異世界日本国召喚   作:丸太餅

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今回も短めです。


第15話「作戦会議」

中央暦1640年 2月13日

日本国 江蘭自治区 アルヌス侯爵領領都エルメン 海上自衛隊第2艦隊司令部

 

日本国海上自衛隊の機動部隊は、合計で3個艦隊で構成される。第1・2艦隊は護衛艦、第3艦隊は潜水艦による部隊である。

その内第1・2艦隊は、それぞれが航空機搭載護衛艦かミサイル護衛艦を中核とした4〜6個機動戦群と1個海上補給隊で編成されている。

 

此処アルヌス侯爵領の領都エルメンの沿岸部には、海自第2艦隊の庁舎が設置されており、今現在、この場所の会議室には様々な階級や国籍の人間が集まっている。

 

「それでは、作戦会議を開催する。私は日本国海上自衛隊第2艦隊直轄艦部隊司令、そして今回編成される国連軍南方方面艦隊司令を努めることになる、神保 貴之海将補だ」

 

神保は集まった面々へ向け、自己紹介を行う。

 

その後、集まった彼等も自己紹介を行う。

 

「日本国海上自衛隊第2艦隊第2機動打撃群司令の杉本 洋一だ」

「同じく、第2艦隊第5機動打撃群司令の上江洲 慎吾です」

「私も同じく、自衛隊海上輸送群第2海上輸送隊司令の古瀬 高美よ」

「台湾民主国海軍第1艦隊司令の祝 浩然です」

「アメリカ合衆国海軍第7艦隊第70任務部隊司令のマイケル・G・ペレスだ」

 

一通りの自己紹介を終えたところで、神保が作戦の概要説明へ移る。

 

「我々日米台連合艦隊の目的は、南方に位置するこの大陸。ロデニウス大陸と言うらしいが、この大陸北東部に位置するこのマイハークと言う経済都市へ上陸するための陸上部隊の輸送と、迎撃をしに来るであろうこの大陸の国家の海軍戦力を、深海へ引き釣り込むことだ」

「あぁ。しかし、事前資料を読んだが、相手の文明は中世ヨーロッパ程度なのだろう?つまり、鋼鉄艦どころか戦列艦すら有していない。何故、態々原子力空母を3隻も引っ張り出す?1隻だけで事足りると思うのだが……」

 

マイケルの質問に一同が頷く。

 

「あぁ、原子力空母を3隻も出す理由。それは、この大陸の国家、ロウリア帝国の海軍戦力の膨大さにある訳だ」

「膨大さ……?」

「あぁ。ロウリア帝国東部に駐屯する海軍戦力は……判明している限り帆船5,000隻以上。仮に1個機動打撃群で侵攻したとしよう。恐らく勝利はするだろうが、時間と金が予想以上に掛かる作業になることが予想される。若しくは、数に押されて撤退するかだな」

 

5,000隻と言う気の遠くなる様な大艦隊が海を航海している状況を想像し、一同は若干震える。

 

「な、成程……前世界とはまた違った海戦が繰り広がりますね……」

 

上江洲の感想に、一同は苦笑する。

次は、杉本が質問する。

 

「それで、この数を主砲とミサイルで全て迎撃するのか?かなり非効率的だぞ」

「あぁ、其方に関しても、心配は無用。護衛艦や駆逐艦、巡洋艦の主砲やミサイル攻撃だけでなく、原子力空母から戦闘機部隊とヘリコプター部隊を発艦させ、帆船艦隊へ攻撃。そして、我が日本と台湾の戦艦である『むさし』と『台北』の主砲攻撃によるアウトレンジにより殲滅する予定だ」

「安心だな」

 

やまと型護衛艦2番艦『むさし』と、台湾が独自開発を行った台北級戦艦1番艦『台北』による艦砲射撃も追加となっては、流石の木造船物量大艦隊でも手出しは出来ない。

 

いや、させない。

 

「まぁ、不安要素はなくなった訳だが……。上陸するにしても、マイハークにも防衛部隊はいるだろう?どうするのだ」

 

神保は、さも同然かの様に質問に答える。

 

「無論、艦砲射撃により撃滅する。更には、我が国の輸送艦から、直様地上部隊を排出し、その地上部隊にも戦闘を行ってもらう」

「危険だぞ。大丈夫なのか?」

「既に策は打ってある。強化魔法による装甲強化は既に施されているし、地上部隊周辺には常時魔道具(アーティファクト)により魔導フィールドを発生させ、敵からの攻撃を完全に防ぐ。これにより、展開終了次第の即時反撃が可能だ」

 

やはり魔法はとんでもないな。そんな考えが、神保以外一致した。

 

「他に何か質問はあるか?」

 

神保は一同にそう尋ねるが、挙手する者はいない。

どうやらいないようだった。

 

「それでは、これで作戦会議を終わる」

 

その言葉を聞くと、一同は机の資料を取り、椅子から立ち上がり会議室を退室する。

 

「……」

 

部屋に残った神保は、彼のみに配られた特別な資料の1番最後のページを開き、内容を読む。

 

「……成程。日本政府はそう動くか……」

 

彼は深く溜め息をつくと、懐からスマホを取り出し、コールボタンを押す。

 

「……もしもし……えぇ、お久しぶりです、アルヌス侯爵。……えぇ、間も無くロデニウス大陸での作戦が……はい。それでは例の案の手筈を……はい……はい。ありがとうございます。はい……はい、其方に関しては第7師団の大内田陸将へ……えぇ、はい。……はい……はい、ありがとうございます。失礼します」

 

神保はスマホの通話を切ると、窓際まで移動し、窓の外の景色を眺める。

 

「……はぁ……ロデニウス大陸。政府もあの大陸の価値には気付いていたか」

 

彼は鋭い目付きで南に目を向ける。

南には広大な海原が広がり、その向こうにあるのは『南方帝国(セイバス帝国)』ではなく、『ロウリア帝国』。

 

「……出航の準備をしよう。……楽しくなりそうだ」

 

彼はふっ、と笑うと自身も部屋から退出する。

 

後にロデニウス沖大海戦と呼ばれる戦いが始まるのは、もう間も無くのことであった。

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