「銃を撃つときの姿勢は軽めの前傾で重心を前に置く!体は目標物に対して正面を向く!両足は肩幅ほど開いて利き足を半歩後ろに置き、45度外側へ開く!様々な形からの暗殺は基本を身に着けてからだ!」
「「「はい!!!」」」
烏間先生の授業は本当にためになる。マスケット銃での戦いをしているけどそれはネットや本からの知識や実践で身に付けた独学のようなものだ。だから多少は違うところがあるのだろう。本職の軍人から学ぶ射撃訓練を通してみるといつもより命中率が高いような気がする。
「巴さん、ちょっといいか?」
「はい?なんでしょうか?」
「おそらくだが君は以前に射撃の経験があるように思えるが」
「・・・前に家族でハワイに旅行に行ったときにやって・・・気に入ってオモチャでしばらく遊んでいたりしたので・・・」
「そうか。それにしては手慣れているな」
我ながら苦しい嘘よね。流石に技術は嘘つけないからなあ。
「気に障ったのなら申しわけない。ただ、君の実力を見て俺のサポートにまわってほしいと思ってだな。頼まれるか?」
「え?」
烏間先生の頼みに思わず声が上がってしまった。
『巴のヤツ、実力がバレてんな』
『前原君うるさいわよ』
『いつもいってるけどまだ君の力じゃなくて僕の力だからね』
「・・・巴さん、気が進まないのであれば断ってもいいが」
「いえ!やります!」
「そうか。では早速だが・・・」
今日頼まれたのは銃の扱いが安定しない子たちへのアドバイス。・・・少し違うけど懐かしいわね。こういうの。
「巴ちゃんなかなか評判いいねえ~」
「莉桜さんも真剣にやってよ。武器が違うからっておろそかにするのはよくないわ」
「わかってるって!」
烏間先生から基本的なことを学び、遅れ気味な子に私がアドバイスするという授業方式。
「教える立場になるという体験はどうでしたか?巴さん」
「殺せんせー」
授業終わりに様子を見ていた殺せんせーに声をかけられた。
「うーん・・・。正直私もまだ教えられる身じゃないと思ってますけど・・・、いい経験にはなってると思います」
「うんうん。教えるということはその事柄をより知るということです。巴さんの射撃能力などは深みがありますからねぇ」
「ふふ。ありがとうございます殺せんせー」
殺せんせーって本当にいい先生だと思う。ちょっと殺すのがおしくなるくらい。
「ま、先生を殺すにはまだまだですけどねぇ」
・・・こういう所がなかったらだけど。
その日の放課後、昨日契約したての磯貝君の指導のため、裏山の奥の方に来ていた。コンビ結成した中村さんと何をしに来たのかわからないカルマ君も一緒。
「頑張れよー!磯貝!」
「お前は茶々入れたいだけだろ前原」
「そうだよ。磯貝君は真剣なんだから」
「メグのいう通りだよ。マミっちたちの邪魔しないようにね!」
「そういや渚も見に来たんだな」
「うん・・・杉野とかはよく見にきてたみたいだけど僕はなかなか見学にいけなかったからね」
「って杉野、お前最近クラブチームに入ったんじゃなかったのか?いいのかこんなところで」
「今日は休み。それに磯貝のことも気になるしな。木村」
野次馬も一緒だ。
「それじゃあ磯貝君。不法投棄されてたドラム缶持って来たからこれに攻撃してみて」
「了解」
変身した磯貝君の姿は聖騎士のような鎧姿でよく似合っていた。
「いやあ、かっこいいねぇ。背中丸出しじゃなかったら」
「は!?なんで!?キュゥべえ!!」
「僕に聞かれても困るよ」
昔お父さんが読んでた漫画に服が前半分だけのキャラがいたような気がするなぁ・・・。ズボンは普通でよかったけど。
「本当はパンツ丸見えでも良かったんだけどそれだと一気にギャグ小説になるからやめにしたんだよね。じゃ、私はこの辺で!」
