小雨があがった朝のある日、登校中のさやかは人が騒ぐ声を耳にした。
「これ、E組のモノだぞ!」
「ハハッ。バッカでー。こんな所に落としやがってよ!」
さやかはなんとなく気になり、その声のする方を見てみると、数人の椚ヶ丘の生徒が集まり何かを踏んでるように見えた。何を踏んでいるかは分からなかったが人のモノを粗末にしているのだけは理解できた。
「あの!何やってんですか!」
いけない事をしてると分かったさやかは居ても立っても居られずにその人達の前に出て行った。
「お、お前は見滝原からの」
「丁度いいな。良いことを教えようぜ」
その生徒たちは足元に落ちてある泥だらけのモノをさやかに見せた。泥だらけのモノは生徒手帳だった。
「E組に落ちた奴にな、こういう事したって許されるんだよ」
その生徒は生徒手帳を叩きつけると思いっきり踏みつけた。
「あっ!!」
「コイツのモノ、ゴミ箱に捨てたってよ!」
生徒手帳は軌道を描いて自販機脇のゴミ箱に投げ捨てられた。さやかは大慌てで捨てられた生徒手帳を回収に走り、ゴミ箱を漁って生徒手帳を回収したのち、その生徒達に怒りを向けた。
「こんな事・・・許されるとでも思ってるんですか!!」
さやかに睨みつけながら激高されてるにもかかわらずその生徒たちはニヤニヤしたままだった。
「ああそうだよ!それがこの学校の正義だからよ!」
「え・・・」
さやかはその発言の意図が理解できずに呆然とした。
「お前もこうなりたくなかったらちゃーんと勉強しとくことだな!」
「アドバイスしてあげる俺達ってやっさしー」
ゲラゲラと汚い声で去って行くのをさやかは黙って見るしかなかった。頭の処理が追いつかず少し時間がたち、さやかの頭の中に沸き上がったのは・・・怒りだった。
「っていう事があったんだけど、どう思う仁美!」
HRが始まるまでの間、さやかは仁美を呼び出して思いのたけをぶちまけていた。
以前ならこういった役割はまどかの役目だったが、彼女亡き今、そういった役割は仁美が引き受けていた。
「まあ・・・」
さやかの話を聞いてく内に仁美の顔色はみるみる内に青くなっていった。
「本当にサイアク。なんなのこの学校」
「すみません。私がお誘いしたばかりに・・・」
「仁美は謝らなくてもいいよ。仁美はアイツらと違ってあんな事しないんだし」
さやかは慰めの言葉をかけたが、仁美の心が晴れることはなかった。
「・・・ところで、その生徒手帳はどなたのモノですか」
「あー。えっとねー、木村・・・うん?」
さやかは生徒手帳に書かれてるその名前に目を疑った。
「木村・・・ジャ・・・
昼休み
「こ・・・ここにE組校舎があんの?」
さやかは生徒手帳を届けるためにE組校舎への山道を登っていた。その道は険しいもので、魔法少女であるさやかにとってはどうというものではなかったが、このE組制度の異常性を感じるには十分だった。
「成績が悪いだけでこんなところに通わされるなんて・・・あたしなら辞めてる・・・」
そうグチグチ独り言を口にしているとE組校舎が見えて来た。
「・・・意外と小綺麗な感じするけどなぁ」
といったところでさやかは校舎に入った。
「お、おじゃましまーす・・・」
木造の廊下をなんとなくこそこそとわたり、教室を覗いた。
「あのーお届けモノでーす・・・」
「あら、美樹さん。どうしたの?」
さやかが覗いていたのに気が付き、教室の後ろ側でお昼を取っていたマミは席を立ってさやかの相手をした。もっとも、さやかが近づいたところで魔力反応で気が付いていたが。
「あの、これなんですけど・・・」
さやかは木村の生徒手帳を取り出した。
