異世界日本国召喚   作:丸太餅

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ども、丸太餅です。
前々から作りたいと思っていたシリーズを投稿します。
よろしくお願いします!


第一章 大東洋戦争
第1話「衝突」


西暦2028年 1月17日

日本国 江蘭自治区 ホットホール国境第3監視塔

 

「はぁ、暇だ…」

 

“青い”満月が昇り、日付が変わろうとしている頃。マルテワーズ大陸東部に位置する日本領の自治区、『江蘭自治区』に本部を置く『江蘭自治区国境警備隊』の隊員である『石原』は、レンガ造りの監視塔内から中世ヨーロッパ風の建築物が乱立する中規模な村が点々と広がる景色を眺めながら煙草を吸い、そう呟く。

 

「暇なのは良いことじゃないか。平和と云うことさ」

 

奥の木製の扉が開くと、一人の青年が部屋内に入って来る。

その青年は日本人とは違い、欧米の顔付きで“耳が細長い“と言う地球人からすれば考えられない特徴を持っていた。

無論、種族は”ヒト族“では無く”エルフ族“である。

 

エルフの青年である『デヒィリオ』は相棒である石原の隣に座ると本を読み始める。

 

「何時も思うが、日本の小説は面白いね。この新作は無いのかい?」

「確か無かった気がする。まぁ何れ出るだろ」

 

石原は目を細め、再度煙草を吸う。そして短くなった煙草を、机の上に置かれた灰皿に捩じ込んだ。

石原は腕時計で時間を確認すると、「そろそろ日付変わるな」と思いながら壁に掛けられたカレンダーに油性ペンで”18日“の日付にチェックを入れ様とする。

 

…その時。

 

ピカッ!!

 

「「!!?」」

 

突如外から謎の発光現象が発生し、2人は一瞬目が眩んだ。

光が収まると2人は急いで外を見渡す。

 

すると其処には、先程まで見えた筈の村の風景は無く、広大な平野があった。

 

 

 

 

 

中央暦1640年 1月18日 早朝

パーパルディア皇国 プバスト属領 ウンブル平野

 

フィルアデス大陸に存在する第3文明圏唯一の列強『パーパルディア皇国』の属領の一つ、『プバスト』。

此処は大東洋方面に位置しており、普段なら海が見えるのだが今日の景色は普段とは全く違った。

 

「…おかしい。おかしいぞ。こんな場所に陸地なんて無かった筈だ」

「はい、その通りです。此処は昨日まで海が広がっていた筈なのですが…」

 

パーパルディア皇国プバスト属領統治軍第3小隊隊長『カイド』は、昨日迄無かった陸地に疑問と困惑を抱く。

 

「調査をしたいところだが…本国からの命令が無いと何も出来んな。一応、調査許可を申請中ではあるが…」

 

カイドは溜息を吐きながらそう呟いた。

 

「隊長!本国から魔伝が入りました!」

「そうか、許可が出たか?」

「はい!『出現した土地を皇国属領へ編入する。出現した陸地を調査せよ。』とのことです」

「そうか。総員!この地は我等がパーパルディア皇国の属領となった!只今より、調査を開始する!」

 

カイド等第3小隊は本国から許可が出ると、謎の陸地に踏み込んだ。

 

しかし、勿論のこと彼等は知らなかった。この地域が他国…『日本領』だと言うことを。

 

 

 

 

 

西暦2028年/中央暦1640年 1月18日

日本国 江蘭自治区 ホットホール保安隊基地

 

パーパルディア皇国調査団が越境し、踏み入れたのと同時刻。その様子をドローンで監視していた監視司令室は直様駐屯していた第260保安分隊に司令し、司令を受けた第260保安分隊は基地から出発した。

 

「全く、変な光が現れて人工衛星の通信が一瞬途絶えたと思ったら、パラドス神聖教国より中世な集団が越境して来やがったとは」

「俺さっき夜勤終わったばっかっすよ。普通に眠いんすが」

「事故るなよ」

 

そう愚痴りながら陸上自衛隊から供与された一台の73式小型トラックに乗り込むのは、小山一等保安士補、町田一等保査、市村一等保査、瀬川一等保査、プレストン一等保査、フィン一等保査の計6名である。

 

「出発!」

 

小山達の乗る73式ともう一台の73式の計2台が、簡易的に作られた駐車場から発車する。

 

