なので駄文を投稿することで世界のバランスを調整しようと思います。
ケルシー先生に言い渡された任務通り、一週間くらい移動しているとついにチェルノボーグが見えてきた。まだ都市に入ってもいないのに何やら喧騒の声が騒がしく、火災の煙? も散見される。都市の入口も締め切られていてちょっと正攻法じゃ入れそうにない。
「…なんか、すげぇ嫌な予感がするなぁ」
まあグダグダ抜かしててもしょうがない。アーツを使って風を起こして外壁の上まで跳ぶが…
「何だよこれ…」
目に映るのはレユニオンの構成員が街を闊歩し、武器を片手に市民をいたぶる姿。
「レユニオンの反乱か。このままじゃドクターが不味いな」
そう、今回の最大目標はドクターの身柄の確保。この様子じゃ万が一もあり得る。
「とにかく今はアーミヤさんとの合流を─」
街の一角、特に何にもない場所で火の津波が起きた。そこいらの火災なんて目じゃない規模の炎が見える。
「何がなんだかわからんがとりあえず行くか」
街のいたるところに瓦礫が散乱し、レユニオンの構成員が散見されるいま、陸路は効率が悪い。アーツを起動し、風を起こして外壁から炎の地点まで一直線に飛び立つ。
「…間に合ってくれよ」
──
ドクターは混乱の中にいた。目が冷めたと思うと、自分は記憶喪失であった。そして、眼前の少女、アーミヤと名乗る少女から製薬会社ロドスアイランドのドクターであると言われたかと思うと戦闘の指揮を取らされた。そうこうしていると─
「ロドスよ、真の意味で感染者側に立つべきだったな」
タルラと名乗るレユニオンの首魁が現れ、そのアーツを持って襲いかかってきた。
ニアールの献身により初撃を凌いだは良いものの、ニアールは全身に大火傷を負い、もはや戦えない。アーミヤやAce、ニアールが自身を守るために残るだなんだと言い争っているが、到底無理だろう。色んな情報を処理できる優れた頭脳にいままで助けられたが、このときばかりはそれが憎い。自分の死が逃れられないものであると教えてくるのだ。
「…アーミヤ─」
何やら自分はそれなりの立場にいるらしい。その自分と引き換えならアーミヤたちは逃してもらえるのでは、と口を開こうとしたところ─
「何だ? 風が…」
突如突風が吹き荒れ、粉塵が舞う。粉塵によって視界を塞がれたと思うと風が止む。視界が晴れるとそこには─
「ふぅ、なんとか間に合ったぁ」
レユニオンとは違う仮面を被った人物がいた。
──
「ヴィネさん!」
「ヴィネ、どうして此処にいる?」
ふぅ、ギリギリ間に合ったようだ。アーミヤさんやAceさんが驚いているがこの際置いておく。ロドスの面々を見てみると黒いフードを被る人間が、そう我らがドクターがそこにいたのだ。
「久しぶり、ドクター」
懐かしのドクターに声を掛けるが…
「?」
何やらピンときていない様子。どういうことかとアーミヤさんの方を向くと…
「ヴィネさん、ドクターは記憶を失っているようで…」
「オーケー、そういうことね」
じゃあ、ドクターは俺と初対面ってことになるわけだ。じゃあ─
ドクターのもとへ足を進めると、ドクターが不思議そうに首を傾げる。警戒しなくてもそんな変なことはしないって。
ドクターのまえで姿勢や服装を整え、仮面を外す。そして─
「国際トランスポーターのヴィネです。情報だろうが、物資だろうが、人だろうが何処へだって運んでみせましょう」
決まった…。完璧な挨拶だ。これ以上のものは存在し得ないでしょう。
「…一つ良いかい?」
「何なりと」
「なんで目を閉じているんだい?」
ドクターがごく当然の質問をする。俺が目をつぶっている理由?