「登校中落としたらしくって。木村さんに渡してください。ってそこにいますよね・・・?」
自分の名前が出るとは思わなかった木村は食べてた総菜パンを詰まらせかけながら飲み込み、さやかの元に向かった。
「ああ、届けてくれたのか?ありがとうな」
「はい。それよりも!なんなんですかこの学校!E組だからいじめてもいいっとかって聞いたんですけど!そんなの間違ってますよ!みなさんはそんな扱いを受けて悔しくないんですか?」
さやかの怒りに教室中は「あーーー」といった今更な反応を見せた。
むしろ解決しようとしたら魔法少女のことがバレて軽くクラス集会みたいなことが起きたのだが、E組にとって部外者であるさやかにそれを伝える者はいなかった。
ただ、さやかにはその反応の意味がわからないだけだった。
「あ・・・あの」
「この間その問題を解決しようとしたばかりなのよ」
「あー、そうなんですね。でも、解決は・・・」
「してないわ」
「そうなんですね・・・。あいつらを調子に乗らせるだけじゃないですか!そのまんまなんて・・・」
「ごちゃごちゃうるせーんだよ。さっさと帰んな。つまんねーことで昼休み使うことになるぞ」
寺坂のぼやきにさやかは反射的に睨みつけた。
「つまんないことって!そんなんじゃ」
「まあまあ、気持ちだけありがたいわ」
マミになだめられ、さやかは一旦はその怒りを鎮めることにした。
「すみません・・・あ、あのところであなたのお名前なんでしたっけ?」
「あら?自己紹介忘れてたかしら?巴マミよ。よろしくね」
「あ、はい!失礼しました!」
さやかは礼儀正しくお辞儀をしてE組校舎を去って行った。マミは笑顔で手を振り、さやかが見えなくなったのを確認すると、コホンと咳ばらいをした。
「・・・で、のぞき見してないで戻ってきてください殺せんせー」
「にゅや!だって君たちを襲い掛かった子だとは聞いていたのでただ隠れる訳にもいかず・・・」
「まったくもう・・・彼女は大丈夫よ」
さやかが来たのをいち早く察知し、殺せんせーはすぐさま校舎の外に隠れて様子を見ていた。
魔法少女活動するマミたちの心配が心配なのはありがたいが、のぞき見されるのはなんだかあまりいい気がしなかった。
「それにしても・・・美樹さんでしたっけ?いい子そうですね」
「それは・・・そうね」
初対面はほぼ最悪と言っていいものであったが、本人は割と善よりなのだろう。わざわざ片道20分かかる山道を登ってまで持ってきてくれたのだから。しかも綺麗にしたとはいえ落としただけとは思えない木村の生徒手帳を。
「にしても美樹が来てくれたの昨日じゃなくてよかったな」
木村が手帳片手に苦笑いでそう言った。
昨日、イリーナは師匠であるロヴロと模擬暗殺対決を行っていた。結果はイリーナの勝ちとしてE組残留が決まった。その暗殺ごっこは昨日の昼休みまで行われていたので部外者であるさやかに見られては非常に厄介ではあった。
「まあ、あとでお礼とかしてーな」
「なんだお前、かわいい胸大きめの後輩彼女でも作る気か!」
「勘違いするな岡島。それはねーよ」
放課後の駅前広場
「今日は新人3人に私がついて、あとの残りの人でまとめて一チームで動いてくれるかしら?見学の人は好きな方についていってね」
「おっけー。こっちにはカルマもいるんだしまかせてよ」
「別に俺が魔女を呼び出せばわざわざ探さなくてもいいんだけどね」
「いいんだよ、雰囲気雰囲気!」
わいわいと騒ぐ片方のチームを見送りマミは振り返った。
「じゃあ、私たちも出発しましょう」
繁華街を歩いているとある人物に遭遇した。
「あ」
「あら美樹さん。今日はよく会うわね」
反対方向からさやかがソウルジェムをかざしながらやってきた。
