蒸気機関ト青イ空   作:パラパラガス

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音声記録『未来の私へ』

やぁ未来の私!

今この音声記録が再生されているという事は、遂に完成したんだね!!

やったじゃん私!!流石だね!!よっ!努力型天才!!

再生機の前にいるロイもヤッホー!!

…あっー・・・何か言おうと思ったけどやっぱり完成した君を見ていないから何にも言えないや・・・早くロイとお喋りしたい…

[数秒の沈黙]

気を取り直して未来の私!!最初にロイと行く場所覚えている?

そう!!『アビドス砂漠』!!砂漠でロイと星を見るの!!

親友と一緒に星を見る!!『夢』があるねぇ!!『浪漫』があるねぇ!!最高だねぇ!!そしてロイと星座を探して夜を明かす!!

くぅ!!早くその未来に辿り着けるように!!

頑張れ!!今の私!!

[再生終了]



連邦捜査部シャーレ

 

俺はアイオロス、今…

 

『本当に何を考えているんですか先生!!こんな怪しい旧型オートマタを同行させるなんて!!』

 

『私もユウカの意見に賛成です。今はシャーレ奪還という重要任務の最中、先生がいるからこそ調和を保っていた急拵えの部隊に、何処の者かも分からないオートマタを加えては不確定要素により調和が乱れます。』

 

『私も反対です。敵か味方かも分からない人物を好きで連れて行く人は絶対にいません。』

 

『私も賛同しかねます。風紀委員として、こちらに銃を向ける可能性のある人物を同じ部隊に入れるのはリスクどころの話ではありません。』

 

めっちゃ疎ましく思われています・・・

 

【確かに、皆んながアイオロス君を怪しく思うのは分かるよ、でもこちらに危害を加えるならわざわざ頭を下げろなんて忠告するかな?それに、

『スズミ』の武装解除の命令にも従って素直に自己紹介と動機も話してくれた。私に対して怪我をしてないかどうかの心配もしてくれた。最初から危害を加えるなら瓦礫の中から出てきた瞬間に私を撃っていれば済むだけの話しだからね、だから私はアイオロス君がわざわざこの部隊に近づく為にスケバンの子を撃ったなんて思っていない、アイオロス君は優しい子だと私は思うよ。】

 

『『『『・・・・』』』』

 

(くっ、空気が!空気がよろしくない!!

 

 

助けてリーダー!!)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブラックマーケット 武器屋(仮)

 

 

『ぶえっくしょん!!』

 

『どうした?風邪か?』

 

『うぅ、そうかも。』

 

『全く、アイオロスが心配するだろうから気をつけろよ。』

 

『うん、せっかくの旅立ちを台無しにしたくないからね。ところで店長、例のあれ出来てる?』

 

『もう出来てるぞ、あとはベルトを付ければ完成だ。』

 

『そっちは私達でやるよ、

…アニキ喜んでくれるかなぁ。』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

D.U地区 オフィス街

 

『・・・はぁ、で?アイオロスでしたっけ?貴方は何が出来るの?』

 

『えっ?』

 

『だから!貴方は何が出来るの!言っておくけど信用した訳じゃないから!今はシャーレ奪還の為に貴方を合理的に利用する!』

 

『ユウカ!?正気ですか!?』

 

ユウカの答えに黒い制服を着た背の高い少女『ハスミ』が叫ぶ

 

『どっちにしろ不確定要素をそのままには出来ない!それなら部隊の一員として管理すれば監視と行動の幅が広がって合理的だと判断しただけよ!』

 

『ですが!』

 

『…分かったわ、少しでも怪しい動きを見せたら私がオートマタの目を潰す。』

 

スズミと呼ばれた少女がスタングレネードを確認しながら答える。

 

『スズミさん!貴方まで!』

 

『…風紀委員会として、本当は猛反発したいですが、ユウカさんの意見にも一理あります。』

 

『っ…あなたまで・・・!!』

 

拳を強く握りしめ、歯を噛み締めながら苦い顔をしていたハスミが、空気を入れすぎた風船のように感情を爆発させた。

 

