自律思考固定砲台より
想定外のトラブルにより2日目の予定を実行できず。
私の独力で解決できる確率が極めて下がる恐れあり、至急対策をお願いします。
「ダメですよ。保護者に頼っては。あなたの保護者が考える戦術は・・・この教室の現状に合ってるとは言い難い。それにあなたは生徒であり、転校生です。皆と強調する方法はまず自分で考えなくては」
・・・協調?
「なぜ先生ではなく生徒に暗殺を邪魔されたかわかりますか?
彼らからしてみれば君の射撃で授業が妨害される上、君がまき散らした弾の始末に労力を使う。しかも君が先生を殺せたとして・・・賞金は多分全額君の保護者に行くでしょう。あなたの暗殺は他の生徒に何のメリットも無いわけです」
・・・そう言われて理解しました殺せんせー。クラスメイトの利害までは考慮していませんでした。
「ヌルフフフフ。やっぱり君は頭が良い。ところでこれをあなたに作ってみました。アプリケーションと追加メモリです。ウイルスなど入ってないので受け取って下さい」
・・・・・・!!これは・・・!
「クラスメイトと強調して射撃した場合の演算ソフトです。暗殺成功率が格段に上がるのがわかるでしょ?」
・・・異論ありません。
「暗殺における協調の大切さが理解できたと思います。どうですか?皆と仲良くなりたいでしょう」
・・・方法がわかりません。
「おまかせあれ、すでに準備をしてきました」
・・・何をする気ですか?
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放課後
「じゃ、奥田さんの初の魔女退治行きましょうか」
「は、はい!」
最近恒例の合同パトロールに3日前に契約した奥田さんが加わった。
「あ、あのっ・・・よろしくお願いします!」
「クラスメイトなんだから固くならないの」
ピクピクする奥田さんをなだめてパトロールを始めた。今日も例によって見学も一緒だ。
パトロールを始めて10分ほどして魔女の結界を見つけた。
「それじゃあ、準備はいい?みんな」
「「「おう!」」」
結界内部は森林のようになっていた。木々の間からキツツキっぽい使い魔がこちらに向かって飛んでくる。
「これ・・・キリがないな」
「使い魔自体小さいから同士討ちも上手くできてないんだよねぇ」
見学のみんなも一応の防衛手段はあるけど・・・なかなかやっかいだ。こないだみたいにティロ・フィナーレで一掃というわけにもいかないわね・・・。
「みんな下がって、私にいい手があるから」
片岡さんがそういってレイピアをかざすと刃にわきの湖から大量の水が巻き付いた。
「・・・ハァア!!」
レイピアを水平に切るように振りかざすと纏わりついていた水は波うつように広がり、使い魔たちを押し流してしまった。
「今のは?片岡さん何したのですか?」
「片岡メグの固有魔法は水流操作。近くに水があれば自在に操作出来るんだ」
「へぇ・・・すごいですね」
「うん・・・不破さんに漫画借りて色々勉強してるんだよね」
「ちなみに具体的な作品名は出せないわ!作者が詳しくないからね!」
「不破さん?」
「でも決まったわよね。片岡さんのオンデ・デラック!」
私が命名した必殺技名を口にしたとたん、なぜかあたりが静まり返った。
「おん・・・?」
「イタリア語で水の波動って意味よ。他にも命名済みだから楽しみにしておいて」
「お・・・おう」
なんだかみんなの反応は戸惑ってばかりだった。
なんか前にもあったわね、こういうの。
「あら?なんか反応がいまいちね」
「いや・・・そういうのくるとは思ってなくて・・・」
「ほかにも考えてあるわよ。磯貝君の技はエアリィ・シュアート、ドイツ語で実直な剣って意味」
「なんでドイツ語?」
「男の子はゴツイ方がよくない?」
「そうか?」
「莉桜さんの技はダンザ・ディモート、イタリア語で死者の舞踊って意味よ」
「え・・・」
私の命名の必殺技を聞いた莉桜さんの反応は良くはなく、戸惑ってるというよりかはむしろ嫌がっているような気がした。莉桜さん海外のもの好きそうだとは思ったんだけど・・・。