「や!さやかちゃんこないだぶりだな」
「あ、どうも・・・」
そのこないだでナンパされ、少し印象が悪い前原にさやかは少し警戒心を抱いていた。
「それと木村さんと・・・あ」
さやかは杉野と目が合い一瞬目を背け、すぐさま頭を深々と下げた。杉野は杉野で襲撃から一週間以上は立っていており、流石に怒ってはおらず、苦笑い気味にさやかを受け入れた。
何はともあれ、特にトラブルもなく自己紹介をすませ、さやかはマミたちを眺めた。
「マミさんたち、なんか今日人少ないですね」
「今日は分かれて探索ってことになってるの。いつまでも私だよりってわけにもいかないし、それに・・・」
「それに?」
「椚ヶ丘(このまち)を狙ってる子もいるから、実力をつけて分散して情報を集めた方がいいしね」
さやかはマミの言葉にある少女の姿を思い出した。赤い髪の粗暴で、人の犠牲をなんとも思わない少女・・・。結局数回しか会わず、ワルプルギスの夜にも参戦しなかったあの少女。
そんな奴みたいなのがこの街にもいるのかとさやかはいぶかしんだ。
「で、良かったらなんだけど。一緒にパトロールにいく?」
「あ、もちろん!」
道中、唯一の後輩であるがゆえに少しだけ疎外感を感じていたさやかはなんとなく話題を振った。
「そういえば木村さんの名前ってすごいですね!」
(((いいおった!いいおったぞコイツ!!)))
木村の下の名前はクラスではなんとなく禁句になっており、今彼の本名を知らないのは茅野のみである。AIである律にはさすがに知られてはいるが。
引いた眼で見られたさやかはまわりの目で触れちゃいけないものだと察してしまった。
「いや、変な意味じゃなくて・・・素敵な名前ですよね!」
「ありがとな。親父がつけてくれたんだよ」
最低限の説明を受けて、さやかはなんとなく木村が自分の名前を好んでないのを感じた。
「あの・・・」
「あれ?あれってさやかちゃんと同じ転校生の・・・」
さやかが何かを言いかけたとき、矢田が指摘した。指摘した方を見てみると仁美らしき姿がふらふらと怪しい足取りで歩いていた。
「仁美?確か今日はおけいこって・・・」
そう思った時、仁美が道路へと足を踏み出した。そこに近づくトラック・・・・。
それを見たさやかの脳裏にある光景が蘇った。
夕暮れのある日、偶然出会った恭介とたわいもない話をして、別れた直後だった。
横断歩道を渡ろうとする恭介に甲高い音をだして近づく車、
ブレーキ音が夕焼けの街に響き渡って・・・
キキッーーーーーーー!!!!
トラックとぶつかりそうになる姿に恭介と仁美が重なる。その仁美に手を伸ばす腕。その腕は仁美の襟首をしっかりとつかみ、歩道へと引き寄せた。
その腕は木村のものだった。木村が仁美の胴体をしっかりと抱え、歩道側に転がり込んだ。
「おい、大丈夫か!」
「急に飛び出してくんな!!!」
周りの騒ぐ声でさやかの意識は戻り、視線を戻すと木村が仁美を抱えて歩道の方で転がっていた。仁美の近くにはマミたちもいる。慌ててさやかも仁美のところへ走り出した。
「仁美!ゴメン仁美!あたし、すぐに助けられなくて・・・仁美は大丈夫なんですか!?」
「・・・一応は大丈夫みたいよ」
仁美は意識がなくぐったりとしており、首筋にはワイングラスのようなマーク、魔女の口づけがあった。大丈夫、というのは集まる一般人を魔女から遠ざけるための言葉。
『この辺に魔女の結界があるはずよ。木村君と岡野さんはこの子を見ていて』
5人は魔女の結界を探した。少し離れたところの工事現場にその結界はあった。
結界内部はジメッとした沼地だった。あちこちに背の高いハスの葉が沼地から生えている。
