YouTube見てたらたまたまXXハンターが流れてきたので、なんとなく頭にストーリーが思い浮かんだので執筆。
不定期投稿になると思いますが、お付き合い下さると嬉しいです。
『ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』
斬竜ディノバルド改め、燼滅刃ディノバルドは溶岩島で吠えた。
眼前に倒れ伏す虹色に輝くグルニャン姿のハンターに涎を垂らす。倒れ伏したそのハンターはひどく疲弊しており、立ち上がる事さえも困難であった。
グルニャンハンターのすぐ後ろ──ディノバルドと相対し、愛用するガンランスを構えてモンスターを睨みつける一人のハンターがいた。
真紅の長髪に悪魔を連想させる黒い衣装を身に纏う彼女は、ガンランスを構えるだけで特に何かしようとはしなかった。
倒れ伏すグルニャンを見捨てるように、彼女は大振りの盾を構えた姿勢から一歩ずつ後退していった。
彼女にはグルニャン姿のハンターを救う気はない。
何故なら、彼女こそが彼をボコボコに叩き潰した張本人なのだから。
目の前のハンターが自らと争う気がない事を感じ取ったディノバルドは倒れ伏すハンターのみに集中した。
「う、うぅ…!!や、やめろ…!!僕を食べようとするな!!どっか行けよクソ!!」
彼を餌だと認識したディノバルドは彼を口で持ち上げる。
いよいよ命の危険を感じ取ったグルニャンハンターは死に物狂いで静観を決める真紅のハンターに手を伸ばした。
「おい助けろ!!頼むよ!!聞こえてんのかよ
未だ己の立場を理解していないのか、グルニャンハンターは助けられる側の態度とは思えない命令口調でルシファーと呼ばれた真紅のハンターに怒声を飛ばした。
当然ルシファーがその言葉に従うはずもなく、必死の命乞いにも耳を貸さずにただディノバルドに飲み込まれていく彼の姿を睨んでいた。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ嫌ダァァァァ!!!!!!」
彼の虚しい命乞いは空に消えていく。
そしてやがて…ディノバルドは彼を飲み込んでしまった。
飲み込まれてゆく喉の動きを確認し、完全に彼が腹の中へと消えたことを見届けたルシファーは“戻り玉“を足元へ投げ、仕事を終えたとばかりに、静かに息を吐いた。
───やがて、目を開いた彼女の目の前には手を振る二人のハンターがいたのだが、ここから先はまたしばらく先の話。
〜〜〜
溶岩島にただ一人取り残されたディノバルドはそのわずか数分後、苦しそうにえずき出した。執拗に唾を吐き出し、苦悶の表情を浮かべてディノバルドは嗚咽の叫びを上げる。そして、飲み込んだはずのハンターを吐き出した。
傷だらけ、涎まみれの汚れた格好で勢いよく地面に転がった彼は酸素を求めてひどく咳き込み、やがてゆっくりと目を開いた。
「ゲホッ!ガッハッ!!ゴホッ!!うわ臭え!!」
彼は生きていたのだ。
彼もまたガンランスを愛用するハンターだった。
悪運の強い事に、彼の武器と盾がディノバルドの胃袋を傷つけ、それが吐き気を催す形になったのだ。
いくらディノバルドといえども、ガンランスという巨大な盾と武器を同時に飲み込んでは身体が先に受け付けてくれなかったのだろう。
意識を取り戻したグルニャンハンターは目の前で苦しそうにえずくディノバルドに気付くと、慌ててアイテムポーチに入っていた戻り玉を足元へ投げた。
奇跡的に生還した彼は溶岩島上部に設置されたベースキャンプと呼ばれる仮拠点に移動した。
しかし、そこに人の気配はなかった。
「ちょぉっ!!?なんで誰もいねーの!!?マジ使えないなー!!」
彼は一人怒声を飛ばすが、ここに誰もいないのも至極当然だ。
彼の今いる溶岩島は危険度の非常に高い地域。自分をボコボコにした凄腕ハンター達といえども、この過酷な環境からはすぐにでも抜け出したいはず。
そして、全てのハンターが帰還したと判断したギルドがここに貴重な物資を置きっぱなしにするはずもない。
ギルドからの救援物資は全て回収されてここにはない。
帰る術を失った彼は天に向かって吠える事しか出来なかった。
「あぁクッソ!!なんなんだよ!!もう!!身体中痛いし熱いしでもう最悪だよ!!ホントにもぉぉぉ!!!」
彼の身体は既に限界を迎えていた。鎧の下で軋む身体と疲れ切った脆い精神がそれを証明している。
