書き溜めが終わってないので首を長くしておまちください・・・
「やっほぉめぐめぐ。テストお疲れ様」
「・・・お疲れ様」
テスト終わりの放課後。心菜に呼び出されて私はファミレスに来ていた。心菜は見て分かるくらいにウキウキしていた。心菜は意気揚々に返却されたテストを私に見せつけてきた。
「見てみてぇ!75位!私頑張ったんだぁ。めぐめぐのカテキョのおかげでもあるけど」
「うん・・・すごいね」
「んで!めぐめぐはどうだったのぉ?」
心菜からテストの結果を聞かれ、少し出すのをためらってしまった。今回は理事長の妨害の影響で思うような結果が出せず、クラス女子一位ではあるけど72位になってしまった。それを本校舎の心菜に見せるのは…少し嫌だった。
「どうしたのめぐめぐぅ。見せあいっこしようよぉ」
「いや、私は・・・」
「ねぇねぇ、見せてよぉ。それともアレ?めぐめぐE組だから恥ずかし~点数でも取ったの?」
「そんなことはないけど・・・」
「じゃあ見せれるよねぇ?」
心菜の圧に押されて、私は仕方なしにテストを見せることにした。心菜は私のテスト結果を見ると少しつまらなさそうな顔をした。…マウント取り損ねたとか思ってるのかな…
「・・・へぇ。なんかめぐめぐ成績落ちたねぇ」
理事長の妨害がなかったらもっと取れてたと思うんだけどな。これって他責なのかな・・・。
「んでも私よりは少ーしだけいいじゃん。なんで出さなかったのぉ?」
「・・・なんとなく、かな」
「ふぅん。ま、いっか」
心菜は私の手を握ると
「ねぇめぐめぐぅ。これからもカテキョ、お願いできるよねぇ?」
「え・・・」
そんなお願いをされた。
「でも、結果よくなかったし…」
「大丈夫だよめぐめぐなら♪第一、私の苦手教科、めぐめぐいい成績じゃん。いけるって!」
「いや、そもそもクラス別になっちゃったんだし、それに・・・今やりたいことあるし」
「何」
私の断りの言葉は心菜の圧によって遮られてしまった。
「どーゆーこと?こんなに頼りにしてるのに呼んじゃダメなの?」
「そんな訳じゃ・・・」
「ひどい、私の事殺しかけたくせに」
・・・それは、そんなことはない・・・はずなんだけどさ
「あなたのせいで死にかけてから・・・私、怖くて水にも入れないんだよ?支えてくれるよね?一生」
心菜が泣いて私にすがってくる。ウソ泣きなのは分かってる・・・だけど、私は彼女に言い返せる言葉が思いつかない。
「あ、もぉこんなじかーん。友達と遊ぶ約束遅れちゃう。じゃーねーめぐめぐ♪これからもずっと私だけのイケメグだよ!」
心菜が去って行ったあと、私はあの子のすがられた手を見つめていた。よだれでベトベトになった手。あの子の魂胆はわかってる。私に甘えて楽をしたい。反復練習の嫌いなあの子が考えることだ。
あの海難事故があの子にいい口実を与えてしまったのだろう。あれをいいことに私をこき使おうってことなんだろう・・・別に私なら平気だ。甘えられることには慣れているし。
・・・ってこれ私が二人分払わなきゃいけないじゃん。・・・まあ、いいか。おこずかいには余裕あるし。
私はそう自分に言い聞かせながら支払いを済ませてお店を出た。
昔から、よく人のお世話をしてきた。服に無頓着な兄に服を選んであげたり、揶揄われたり絡まれている娘を助けたり、ふざけている男子に注意したり、あの子のように勉強に困っていたりする子に勉強を教えてあげたり・・・
自分の事は後回し。それでE組行きにはなったけど別に困ってなんかない。これでいいんだよ、きっと
「大変そうだね。片岡メグ」
ふと、聞き覚えのある声が聞こえあたりを見回すと
「き、キュゥべえ!?ちょっ・・・ここ道だから・・・」
「別にいいだろ?僕の声は一般の人には聞こえないんだから。君もテレパシーで会話すればいいじゃないか」
『・・・はぁ。で、何よ』
『随分とあの多川心菜という子に苦しめられているみたいだね』
『見てたの?』
『どうしてあそこまでしてあの子のいうことを聞いたりするんだい?君もそんなにいい気はしてないんだろ?』
