巴マミは暗殺者   作:百乃綾香

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いきなりー!
教えてくぬどん!



「やあ、みんな!僕くぬどんだよ!」

くぬどんだー!

「今日は椚ヶ丘中学三年生の修学旅行だよ!」

しゅーがくりょこー!

「行先は京都!歴史ある街を探訪して知見を深めるよ!」

ブラタ○リー!

「京都までの移動はグリーン車で快適に!・・・(低い声で)E組は普通車ぁー」

「宿泊先は豪華なホテル!それぞれ個室泊りだからプライバシーも安心!(低い声で)E組はオンボロ旅館で男女ごとの大部屋2つぅー」

「え?修学旅行代?それはどのクラスも共通!E組も同じなのは不公平じゃないかって?E組はクズだから差額は学園に寄付してもらうよ!クズなんだからそれぐらいは貢献しないとね!」


16時間目 修学旅行の時間

「京都といったら五重塔でしょ?ここに行ってみたいんだよねー」

「五重塔なら東京にもあんだろ。京都つったら清水寺だろ」

「どっちも人が多そうで嫌だけどねぇ。その方が狙撃しやすいのかもしんないけど。ねぇ巴、アンタとしてはどうなのよ」

「うーん・・・そうねぇ・・・」

 

私は今、修学旅行の計画を一緒に行動する3班の人たちと立てているところだ。ちなみに私が3班になったのにはちょっとした色々があって・・・

 

「巴さん、修学旅行の班どこにするか決めた?」

「班?いいえ、まだね」

「まだ?なら巴ちゃん、私と一緒の班になろうよ。コンビでお土産みて回ろうよ」

「いいけど・・・私、契約してる子がいない班に入ろうっかなって思ってて」

「あ、そうなの?」

「前に遠足の途中で魔女の結界に巻き込まれた子がいてね。その子はちゃんと救えたんだけど同じことが向こうでも起こらないとも限らないし、京都も広いから、別の班が巻き込まれたときにすぐに駆け付けられないのかもしれない。そのためにも戦える人はばらけて置いといたほうがいいかなって」

「そっか。2班にお誘いしたかったけどそれなら仕方ないか」

「ほかに決まってないのは?」

「1班以外かな」

「あ、じゃあ3班(ウチ)くるのはどう?契約してる子はいなかったはずだよ」

「原さんの班?別にいいわよ。寺坂君たちがいるのよね?席も近いしいいわよ」

「じゃ、きまりってことで」

 

そんなことがあり、私は3班に入り、修学旅行のコース決めをしている所だ。それも普通のコース決めじゃない。暗殺を絡めたコースを烏間先生からお願いされている。殺せんせーが班ごとに回るコースに付き添う予定で、そこにプロの狙撃手(スナイパー)を手配するとのことだ。成功したら貢献度に応じて百億円からいくらか分配させるそう。

 

「つーかよぉ、俺らシロートに狙撃位置決められんのどーなのよ。プロ的には」

「そこはうまい事いいポイント見つけてくるんじゃない?プロなんだし」

 

なんてワイワイ話していると殺せんせーが入ってきた。しかも妙に分厚い本を沢山もって。

 

「ひとり一冊です」

「重っ・・・」

「何、これ、殺せんせー?」

「修学旅行のしおりです」

「辞書だろこれ!」

 

パラパラとめくってみると、お土産ランキングやらハプニングの対処法まで様々なことが書かれていた。・・・八割くらいいらないけど。

 

「大体さぁ、殺せんせーなら京都まで一分でいけるっしょ」

「もちろんです。ですが、移動と旅行は違います。みんなで楽しみ、みんなでハプニングにあう。先生はね、君たちと一緒に旅できるのがうれしいのです」

「・・・だからあんな馬鹿デカい荷物を?」

 

殺せんせーの傍らにはとてもでかいリュックにギチギチに積み込まれた荷物が置かれていた。

 

「なにをいうんですか!これは全部必要なものです!」

「その漫画家用の定規も!?」

「こんにゃくいらないだろ!」

「危機一髪とか無駄に自分仕様にするな!」

「待ってください!荷物仕分けしないでぇえええ!!先生のプライベートが!」

「ほぼ指名手配なやつがいっちょ前にプライベートとかぬかすな!」

 

 

 

 

就学旅行当日

京都へと向かうために新幹線に乗り込む。A組からD組はグリーン車、たいしてE組(ウチ)は普通車。いつもの差別を受けていると、渚君に見たことがある2人が絡んでいた。

 

「文句を言うなE組の諸君。学費の用途は成績優秀者に優先される」

「おやおや、君たちから貧乏の香りがしてくるねぇ」

 

あれは・・・この前悪口いってた2人組?名前なんだっけ?私たちに絡むとか暇なのね。

その後、ビッチ先生がセレブリティな恰好をして現れて烏間先生に叱られたり、殺せんせーが乗り遅れて新幹線に張り付いたりとトラブルが色々とおきた。殺せんせー「旅にハプニングはつきもの」って言っていたけど、そういうことじゃないだろうなぁ・・・

 

新幹線とバスを乗り継いでついた古い旅館。そこのロビーで殺せんせーが酔いつぶれていた。マッハで動けるのに乗り物酔いするとはね・・・

 

「大丈夫?寝室で休んだら?」

 

私たちの数人でバテバテの先生に攻撃したけどいつもようにサラリとかわし続けている。

 

「先生これから一度東京に戻りますし。枕を忘れてしまったので」

「あんだけ荷物あって忘れ物かよ!」

 

そういえば前に教室で見た時よりカバンが大きくなってるような・・・それでも忘れ物するってどうなの・・・?