「もしかして盲目─」
「いや? 全然見えますよ」
「へ?」
「ドクター、ヴィネさんは漫画に影響されて、『盲目のキャラってかっこいいじゃん』と、以来目を閉じることがあるんです」
「…」
「いやいや、ヴィネ。どうして此処にいるんだ。参加してないはずだろ」
俺の目を瞑る理由への感動で言葉の出ないドクターの隣でAceさんが疑問を呈す。何故かって?
「ケルシー先生に頼まれてきたんですよ。有給中でしたけども」
ケルシー先生め。全く持って腹立たしい。
「そうか、ドクターをロドスに運ぶのにヴィネ以上の適任はいない。そういうことかケルシー」
ん? なにかAceさんが勝手に納得してる。ドクターをロドスに運ぶ? 俺が? 何やら勘違いをしているようだ。
「Aceさん、逆だ」
「なに?」
相手のアーツにニアールさんはもう耐えられない。Aceさん、あんただって防げて一回。アーミヤさんはわからないが…、まあ難しいだろう。
彼女ら、彼らに任せてしまったなら、犠牲は免れない。誰かの犠牲でドクターを助ける。うーん、物語ならお涙頂戴の感動ストーリだ。
でもな…、違う違う違う、違うんだよ。此処は昔の活劇映画の世界じゃあないんだ。一人が死んで一人が生きて…、そこの何処にハッピーエンドがある? 現実を幸せに生きないで何が人生だ。
「俺があの炎の少女の相手をする」
「な、何を言ってやがる」
「そうですよ。ヴィネさんが来ましたし全員で協力すれば─」
人と人が反発した時、意見を決めるのに一番てっとり早い方法は実力行使だ。アーツユニットかつ愛剣のシャムシール・エ・ゾモロドネガル、略してシャムシールを鞘から引き抜き、地面に突き刺す。
「…なんだ? 風が…」
「これは…ヴィネさんのアーツ」
俺のアーツに呼応するかのように少女が炎のアーツを展開する。
「…火力勝負と行く気か? そんなそよ風がなにになるというのか」
「さあ? 試してみないとわからないよ、お嬢さん」
少女の剣の切っ先が向けられる。そして─
「ヴィネさんッ」
巨大な、コンクリートをも溶かす炎が放たれた。
──
ドクターは冷静に戦況を分析していた。レユニオンのタルラのアーツは強力なものではあるがその本質は炎である。ニアールのように盾を用い、真正面から受け止めるよりはヴィネのアーツの風で炎を押し返すほうが被害は少ないだろう。
また、彼女のアーツの副産物である高温の空気も風で吹き飛ばす事が可能だろう。しかし…
彼女のアーツは強力すぎる。ヴィネというオペレーターは未知数だがそれでも…
「─試してみないとわからないよ、お嬢さん」
炎が押し寄せ、突風がそれを阻む。長い長い拮抗状態が続く。
眼前に広がる炎の壁、しかしその熱はさほど感じられない。見事にその熱さえも防げているようだ。
しばらくすると徐々に炎の勢いが弱まり、ついに霧散する。
「─ヴィネさん! 大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だとも」
「これなら、タルラさんにだって…」
勝てる、その言葉は出てこなかった。ヴィネが手でアーミヤを制していたからだ。仮面越しで表情はわからないが、おそらく厳しいのだろう。
「ニアールさん、Aceさん、アーミヤさん…ちょっと博打に出るので、ドクターのこと頼みます」
「な、何を言ってるんです? ヴィネさん。みんなでアーツを防ぎつつ攻撃もしていけば─」
「─時間がない」
ヴィネが空を指差す。空には…
「天災まで時間がない。次の博打で勝ったらみんなでおさらば、負けたら俺が殿。良いですね?」
「そんな! ヴィネさん一人を置いてだなんて」
「そうだぞヴィネ。それに、残るなら俺だろうが」
「私もまだまだ耐えられる」
「アーミヤさん。みんなで残ればドクターを危険に晒すことになりますよ? あとお二方、自分が残ると言いますが彼女には私が一番相性がいい」
