異世界日本国召喚   作:丸太餅

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少し遅くなりました。


第3話「国家安全保障会議」

中央暦1640年 1月18日

日本国 東京都 千代田区 首相官邸

 

「これより国家安全保障会議(NSC)を開催する」

 

日本の首都東京にある首相官邸。その中にある会議室内では重々しい雰囲気に包まれていた。

そんな空気の中、首相である『武田 実成』がNSCの開催を宣言する。

 

「まず、突然だが我が国……いや、我が国含む友好国は再び異世界へ転移した。これは、人工衛星からの情報で、君達は既に知っているな?」

「勿論です、総理。二度目の転移は人工衛星も共に転移した為、情報収集が楽でした。しかし、問題は此れ等です」

 

防衛大臣が手元の資料をパラパラと捲り、目的のページを開く。

 

『自治区国境で謎の武装集団が越境。保安隊と交戦』

『灯原県沖にて航行していた豪華客船「いせかいII」が謎の戦列艦による攻撃を受け轟沈』

 

そう書かれたこの報告の内容に、全員に溜息と焦りが出る。

 

「この二つの事件。同一組織かどうかは不明ですが、仮に別組織だったとしても、即刻謝罪と賠償を求めなければなりません」

「だが何処の組織なのかわからんぞ」

『…いえ。越境事件の武装組織については、既に判明しています』

 

この会議にビデオで出席している人物が、ふと発言した。

 

「ほう。それは何処の組織ですか?」

 

国土交通大臣がその人物…自治区の最高責任者であり、総督である『小室 政彦』に尋ねる。

 

『…交戦した保安隊員によれば、その集団は「パーパルディア皇国属領統治軍」と名乗ったそうです』

「パーパルディア皇国…?」

「皇国…ってことは国か!?」

「しかも軍…しかし、属領統治軍?」

 

閣僚等は小室の発言に驚愕する。

 

『はい。その名の通り、自国が保有する属領を統治するための専門機関…及び軍と思われます』

「だが軍と言うのは変わらんか…」

「だが相手は海賊でも山賊でもなく軍だぞ?その軍を全員射殺したとなれば…」

 

閣僚等はそう考え、唸る。

 

「…小室総督の報告を読ませて貰ったが別に保安隊は悪くない。要求する大義名分は此方にあると思わんか?」

「…はぁ……あぁ、成程…」

 

武田の言葉に閣僚等は一瞬頭に『?』を浮かべるが、武田の考えを察すると納得した様に苦笑する。

 

「…砲艦外交…ですか」

 

経済産業大臣が余り納得していない表情で呟く。

 

「だが、それが妥当だと思う。保安隊によれば相手はどうやら自国至上主義を掲げていたらしいしな」

「自国至上主義…神聖教国か南方帝国……その他大多数の国が掲げているイデオロギーと同じですかね?」

「まぁ、だろうな。…防衛大臣。“アレ”の派遣は出来るか?」

「“アレ”ですか…。確か現在は荒泉県十ノ宮港に停泊している筈なので、特務艦隊を編成し、其処から外交官を搭乗させ、向かわせましょう」

「そうだな。外務大臣、人選を頼む」

「承知しました。以前、神聖教国や南方帝国への外交交渉を行っていた“彼等”を派遣させます。防衛大臣、よろしくお願いします」

「此方こそ」

 

2人の大臣は握手をすると、それぞれの部下に指示を出す。

 

「…では次に『いせかいII』の件についてだが…」

「此方については、付近を海上保安庁の巡視船に哨戒させています」

 

武田の言葉に、国土交通大臣が話し始める。

 

「巡視船か…確か生存者からの情報だと、相手は戦列艦らしいじゃないか。本当に大丈夫なのか?」

 

武田は不安そうに尋ねる。

 

「はい。『日江戦争』では日本の領海を侵犯した戦列艦を巡視船が撃破した例もありますので、大丈夫かと」

「なら、安心だな。だが外務大臣。一応、新地球諸国や連絡のついた異世界諸国にも注意を呼び掛けておいてくれ」

「承知しました。大使館を通じ、連絡を入れます」

「よし。これにて会議を終わ「国土交通大臣!緊急の連絡が!」」

「ん?何だね?」

 

武田が会議を終了しようとしていたその時、会議室の扉が開かれると入って来た国土交通省の職員は国土交通大臣に耳打ちする。

 

「ふむ…ふむ…ん?何だって!?…わかった。下がって良い」

「…では、私はこれで」

 

国土交通大臣は職員の報告に驚愕しながら、職員を下がらせる。

 

『…どうしましたか、大臣』

 

小室は国土交通大臣にそう質問した。

 

「……海上保安庁の巡視船『しきしま』からの連絡です。どうやら、謎の商船が日本の領海に侵犯したらしく……」

「ふむ。それが何か問題……は、あるがそんなに緊急事態なのか?数時間前に転移したばかりだから、領海とわからなかっただけでは?」

 

武田含む閣僚等は国土交通大臣の驚愕の理由がわからなかった。だが、次の言葉に彼等も驚愕することとなる。

 

「いえ。それが…その商船はアルタラス王国と言う国家から亡命した王女が乗船しているらしく…。しかも我が国に“亡命”を打診しています」

「…亡命だと!?」

 

閣僚等は驚愕したが、その後の会議により亡命の打診を受諾した。

この受諾は、後の『大東洋戦争』終戦への切り札となるのだった。




〜適当な用語説明〜
・自治区総督
『日江戦争』終戦後、日本が旧エラン帝国に設置した自治区の運営を進める為の機関の統率者の名称。

・南方帝国
日本列島の南に位置する二つの大陸で構成される覇権主義国家。度々海上自衛隊や海上保安庁、航空宇宙自衛隊と衝突していた。

・“アレ”
最近就役した戦後初の⬛︎⬛︎。

・荒泉県十ノ宮港
自治区東部に位置する『天牙狼半島』に存在する県。

・“彼等”
原作でかなり苦労している外交官2名+α。

・新地球諸国
『日江戦争』終戦後、日本が旧エラン帝国領の一部に建国させたアメリカやイギリス等の地球国家の名称。


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