巴マミは暗殺者   作:百乃綾香

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暗殺教室アニメ10周年記念キタコレ!
まどマギも新作映画とゲームもくるし
すごく楽しみですね

なのに今回の話は少し薄暗いです

そして三人称視点です


19時間目 ナイショの時間

古びた旅館のゲームコーナー、その筐体の一つに注目が集まっている。

 

「・・・すげぇ」

 

画面を見ていた杉野の口から感嘆の言葉が漏れた。

 

「うおお・・・どーやって避けてんのかまるでわからん!」

「誘っておいてアレだけど、恥ずかしいな、なんだか」

「おしとやかに微笑みながら手つきはプロだ」

 

杉野から褒められた神崎はテレつつも手を止めずにクリアした。

全面クリアして画面にはエンドロールが流れていく。

 

「すごい意外です。神崎さんがこんなにゲーム得意だなんて」

「・・・黙ってたの。遊びができても進学校じゃ白い目で見られるだけだし」

 

エンディングが流れる筐体に背を向け、観戦していた渚たちの方に向き合った。

 

「でも、周りの目を気にしすぎてたのかも。服も趣味も肩書も、逃げたり流されたりしてみにつけてたから自信がなかった。でも殺せんせーに言われて気が付いたの。大切なのは中身の自分が前を向いて頑張ることだって」

 

神崎の語りに皆は優しい表情で見つめている。

 

「あ、そうだ!他もみたーい!神崎さんいいかな?」

「うん、いいよ」

 

他のゲームをプレイする神崎とそれを観戦する茅野。彼女たちの間には柔らかい空気が流れている。彼女たちが誘拐されている間に何があったのか知る者はいない。彼女の間だけの秘密が彼女たちに安らぎを与えているのだろう。そう渚は思っていた。

 

その後渚たちは中村たちの好奇心という名の覗きに巻き込まれ、己の担任が風呂で煮凝りを作りながら入浴しているのを目撃したというよくわからない事柄が起こり、男子部屋へと帰還した。

部屋では男子たちが部屋で寝っ転がってスマホをいじったり買ったお土産を食べたりまったりとすごしていた。

 

「おかえりー」

「ただいまーってみんなだらけてるね」

「そりゃせっかくの旅行だからな。みんなでダラダラしないとな」

「てかお前らなにしてたんだよ」

「中村たちに巻き込まれて殺せんせーの覗きしてきたんだよ・・・あんなロマンのない覗きあるのかよ・・・それに覗きは俺らのジョブなのに・・・」

「岡島お前・・・いつか捕まるぞ」

 

と、少しひと笑い起きたあと渚は辺りを見回した。

 

「・・・あれ?カルマ君は?」

「カルマなら飲みモン買いにいったぞ」

「そっか・・・カルマ君いないなら丁度いいかな、みんな聞きたいことがあるんだ」

「・・・なんだよ改まって」

 

渚は畳に座り姿勢を正した。それに釣られて後ろにいた杉野と岡島も座り込み、部屋で寝っ転がっていた男子も起き上がり姿勢を正して渚を見つめた。

 

「僕らの自殺未遂の事、殺せんせーに言うべきなんじゃないかなっておもうんだけど」

 

渚の提案に部屋にいた男子たちは息をのんでしまった

 

「・・・!」「いや・・・」「それは・・・どうだろうな」

 

その返事はあまりいいものでなく、ある者は目を目を反らし、ある者は口をつぐんでしまった。

3月に起きた例の出来事は彼らの中で未だに深い傷になっており、カラクリがわかってもなおあまり口にも耳にもしたくない話題ではあった。

 

「言いずらいのはわかってる。でも魔女のせいとはいえ僕らが自殺未遂をしたのは事実だ。・・・それに殺せんせーならきっと受け入れてくれる」

 

その言葉を聞いても誰も何も言わなかった。踏ん切りがつかなかった。それは渚も同じだ。誰かの後押しがほしかった。だけどそれは誰にも与えられなかった。

少しの間、沈黙が流れる。

 