それでも不満そうな顔をする三人。そんな彼ら、彼女らに対し、苦笑でもしてそうな雰囲気で彼は再び口を開く。
「それにニアールさんやアーミヤさんの美しいお顔やAceさんのダンディーなヒゲとグラサンが傷付いてしまう。それはロドスにとって大きすぎる損失ですよ」
なんともおちゃらけた言葉だ。空元気かもしれないが、その言葉は場の空気を少しだけ和ませた。
「…こんな状況でも軽口を叩けるのか。ならまだ行けそうだな」
「当然」
「おいおい、なんで二人は顔なのに俺はヒゲとグラサンなんだよ、おかしいだろ?」
「向う疵は男前ですが、ヒゲとグラサンは別枠です」
「なんだよそりゃ」
少しだけみんなの顔から険がとれる。
「まあ、博打に勝てばいいだけの話なので」
再び風が起こる。渦巻くように、皆を守るように…。
「真正面から燃やし尽くしてやろう」
「最大風速で吹き飛ばす!」
灼熱の炎と轟々と吹き荒れる突風が激突する。
「なッ…」
炎と風の激突は熾烈を極める。火力も風速も、どちらも増しており、激突によって生じたエネルギーは空に向かう。炎が巻き上げられ天へと昇り、チェルノボーグ全体から確認できるほどの炎の塔と成る。
どちらも退くことなく力をぶつけ合うこと数分。ようやく炎の塔が揺らぎ、火勢も風も弱まる。すると…
「…」
ヴィネが剣を地面から引き抜きそして…
「な、なにをッ」
剣を片手に火中へと飛び込んだ。
これの何処に勝機があるのか、そう思っていると風の音に紛れて金属と金属がぶつかる激しい金属音が聞こえてくる。揺れる炎の合い間から熾烈極まる二人の剣戟が見える。
剣が交わること七回。ついにヴィネの剣がタルラの剣を弾き飛ばす。
「アーミヤ!」
「はい、ヴィネさんの勝利です」
剣を保持するヴィネに対してタルラは無手。アーツを使うにも先程使用したばかり、あれだけ強力なアーツだ、連射はできまい。
だが…
「ッぁああ!」
「嘘、だろ」
タルラが苦しげな声とともにアーツを展開する。先程のまでとは打って代わり、小さく、弱く、見るからに不完全。しかしそれでも全てを溶かす灼熱の炎に変わりなく…。
「ヴィネさん!」
相対するヴィネを吹き飛ばすのに充分すぎる火力であった。
ヴィネの体が百メートル近く吹き飛ぶ。生死が危うい状況だが…
「なんつう奴だよ」
なんとか身を起こしている様子を見るになんとか生きてはいるようだ。
「…はぁ…はぁ…。仮面の男よ、その勇姿を讃えよう」
タルラは息も絶え絶え。もしかしたらという希望が出てくる。アーミヤなんかはもうアーツを使う用意をしている。
「狙撃オペレーター! やつに攻撃を加えろ!」
それに合わせてAceが攻撃の指示を出す。対してタルラは何もしない。ただただヴィネの方を見ている。
飛来する矢、銃弾。何十ものそれらが─
「嘘…」
何一つ残さずに蒸発して消え去る。ヴィネが防いでいた熱がこちらまで伝わってきて呼吸するたびに喉がひりつく
そんな異様な光景に呼吸を忘れたように体が固まる。手を動かしたくても動かない。身震いさえも…
オペレーターのみんなも押し黙る。場が静まり返り、動きが止まる。
そんな静寂を切り裂いたのは爽やかな風と徐々に大きくなる足音だった。
──
…まじかよ。金属製の矢や銃弾を溶かすどころか蒸発だなんてどんな熱量だ。ドクターや他のオペレーターを守るためにもアーツを再び展開するしかねえじゃねえか。
「ヴィネ…」
フフフ、ハッハッハ。その期待に満ちた眼、答えたくなっちゃうなぁ(白目)
「じゃあ、さっき言った通りに俺が殿、他はドクターの護衛をお願いします」
「なっ、本当に残るつもりですか?」
「大丈夫、しばらくしたら後を追いかけますんで」
手でこれ以上の会話を制止する。これ以上は決意が揺らいでしまう。
ロドスに命を捧げるほど忠誠を誓っている訳では無い。ただ、この世界に疑問があるだけ。
鉱石病にかかった途端手のひらを返す周囲、感染者を迫害する社会。迫害された感染者が卑屈になり、または一般人を目の敵にする。たかが鉱石病にかかっただけで。
