も起きないだろうが気をつけて行ってきてくれ。』
『はい!それでは行ってきます!』
アイオロスはセンター長の部屋から出て行った。
『・・・何も起きないといいがねぇ…』
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D.U地区 オフィス街
アイオロスは蒸気をフシュフシュと吹きながら、ブラックマーケットよりも技術力が発展している街並みに圧倒されていた。
『いやぁ、外には初めて来たけどこんなに発展しているんだなぁ…』
ブラックマーケットでは見る事が少なかったビル群に圧倒されながらも、アイオロスは目的地へ向かっていた。
(・・・それにしても)
アイオロスが周りを見回すと、アイオロスを見ていたであろう生徒や住人が一斉にそっぽを向いた。
(やっぱり目立つよな、3メートルの蒸気ロボット、そりゃあ怪しいけど運んでいるのただのぬいぐるみなんだよなぁ…はぁ…)
アイオロスが心の中で吐いたため息と連動するように、蒸気がゆっくりと空へ登っていった。そこへアイオロスに近づく1人の人物がいた。
『あのぉ?少しお時間よろしいでしょうか?』
『はい?』
アイオロスが声を掛けられた方へ向くと、白い髪を三つ編みにした少女が立っていた。その手にはゴーゴーヘルメット団の常識勉強会で教えられた。
『ヴァルキューレ警察学校』の紋章が描かれた手帳をこちらに見せてきた。
『本官!生活安全局の仲務キリノと申します!
いくつか質問があるのですが大丈夫でしょうか!』
『えーと、配達予定時間より早めに来たのである
程度は大丈夫です。それで、何の質問でしょうか?』
俺は近くのビルに付けられた巨大モニターの電子時計を見ながら答える。
『はい!氏名と住所、あと要件と行き先を答えていただいても大丈夫でしょうか?』
『大丈夫ですよ、名前はアイオロスで見ての通り今では骨董品の蒸気機関で動くロボットです。住所は…すみません、最近引っ越したばかりなのでまだ今の住所に慣れてなくて、すぐに答えられる様に書いたメモを読んでもいいでしょうか?』
『成程、構いませんよ!』
アイオロスは配達用バックから一枚のメモを取り出す。
(あっぶなぁ・・・センター長の考えたストーリーとメモが無かったら怪しまれてたなぁ・・・)
『えーと、ミレニアム3番地区BMアパート012号室です。』
『ふむふむ、要件と行き先は何処ですか?』
『要件は持っている物の通り配達で、中身はぬいぐるみです…えーと、D.U地区の配達は初めてなので分かりやすくメモを貰ったんですけど…メモでもいまいち分からなかったんですよね、このメモに書いてある住所分かります?』
俺はキリノさんに住所のメモを渡す
『どれどれ?・・・あぁここですか!この場所の近くに美味しいチュロス屋さんがあってよく覚えています!』
『そ、そうなんですね、それじゃあ道順を聞いてもいいですか?』
『了解しました!まずは…』
キリノさんに道順を聞き、無事にお得意様のいるオフィスまで何事も無く到着した。
『こんにちは!お荷物をお持ちしました!』
『おぉ!来た来た!待っていたよ!』
オフィスで待っていたのは恰幅のいいロボットで、自分の事をモモフレンズ大好きの会の会長だと名乗った
『受け取りサインをお願いします。』
『うむ…書けたぞ、おぉ!これが!長い間探し求めていたD.U地区限定モデルの初期デザイン!!うん!うん!!間違いない!やっぱりおたくはいい仕事をするよ!センター長に今後ともよろしくと伝えておいてくれ!』
『分かりました!それでは失礼しました!』
オフィスを出てさぁ帰ろうかと一歩歩き出したその時
『いい的発見!!撃てぇ!!!』
そんな言葉が聞こえたと同時に俺の頭にとてつもない衝撃が襲い、俺の体は錐揉み回転しながらビルの壁を突き破る。
『ハッ!そこで歩いてるのが悪いんだよ!!恨むなら連邦生徒会を恨むんだな!!全速前進!!』
何が起こったのか確認する為相手からバレないように瓦礫から頭をあげると、無数のスケバンが街を破壊している所であった。その先頭には俺を吹き飛ばしたであろう戦車がキュラキュラとキャタピラを響かせながらスケバンを先導していた。
(え?外だとこんな堂々と破壊活動やるもんなの?ここはヘルメットの皆んなから聞いたゲヘナだったっけ?)
(・・・見つかって騒がれるのもあれだし、ここでじっとしてるか。)
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D.U地区 オフィス街
(全然破壊活動やめて去る気配がないなぁ・・・もういっそ強行突破して逃げるか…)
そんな事を考えていると破壊活動をしていたスケバン達が破壊活動を辞めて誰かと戦闘を始めた。
(なんだ?警察が来たのか?)
戦闘が特に激しい場所をカメラでズームして見るとそこには、
特徴的な少女達がスケバンを蹴散らしている光景が見えた。
(ヴァルキューレぽくないな?服装も統一感がないしその場で部隊組みましたって感じな気が・・・ん?)