『あぁもう!!分かりましたよ!!貴方を部隊の一員に加えます!!しかし貴方は常に先頭を歩き!こちらに振り向く事を許可しません!!振り向けば私が貴方の頭を撃ち抜きます!!』

 

『・・・分かり、ました。』

 

怒りながら答えたハスミに対して、アイオロスは縮こまりながら了承した。

 

【ありがとう皆んな…それと、ごめん。』

 

青々とした空と比べて、今ここの空気は鉛のように重かった。

 

『・・・えーと、そのぉ、自分ができる事ですけど・・・体がとても頑丈で銃弾を通さないのと…蒸気の圧力を利用して強力なパンチや大ジャンプが出来ます…あっはは…』

 

なんとか場を和ませようとするとハスミの鋭い目線が飛んでくる

 

『・・・はい、皆さんの盾になります…』

 

【…ごめんねアイオロス君、私が軽率だったばかりに…】

 

そんな謝罪を背中で受けながら俺は心の中で先生に対して申し訳ないと謝罪し、重い空気のまま先生が指示した方向へ歩き始めた。俺のやった事は間違いだったのだろうか、そんな疑問が頭をよぎるが、人の命を助けた事に間違いも何もないとなんとか自分を納得させた。

 

 

 

 

【リンちゃん?ちょっとお願い事があるんだ。】

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

D.U地区 シャーレ付近

 

道すがらスケバンを無力化させながら、奪還部隊はシャーレまであと少しの距離まで迫っていた。その時、先生が後ろにいる為分からないが、通信と思われる少女の声が聞こえてきた。

 

『先生、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が分かりました。』

 

『名前はワカモ、百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。』

 

『主に破壊活動などの前科が幾つもある危険な人物の為、気を付けてください。』

 

通信相手の声が聞こえなくなり、先生の指示により俺達は再び前進した。

 

 

 

 

【・・・ありがとうリンちゃん。』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

複数人のスケバンが襲い掛かり、アイオロスの背後にいる少女達もアイオロスを遮蔽物として利用しながら順調に前進していたその時、ライフルを構えていたハスミが声をあげた。

 

『!!騒動の中心人物を発見!!』

 

その言葉と同時に目の前に狐の耳と尻尾、改造した和服を着てライフルを持った少女、『ワカモ』が現れた。

 

『フフ、連邦生徒会の子犬達が現れ・・・あら?』

 

ふと、騒動の中心人物であるワカモが一瞬言葉が途切れ、疑問の声をあげるがユウカ達の銃撃により反撃を開始した。

 

【アイオロス君!少しずつ前進して!】

 

『分かりました!』

 

アイオロスは先生の指示に従いワカモに少しずつ近づいた。その間にもワカモはアイオロスに対して銃撃したが、どれも効果が無かった。

 

『・・・成程…私はここまで、後は任せます。』

 

そう言うとワカモは踵を返して逃走を始めた。

 

『ちょっと逃げられてるじゃない!!早く追うわよ!!』

 

『落ち着いてくださいユウカ!我々の目的はシャーレの奪還!今はワカモの捕縛よりシャーレに向かうべきです!』

 

『・・・ごめんなさい、少し気が立っていたわ、あいつを追うのは後回しにしましょう。』

 

『賛成です。我々をおびき寄せる罠だったのかもしれませんし。』

 

【うん、ワカモも気になるけど、今は進もう!】

 

『『『『『了解!』』』』』

 

そう先生から指示を受けて進み始めた。しばらく進むと、高くそびえ立つビルの近くまでやって来た。おそらくここが目的地であるシャーレなのであろう。

 

『よし、建物の入り口にまで到着!』

 

生徒の1人であるユウカが到着を報告したその時である、低いエンジン音とキュラキュラと鉄が擦り合う音がビルの傍から聞こえてきた。その音はどんどんこちらへと近づいてくる。

 

『うん?この音は・・・まさか!』

 

『皆さん気をつけてください!巡航戦車です!』

 

やがてビルの前に積まれたバリケードを破壊しながら戦車が姿を現した。その戦車を見たハスミが驚きの声をあげる。

 

『あれは!クルセイダー1型!私の学園の制式戦車と同じ型です!』

 