 

「どう神崎さん?日程表見つかった?」

「・・・ううん」

 

後ろの方で困っているような声が聞こえて来たので振り返ってみると、神崎さんがカバンの中をあさって何かを探してるみたいだった。

 

「神崎さんは真面目ですからねぇ。独自に日程をまとめてたとは感心です。でもご安心を。先生手作りのしおりをみてば全て安心」

「「「それ持って歩きたくないからまとめてんだよ!!」」」

 

男子たちのツッコミのあと、トントンと肩を叩かれた。杉野君がテレパシーで私に話があるみたいだ。

 

『なぁ、巴の魔法でポンっと取り出したり出来ねーのか?』

『さすがに無理よ。魔法は思ったより万能じゃないの。そういう魔法を持っている子はいるだろうけど、それはそういう願いをしたら手にできるものだし・・・私にはないものなの』

『なんか思ってたより不便だよな。魔法って』

 

カバンをひっくり返しても神崎さんの日程表は見つからなかったみたいだ。神崎さんは途方に暮れていた。

 

「確かにバックに入れてたのに・・・どこかで落としたのかなぁ」

「神崎さん。よかったら私の写す?」

 

ちょうど私も神崎さんのように分厚いしおりをまとめていた。普段の魔女退治の反省ノートの応用でわりと簡単だった。

 

「え、いいの?巴さん」

「うん。ただ、私は3班だから、同じ班員の人に判別行動だけ写してもらってね」

 

それを聞くと、神崎さんは嬉しそうに笑っていた。

 

「ありがとう巴さん。じゃお願いしようかな?」

「いいですね巴さん。旅仲間が困っていたら助ける。それもまた旅行です。でもご安心を。先生が今、しおりを新たに手描きコピーしておいたので写す手間が省けます」

「「「根本的な解決になってねぇ!」」」

 

・・・結局神崎さんは殺せんせーの手書きコピーのしおりを断り、私の日程表を写すことにした。・・・写している間、殺せんせーが恨めしそうに泣きながら泣きながら見ていた気がするけど、無視していいわよね、アレ。

 

 

翌日

私たち3班は銀閣寺や清水寺を回るコースに設定している。殺せんせーが同行するのは午後から。午前中はまったり観光する事が出来る・・・というわけにはいかない。

 

「おい巴。指輪かざしてなにやってんだよ」

「魔女探しよ」

「こんな時にでもかよ!!」

「当り前よ。流石に大っぴらに探したりはしないけど、観光地であっても出る時は出るんだから用心するものよ。数年前の遠足にも出たんだし」

 

みんな引いたり、少し感心そうな顔をしたり三者三葉だった。

 

「それに観光地って人が多いでしょ?その分トラブルも多くなる。魔女はそういった場所にも現れるから・・・まあ、みんなが巻き込まれないように先んじて魔女がいるかどうか調べとくのも手なのよ」

「ふぅん。ところでアンタ、前に他所の魔法少女がどうこうとか言ってなかった?京都にいないの?魔法少女」

「いるにはいるだろうけど、だからといって巻き込まれても「自分のテリトリーじゃないから魔女倒しません」っていって放置するわけにはいかないわ」

「けっ。ご苦労なこった。テメーはほぼ押し付けられたも同然なのに、そこまでして使命に燃えることもねーだろうが」

 

寺坂君の言葉に足が止まってしまった。それに気が付いた原さんが心配そうにかけより、発言者の寺坂君は両脇から吉田君と村松君にこずかれていた。

 

「んだよ、俺がワリーのかよ」

「いいのよ、べつに。そういうのもわかるわ。・・・だけどそうもいかないの。私は人を助けられなかったことがあるの。だから誰も犠牲を出したくない。だから魔女退治をやめるわけにはいかないわ」

「うん・・・そっか。その巴さんの心がけのおかげで私たちは助かったわけだし、立派だと思うよ」

「ふふ、そうね。でも原さん気を付けてよね。使用済みのグリーフシードって危険だから、次に見つけたときは私か他の魔法少女に連絡してね」

「うん?・・・あ、そっちか。うん。気をつけるね」

 

そっち?・・・3月の事言ってるのね。にしても魔女がよく現れるわよねあの学校。殺せんせーが来てから頻度は減ったけど。

 