「えっと、死者とか嫌だった?」
「え、いや、別にそんなことは・・・・、というよりかは私自身で考えたいかな~ってね。別に巴ちゃんのセンスがよくないってわけじゃないから。悪いね考えて貰って」
「うん、べつにいいの、自分で考えるのも楽しいわよね」
そんなこんなで魔女がいる結界の奥へとやってきた。
魔女は大きなドリルのような魔女で私たちの脇を通り過ぎどこかへと去って行った。
「逃げ足の速い魔女ね。逃げられる前に片づけるわよ」
「おっけ任せとけ!」
莉桜さんがハンマーの柄で地面をつくと倒した使い魔たちが魔女へと突撃して挑発をかけていく。やっぱり莉桜さんのダンザ・ディモート(仮)は強いわよね。挑発が効いたのか、魔女はこちらに向かって走ってきた。そこで私が仕掛けたティロ・トリプエッタで速度を落としていく。魔女の目の前には磯貝君が剣を構えてエアリィ・シュアートによる剣撃で魔女が一瞬ひるんだ。
「今よ奥田さん!」
「はい!」
奥田さんが私と片岡さんにつかまって魔女の目の前までテレポートした。目の前の魔女に向かって私と片岡さんの合体技を放った
「ティロ・アクア!!」
水の弾丸を放たれた魔女はその直撃に耐え切れず爆散し、結界は崩れていく。
「いやー、お疲れ様。グリーフキューブだっけ?回収しといたよ」
「ありがとう不破さん。気が利くわね」
「使い魔がいなくなったから楽だったわよ」
「そう、でも私はまだ心臓バクバクしてるなあ。考えた技上手くいくとは思ってなかったし、魔女との対戦じゃ磯貝君危ない位置にいたし」
そう話す片岡さんに磯貝君は少し苦笑いしていた。
「いや、俺はみんな信頼してたから大丈夫だ。怖かったのは否定しないけど」
「さすが磯貝君・・・イケメンだ!」
見学の女子たちは磯貝君を尊敬の眼差しで見ていて、男子はすこーしだけ苦々しく見ていた。前原君はなぜか誇らしげなんだけど。
「あ、そうだ片岡さん」
「えっと、何?何か問題点でもあった?」
「なんで必殺技名叫ばなかったのよ」
「え・・・ええ!?そこぉ!?」
片岡さんに盛大にツッコミを入れられたけどちょっと納得いかないなぁ。
「せっかく教えてあげたんだから一緒に叫ばないと。気持ちいいわよ」
「えー・・・いやぁ・・・それは勘弁というか・・・恥ずかしいといいますか・・・」
「いいじゃないのよ。と、いうか磯貝君も叫ぶチャンスだったのになんでやらないの?」
「必要ないというか頭になかったというか・・・」
「カッコよくエアリィ・シュアートって叫びましょうよ。男の子ってそういうの好きでしょ?」
「巴、男に対して謎の偏見もってないか?」
「そんなことないわよ。ほら、他のみんなはどうなのよ」
と、男子にふってみたけど
「一人のときはともかくなぁ」
「流石に必殺技で喜ぶ年齢じゃないし」
「ギャラリーがいるとなると叫べねぇ」
と、戸惑った意見が多かった。
「ええ・・・なんでよ。こういうのは形からなのよ」
「わかるわ!私もかめはめ波のポーズは完璧なんだから!」
「不破は少しずれてねーか」
と、談笑しているときだった。
何者かの気配を察知して銃口を気配の元へ向けた。
「どうしたの?」
気を張ってみたけれど気配はいつの間にか消えていた。
「いえ・・・なんか・・・見られていたような」
「ホント!?」
「え、それってヤバくないか?」
さっきまでの和やかな雰囲気は消え去り私たちのなかで不安が漂い続けていた。
翌日
「誰かの視線?」
私は昨日のことを見学に不参加だった渚君と杉野君に話した。
「それって劣化版グリーフなんちゃらを狙ってじゃねーの?ヤバくね?」
「私もそれだと思うし、単純に縄張り奪いに来たとかあるだろうし・・・」
「なんにしても気を付けないとだね」
「ただでさえクラスにははた迷惑な転校生がいるってのによ」
そういいながら杉野君が扉を開けると
「・・・ん?なんか体積が増えているような・・・」
転校生の機体に同じ厚さの機械が張り付いていていた。それは全面モニターになっていて、私たちの気配を察知して起動した。
「おはようございますっ!渚さん杉野さん巴さん」