『おそらく不正に流通されたのね、PMCが流した戦車を不良達が買い入れた可能性が高いわ・・・つまりはガラクタって事だから破壊しても何の問題もなし!皆んな行くわよ!』

 

ユウカの号令を合図に少女達は攻撃を始め、戦車も反撃を始めた。その時戦車の中から大声が聞こえてきた。

 

『あぁ?おいおい!誰かと思ったらさっき吹っ飛ばしたデカブツじゃないか!また吹き飛ばしてやるよぉ!!』

 

戦車の砲身がアイオロスの頭に向き、けたたましい音と同時にアイオロスに着弾した。砲弾が爆発した事により煙がアイオロスを包み姿が見えなくなる。

 

【アイオロス君!!】

 

『ハッ!!デカブツのヘッドショット一丁あがりぃ!!かなり懐が寒くなったが特別製の榴弾の味はどうだぁ?って気絶した奴が言うわけ…』

 

『衝撃が凄いな。』

 

そんな気の抜ける感想が煙の中から聞こえてくる。煙が晴れると地面に倒れるどころか直立不動のまま戦車を見つめるアイオロスがいた。

 

『はっ?・・・うっ、嘘だ!!こいつはあの風紀委員長を気絶させられるとうたっていた榴弾だぞ!!なんであんなオンボロオートマタが耐えられているんだよ!!ふざけるなぁ!!』

 

『あー、すまないけど俺の体は結構頑丈なんだ・・・』

 

そうアイオロスが答えると同時にアイオロスの影からハスミが飛び出し、ライフルを撃った。撃った弾はまるで吸い込まれるように戦車の砲身に飛び込み、砲弾を貫いたのか戦車は爆発炎上した。

 

『・・・戦車の無力化完了。』

 

ハスミは爆発してうんともすんとも言わなくなった戦車の警戒を解いて報告した。

 

『周りに敵対生徒も確認出来ません。』

 

『つまりシャーレの奪還は成功ね!』

 

シャーレ奪還に喜ぶ少女達に一つの通信が入る。アイオロスはその通信の声が先程ワカモの情報を喋った人の声だと気づいた。

 

『お疲れ様でした先生、私ももうすぐ到着予定です。建物の地下で合流しましょう・・・それとアイオロスさん、もうこちらを向いてもらって大丈夫ですよ。』

 

『えっ?あっはい。』

 

俺は通信の声の通りに後ろを振り向く、通信相手の少女のお陰か誰も銃を突きつけず、スズミさんのスタングレネードやハスミさんのヘッドショットも喰らわなかった。その先に居たのは白い制服に身を包み、尖った耳と眼鏡を掛けた吊り目でロングヘアーの少女のホログラムであった。

 

『行政官!!まだこのオートマタが騒動と関係しているかの疑いが!』

 

『詳しい事は後で話します。それまでは建物の外で待機していてください。それでは先生、先程言った地下で会いましょう。』

 

ホログラム消え、先生が俺たちに向かって声を掛けながらシャーレの中に入って行った。

 

【それじゃあ行ってきます。】

 

それからしばらくして先程のホログラムの少女がヘリで到着し、奪還部隊と自分に軽く会釈するとシャーレの中に入って行った。・・・先程からバレないように奪還部隊がチラチラとこちらを見ていて少し…いや、かなり気まずい。

 

(・・・き、気まずい!!早く!早く帰ってきてください先生!!)

 

俺は気を紛らわせる為に指の関節を一個一個畳んでは伸ばしてを繰り返し、時間が過ぎ去るのを待った。やがて建物から何かが起動する音が聞こえたと思うと、奪還部隊の電話が一斉に鳴り出した。それぞれが電話に出て、何かの問題が解決したのかそれぞれ嬉しそうに頬をあげている・・・俺は場違いな雰囲気を感じてしまい指伸ばしをやめ空を見上げる・・・うん!今日もいい天気!俺の心は鉛空!早くこの疑いよ解けてくれ!!ていうかどうやって解こう!?