「・・・不破は何しに来たんだ」
「さあ・・・」
「気を取り直して・・・磯貝君、やってみて」
「あ、ああ」
磯貝君の武器はロングソード。その柄をしっかりと握りしめて、
「はああぁぁぁぁ!!!!」
ドラム缶に一閃し、ドラム缶に大きな亀裂ができた。
「さすが磯貝君、と言いたいところだけどまだまだね。姿勢はいいけど剣筋が微妙よ。そこは烏間先生のナイフ術をマスターすれば自然とよくなっていくはずだわ」
「そうか・・・難しいな。戦うって」
磯貝君は少し困ったように笑っていた。まだ実戦をしてないとはいえ戦闘センスはなかなかのものじゃないかと思う。
「あとは実際に戦ってみないとだよね」
「そうは言ってもカルマ君。魔女はすぐには見つかるもんじゃないわよ」
「まあ見ててよ。巴さん野次馬にでもバリア張っといてよ」
カルマ君に少し疑問を持ちながらも私はバリアを言われたように張っておいた。
「ここに魔女でも呼ぶの?まさか、使用済みのグリーフシード使うんじゃ・・・」
「いいや?もっと確実なほうだよ。俺の能力は魔女を呼び寄せる力なんだ。だからこうして」
カルマ君が指パッチンすると景色が歪み、道路工事現場のような結界へと変化した。辺りには綿毛のような使い魔がいたるところにフワフワ漂っていた。
「ここは使い魔の結界みたいだね。魔女はいないようだ」
「ふーん。やっぱ呼び出せんのは俺に選べないんだね」
「別にいいさ。こっちはなりたてなんだからこっちで腕試ししとくよ」
「私もいっちょやりますか」
磯貝君と莉桜さんは使い魔の一匹一匹に攻撃を加えて落としていってる。私も使い魔蹴散らしていると何かが落ちているのに気が付いた。しかも一帯にあちこちにと。拾ってみると黒いキューブ状のものだった。
「これは・・・?」
気にしてる場合じゃない。それにみんななり立てだからか派手な技はないみたいで時間がかかっているようだ。
「妙に数が多いし、一気に片づけるわ!・・・ティロ・フィナーレ!」
使い魔の一帯に閃光を叩きつけて一掃すると、景色は元にもどって行った。それと同時にバラバラと何か小さな硬いものが降り注いだ。さっき拾ったものと同じだ。使い魔の結界だからグリーフシードなんで出ないはず。・・・だとしたら、何?
「これは・・・グリーフシードのようなものだね」
「グリーフシードのようなものってどういうこと?」
「実際に試してみるといい。誰かソウルジェムを出してごらん」
キュゥべえに言われるがままにソウルジェムを小さなキューブに近づけると・・・穢れを吸い取ってしまった。
「本当にグリーフシード?にしてはそこまで綺麗になってないような・・・」
「それは磯貝悠馬の祈りによって生み出られた劣化版グリーフシードだ。回復量は本物には劣るけど効果は保証するよ」
「劣化版にしても効果はあるんでしょ?すごいもん生み出したねぇ磯貝君」
「そうだな。巴が危惧していた問題も少しは解決されるといいんだけどな」
「巴の危惧って・・・ああ、内ゲバだっけか。それなら大丈夫そうだな、巴!」
杉野君は楽観視してるけど私はそうは思えなかった。
「ねぇ磯貝君。あなたグリーフシードがらみで何を願ったのかしら」
「え?『E組の仲間にグリーフシード等の利益が平等に行き渡るようにしてほしい』ってところかな」
「そう・・・。これは外部に漏れないようにしましょう」
「外部って・・・あ」
磯貝君も気が付いたみたいで自分の失態に青ざめていた。
「どういうことだよ巴」
「考えてみて杉野君。うーん、例えばゲームでボスしか落とさないアイテムを子分が落とすようになる。だけどそれは他の人だけで、自分はそのアイテムを手に入れられないってなったらどう思う?」
「そりゃ・・・ずりぃって思うかな」