「俺は反対だ」

「寺坂君」

 

寺坂は小さくため息をつきながら耳の中をほじっていた。掘り出した耳垢を丸めながら少しだけ渚を睨みつけていた。

 

「言ったところでタコにどうしてほしいんだよ。腫物扱いしてほしーってか?」

「そんなこと・・・ないけど・・・」

「ならいわねーほうがいいだろ。変な気遣いはご免だ」

 

寺坂の主張に渚は何も言えず、下を向いて拳を握るだけだった。

 

「俺も・・・今は反対だな」

「磯貝君まで・・・」

「言うべきじゃないというか・・・今はまだ言わなくていいと思う。女子の意見も聞かないといけないし・・・保留でいいか?」

「うん・・・」

 

渚も飲み込む他なかった。けれどこのまま隠したままではいけない。自殺未遂のことも魔法少女のことも伝えるべきなのでは・・・?けれど自殺未遂はまだしも、まだ当事者ではない渚に魔法少女のことははなすべきではない。渚はそう考えて一旦はなかったことにした。

 

「・・・んじゃ、ある程度人数揃ったんだし、アレやろうぜ」

「・・・アレって?」

「気になる女子ランキング!ほれ、渚も杉野もさっさとかけよ」

 

 

 

一方女子部屋

「さぁて、アレやりますかね、アレ」

「アレって・・・?」

「恋バナよ恋バナ。どうせ男子も同じことやってるだろうし」

 

中村は得意げに立ち上がって音頭をとった。

 

「じゃー気になる男子とかいる?」

「はいはーい烏間先生!」

 

烏間に恋慕している倉橋は朗らかに手をあげた。

 

「それは皆でしょ。生徒の中でだよ」

「えー」

「まあ生徒でなら磯貝君一択だよね。前原君とかもいいけどチャラ男だしねぇ」

「顔だけでいったらカルマ君もそうだよね」

「でもなんか危険じゃない?」

「「「そうだよねー」」」

 

みんながそうだそうだと頷いていると「あ!」と奥田が声を上げた。

 

「でもカルマ君意外と話しやすいですよ?」

「敵対しなきゃ割と優しいのかしらねぇ・・・」

 

奥田の評価に喧嘩を一方的に売られたことのあるマミは奥田の意見に苦笑いした。

 

「巴さんちょっと大変だったみたいだよね」

「まあ、今はどうにかなっているから」

「・・・んで、巴ちゃんの気になる人とかいないの?」

「え?うーん・・・特にはいないかな・・・」

「えーホントにぇ?」

「ホントよ。魔女退治に忙しくてあまりそういったことに触れたことなかったからねぇ」

「おお、少し触れづらいようなことを・・・」

 

と話しているとガラリとふすまが開かれてビッチ先生が入ってきた。

 

「ガキ共、そろそろ消灯の時間を一応伝えにきたわよ」

「一応って・・・」「どーせ夜通し喋るんでしょ?静かに過ごしなさいよ」

「どうせならビッチ先生も混ざろうよ」

「はぁ?なんで」

「いいからいいから」

 

矢田に促されるがままに部屋に入れられたイリーナは観念したのか窓辺に腰かけた。

 

「しかたないわね・・・ガキ共には刺激があるわよ」

 

イリーナが昔話しているその時の男子部屋では件のランキングの集計が終わっていた。

 

「やっぱ神崎さんが一位かー」

「まぁ嫌いな奴いないわな」

「で、上手く班に引き込んだ杉野はどーだったん?」

「それがさぁ色々トラブルがあってさ、じっくり話すタイミング少なかったわ」

「あー、なんか大変だったらしいな」

 

そこでふすまが開かれ、カルマが入ってきた。

 