大昔の黒死病、住血吸虫とかなら分かる。罹患したら死ぬしかない、そんなものだったから恐れられていた。
ただ、鉱石病は違う。罹ってもすぐに死ぬわけでもない。感染者と接触してもキスとかしない限りはそんなに広がらない。客観的に見ればそこまで怖いものでもない。
なのに何故そんな迫害されるのか、忌避されるのかわからなかった。世界中を回ってその疑問を抱いた時、ロドスに出会った。感染者と非感染者が手を取り合う理想郷、それがドクターの復帰でさらなる発展を遂げてほしいから残るのだ。
「なぁに、十分くらい足止めしたらトンズラこきますんで」
俺の言葉で納得したのかドクター御一行がこの場を後にする。あとは─
「お別れは済んだようだな」
「…優しいことで」
このお嬢さんの足止めのみ。それにちょっと仕込んできたんだ、さっきまでの俺とは違う。
「…貴様は見たところ感染者ではないな。感染者なら同じ誼で逃がしてやっても良かったが。貴様は目障りだ、此処で倒す」
「お嬢さん、君はもっと外のことを知るべきだ。感染者、非感染者で分けるならばウルサスだけでなく炎国やクルビア、極東の状況を見てきなさい」
「今更、御高説を説いてなんのつもりだ? 我々はウルサスに根差しているのだ、外のことなどどうでもいい」
いつだか、世界を巡っていた時に似たようなことを言う少女が居た。懐かしき思い出だ。だから俺も同じように返そう。
「リーダーの視野狭窄はそのままメンバーの未来を狭める。自分を慕ってくれる人間のためにもリーダーはたくさんのことを経験しなさい」
「ッ! …演説は終わりか?」
「ああ、これからは行動のときだ」
喋り終わると炎のアーツが襲いかかってくる。先程のアーツを上回る火力だ。だけど俺に秘策あり。
俺の出せる風力じゃあさっきので限界。ならば自然の空気の力を借りれば良い。
剣のまわりに空気を限界まで圧縮した状態でまとわせてある。後はタイミングを見てそれを開放すれば、空気が広がろうとする力が俺のアーツの力に乗る。
迫りくる炎に向けて剣を振るう。そして─
「アーツ解除ッ!」
まとわせていた空気を開放する。当然、もとに戻ろうとする風は全方位に向かう。俺のアーツでできる限り前方に向くようにしているが、一部は漏れ出ちまう。だけど…。
「はっはぁ! やっぱ俺は天才だ!」
それで充分。あの炎のアーツを文字通り吹き飛ばしてやった。これはこの無表情なお嬢ちゃんもさぞ驚いたことだろう。はてさてどんな顔をしてるんだ─
「…アレク?」
「へ?」
さっきまでの張り詰めた雰囲気は霧散し、恐る恐るといった感じで俺の本名(アレクシ・ドゥ・シュバリエ)を呼びだした。え? なんで知ってるの? だって仮面だって…。あ、さっきのやつで仮面が吹き飛んでらぁ。目を閉じてたからわかんなかった。
ん? てことはどっかで会ったことがあるのか。改めてみるとめちゃくちゃ美人さんだなぁ。ええっと、まず二本の角でしょ、尻尾でしょ。なら種族は龍かな? でなんか良い所のお嬢様みたいな格好で…レユニオン? もしかして…
「タルラか?」
「うん、そうだよアレク!」
かつてレユニオンに立ち寄ったときに出会った少女であったようだ。戦意を抑え、えへへ、と顔を破顔させてこちらに近づいてくるタルラ。…しかし、なにか嫌な予感がする。
ハッ! そうだ、タルラには何度も燃やされかけた経験がある。迂闊に近づいたら…。
タルラが近づいてくるのを不味いと思いちょっと下がると…
「?」
更に距離を詰めてくる。大きく下がると…
「アレク? どうして離れるの」
…選択肢を間違ってしまったようだ。なんか嫌な予感がさらに強くなっちゃった。
「なんで逃げるの? ようやく会えたのに。ロドスなんかに居たから? ならロドスから離さないと…。えへへ、待っててねアレク。ロドスから解放してあげるからね♪」
おいッ、さっきまでの笑顔はどうした? なんか眼が怖いよ…、ねえタルラさん?