「そう。この劣化版グリーフシードの存在が知られたらずるいって思ってこの町に乗り込んでくるかもしれない。それこそ抗争に発展してもおかしくない。殺せんせーのこともあるし、それは避けたいわよね」
磯貝君はまずい事したかなって顔をしていた。私たちを考えての願いだったみたいだけどそこまで気は回らなかったみたい。
「こういうのはバレなきゃいいんだよ。現にウチには国家機密がいるんだしよ」
「前原は気楽なんだよ。マミっち確か魔法少女の知り合いいなかったっけ?」
「いるけど・・・連絡はとれてないのよ」
私は彼女のことを思い出していた。家族を願い事が原因で亡くしてしまった彼女のことを思うとクラスのみんなには同じような目にはあってほしくない。一体彼女はどうしてるのやら・・・。魔女だけを狩っているのかしら・・・。
彼女の事を気にしてる場合じゃない。
「とにかく!他の魔法少女にはこのことは知られないように。キュゥべえ、あなたもこのことは伝えちゃだめよ」
「わかったよ。言わないようにしておくよ」
キュゥべえも約束してくれたし、やれるのはこれくらいかしらね。
「みんなの事を考えての願いだったけど、余計に苦しめることになるかもしれないなんてな・・・」
「そうね。磯貝君はうまい事自分の願い事を組み込んだみたいだけど、本来は自分のために使うべきかもね」
「いいの?自分勝手な願い」
「他人に迷惑をかけなければ、ね。自分の意志で決めなきゃいけないことだから。戦いの日々になるから何があっても自己責任になる。だから人の願いじゃなくて自分のための願いじゃないとなんのために戦っているのかわからなくなると思うわ」
「難しいんだな。色々と」
「そうだね杉野君。自分のためにも、相手のためにもなるような願い事が出来ればいいんだけどね」
「片岡さんのいう通りにそんな願い事、できればいいけどね」
「そういや巴とかはどんな願い事したんだよ」
「私・・・私は・・・」
少し言葉に詰まっていると莉桜さんが肩をポンポンと叩いてきた。
「巴ちゃんが言いたくないんならいわなくてもいいんだよ」
「いいのよ莉桜さん。けど・・・これはクラスのみんなに言っときたいからまた今度ね」
「そんなことよりアンタたちがどんな願いをするかってところよ。例えば・・・木村とかどーよ」
「お、俺ぇ!?えっと・・・ええ?」
急に話を振られた木村君はあたふたしてなにも答えなかった。けどなんとなく察しはつくな。
「木村君は・・・ジャスティスって名前を変えたい、とか?」
「それ、茅野にいうんじゃねーぞ」
あまりいじられたくない木村君はちょっとふてくされてしまった。始めて聞いた時は驚いたなあ。少し悪かったかしら。
「叶えたいちゃ叶えたいけど、ただ改名ってだけで戦いに身を投じるってのもなー」
「渚君は下のヤツとって下さいとかどうよ。多分後遺症なしにとることができるよ」
「とらないよ!そんなことに奇跡つかいたくないよ!」
「えー。取らないの渚ちゃん」
「とるわけないよ!むしろ大切にしてって願うよ!」
「それが願いかい、潮田渚」
「こんなやりとりで契約はしないから!もっと考えるから!」
「ハイハイそこまで。渚君の願い事は渚君が決めることだから茶々いれない」
それはそうとこの小さな劣化版グリーフシードは遠くない内に争いの火種になる可能性がある。クラス全員が候補だと知られたら襲われるかもしれない。そうならないためにも私がみんなを守らないと。
それに、私はもう一人じゃないんだから
Anthony
薔薇園の魔女の手下 その役割は造園
出典 魔法少女まどか☆マギカ本編1話他
生態的な説明は本家を
使い魔の代表格(多分)
説明用にしばかれるために登場した使い魔