「梅雨って感じの結界ですね」
「そうね・・・」
マミたちはふと、さやかの方をみると、さやかの背中越しにハスのくきの間からカエルのカッパを着た殺せんせーがこちらの様子を見守っていた。
『な、なんでいるの殺せんせー!』
『ってかいつ入った!?』
「後ろに何かいるんですか?」
さやかが振り返ると殺せんせーはすぐさま姿を消し、さやかにはうっすらと使い魔の気配を感じるだけだった。
「あれ?何かいたような・・・」
「その警戒は大事よ。さっさと魔女のところへいきましょう」
殺せんせーから話題を反らしつつマミはさやか達を先導した。
「はっ!」
矢田がハートモチーフの手斧で薙ぎ払らった。刃をうけた使い魔は傷の受け具合に関わらず一様にぐったりとしていた。
「矢田さん、なんか斧に毒とか塗ってます?」
「いやー、キュゥべえ曰く、わたしの魔法って「戦意喪失」なんだって。詳しい性能は私もよくわかってないけど」
「へぇ・・・あ!」
一瞬よそ見をしていたさやかに使い魔の攻撃が飛んできた。近くにいた杉野がグローブを突き出してその攻撃を受け止めた。
杉野はグローブから受け止めた攻撃を取り出し、使い魔の集団に投げつけた。
「おお、すごい!杉野さんってキャッチャーとかですか?」
「フォームで分かれよ。ピッチャーだよピッチャー」
「そういう話はあとでいいから。みんな戦いに集中!美樹さんもよ!」
マミたちが魔女の結界で格闘している間、仁美の事を任された岡野と木村は野次馬をどうにか対処し工事現場の脇でマミたちを待っていた。
岡野は地面に置かれた足場の鉄板に腰かけ、仁美に膝枕をして肩を撫でていた。
「前も見たけど・・・魔女って恐ろしいよね」
「そうだな。ああもあっさり人を死なせるんだからな」
2人はあの日のことを思い出してた。自分たちが崖から身投げをしたあの日のことを。
E組教師陣にマミがした説明は
魔女は人を自殺などに誘導する力がある事
また、魔女の結界に人間が迷い込むこともある事
そしてE組が魔女の犠牲になりかけた事
しかし、マミはE組が自殺しそうになったことは話さなかった。おそらくはマミにとってもショッキングな出来事なのでわざとぼかしたのだと2人は考えていた。
「願い・・・考えないと。戦う意思はあるんだけど、前原みたいに緊急的なものでたった一つの奇跡を使っちゃわないように・・・」
「あいつはあいつで後悔してなさそうだけどな。・・・むずいよな。命をかけてまで叶えたい願いってのはな」
「そうだよね・・・」
岡野も木村も叶えたい願いがないわけではない。しかし、それを己の命と天秤にかけるほどの価値はなさそうだとおもっていた。
それでも行動派よりの二人はこのまま魔女退治を見学するだけの立場をどこかもどかしく思っていて、契約する気持ちは少し強めには持っていた。
「マミっちってさ、マミっちのために戦いたいって願うのって嬉しいのかな?」
「というと?」
岡野は仁美の顔を眺めながら話を続けた。
「マミっちはさ、よく契約するときの願いは慎重に考えてっていってたじゃん。マミっちも緊急でするしかなかったからってさ。だから安易に契約するの嫌だろうな」
「・・・だな」
「でも、契約する人が増えれば増えるほどなんか嬉しそうなんだよねマミっち。多分私たちに簡単な気持ちで契約してほしくないって気持ちとみんなと戦いたいって気持ちもありそうだよね」
岡野の言葉に木村は頷く。
「なら、私はマミっちのため、E組のみんなのために戦いたい。それだけでもいいけんだけど・・・」
「俺もだな。クラスの奴らのためになるんならって思うけど・・・」
そんな話をしていると建設途中のビルの入り口の空間がぐにゃりと曲がった。
