異世界日本国召喚   作:丸太餅

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今回はかなり短めです。


第11話「ゴトク平野へ」

中央暦1640年 2月9日

パーパルディア皇国 第3外務局所有地フェン島 皇国皇陸軍第31騎兵師団

 

パーパルディア皇国皇陸軍第31騎兵師団……この師団は皇国が保有している馬を中心とした通常の騎兵師団と違い、リントヴルムなどの地竜を中心とした数少ない地竜部隊である。

 

この師団を指揮するのは陸将であるガゼーエフである。

 

彼等は魔信が途絶えたニシノミヤコやその周辺基地の状況を調査するため、アマノキ基地から出発した。

 

「ニシノミヤコまで後2日……ニシノミヤコの現状の様子はわからないが、何か起こった筈だ」

 

ガゼーエフは遠くに広がるゴトク平野を眺めながらふと呟く。

現在第31騎兵師団は山岳を迂回中であり、魔信不感地帯で一時休憩に入っている。

 

「ええ。そうですね。しかし、本当に原因は何なのでしょうか……」

 

隣に控えていた副将であるライセンは、ガゼーエフの呟きに疑問を口にする。

 

現状、ニシノミヤコで一体何が起こったのかは、彼等は何一つわかっていない。魔信も途絶え、ニシノミヤコの市民や守備隊に友人や家族がいる兵士達も、師団内にはいる。

彼等は何処か不安に思っており、一応ガゼーエフが激励の言葉を投げかけてはいるが、やはり不安な表情は隠し切れてはいない。

 

更にその不安が部隊内に伝染し、守備隊やニシノミヤコとは全く関わりがない兵士達も、何処か不安に思ってしまっている。

 

ガゼーエフやライセンも、その中にいた。

 

「……兎に角、行ってみないことには変わらない。それに、士気の方は未だ大丈夫だろう」

 

ガゼーエフは後方で休憩をしている兵士達に目を向ける。

 

師団内では若干の疲れが滲み出ているが、不満は出ていない。進路途中に立ち寄った集落などを襲い、略奪を繰り返していたためだ。フェン島の集落の人や物は兵士達の好きにさせていた。この島にあった国家は既に滅亡しており、元国民である蛮族を好きにさせる権利位は与えないと、士気の向上には繋がらない。例え第3外務局のアマノキ出張所にバレても問題ないだろう。何せ、彼等もアマノキやその周辺で同じことをしているのだから。

 

なので、時折悲鳴は聞こえるが、ガゼーエフは気に留めなかった。

 

間もなく休憩を終え、出発する。この先に広がるのは、ゴトク平野だ。

 

 

 

 

 

同時刻

第3外務局所有地フェン島 ニシノミヤコ海岸 野営地

 

焦土化したニシノミヤコ海岸に設置されたフェン派遣軍野営地で、総司令である天野は部下からの報告を分析していた。

 

天野はアマノキから来るであろう敵、皇陸軍の部隊を、ゴトク平野で叩こうと考えていた。此処は付近に民家もなく、最適だ。

……最も、フェン王国時代は点々とだが集落はあった。だが、フェン王国侵攻時、パーパルディア皇国監察軍陸戦隊による、兵士達の不満解消のための襲撃や略奪により、殆どが消えてしまった。

 

「敵軍の現在位置は此処、ゴトク平野東部……我々の距離から約70km地点で反応が止まっている」

 

天野は小型のモニターの画面を部下の幹部等に見せる。画面には人工衛星から撮影されたゴトク平野の写真が映されており、其処に赤の点と青の点が点滅していた。*1

 

「周辺に探知魔法をかけた所、数は約30,000。武器はマスケット銃のみだが、地竜リントヴルムが63頭、飛竜ワイバーンロードが38騎と構成されている」

 

天野はリントヴルムとワイバーンロードの姿を画面に映す。その姿に、部下達は一瞬驚愕する。

 

「だが、厳つい見た目をしているが、我々にとっては脅威でも何でもないらしい。どうやら、自治区国境で発生したウンブル平野の戦いでは、リントヴルムもワイバーンロードも、戦車砲や対地竜用の機関銃で瞬殺したそうだ」

 

この言葉を聞き、部下達は安堵する。

 

「つまり、前世界の中央大帝連邦が保有している地竜プラ・ウルテル並みの装甲力や飛竜グラーバーン・スケアード並みの機動力はない……と?」

「あぁそうだ。だが、あんな化け物共と比べないでくれよ?あれ等とパーパルディアの兵器と比較しても、天と地の差があり過ぎる……」

 

天野は部下の質問に肯定するが、何を思い出したのか苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「す、すみません……」

「……まぁ良い。説明を続ける。奴等は必ずゴトク平野を通過する。奴等の進路状況を見ても、山岳を迂回していると判断して良い。先ず、上空を飛翔するであろうワイバーンロードを撃ち落とし、敵が混乱している隙を突き、10式戦車、90式戦車率いる機甲部隊の奇襲攻撃によりリントヴルムを全頭撃破。その後、普通科と航空科による攻撃で敵を殲滅する。その際に降伏した兵士は拘束しろ。わかったな?」

「「「「はっ!!!!」」」」

 

部下達は天野の問い掛けに、姿勢を正し応答する。

 

部下達は直様野営地から出ると、各持ち場へと戻る。数十分後、準備が出来次第、部隊はニシノミヤコから出発した。

 

『ゴトク平野の戦い』と呼ばれる戦いが、始まろうとしていた。

*1
赤の点が自衛隊、青の点が皇陸軍である




適当な用語説明
・中央大帝連邦
異世界中央部に位置する大陸全土を領有する異世界最強の国家。
近代レベルの文明力があるが、軍事力はあまりにも強大であり、日本や魔帝相手でもタダでは済まない戦力を保有している。

・地竜プラ・ウルテル
中央大帝連邦が保有する陸上戦力の一つ。
プラ・ウルテル一頭で大国は破壊出来る。

・飛竜グラーバーン・スケアード
中央大帝連邦が保有する航空戦力の一つ。
グラーバーン・スケアード一騎で大国は破壊出来る。


恐らく今年はこれが最後の投稿となります。

皆様、良いお年を。

誤字脱字報告ありがとうございます!

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