モニターには全身姿の転校生が映し出されて昨日とは一転してにこやかな笑顔をこちらに向けていた。
「えええええええええ!!!!!」
渚君と杉野君は顎が外れんばかりの絶叫をしていて、私も私で開いた口が塞がらなかった。
「親近感を出すために全身表示液晶と体制服のモデリングソフト全て自作で八万円。豊かな表情と明るい会話術それらを操る膨大なソフトと追加メモリ同じく十二万円」
突然後ろに現れた殺せんせーが得意げにそう語っている。
『転校生がおかしな方向へ進化しているね・・・』
『ええ・・・』
「先生の財布の中身・・・5円!」
最後になぜか得意げに5円玉を私たちに見せびらかしていた。
「・・・それは、給料日前だから私たちからたかろうと?」
「え?いえ!そんなつもりは全くなく!!」
「巴、ちょい厳しいな」
「実質一人暮らしって聞いたことあるし、その辺シビアなんじゃない?多分」
そのあとからやってきたみんなも転校生の進化した姿に驚きどこか呆れていた。
「庭の緑が深くなってますね。春も終わり、近づく初夏の香りがします」
モニターの背景には裏山が映し出され、それを転校生が楽しんでる?というなんとも変わった感じだった。なんか蝶々飛んでるし。
「たった一晩でえらくキュートになっちゃって・・・」
「これ一応・・・固定砲台だよな?」
昨日一昨日とは一変してにこやかで友好的な彼女。殺せんせーのおかげなのか笑顔もどこか自然なものになってる。それに私たちはどう受け取っていいのやらわからなかった。
「何騙されてんだよお前ら。全部あのタコが作ったプログラムだろ。愛想よくても機械は機械。どーせまた空気読まずに射撃すんだろポンコツ」
「・・・おっしゃる気持ちわかります寺坂さん」
転校生の子が機体ごとこちらに向いた。
「昨日までの私はそうでした。ポンコツ・・・そういわれても返す言葉がありません」
といって彼女は泣き出してしまった。背景は快晴から一転してどんよりと曇っていき、ついには雨まで降りだした。
「あーあ、泣かせた」
「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃった」
「女の子の扱いには気を付けないと」
「なんか誤解される言い方やめろ!」
まあ、寺坂君を揶揄うのはほどほどにしておこう。
「いいじゃないか
「「「結局そのセリフ言うのか竹林!!」」」
「でも皆さんご安心を。殺せんせーに諭され私は協調の大切さを学習しました。私の事を好きなって頂けるよう努力し皆さんの合意を得られるようになるまで・・・私単独の暗殺は控える事にいたしました」
彼女は泣き止んでそう笑った。
「そういうわけで仲良くしてあげてください」
殺せんせーも彼女の返答に嬉しそうにしていた。
「もちろん先生は彼女に様々な改良を施しましたが彼女の殺意には一切手をつけていません。先生を殺したいなら、彼女は心強い仲間になるはずですよ」
殺せんせーからすれば私たちは敵でもあるにも関わらず戦力アップを心から嬉しそうにそていた。敵が強くなってワクワクするってタイプでもなさそうなのにそんな態度なのは、ただ、担任として転校生がクラスになじもうとしているということが心から喜ばしいことなんだな。ターゲットである以前に先生である彼は機械でも生徒にしちゃうんだから殺せんせーって本当にすごいわ。
一時間目、理科の授業中。転校生の彼女は静かに過ごしていた。それだけでも大きな成長とも思える。
「では菅谷君教科書を伏せて。網膜の細胞は細長い方の桿体細胞とあとひとつ太い方は?」
「え、オレ?」
一時間目から居眠りを決め込んでた菅谷君は原さんにゆすり起こされよだれを垂らしながら起きた。当然授業を聞いているわけもなく、菅谷君は「やばっ、えーっと」と回答にいき詰まっていた。
そこに助け船を出すものがいた。転校生だ。彼女のふとももに答えである「錐体細胞」が書かれていて、それをこっそり彼に示していた。
「えーっと・・・錐体細胞」
「こら!自律思考固定砲台さん!ズル教えるんじゃありません!」