その時アイオロスの目にこの世界では見ない…いや、絶対に見ない人物が飛び込んできた。
それはこの獣人やロボット、そして美少女ばかりが闊歩する世界では見る事がない、
(・・・は?男?え?この世界で初めて見た…いたの?・・・あっ)
その時アイオロスの脳内に前世の記憶が駆け巡った。
それは隣の席の吉田の話を珍しく聞いていた時である。
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『今日こそお前にブルアカを布教してやるぜ!!』
『いきなり何?どしたの、話し聞こか?』
『おうおう是非とも聞いてくれ友よ!まずブルアカの人間の特徴はこの前話したな!今回は主人公についてだ!』
『なに?主人公も銃で撃たれても大丈夫なの?』
『いや、主人公はヘイローが無い普通の人で、しかも主人公が死ぬとこの世界のバットエンドが確定する!!』
『ナ、ナンダッテェー!』
『それなのに主人公は危ない橋を渡りまくるから見てるこっちもひやひやするんだよ…』
『へぇ・・・男?女?』
『男であろうと女であろうとドン引きする事をする人。』
『つまり決まっていないのね。』
『ただ確かな事は・・・
主人公はかっこいい変態。』
『なんだよそれ。』
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『あれがかっこいい変態かぁ・・・』
そうしみじみ前世を思い出しながら考えていると、インカムを着けた男の後ろのビルの窓から、ボロボロのスケバンが主人公らしき男を狙っている所を見つけた。スケバンと戦っていた少女達は気づいていない。
『まずい!!』
俺は吉田の言葉を思い出しながら瓦礫から飛び出てタイラントを構えた
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side先生
リンちゃんから、消息不明の連邦生徒会長が設立した謎多き部活、『シャーレ』の奪還をお願いされた私達は、スケバン達を無力化しながらシャーレを目指していた。
『一帯のスケバンの無力化完了しました。』
『ふぅ、終わりましたけどシャーレまではあとどれ程でしょうか?』
【リンちゃんの情報だとあと少しらしいから、
皆んな頑張ろう!】
『『『『了解!』』』』
その時である、目の前の一階に大穴が空いたビルから巨大な人影が飛び出して来た。その飛び出した人影は。
大きさは3メートル程、その巨大な体からは白い蒸気が吹き出し、顔は鉄帽とガスマスクが組み合わさった様な姿で、腕には大砲の様に大きなリボルバーが握られており、そしてその大砲の様なリボルバーはこちらに向けられていた。
『待ち伏せ!?』
『先生!!逃げてください!!』
私が状況を飲み込む事が出来ずフリーズしていると
『死にたくなければ今すぐ伏せろ!!』
その大声により私は気を取り戻しその場に伏せた。
伏せたと同時に巨大な人型が握っていたリボルバーが、轟音と共に弾を撃ち出し、伏せている為見えないが、おそらく後ろにあったビルに着弾する音が聞こえた。
『先生!!大丈夫ですか!?』
ここまで指揮してきた生徒の1人である『チナツ』が私を心配して戻って来てくれた。
【う、うんびっくりしたけど大丈夫だよ。】
『良かったです…』
私とチナツが安心していると前方では『ユウカ』達が人型…いや、巨大なロボットに銃を突き付けていた。
『銃を捨てて投降しなさい!!』
『蒸気機関のオートマタ!?
一体いつの時代よ!?』
『ユウカ、例え旧型でも甘く見ない方がいいです。』
『分かった!大人しく銃を捨てる!』
そう言うと巨大なロボットは片手を挙げながら、もう片方の手でゆっくりと銃を置き3歩下がり両手を挙げた。
『貴方は何者ですか!!』
『俺の名前はアイオロス、見ての通り今では骨董品の蒸気機関で動くロボットだ、ここには配達の仕事で来ていたが、スケバンの攻撃を受けて後ろのビルに吹き飛ばされ、瓦礫に紛れてスケバンが去るのを待っていた。』
『じゃあ何故そこの男性に銃を向けたのですか!!』
『申し訳なかったが緊急事態だった!!そこの男性の2棟後ろのビルからスケバンが男性に向かって狙撃しようとしていた為やむなく発砲した!!怪我をしてしまったらすみません!!』
【えっ?】
『!?先生!少し外しますね!!』
そうチナツが言うと巨大なロボット『アイオロス』が撃って大穴を空けたビルの中に入り、やがて1人のボロボロのスケバンを拘束して出てきた。
『彼の言っている事は本当です!!』
『それでも怪しい事に変わりありません!!』
『マッチポンプかもしれません!!』
『怪しい事は認めますけど本当なんです!!』
私は言い争うユウカ達の所へ足を進めた
『先生!こっちへ来てはいけません!』
【ごめん、ちょっとアイオロス君に言いたい事があって。】
『あっ、はいなんでしょうか?』
私はアイオロス君に向かって頭を下げた
【ありがとう!アイオロス君!】
『『『『先生!?』』』』
『君が銃を撃っていなかったら私は死んでいたかもしれない、本当にありがとう!!】
『ど、どういたしまして。』
アイオロス君はびっくりしながらも私の感謝を受け取った
【それで提案があるんだけど・・・
一緒に来てシャーレ奪還を協力してくれないかな?】
次回予告
先生の提案により
シャーレの奪還に参加する事になったアイオロス
果たしてアイオロスはユウカ達の不信感を拭えるか
次回『連邦捜査部シャーレ』
蒸気を絶やすな