『・・・アンタには関係ないでしょ』
『でも、君がやっていることはあまり理にかなってるとは思えない。ただでさえ君たちE組には暗殺という任務を任されているというのに、彼女の存在はそれに対する障壁だ。今は君が影響されているだけだけど、いずれクラス全体の足を引っ張りかねないよ』
「あの子の事悪く言わないでしょ!」
思わず声に出してしまい、周りの人に不審な目で見られたので慌てて携帯で話してるフリをして、人気のない方へ移動することにした。
「君もうっかりだね。テレパシーで話せって言ったの君じゃないか」
「それはっ・・・アンタが心菜に対して失礼なことを・・・」
「どうしてそこまでしてあの多川心菜の事を庇うんだい?今の君の現状を話したらクラスメイトや担任の教師たちは君の味方をしてくれると思うよ?あの子が悪いって言ってくれるはずだ。君は被害者の立場なのになんでそこまで片意地になっているんだい?」
「・・・」
去年はあの子の立ち回りが上手いせいで、私が振り回されている事にクラスの子のほとんどは気が付かなかった。原さんはなんとなく察していた気はするけどどこまで把握していたかわからない。誰かにあのことの詳細を話されたら楽だったんだけど・・・「お前のせいで溺れて死にかけたって言いふらしてやる」なんて言われたら誰にも言えなかった・・・。
今ならいえるかもしれない・・・けど
「それでもみんなを巻き込みたくない。これは私の問題なんだし・・・」
「そうやって自分に言い聞かせて誤魔化しているだけだろ?クラスに影響が出るまで隠しておくのかい?去年、そうやって黙ってE組に落ちたように」
それは・・・それは良くない。だけど
「言えないよ。みんなに心配かけたくない。それにどうすればいいのかわからないし・・・」
「なら、とっておきの方法が一つあるよ」
キュゥべえからそんなことを言われ思わずそっちに気を取られてしまった。なんのことか分かっているのに思わずすがりたくなってしまった。
「それって・・・契約?」
「ああ、僕と契約すればいい。どんな願いだって一つ叶えられるよ」
「どんな願いもって言われたって・・・」
正直、私には命を懸けてまで叶えたい願いはないし、磯貝君のような信念もまだない。何か適当な願いで魔法少女になったとしても、いずれ後悔することになるって巴さんも忠告してた。もちろん、魔女の影響を考えると素質があるのに見ないフリをして巴さんたちに任せっきりにするなんてこともできないから、ならないと。とは考えているけれど・・・頭の中で整理がまだできていない。
「その気になればちょっとした過去だって変えられる。あまり昔だと現代に何を及ぼすかわからないからおすすめはできないけど、数年前くらいなら問題ないよ」
「・・・本当に?」
ふと、過ったことがある。心菜を襲った海難事故がなかったら、あのとき、心菜がもう少し練習してくれたら、こんな事態にはならなかったんじゃないかって。
もし、それが実現できるのなら・・・
「・・・わかった。契約するよ、私」
「本当かい?」
「ええ。なんだってやるわ」
翌日
「片岡さん契約したの?」
「えへへ。まぁね」
このクラスの中で一番歴が長い巴さんにキュゥべえと契約したことを報告すると、少し驚いた顔をしたあと、嬉しそうに笑っていた。
「なんか不思議。前はこんなに仲間が増えるなんて思ってなかったから・・・グリーフシード問題も一応は解決できてるし、歓迎するわ」
「そっか。よかった契約して。・・・ところで巴さん」
「何かしら」
「心菜のことなんだけど・・・何か覚えてる?」
「え?心菜って・・・多川さん?あまり話したことないからなぁ・・・何かあったの?」
「ううん、別に」
・・・すごい。過去を変えられるって本当なんだ。巴さんは去年同クラだった。心菜の事故のことは同じクラスの人にしか伝えられてない。その巴さんが覚えてないってことは・・・本当に海難事故がなかったことになったんだ。