「お、面白そうなことしてんじゃん」

「カルマいいとこ来た」

「お前クラスで気になる奴いる?」

「みんな言ってんだ。逃げらんねーぞ」

「うーん、奥田さんかな」

「お、意外。なんで?」

「だって彼女怪しげな薬作れそーだし、キュゥべえとの契約でテレポート使えるようになったし、俺のイタズラの幅が広がるじゃん」

「・・・絶対にくっつかせたくない二人だな」

「しかも魔法なしでも害悪度高そうだし」

「みんな、この投票結果は男子の秘密な。知られたくない奴が大半だろうし、助詞や先生に絶対に・・・」

 

ふと、窓の方をみると殺せんせーがべったりと張り付いており、ニヤニヤしながらメモを取っていた。が、生徒に気が付かれたとともにマッハで逃げ去って行った。

 

「メモって逃げやがった!殺せ!」

「待てやこのタコ!生徒のプライバシー侵しやがって!」

「ヌルフフフフ、先生の超スピードはこういう情報を知るためにあるんですよ」

 

 

 

また戻って女子部屋

 

「ビッチ先生まだ二十歳ぃ!?」「経験豊富だからもっと上かと」「毒蛾みたいなキャラのくせして」

「それは濃い人生が作る色気が、って誰だ今毒蛾っつたの!!!」

 

と、ひとしきりキレたのち

 

「女の賞味期限は短いの。あんたたちは私と違って・・・危険とはほど遠い国に生まれたのよ。感謝して全力で女を磨きなさい」

 

ある意味では危険に近いところにいるが、魔女の事を知らないイリーナに言うべきではないと感じた彼女たちは

 

「ビッチ先生がまともなこと言ってる」「なんか生意気」

 

と、いじる方向で答えた。

 

「なめくさりおってガキども!」

「じゃあさじゃあさ、ビッチ先生がオトしてきた男の話聞かせてよ」「あ、興味あるー」

「フフいいわよ。子供にはシゲキが強いから覚悟しなさい。あれは17のとき・・・」

 

イリーナが目をやると女子生徒に交じって殺せんせーが一緒に話を聞こうとしていた。

 

「おいそこぉ!」

 

女子たちが後ろを振り向くと、何も悪びれずにニヤニヤと居座っていた。

 

「さりげなく紛れ込むな女の園に!!」

「いいじゃないですか。私もその色恋の話聞きたいですよ」

「そーゆー殺せんせーはどーなのよ。自分のプライベートはちっとも話さないくせに」

 

急に己に話を振られるとは思わなかったのか、見たままに焦って生徒たちをみまわしていた。

 

「そーだよ人のばっかり!」「先生には恋バナないわけ?」「そーよ、巨乳好きなんだし片思いぐらいあるでしょ」

 

女子たちに詰められて気まずいのか殺せんせーは何も言わずにマッハで去ってしまった。

 

「逃げやがった!捕らえて吐かせて殺すのよ!」

 

イリーナの指示のもと殺せんせーを追うと先ほどから殺せんせーを追いかける男子も奥の方からやってきた。

 

「いたぞこのタコ!」「ぜってー許さねーからな!」

 

男子と女子に挟まれた殺せんせーは大慌てで放たれる弾丸やナイフをかわし続ける。なんだかいつもの教室のような風景が目の前に行われていた。

 

「・・・なんだかんだで結局は暗殺になるね」

「うん」

 

渚茅野と一緒にどこか苦笑いしている巴を見た渚はある疑問をぶつけてみた。

 

「そういえばさ、巴さん」

「なにかしら渚君」

「魔法少女とか魔女のこと・・・殺せんせーに言うべきかな?」

「え?どうして?」

「いや、結構危険なことだし、一応は伝えたりしたほうがいいのかなって」

 

そう渚に言われ、マミは少し複雑そうにしながら、己の考えを述べた。

 

「それは・・・そうかもいれないけど・・・むしろ止められそうだから私は言いたくないかな」

「え?なんで止めてほしくないの?」

「・・・正直いうとね、魔法少女やめたら私の生きてる意味が分からなくなりそうだから・・・ね。だからこの役割を取り上げられたくないの。コレみんなには秘密ね。なんか悪いし」