 

『お待たせしました。』

 

俺がどうやってこの不信感を拭えるかあれこれ考えていたら、先程のホログラムの少女、ハスミさんが言うには行政官の人がシャーレから出てきた。その後ろからさっきまで持っていなかったタブレット端末らしき物を持った先生が遅れてやって来た。

 

【お、お待たせ…】

 

『先生、ごゆっくりと言った筈ですが…』

 

【ごめんリンちゃん、後で休むからまずはアイオロス君の不信感を解こう!】

 

その言葉により、先生や行政官の『リンちゃん』と呼ばれた少女に向けられていた目線が一気に俺の方を向いた・・・やっぱりハスミさんの目つきが鋭い…

 

『そうですね、このまま放っておけば代表者達が疑心暗鬼でギスギスしたまま彼と別れる事になってしまいますからね。』

 

『代行!それでどうなんですか!そこのオートマタは関与しているのか!していないのか!』

 

『そう怒鳴らないでください、まずは落ち着いてこちらをご覧ください。』

 

そう言うとリンさんはポケットから取り出したスマホの様な機械を操作すると、空中に映像が流れ始めた。それは何処かのビルの監視カメラだろうか、オフィス街の光景が映っていた。

 

『あれ?ここの光景何処かで・・・』

 

そうスズミさんが呟くと、とあるビルの一階から見覚えのある人影が屈みながら自動ドアを潜り外に出てきた。それは配達を終えた俺だった。

 

『これは!』

 

『この後です。』

 

そうリンさんが言うと俺が一歩歩こうとした瞬間に頭に砲弾が直撃してビルの一階に吹き飛ばされる様子が映っていた。その後戦車と無数のスケバン達が映ったと同時に破壊されたのかカメラの映像が途切れる。

 

『ヴァルキューレ警察学校の方にこのビルを利用している人物に話を聞いた所、彼は本当にただの配達員である事が分かりました。さらにとあるヴァルキューレ生の証言で彼がスケバン達が集まったであろう時刻に職質を受けていた事が発覚しました。』

 

『それはいいのです行政官。問題は先生に銃を向けた時の事です。』

 

『それについても説明できます。アイオロスさんがそのリボルバーで気絶させた不良を目が覚めた後すぐに取り調べ室に連行、担当の人物が尋問を行ったところ、自分が先生を狙撃しようとしていた事を認めました。』

 

【つまり!】

 

『えぇ、彼はそこのヒm・・・各学校の代表者からありもしない罪と疑心に晒された可哀想な一般市民という事です。』

 

『『『『うっ…』』』』

 

【ちょっとリンちゃん、それは言い過ぎだよ。】

 

『先生、事実は事実です。』

 

『よ、良かったぁ…このまま冷たい視線に貫かれたままだと思ってた…』

 

俺の肩の力が抜けると体の節々から弱々しく蒸気が吹き出す。

 

【ごめんねアイオロス君、どうしても君の無実を訴える為には証拠が必要で遅くなってしまって…でもユウカ達の事も分かって欲しいんだ。彼女達は学校の代表という責任と、シャーレ奪還という作戦を任された使命感でどうしても疑うしかなかったんだ。】

 

先生が自分への謝罪と、シャーレ奪還部隊への理解を求める。それに続くように各学校の代表者も謝罪する。

 

『その…ごめんなさい、あなたの事を疑ってしまって。』

 

『すみませんアイオロスさん。あなたの事を一番疑ってしまい…不快な思いをさせてしまって…』

 

『自警団として、平和を守る者として取り返しがつかない事をしてしまい、大変申し訳ありません…』

 

『風紀委員として、恥ずべき行いをしてしまい大変失礼致しました…』

 

『いえ、元はと言えば自分が疑われる様な行動をしてしまったのが原因ですから…顔を上げてください。』

 

『しかし!先生の命を救っていただいたのに私達は貴方に疑いの目を!』

 

【皆んな落ち着いて!そう何回も謝罪をしちゃうとアイオロス君も困っちゃうよ!】

 

先生の言葉を聞き皆がハッと正気を取り戻し先生に目を向けた。

 

【確かに謝る事も大切だよ、でもそれは度が過ぎればただの機械的な言葉になってしまう。心のこもった謝罪は一回で相手に伝わるよ、大丈夫!】

 