もちろん殺せんせーにもバレていた。
「でも先生、皆さんにどんどんサービスするようにプログラムを」
「カンニングはサービスじゃない!」
・・・まあ、そんな感じで午前の授業を過ごし、お昼になっても彼女の周りには人が集まっていた。
「へぇー。こんな彫刻みたいなのまで体の中で作れるんだ」
「はい、特殊なプラスチックを体内で自在に成型できます。設計図があれば銃以外も何にでも!」
「おもしろーい!じゃあさえーっと・・・花とか作ってみて」
「わかりました。花の形を学習しておきます。あ、千葉君王手です」
「・・・3局目でもう勝てなくなった。なんつー学習力だ」
昨日一昨日まではクラスに不和を産みかねない厄介者だった。教室の隅に文字通り置かれていたのに今では彼女はクラスの中心にいるかのようだった」
「思いの方か大人気じゃん」
「一人で同時に色んな事こなせるし自在に変形できるし」
「・・・しまった」
転校生がクラスのみんなに受け入れられているにも関わらず、殺せんせーの表情はよろしくなかった。
「先生とキャラがかぶる」
「かぶってないよ1ミリも!!」
理由はすごくくだらなかった。なにか嫉妬でもしたのか殺せんせーがみんなの前へ出た。
「皆さん皆さん!先生だって人の顔ぐらい表示できます!皮膚の色を変えればこの通り」
「「「キモイわ!!」」」
殺せんせーはみんなに拒絶されたのが悲しいのか教卓の上で体育座りで泣いてしまった。
「自分で改造したとはいえ・・・自律思考固定砲台さんに人気奪われるなんて・・・オイオイオイ」
「・・・ほっとくか」
「・・・うん」
殺せんせーのことは一旦無視して改めて転校生のほうに目を向けた。
「あ、この子の呼び方決めない?“自律思考固定砲台”っていくらなんでも」
片岡さんのからの提案でみんなで転校生の呼び名を決めることになった。
うーん・・・なにがいいかしら?ノルウェーから来たんだから・・・
私がスマホでノルウェーの人名を調べていると
「あ、そうだ、じゃあ律は?」
不破さんから案が出され、みんなも「おおー」と感心の声を上げていた。
「あら決まっちゃった感じ?私も一つ案があったんだけど」
「お、なんかあんのかい巴ちゃん」
莉桜さんに振られて私は自信満々に答えた。
「マチルダってどうかしら?」
なぜか教室は静まり返った。
「・・・いや、悪くはないけどさ」
「巴さんって前々から思っていたけど・・・」
「横文字好きだよな」
「ええ!?なんで!?いいじゃない。ノルウェーで「戦場で偉大」って意味らしいの。どう?」
理由をはなすとみんなは少し考え込んだ。
「確かにノルウェー要素はほしいよね:
「でもノルウェー要素ってなに?」
「北欧ってこと以外よく知らないし・・・」
「でも律も捨てがたくない?」
「そうだよねぇ」
「ではこうしましょう!」
いつのまにか復活した殺せんせーがサラサラと黒板に文字を書いていた。
「『
殺せんせーの発案の名前は想像以上によく、クラス中で感嘆の声が上がった。
「私の案、ミドルネームにしたのね」
「悪いね巴さん。二次創作だからって名前まで変えるのはご法度かなって」
「不破さん?」
「でも悪くないよね?」
「うん、なんかいい!」
「どうよ、お前は」
前原君に話を振られて、彼女は一拍おいてにっこり笑った。
「・・・嬉しいです!では、本日から“自律思考固定砲台”改め“自・マチルダ・律”とさせて頂きます!“律”とお呼びください!」
「うん!よろしく“律”!」
転校生改め“律”。名前も決まり、クラスはいっそうにぎやかになっていった。
「上手くやっていけそうだね」
「ん-、どーだろ」
そんなクラスの雰囲気に反してカルマ君はいたって冷静だった。
「寺坂のいう通り、殺せんせーのプログラム通り動いてるだけでしょ?機械自体に意思があるわけじゃない。アイツがこの先どうするかは・・・あいつを作った開発者が決めることだよ」
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その日の夜
「なんだこれは・・・」
