とあるロドスの日記帳   作:セニョール・大介

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 たまにはヤンデレが薄くたって良いじゃない!

 ついでにケルシー先生の焦った姿が書きたかったんです!


番外編! ロドス動乱

 

 ロドス所属オペレーターのヴィネは決意した。必ずやこの光が反射されないくらいブラックな職場環境から逃げ出さねばならないと。ヴィネには普通の職場環境がわからぬ。ヴィネは幼少期から傭兵を、青年期からは国際トランスポーターとロドスのオペレーターを兼任し、まともな休みのない生活を送ってきた。しかし、自身のメンタルには人一倍に敏感であった。

 

 

「失礼します、ドクター」

 

 意を決してロドスの執務室の扉をくぐるヴィネ。扉の向こうには─

 

 

「─え? ヴィネ? ちょっと待って」

 

 取り乱しながらも何やら写真を仕舞うドクターの姿。

 

「取り込み中でしたか?」

「いや、ヴィネならいつでも来てくれていいよ?」

「ありがとうございます」

「で? 何かあったの?」

 

 すぅ、と深呼吸で息を整える。これから行うことはオペレーター『ヴィネ』、いやアレクにとって人生の帰路となる。

 

 胸ポケットから茶色い封筒を取り出し─

 

「ドクターッ! 長い間、大変お世話になりましたッ!」

「─は?」

 

 元気な声とともにドクターに手渡す。

 

 

 ドクターの手元にある茶封筒にはデカデカと辞表届と書かれていた。

 

「えっと? これはヴィネがロドスを辞めるってこと?」

「はい。そのとおりです」

「なんで? ロドスになにか不満があったの? 何? 教えて、直すから」

「いや、不満があるわけでは…」

「じゃあ辞める必要ないじゃん」

 

 確かにロドスの職場環境はブラックだ。しかし、その程度でへこたれる程ヴィネはヤワじゃない。しかし─

 

「有給が全部他の任務とかで潰れてるんですよ」

 

 チェルノボーグにおけるドクター救出作戦をはじめとし、ヴィネはその使い勝手の良さから様々な任務に駆り出される事が多い。有事のため、有給消化中のところを呼び出されることしばしば。代わりの有給が支給されるならともかく…

 

『済まないが来週の任務で君の代わりとなるものが居ない。大変心苦しいが有給はまた今度にしてくれ』

 

『すみませんヴィネさん。我々としても有給を与えたいのですがウェイ長官が久しぶりに会いたいと…』

 

 それさえも潰れてしまう。ロドスの企業としての活動がどれだけ大変かを知る身として深く追求しなかったヴィネも悪いかもしれないが、それでも疲労が鬱積するのは如何ともし難い。

 

「休みが欲しいの? 全然あげるよ? 何ヶ月?」

「ドクター─」

 

 何故か縋り付くようにヴィネを引き止めるドクター。しかし、それを見てもヴィネの決心は揺らがない。いや─

 

「─ねぇ、まとまった休暇をあげる。絶対に呼び出さないし、迷惑もかけないし、なにか要望があれば何でも叶えるよ? ね? だからさ─」

「─ド、ドクター。えっと…そうだ、ドッキリです。いやぁ、ドクターの驚く姿が見れて良かったなぁ!」

 

 ─その筈だった。

 

 

──

 

「…ドッキリ?」

「そうなんですよ」

 

 いや、俺がヘタレなんじゃない! ドクターが不穏過ぎたんだって。バイザー? 越しでも目から光が消えてるのがわかったよ?

 

 言動も普段と違って矢継ぎ早に、こっちのことを一切聞かずに喋りだすんだもん。あんなの耐えられるわけないじゃないか!

 

「へぇ、君はドッキリで私の純粋な心を弄ぶような人間だったんだ」

「…」

 

 まって、苦し紛れの言い訳も俺のことを追い詰めてくるんだけど。身から出た錆って言っても早すぎません?

 

「…」

「ド、ドクター?」

 

 なに? 無言で近づいてくるんだけど、そんなに怒っちゃった─

 

 

「─でも良かった」

「へ?」

「辞めるっていうのが嘘で…本当に良かったよ」

 

 なんかギュって抱きしめられてるんだけど。男同士でそういうのは俺はちょっと…、思ったより華奢だな?