そしてやがて彼は再び力尽き、そのまま眠るように倒れてしまっていた。
彼の虚しい咆哮は誰の耳にも入る事はないと思われた。
しかし、いるところにはいるものだ。
わざわざ溶岩島などという危険極まりない土地に自らやってくるバカな男というものは。
〜〜〜
「うん?おい!なんか声がしなかったか!?」
「あん?溶岩島に生き物なんかいやしねーよ!!このへぐなちゃごが!!!」
「いやいや生き物どころか、ワシら以外の人の声が!!」
「んなにぃ!!?」
彼等は土竜族と呼ばれる炭鉱と加工技術の発達した種族の職人達だった。
レアな鉱石を求めるあまり何を思ったか、こんな危険極まりない土地へも足を踏み入れる大馬鹿者達である。
「ッてウオオオ!!?マジでおるじゃねぇか!!?」
彼は溶岩島の熱さと真紅の髪のハンター及びディノバルドによって傷付けられた肉体の痛みに力尽き、静かに眠ってしまっていた。
ベースキャンプに一人倒れ込むハンターを発見した土竜族たちはひどく驚いた。
「な、なんだコイツは!?グ、グルニャン…なのか?なんたってガンランス背負ってんだ? つーかコイツなんか臭うぞ!!」
「グオオオオ!!?ワシの足の裏より強烈じゃ!!」
「なんたってこんな所に!?ここは立ち入り禁止のハズじゃぞ!!」
自分達だって溶岩島が立ち入り禁止区域だと分かっていながら無断侵入しているのだから人の事は言えないのだが。
とはいえ、ここで見捨てるほど彼等は薄情ではない。
今回採取しにきた鉱石の事は諦めた土竜族達は、あまりの悪臭にもげてしまいそうな鼻を必死に抑え込みながら彼を鉱石を入れる予定だった袋へ詰め込むと、自分達の集落であるナグリ村へと運び込んだ。
〜〜〜
ナグリ村へと運び込まれたグルニャンハンターは金床の鉄を叩く音で目を覚ました。
病室のベッドの上。ベッドの側には瑞々しい果物がいくつか置かれて少し分厚い本まで並べられていた。
窓に映る外の景色は明るい赤色をしていた。
おそらくだが、あれは溶岩の輝きではないだろうか?
「え?ここどこだよ…!?僕の武器は!?防具もないし!!!秘薬は!?」
自分の状況を理解できていない彼はすぐに口うるさく喚いた。
そしてベッドを起き上がろうとして…痛みに苦しむ唸り声を上げると、再びベッドへと倒れ込んだ。
「痛テテ…!!おい誰か粉塵飲ん………って、誰もいないのか…」
彼お得意の粉塵コール。
生命の粉塵と呼ばれる回復薬は、口にすると周囲のハンター達も同時に回復をしてくれるという優れ物だ。
貴重な薬品の為、中々用意されない一品なのだが、彼はそれを当然のようにクエストを共にする他ハンター達に強要する。
そのくせ、自分は一口たりとも誰かの為に粉塵を使わない。
彼がどれだけひどいハンターだったのか、よく分かるのではないだろうか?
痛む部分を反射的に押さえた彼は、身体中に包帯が巻かれていてキチンと手当てを施されている事に気がついた。
誰かは分からないが、自分を手当てしてくれた人物がいることを悟った彼は、『一言くらい感謝しといてやるか』と助けられた立場のくせに妙に上から目線に心の中で思った。
すると、部屋の戸が開かれる。
「よかった。気が付いたんだね」
それは一人の女の子だった。
歳はグルニャンハンターと変わらない位だろうか?幼さの残る中性的な顔立ちだ。
服装はナルガX装備一式。黒い装備に白い肌がよく似合う。服装から察するに、彼女もまたハンターなんだろう。
優しそうに微笑みを浮かべて近付く彼女に、グルニャンハンターは舐め回すようなイヤらしい視線をぶつけた。
何故ならば、彼女は可愛かったのだ。
街行く人々が思わず振り返ってしまうほどに。
まだ人を見る目が培われておらず、見た目だけで判断するグルニャンハンターが彼女の事を一目見るなり気に入ってしまったのも、無理はないと言える。
「あんた誰?」
「初めまして、私は
「俺は、
「アッハハ!!確かにG級は凄いけどさ!!私もそうだから大した自慢になんないよ!」
聞いてもいないのに自分からハンターの階級を話し始めたゆうきを軽やかに受け流したレオは、ベッドの横の椅子に腰掛けてりんごを一つ手に取った。
「医者の話だと、りんご位なら食べられるらしいから安心して。食べながらでいいから、どうして溶岩島なんて危険地帯にいたのかを聞かせて?」
これが、XXハンターと呼ばれた地雷ハンター ゆうきと、やがて彼を更生させる一人の女性ハンター レオの出会いであった。