「こんばんわ
「・・・ありえん」「勝手に改造されたうえに暗殺と関係ない要素まで入ってる」
「今すぐ
「・・・・・・・・・」
「こいつのルーツはイージス艦の戦闘AI。人間より速く状況を分析し人間より速い総合的判断であらゆる火器使いこなす。加えて卓越した学習能力と自分で武装を改造できる機能を持つ。こいつの威力が実証すれば世界の戦争は一気に変わる。百億などついでに過ぎん。この教室は最高の実験場。怪物殺しの結果を出せばもたらす利益は数兆円だ。開発者の命令は絶対だぞ。お前は暗殺のことだけを考えてればそれでいい」
「・・・はい、
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「おはようございます皆さん」
律は元の姿に戻り、作り物の顔で挨拶するだけだった。
「『生徒に危害を加えない』という契約だが、『今後は改良行為も危害とみなす』と言ってきた。君らもだ。彼女を縛って壊れでもしたら賠償を請求するそうだ。
烏間先生はそうおっしゃてはいるけどどこか疲れをみせていた。私たちの知らないところで色々交渉してたのだろうけど・・・上手くはいかなかったみたい。
「
殺せんせーも言葉がないようで、ポリポリ頭をかくしかなかった。
「・・・攻撃準備を始めます。どうぞ授業に入ってください殺せんせー」
無機質になってしまった“律”を見て、みんなから恐れが巻き上がった。
『マジかよ・・・』
『
『また始まるのか』
『あの一日続くはた迷惑な射撃が』
私も覚悟していた。次、攻撃を始める気なら、私のリボンで止めないと・・・
ブウウンと音がして“律”の側面が開いた。
そこにだされたのは大きな四つの花束だった。
「・・・花を作る約束をしていました」
そういえば昨日そんな話をしていたわね。
「殺せんせーは私のボディーに計985点の改良を施しました。そのほどんどは開発者(マスター)が『暗殺に不要』と判断し、削除、撤去、初期化してしまいましたが、学習したE組の状況から私個人は「協調能力」が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました」
「・・・素晴らしい。つまり律さんあなたは」
「はい、私の意志で
そこに映し出されたのは昨日のような自然な笑顔の彼女姿だった。
「殺せんせー。こういった行動は“反抗期”と言うのですよね。律は悪い子でしょうか?」
「とんでもない。中学3年生らしいですよ」
こうしてE組の仲間が一人増えた。28人に増えたクラスは一段と楽しくなりそうだった。
「ここが椚ヶ丘かぁ。変わってないねぇ」
街のどこかの屋上。そこに一人の少女が仁王立ちし、街を眺めていた。
「本当に来たんだね。佐倉杏子」
その足元には白い不思議な生き物、キュゥべえがちょこんと座っていた。
「当り前よ。なんか少ーしずつ魔女をかすめ取ってここに集めてるって話?ならこっちに返してもらいたいだけなんだよねぇ。ついでに慰謝料も?」
「それはいいけどのこの街には巴マミが現役で活動している」
「はん!元気がいいことで」
「ついでに仲間も新たに加わってね。5,6人は増えたね」
キュゥべえがだした数字に佐倉杏子と呼ばれた少女は飲んでいたコーラを少し噴き出した。
「なんでそこまで増えたんだよ!」
「そんなこと僕に言われても。ついでにみんなマミの仲間だ」
その話を聞いて少女はため息をついた。
「はぁ~。なんなんだよ。5,6人で魔女退治って。クラブ活動かっつーの」
少女は一段、少し高いところに立ち怪しく笑った。
「魔法少女に仲間意識も協調性もいらない。大事なのは自分だけなんだよ」
魔女図鑑
Alex
イノシシの魔女 性質は独りよがり
いつもなにもかもにわき目も振らずに突き進む魔女。使い魔の指示にも一向に従わずにただ一心不乱に突き進むだけ。
それでなにもかもが壊れても、味方してくれる使い魔が死んでも魔女は進むだけ。
それがみんなのためと信じて疑わずに進むのみ
単純なので気を抜かなければ負けることはない見掛け倒しの魔女