 

「私の驚いた顔が見たいだなんてね。ヴィネが私のことを知ろうとしてくれて嬉しいよ。でも─」

「…」

 

 待って! ドクター、ホールドがきつくなってきましたよ? ちょ、アビサルズにやられたばっかりで体が治ってないんですよこっちは。

 

「私がどれだけ傷ついたかわかるかな?」

「いや、この度は本当に、誠に─」

「─ということで、他のみんなにもドッキリを仕掛けよう!」

「…ほへ?」

「私だけだなんて不公平が過ぎるよ。勿論賛成してくれるよね?」

「ッ、喜んでやらせていただきます」

 

──

 

 そんなこんなでドッキリをすることになったわけだが─

 

「─ドクター、この部屋は?」

「監視カメラの映像を見る場所だけど?」

 

 ドクターの私室の隠し扉?を抜けた先には大量のモニターたち。

 

「あの? 大丈夫なので、ドクター?」

「ん? ヴィネとなら大丈夫だよ」

 

 違う、こんな機密情報の塊みたいな部屋に俺が─

 

「ん? 真ん中のモニターって─」

「─ッ! なにもないよ?」

「いや、でも─」

「故障中だよ?」

「…ハイ」

 

 俺の部屋にしか見えなかったけど…。まあ本題に行こう。

 

「ドッキリって言ってもどうするんですか?」

「簡単だよ。まず執務室の机の上にこれ見よがしにヴィネの辞職願を置いておいて、呼び出したオペレーターがどんな反応を示すのか見るんだよ」

「へー」

 

 …ベタなドッキリだけど、まあそれくらいが妥当なのかなぁ。

 

「一人目は誰で行くんですか、ドクター」

「記念すべき一人目は─」

 

 

──

 

 ロドスの廊下に執務室の方へ向かって歩く人影が─

 

「ドクターが私を呼び出すとは珍しいな」

 

 そう、ロドスの三人衆が一人、源石病研究の第一人者ケルシーその人である。

 

 

 記念すべきドッキリ被害者第一号は何も知らずに執務室へと歩みを進める。

 

 

「─来ましたよ、ドクター」

「よし! ケルシーの驚く顔を見てやろうじゃないか」

「…俺の辞表なんか済まし顔で流しそうですけどね」

「…」

 

 なんだ? ドクターがジト目(みたいな雰囲気)でこっちを見てくるんだけど。まあいいや、モニターに集中しよう。

 

『入るぞ、ドクター』

 

 ノックをした後、ケルシー先生が執務室に入ってくる。

 

『…居ないのか?』

 

 お、探してる探してる。これなら辞表にも─

 

『? 何だこれは?』

 

 気付いた! さてさて、ケルシー先生はどんな反応を見せてくれるんだろうか。 

 

『…そうか』

 

 あれ? すごい平常運転だ。何気ない顔で済ましそうと言いはしたけど実際にされると傷つくもんだね。

 

『Mon3ter!!』

 

「ッ!?」

 

 まって、ケルシー先生。執務室で何を呼び出しているの? 冷静さを取り戻して!?

 

『まだ辞表にはドクターのサインがなされていない。ヴィネの性格を鑑みるに許可を取らずに姿を消すなどということはありえない。まだ艦内に入るはずだ。Mon3ter、草の根をかき分けてでもヴィネを確保だ!』

 

 え? 先生の使い魔が執務室の扉をぶち抜きながらどっか行っちゃったよ? 大丈夫なんですかドクター?

 

「わぁ、ケルシーがあんなに必死になるなんて」

 

 だめだこの人。はやくケルシー先生が正気を取り戻すのを期待するしか─

 

『─何が不満だった? 給与面では特に不満はなかったはず。最近の資産の動きを見るになにか欲しいものがある訳では無い。では待遇? …………たしかにここ最近のヴィネの休暇はほとんど潰れている。また有給を、代替休日を、とは言っているが…。まさかそのせいか? …繝エ繧」繝阪Χ繧」繝阪Χ繧」繝阪Χ繧」繝阪Χ繧」繝阪Χ繧」繝阪?ゅ←縺薙∈陦後%縺?→縺励※縺?k?溘??遘√°繧蛾屬繧後h縺?→縺?≧縺ョ縺具シ溘??險ア縺輔↑縺?ィア縺輔↑縺??ゅ◎繧薙↑縺薙→縺後≠縺」縺ヲ縺?>縺ッ縺壹′縺ェ縺?□繧阪≧縲らァ√′菫晁ュキ縺励※繧?k縲ゅ□縺九i譌ゥ縺冗ァ√?繧ゅ→縺ォ譚・縺??』