「えへへ〜」
だめだ、さっきロドスから開放とか言ってたし捕まったら不味い。畜生、あんなふうにカッコつけたのに逃げるしかねぇ!
「久しぶりに追いかけっこするの? いいよ、じゃあ私が追いかける側ね」
クソぉ、追いかけっこなんて生易しいもんじゃねえぞこれはぁ!
──
ヴィネを尻目に走り続けること数分。ようやく私達たちは別働隊の行動予備部隊と連絡を取ることができた。しかし…
「いい関係を築くために名前でも交換しない? 私のことはWと呼んでほしいかな」
Wと名乗る少女が道を塞ぐように構えていた。
どうやら私に用があるようだが…。
「小さな兎ちゃん、あなたは彼ら(偵察部隊のオペレーター)のリーダーなのよね? どんなアーツを使って喜んで命を捨てさせるように洗脳したの?」
「な、何が言いたいのですか?」
「残念だけどあなたについて帰る人は一人も居ない」
「…」
「あなたは、本当に他人の犠牲の上に立つのに相応しいのかしら?」
今はアーミヤに興味が移ったらしい。アーミヤの傷つく部分を的確についてくる。ヴィネの献身のお陰で戦力は十分にある。彼女を倒してチェルノボーグを突破しようとするが…
「彼女の爆弾には気をつけてください」
先に交戦した別働隊のメンバーが必死な形相で伝えてくる。ヴィネには悪いが、どうやら犠牲なしには帰れないらしい。
「ドクター、出口は真正面です。彼女を突破してロドスに帰りましょう」
「ああ」
アーミヤたちが覚悟を決めた。しかし…
「…タルラ? それに…」
当の本人、Wは何やら別のものに気を取られている様子。後ろ?
そう思って振り返るとそこには…
「…はぁ…はぁ、クソまだついてきやが─、ん? なんでドクターたち止まってんだ?」
悪路の中、惚れ惚れするようなきれいなフォームでこちらに向かって走ってくるヴィネと障害物を燃やしながらそれを追いかけるタルラの姿があった。
どういうことかと思っているうちにヴィネはどんどん距離を詰めてくる。そうして─
「失礼ドクター」
そう言いながら、私を抱きかかえ─、へ? ちょ、お姫様抱っこで抱えられてるんだけどぉお?
「アレク!」
「W? Wなのか?」
「そうよ。どこほっつき─」
「すまん、ちょっと急いでるから許して!」
ヴィネが私を抱きかかえてジャンプし、Wを飛び越える。アーミヤたちは─
「何が起こってるんですか?」
風によって無理やり巻き上げられて、同じくWの頭上を超える。そしてそのまま着地…、え? 着地しないんだけど? そのまま城壁に…、え? 城壁まで飛び越えてるんだけどぉお!?
──
「どうしてくれるの、タルラ? ようやくアレクに会えたのにあんたのせいで逃げられたじゃない」
「すまないがW、私はいま機嫌が悪いんだ」
「は? なにそれ? あんたの機嫌なんか知ったこっちゃないんだけど」
「…」
一人はレユニオンのリーダー、一人はその幹部。なのに両者の間にはおおよそ味方同士とは思えない空気が漂っていた。
二人はしばらく見つめ合った…いや、睨み合った後、別かれる。
ただ…
「待っててねアレク。すぐにロドスから解放してあげるからね」
「フフフ、せっかく会えたのに、急いでいるから、なんて。許してあげないわよ」
両者ともに瞳が曇っていた。
ヤンデレっていいよね(書けないけど)