「しかし…一体何なんだ?光が出現し、インターネットが使えなくなった。まるで9年前の“転移事件”と同じだ」

「まさか此処は日本の故郷である『チキュウ』なのでは!?」

「それは無いな。地球側にも人工衛星がある。もし此処が地球ならこんな現象は起こっていない」

 

自治区出身の“獣人族”のフィンの考察に、小山がそう反論する。

と、なれば残る可能性は一つである。

 

「…また別の世界に転移したのか…。どう思うよセーちゃん?」

「セーちゃんって言うのやめろ。…まぁそう考えるのが妥当だろうな。てかこれって9年置きに転移する仕組みなのか?」

 

小山の呟きに瀬川が続けて呟く。

この2人は高校時代からの親友であったが、小山の出世の方が早かった。

 

「偶然だと思いたいですね」

 

町田が瀬川の言葉に、苦笑いを含め呟く。

それに車内全員が頷いた。

 

「…そろそろだ。準備をしろよ」

 

小山の言葉に車内の保安隊員は、9mm拳銃をホルスターから出し何時でも発砲出来るようにするか、89式5.56mm小銃を構え、臨戦態勢の状態にする。

間も無くして、中世の騎士の鎧を身に付けた集団を視認すると小山はハンドルを切り、二台同時に停車する。

 

「「「「「!!?」」」」」

 

謎の集団は此方のトラック二台を見ると目を丸くし、驚いている様だった。

 

「此方は日本国江蘭自治区保安隊第260保安分隊だ。貴殿等は我が国の国境を越境している。直ちに引き返せ」

「!!?…おほんっ。…私はパーパルディア皇国プバスト属領統治軍第3小隊隊長のカイドだ。この地は我がパーパルディア皇国の属領として編入される!直ちにこの土地を明け渡したまえ!」

「「「「「「??????」」」」」」

 

突然のカイドの意味不明な発言に、保安分隊全員の頭が『?』で埋め尽くされる。

 

「…何を言っている?此処は我が日本国固有の領土だ。明け渡す訳が無い。即刻この地から退去願おうか」

 

唖然とした隊員の中でやっとのことで口を開けることが出来た小山は、89式小銃の安全装置を解除しながらカイドの命令を拒否する。

 

「蛮族如きが… 我が国の要求が聞けないのか!我が国は第3文明圏の偉大なる列強国だぞ!…もう良い。貴様等を此処で処分する!」

 

激昂したカイドは剣を取り出すと小山の首を斬ろうとする…が、小山は間一髪で避けると全隊員に司令を出す。

 

「総員、反撃開始!!」

 

ダダダダダダダダダッ!!!!

 

小山は、直様89式小銃の引き金を引き5.56mm普通弾を連射する。

それに他の隊員達も続き、89式を連射するか、9mm拳銃の9x19mmパラベラム弾を発砲する。

 

「な、何だ!?」

「此奴等の銃、連射して…ぐはっ」

「蛮族のくs…がはぁ!」

 

保安隊は、あっと言う間に皇国軍を全員撃ち殺した。

 

タッ タッ タッ

 

小山は頭部に穴が開き、絶命したカイドを見下ろしながら呟く。

 

「…パーパルディア皇国…ねぇ」

「パラドスでは無いのは確かですね」

「だがこれで確証が持てた。間違い無く、我が国は再び異世界へ転移した。…と言うことがな」

「…はぁ。また面倒な相手が隣国になりましたね」

「我が国の隣国には真面な国が無い。何故だ?」

「神がそうしているとしか思えませんね」

 

小山等日本人保安隊員達は、全員同時に溜息を吐いた。

 

この衝突…『パーパルディア属領統治軍越境事件』が後の日本陣営対パーパルディア陣営の『大東洋戦争』に繋がるとは、まだこの時の小山等は思ってもいなかった。




適当な用語説明
・ホットホール
自治区の地名。

・保安隊
自治区の治安維持組織。自衛隊の前身組織である保安隊を再設立した。

・パラドス神聖教国
絶対神パラドスを信仰する宗教国家。
『パラドス様は世界を創生したお方なので、パラドス様を信仰しない恩知らずな蛮族共は歴史から消えるべし』を国定としているやべぇ連中。
尚、今作に結構な影響を及ぼしている。


誤字脱字報告ありがとうございます!

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