 

「ッ!? ケルシー先生!?」

 

 

 ケルシー先生がバグった。

 

──

 

『今ま縺ァ縺ョ傾向からして閾ェ螳、にいるはず』

 

 まって先生! 待って待って、ちょっと待って!? 俺の自室の前で何をしようとしているんですか!?

 

『Mon3ter、やれ』

 

「やめて!」

 

 思い虚しく、無常にも吹き飛ぶ自室の扉。

 

「可哀想に。ヴィネ、君の部屋は終わったね」

「他人事だからってドクター! なんでたかだかドッキリで住を失わなければならないんですか!?」

 

 

『居ない…』

 

 いや、確認だけなら扉を壊さなくても行けたでしょッ!

 

『どこだ…どこに─』

 

 ん? ケルシー先生が監視カメラの方を見たぞ?

 

『ここにカメラは設置していなかったはず。─そうか、見ているんだろうドクター?』

 

「へ? なんでバレたの」

「御愁傷様です、ドクター」

 

 

『なるほど。これは訓練というやつだろう? 非常事態のときにどんな行動を見せるのか、という』

 

「そ、そうだよケルシー」

「…」

 

 ドクターがカメラ越しに返事してる……音声はあっちに伝わらないのに。

 

『まあ、貴重な経験ができたことだし、もう訓練は充分だろう?』

 

「うん、充分だよ。ハハ…ハハハ…。じゃあこのあたりで─」

 

『─だが、私だけがというのは不公平だなぁ?』

 

「─へ?」

 

 ? 流れが変わったぞ?

 

『ドクター、私と同じく君はロドスの指導者の地位にあるわけだ』

 

 待って、すごい嫌な予感がするんだけど。やめてくれよ? ドクターならいくらでも差し出すからさぁ。

 

『ロドス所属の各オペレーターに告ぐ。いきなりだが訓練を開始する。現在ロドス艦内にてドクターとヴィネが隠れている。それも一緒にだ。二人を見つけ出し食堂につれてこい。時間は…そうだな、三時間以内だ。時間内につれてくることが出来た者はヴィネを一日自由にしてよし、以上だ』

 

「…ヴィネ?」

「…ドクター、一つ頼みが…」

「何かな?」

「一人で出頭してきてもらっても?」

「いやなこった」

「デスヨネー」

 

 まあ、ドッキリの対象を聞いた時点で薄々わかっていたことだ。楽しい楽しいレクリエーションといこう。

 

「じゃあドクター。行きますか!」

「だね。こんな袋小路には居られないよ」

「では失礼」

「─へ??」

「舌を噛まないように気をつけてくださいよ!」

 

 

 ドクターの身体能力じゃ限界が見えてるししょうがない。チェルノボーグでもやったようにお姫様抱っこと行こう。

 

「─////」

 

 ああ、顔が真っ赤(多分)だ。まあ恥ずかしいだろうけど、俺もちょっと生命の危機が迫っているんでね、我慢してください!

 

 

──

 

 その後、ロドスの社内日報にはロドス艦内を駆け回るヴィネ、それに抱きつくドクター。そして─

 

 

「ドクター? それは見せつけているんですか?」

「菴輔r縺励※縺?k繧薙□?溘??繝峨け繧ソ繝シ縲ゅΧ繧」繝阪b縺ッ繧?¥縺薙▲縺。縺ォ縺阪◆縺セ縺」

 

 

 ハイライトの消えたアーミヤ、バグったケルシー他、ヴィネを追いかけるオペレーターたちの姿が掲載されたそうな。




 …すみません。アンケートを採った身として、本当に申し訳ないのですが、まるで詳細が思い付けませんでした。

 できれば登場人物についてもコメントなどで書いて頂けると幸いです!
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