ヒトミミウマ息子がゆくウマ娘プリティーダービー   作:コウハクまんじゅう

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お久しぶりです!ここ最近忙しくてなかなか投稿できずじまいでしたが、やっと書き終わりました!今回の話は前編後編に分けたほうが綺麗に纏まったのでその方式で行きます。


宝塚記念:前編

 

 

「おー、盛り上がってんな」

 

 大勢のギャラリーが所狭しと詰め込んでいる様子を見回しながら、その熱気と人数の多さに舌を巻く。

 

「ま、宝塚ともなりゃこうなるだろーな」

 

「人が多いところは、慣れないです…」

 

「クク…ダンツくんがどのような走りをするのか見届けようじゃあないか」

 

 各々好きに喋りながらフェンスに体を預け、パドック内にいるウマ娘を眺めながらその時を待っていた。

 

 G1、宝塚記念。このレースはファンの投票によって出走するウマ娘が決められる、文字通りファンの宝が集まる特別なレース…というのをこの前スマホで知った。

 宝塚記念の観戦にあたって、タマ達に声を掛けたが『みんなで出掛ける』と言って丁重に断られた。ところで、この話を持ちかけたときにオグリが一瞬顔をこわばらせていたが、何かあったのだろうか?

 まあそれはさておき、なぜわざわざ東京から片道3時間近く電車に揺られてここへ来たかと言うと、ある友人の勇姿を見届けに来たからだ。

 

『─…一番人気、三枠三番。ダンツフレーム』

 

 アナウンスの声と共に、堂々とパドックに躍り出た一人のウマ娘。そのウマ娘こそ、勇姿を見届けに来た友人ダンツフレームである。

 

「お、ダンツだ」

 

「おーいダンツー!気張れよー!」

 

 大舞台で少し緊張しているのか顔が少しこわばっていたが、俺たちと目が合うと顔を綻ばせて手を振ってきた。手の動きに合わせて尻尾も右へ左へと揺れ、ついでに大きく膨らんだ双丘も控えめに揺れている。

 周囲の観客はファンサと勘違いしたのか歓声を上げ、特に男性客の視線は胸にくぎ付けになっている。欲望に忠実な姿勢はそんなに嫌いじゃない。俺はどうかって?…ノーコメントで。

 

「すげぇな、流石一番人気」

 

 事前に調べていたとはいえ、やはりファンの期待を一身に背負っていることを改めてわからされる。

 パフォーマンスを終えたダンツはカーテンの向こうへと引っ込んでいった。

 そのまま各ウマ娘の紹介を終え、場所は観客席へと移る。俺達は最前列に陣取り、買った串カツやソフトクリームを食べながらのんびりと待っていた*1

 

 しかしそれに飽きると、何か気分転換になるものはないかとスマホをいじり始めた。すると、一通のLANEが来ている。

 開いてみると、送り主はダンツのようであった。時間をみるにたった今送られてきたようで、内容はこのようなものであった。

 

『このレースが終わったら、春のファン大感謝祭一緒にまわりませんか?』

 

(春のファン大感謝祭…)

 

 そういえばそんな物もあったかなと朧気な記憶を思い起こす。

 と言うのも、トレセン学園では年に二度文化祭が催され、俺が前回行ったのが聖蹄祭…秋に開催される文化祭だ。そして春に開催されるのが今出てきた春のファン大感謝祭。

 

『突然どうした?』

 

 誘ってくれるのは嬉しいが、とりあえず率直に思ったことを訊ねてみる。俺でなくてもポッケ達がいるだろうに…

 

『源治さんと一緒に回りたいっね思ったからです!』

 

 丸々とした可愛い猫のスタンプも添え、そのような事を返してきた。その愛くるしい文面に頬が緩んだが、少しの違和感を覚えて引き結んだ。

 

(……ん?『ね』?)

 

 ふと目についた誤字。普段ならば流して終わるが、今回はなぜか引っかかった。

 それは彼女の気性にあった。

 たまにドジをすることもあるが、真面目で堅実な彼女がこの程度の誤字をするのだろうか。そして誤字に気づいている様子もない。原因はすぐに思い当たった。

 

(……ひょっとして緊張してんのか?)

 

 もしそうだとしたら、今の彼女は緊張を少しでも紛らわせるために震える手で俺にLANEを送ってきているということになる。

 ならばやるべきことは一つ。

 

『俺でよけりゃいくらでも付き合う。気負わず楽に走れよ』

 

『頑張れ、ダンツ。』

 

 それだけ送ると、既読はついたが返信は来なかった。時間も迫っているため、当然と言えば当然か。今ごろ、慌てて部屋を飛び出している光景を想像し、微笑んだ。

 

「そろそろ始まるなぁー!」

 

「おー」

 

「っぱワクワクすっよな!」

 

「おー」

 

「…源治ー?」

 

「おー」

 

「ソフトクリーム奢れよ」

 

「さっき俺の食ったろ。タキオンと」

 

「チッ、乗んなかったか。」

 

「横取りとは心外だねぇ!首を伸ばしたらそこにソフトクリームがあったから食べただけさ」

 

「それを横取りっつーんだ。ハムスターみたいに頬膨らましてもっさりもっさり食いやがって…」

 

「おっ、入場始まったぞ!」

 

 ポッケの声に顔を上げると、そこには出走するウマ娘達がぞろぞろと出てきていた。

 

 皆一様に真剣な表情でハレの舞台へと臨んでいる。

 その威風堂々とした姿を観客は歓声で迎える。と、突然観客が一層盛り上がった。

 視線の先にいるのは当然、このレースにおける一番人気を背負ったウマ娘ダンツフレームである。

 

「…みんな強ぇな。」

 

 パドックで見たときから感じていた事を口に出す。前回見たジャパンカップも猛者が集っていたが、この宝塚記念も相当やる連中が集っている。

 

「負けんなよ、ダンツ」

 

 自然と彼女を応援する言葉がこぼれ出た。

 しかし、俺が緊張で体を強張らせている隣でポッケは笑みすら浮かべ、友人の勝ちを確信しているようだった。

 タキオンはこれから始まるレースに期待を募らせ、相変わらず狂気で濁った瞳を鈍く輝かせていた。

 カフェもポッケと同様に、ダンツの勝ちを確信しているようだ。その隣であの真っ黒な「オトモダチ」も一緒になって観戦している。

 

「…ゲートイン完了。出走の準備が整いました」

 

 実況の落ち着き払った声が響き、観客の歓声が引き潮のごとくスッと静まる。

 

「宝塚記念、今─」

 

 静まり返ったレース場に、ガシャコン、とゲートが一斉に開く音が響いた。

 

「スタートしました!」

 

 

 

*1
なおソフトクリームは横から首を伸ばしてきたタキオンとポッケに食われた。




その頃シングレ組
タマ「……『オグリキャップとタマモクロス様出禁』?」
オグリ「ビクッ」


ぶっちゃけ皆は源治の事どう思ってんだろう(素朴な疑問)
源治は皆の事どう思ってんだろう(素朴な疑問)
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