「うん・・・わかった、言わないでおくね」

 

横で聞いていた茅野もまた、何も言わず静かに頷いた。

 

 

 

「いやぁ、危ないところでした」

 

殺せんせーは生徒の猛攻を突破し、教員の泊まる部屋に逃げ込んだ。そこでは烏間が資料を広げていた。今回の修学旅行での作戦はスナイパーが降りたことで行き詰まり、この日で終了という成果がでない痛々しい結果に少し頭を悩ませていた。

 

「どうしたさっきから騒がしいな」

「生徒たちに恋バナを吐かされそうになりまして」

「・・・恋バナ?」

「私にだって過去の恋バナなどゴロゴロありますしねぇ、この触手で数えきれないぐらいに」

「その話は・・・お前の手足が2本ずつだった時の話か?」

 

烏間に聞かれた殺せんせーは何も言わず、お土産の饅頭を頬張った。

 

「やめておく、どうせ話す気もないだろうしな」

「賢明です烏間先生、いくら旅先でも、手足の本数まで効くのは野暮ですから」

 

烏間も同じ考えなのか何も言わず殺せんせーに背を向け、資料を片づけて布団をしいた。

殺せんせーは一人、思考していた。

 

(生徒には殺されても言えない話は沢山ある。・・・生徒に何か隠し事されていても文句は言えませんねぇ・・・出来れば危険でない秘密ならいいのですが・・・)

 

何か生徒は隠し事をしている。それはわかってはいるが、今一歩正解が分からず、どこかもどかしい思いでいた。

 

(・・・まさか、あの化け物に関する事?しかしあれっきり化け物は裏山でみることもなくなった。なら違うのでしょうか・・・?)

 

 

「明日最終日かぁ」

「楽しかったね修学旅行」

 

殺せんせーを見失った生徒たちはあー、疲れたとボヤキながらそれぞれの部屋へと戻り、今廊下にいるのは渚と茅野の二人だけだった。

渚は黙って空を見つめていた。

 

「どしたの?」

「・・・うん、ちょっと思ったんだ。修学旅行ってさ、終わりが近づいた感するじゃん。暗殺生活始まったばかりだし、地球が来年終わるかはどうかわからないけど・・・このE組は絶対に終わるんだよね、来年の3月で」

「・・・そうだね」

 

もしマミがいなかったらそれこそ今年の三月で渚たちのクラスは終わっていた。そんなことをなんとなく考えてしまっていた。その事実はまだ、あのときクラスにいなかったものは何も知らない、殺せんせーもカルマも茅野も他の二人の先生もまた。

人はいつ死ぬかわからない。そんな聞いたことがあるけど実感することなんてない言葉がこのクラスにはとても深い意味を成している。茅野には知る由もないけど、と渚は考えていた。

 

「みんなの事もっと知ったり先生殺したりやり残す事ないように暮らしたいな・・・魔女のこと知ってしまった以上、いつ死ぬかもわからないって気もするし」

 

茅野はその言葉の真意をなんとなく感じ取ったが、何も言わなかった。思い出すのは・・・姉のことだけ。誰にも気づかれてはならない秘密。誰にも言えない秘密。

 

「・・・とりあえずもう一回位行きたいね、修学旅行」

「・・・うん」

 

各々が各々の秘密を抱え、それを見つからぬようにそっと闇に包みながら静かに京都の夜は更けていくのだった。





???「本当にないのか俺の出番!!」

「まあ、魔女絡めてもあまり面白くなりそうにないからねぇ」

???「誰だてめぇ!?どっから声をかけている!?」

「円環のスタジオ・・・ってとこかな」

???「どこだよ!!」

「先輩!マギレポでもやらなかったことは止めましょうよ!やちよさんに怒られますよ!」

「ま、そうだね。ウワサ復活するとメンドイしこの辺にしときますか。じゃあ、まったね~」

???「・・・聞こえなくなった。なんだったんだあのダミ声は」
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