「ま、いいわ、さっさと銀閣寺にでもいきましょ。でないと先生が狙撃ポイントにつく前に来ちゃうわ」

 

 

午後、お昼をすませて、本命の狙撃ポイントの清水寺に来たはいいけど・・・

 

「あのタコ・・・来ねぇな」

「2班でなにか足止め食らっているのだろうね」

「うーん・・・烏間先生から狙撃ポイントは複数用意しとけって言われているし、ここは諦めて次のポイントで待ちましょ」

『やぁ、調子はどうだい』

 

手すりのところにキュゥべえが現れた。ってことは2班での活動は終わったのね。

今回の修学旅行での暗殺計画に、こっそりとキュゥべえのテレパシーの力を組み込ませておいた。とはいってもキュゥべえのテレパシーを使ってこそこそ話しながらタイミングを狙うってだけなんだけど。

 

「で、どうだったの?他の班の様子」

「1班はトロッコ列車での暗殺に失敗。2班ではチャンバラショーに演者側に回り込むことで狙われにくくした。最終的に自分が主役のショーをやっていたよ」

「なにしてんだあのタコ・・・」

 

様は2つの班は失敗して、次は私たちの班って事ね。というか殺せんせー自由すぎない?

 

「まだあの教師はショーに酔いしれているよ。時間かかりそうだから先にこっちにきたんだ」

「少し前から思ってたけど・・・先生ナルシスト入ってるわよね」

「・・・まあ、どっちにしろ次の狙撃ポイント・・・三年坂のお土産店にいきましょ」

 

狙撃ポイント近くで待っていると、殺せんせーがようやく到着した。

 

「遅いよ殺せんせー」

「にゅやっ失礼!自分が主役の時代劇に酔ってまして」

『本当にやってたのかよ、自分を主役にしてたショー』

『吉田君シッ!』

「清水寺もうとっくに回ったけど」

「ほう、では二年坂でお土産探しと行きますか」

「どーせ甘いモンしか興味ねーだろ」

 

殺せんせーとお土産を物色しつつ、先生の気が引けそうなものを探していた。プロのスナイパーの人には八坂の五重塔から狙撃してもらうことになっている。

 

「殺せんせー。今買ったあぶらとり紙使ってみなよ」

「うーむ、ベトベトとれたら恥ずかしいですね・・・」

「いいからいいから」

 

原さんが動いた。買ったお土産で気を引かせて狙ってもらう。ドンっと殺せんせーの頭が細かく揺れた。プロの狙撃手(スナイパー)の弾が命中した。・・・先生の粘液で分厚くなったあぶらとり紙に。

 

「いわんこっちゃない。こんなに粘液がとれてしまった!弾丸も止めるくらい!」

 

さっきまでなかった位置のあぶらとり紙を外して私たちに嬉しそうに見せつけている。なんというか、察しが良すぎるというか・・・規格外すぎて何も言えないわ・・・。

 

すると、殺せんせーの携帯鳴った。

 

「おや、渚君の班からです。もしもし・・・!!それで今どこにってもしもし!!?」

 

なんだかただならぬ事態が起きたのか、殺せんせーは電話を切ると、

 

「緊急事態です!茅野さんと神崎さんが何者かに拉致られたそうです!」

「な、なんですって!?」

「先生はこれから探し出しますので、君たちも何か手掛かりがあればすぐに先生にご連絡を」

「手掛かりつったって、どうすれば」

「先生がしおりに班員が何者かに拉致られた時の対処方を書いてます。拉致実行犯潜伏対策マップを付録につけてますのでそちらもご参考に」

「なんなんだよそのしおり!」

 

では!と殺せんせーはマッハで飛び去って行ってしまった。残された私たちは唖然としてお互いを見あっていた。魔女に巻き込まれ想定はしていたけれど、対人間は全く考えていなかった。

 

「なんか・・・ヤベーことになってんな」

「なぁ巴、テレパシーかなんかで場所とかわかんねぇのかよ」

「ちょっとまって・・・・・・・・・。ごめんなさい。無理だわ。少なくともカルマ君はこの近くにいないし、そもそも茅野さんと神崎さんは契約してないから探しようがないわ」

「・・・いざってときにあまり役にたってねぇか?魔法って」

「そう言わないの!現実はそう上手くいかないのよ」

「近年の魔法少女モノはブラック多めだからね。仕方ないさ」

「竹林君。それ、私がツッコんだらダメそうなんだけど・・・」

「まあ、だったらさ、キュゥべえは使えないの?」

「そうね・・・ってあれ?キュゥべえは?」

 

きがつくと、キュゥべえはどこにもいなく、少し静かな三年坂は不気味な雰囲気を漂わせていた。

とりあえず、今私たちにできることは、彼女たちが無事でいることを願うだけだった。




【悲報】
修学旅行編のマミさんのまともな出番この話のみ(多分)
レッドアイさんの出番カット
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