『自分も大丈夫ですよ、もしもそれでもまだ罪悪感があるのなら・・・

 

皆の視線がアイオロスに向き、アイオロスは言葉を紡ぐ。

 

自分はこれからキヴォトスを巡る旅に出る予定なので、担当自治区で自分を見掛けたら案内してくれると助かります。』

 

俺はそう言って、気にしてないよの意味も込めて親指を立てる。

 

彼女達はしばらく悩み、やがて笑顔でそれぞれが了承の言葉を言い首を縦に振った。

 

『さて、無事に疑いも晴れたので私はこれにて。』

 

『ありがとうございましたリンさん!』

 

『・・・どういたしまして。』

 

ヘリに乗って去る瞬間、感謝を伝えられたリンさんは一瞬であるが、笑顔だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

side先生

 

『お疲れ様でした先生。』

 

『ワカモの事ですがあの後自治区に逃げたという報告を聞きました…ですがすぐに捕まるでしょう。私達が出来るのはここまで、あとは担当者に任せます。』

 

『先生の活躍はすぐにでもキヴォトス全域に広がると思います。もしかするとSNSのトレンドに載るかもしれません!』

 

【そうなるとちょっと恥ずかしいね、さてと!まずは皆んなお疲れ様!アイオロス君もお疲れ!】

 

『お疲れ様でした…いやぁ、まさか最後の仕事がこんな大事になっちゃうなんて、まぁこれも貴重な経験なんですかね?』

 

アイオロス君はそう言うと、ガスマスクの様な顔から蒸気を少し吐きながら私の何倍も大きな手で頭を掻いた。

少し間をあけてハスミが話しだす。

 

『私達はすぐにトリニティ総合学園に帰らなければいけないのでこれで、先生にアイオロスさん、ぜひトリニティに来てください、それでは。』

 

そう言うとハスミとスズミは一礼して歩いて去って行った。

それに続いてチナツも話しだす。

 

『私も、風紀委員長に今日の事を報告する為に戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ先生もアイオロスさんも尋ねてください。』

 

チナツはそう言うと礼をして去って行った。

次にユウカが話しだす。

 

『ミレニアムサイエンススクールに来ていただければ、時間があれば案内します。先生にアイオロスさん、ではまた!』

 

ユウカはそう言うと手を振って去って行く。

最後にアイオロス君が話しだす。

 

『まぁ、自分はこれからキヴォトスを旅するのでこれが最後の会話になるかも知れませんが、旅先で会った時に何か困っていたらできる限り力になります。それじゃあ今日はありがとうございました!』

 

そうアイオロス君が言うとフシュフシュと蒸気を吹き出しながら去って行った。

 

【うーん…!はぁ、さてと!リンちゃんに言われた通りゆっくりしますか!】

 

私は体を伸ばしながらシャーレの部室へと足を進めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

????? ワカモのアジト

 

 

 

『はぁ・・・あなた様♡』

 

私はアジトの中であの殿方の事を思い出す。すらりとした顔、細いながらしっかりした体、災厄の狐である私を見ても動じず向けてくるその笑顔・・・はぁ♡

 

(なんて素敵な人なんでしょう・・・♡)

 

そうワカモが悶えていると、床に転がる()()()()()()が視界に入り体の動きをピタリと止める。

 

(・・・やはり同じですね、色も、大きさも、あのオートマタと同じ、違うのは動かないのと…)

 

ワカモがおもむろに銃を構えると、そのガラクタを撃つ、ガラクタは簡単に砕けて辺りに転がる。

 

(とても脆い事・・・先生の指揮で動いていたあのオートマタとは大違い。一体なぜあのオートマタはあんなにも頑丈なのでしょう?)

 

ワカモは近くにあった紙、『アイオロス製作記録』を拾うとそこに書いてある名前を読む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『三船イルカ、一体何者なのでしょうか?』

 

 

 




次回予告

無事にとはいかなかったが最後の仕事を終えたアイオロス
仕事仲間から惜しまれつつも旅の支度を始める
一方その頃
アイオロスの知らないところで動き出す人々がいた

次回『エピローグ 思いを知らず風は吹く』

蒸気を絶やすな
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