昨日、落ち着いて契約するために自分の部屋でキュゥべえと話したことを思い返した。
「心菜がもっと練習していたって事・・・出来るの?」
「出来なくはないけど・・・それでも海難事故は防げないと思うよ。彼女の性格を考えるとね」
「まぁ・・・確かにね・・・。えっと心菜の水に対する恐怖心をなくしても・・・無理か」
「何もそんなにまわりくどく考えなくてもいいじゃないか。海難事故が原因で彼女が君に執着しているんだからそれ自体をなくせばいいんだろ?」
「それじゃあダメなの。あのこ自身が泳げるようにならないと次また同じことがおきると思うし・・・」
「・・・否定はしないね」
「あの子が泳げるようしてしてってお願いしたら・・・どうなるの?」
「成果がでるのは夏になるね」
「そっか・・・じゃあ、あの日心菜が溺れることなく、泳げて、無事に海水浴を過ごせたってことって・・・出来る?」
「もちろん。容易いことさ」
「じゃあ、それでお願い」
「確か・・・片岡さんによく引っ付いてたような・・・それがどうしたの?彼女と何かあった?」
「・・・ううん!何にもないよ。で、さ。私にも指導お願いできる?」
「ええ、いいわよ」
巴さんはにっこりと笑って承諾してくれた。どこか、何かを察したような顔をして。多分、私の願い事を察したんだろうけど、彼女は何も言わなかった。・・・ありがたいな。ちょっといいずらいし。
放課後、心菜からメールが来た。
『やっほーめぐめぐ♪今日もいつものファミレスにしゅーごー☆』
変わらずの気の抜けたメールにため息をつきつつも、実験のつもりで断りのメールを入れてみた。
『ゴメン!ちょっと用事があっていけないやm(__)mまた今度ね』
出来ればこれからもっと忙しくなるだろうからあまり誘ってほしくないけど、今はこれで・・・あの子との関係も少しずつ良くなったらいいんだけどな。
風見野にて
「ふぃー。いっちょあがりっと」
鉄塔の頭頂部に赤い髪をポニーテールに結った少女が何もない空間から突然飛び出してきた。手には黒い塊、グリーフシードがあり、満足そうに笑っていた。
「お疲れ様、ここ最近は荒れていたのに随分と落ち着いたね」
「フン!ちょいとアイツが気にいらなかっただけさ」
目の前に現れたキュゥべえに軽口を叩きつつ、少女はグリーフシードでソウルジェムの浄化をした。使用済みのグリーフシードを乱暴に投げ捨て、キュゥべえはそれを難なくキャッチをして、処理をした。少女は仕事を終えたと言わんばかりに鉄塔の座れそうな部分に腰かけ、菓子パンの袋を少し乱暴目に開けた。
「ところでなんだけどさぁ、ここ最近減った気がするんだよね。魔女が」
「と、いうと?」
「一週間に4体は見つかっていた魔女がここんとこ2体に減ってるんだよねぇ。そんなことあるのか?」
「それは・・・あるかもしれないね」
「それは・・・どういうことだよ!」
少女の疑問への返答が気になり、少女はキュゥべえに話を続けさせた。
「ある者の祈りの影響で魔女が椚ヶ丘に集まりやすくなっているんだ。それが原因でここの魔女も減っているんだろうね」
「なにそれ、ちょーメイワクなんですけど」
少女はキュゥべえから聞いた情報に苛立ちつつ、菓子パンに乱暴にかじり食べていた。
「加勢はしなかったけど、見滝原はワルプルギスのせいでボロボロだし、大した被害はなかったけどこっちにまで影響があるし、アイツもアイツでなんかあったみたいだし、その上魔女まで奪われちゃぁかなわねーよ」
菓子パンの最後の一欠けらを口に放り込むと少女は立ち上がり、小さくため息をついた。
「まあいいさ。なんかアイツ、見滝原を離れるみたいだしよ、アタシの縄張りが広がるんだから魔女狩りのペースも戻んだろ・・・でもよ」
「でも・・・なんだい?」
「それでも魔女がいないってなったら行くしかないよね?椚ヶ丘」
少女は八重歯を覗かせながらニヤリと笑った。
「確か椚ヶ丘にはマミもいたはずだ。奴にも挨拶しねーとな」
少女は鉄塔の上で小さく笑った。夜空には三日月のままとなった月が浮かび、少女を照らすのだった。