そこにマミたちが現れ、さやかを含めた全員の無事が確認できた。
「おつかれー」
「あ、あの!仁美は・・・」
さやかが変身を解きながら仁美に駆け寄った。仁美は小さく唸りながら瞼を開け、その目にさやかを見た。
「あら・・・?さや、か、さん?わたくし・・・」
「仁美!ゴメン仁美!無事でよかった!良かった・・・!」
岡野は仁美をさやかにまかせて2人から距離をとった。さやかたちを見守るマミたちの背後に話しかける声が聞こえた。
「今回はハッピーエンドですねぇ」
「殺せんせー!美樹さんたちにバレるわよ!」
マミたちは慌ててさやかの死角になるところに移動し、殺せんせーに苦言を呈した。
「ご安心を。ところで美樹さんとは仲良くやれそうですか?」
殺せんせーに質問され、ちょっと考え込んだ。
「まあ、悪い奴でないんだよな」
「ね。あそこまでE組制度に怒ってくれるの。そうそういないしね」
「ヌルフフフフ、そうですか。理事長も下手を打ちましたねぇ。受け入れた避難民生徒があそこまで反骨精神を持っているとは予想外だったでしょう」
と、殺せんせーはニヤニヤしながら語った。
「なんであそこまで嬉しそうなんだ」
「普段理事長にしてやられてるのが悔しいんじゃね?」
ひとしきり笑ったあと、
「彼女の正義感は一定の堅さを持っています。そう簡単には曲がらないものでしょう。しかしその分潔癖すぎて危うさを含んでいます。
ですが、彼女との交流を重ねていけば、必ずや君たちE組の善き味方になるでしょう。
本校舎とのつながりが希薄になってる君たちにとって唯一といっていい近しい後輩です。大切にしましょうね」
「「「はーい」」」
と、返事をしたことろでさやかが様子をみにマミたちのところへやってきた。
「あれ?マミさんたち誰かと話してませんでしたか?」
「先生と少しね。志筑さんだったかしら。体調の方は大丈夫かしら?」
「はい、あの・・・なんだかお世話になったようで・・・ありがとうございました」
仁美は礼儀正しくお辞儀をしたのち自分の習い事へと向かった。
それを陰から暖かくみていた殺せんせーはもう一方のカルマたちの様子をみるために飛び出していった。
マミたちも解散とし、帰り道の方向が一緒になったさやかと木村のふたりっきりとなった。
「仁美のこと助けてくれてありがとうございます」
「ああ、まあ、お前の友達が無事でよかったよ」
「木村さん、正義の味方みたいでしたよね。かっこいいなぁ」
さやかの言葉には一切の恋愛感情は含まれていなかった。しかし一切嘘偽りのない本心の言葉に木村は思わず顔を赤らめた。
「いや、そんなこと」
「だから、自分の名前嫌いにならないでください」
木村の足が止まった。
「多分、木村さんの名前のことでからかったり、悪く言われたりしましたよね?つらかったんじゃないですか?
でも、今日の行動はかっこよかったですよ。仁美を身を挺して助けてくれて・・・まさにジャスティスってかんじで。
だから大切にしましょうよ。名前のこと悪く言うやつなんて気にしちゃだめです!もっと誇りにしてもいいじゃないですか!そんな素敵な名前をつけてくれた親御さんのためにも!」
そのとき、木村がさやかに向けたのは・・・失望の顔だった。
その顔にさやかは言葉を失った。
「え・・・あの・・・」
「ありがとな、励ましてくれて」
なんでもないように、笑って木村はそういったが、明らかに心がこもっていなかった。彼の地雷を踏んでしまった、とさやかは感じとった。
「すみません。何か失礼なことを」
「おまえが気にするとこじゃねぇよ。じゃあな、気を付けて帰れよ」
こちらに目をくれることなく立ち去る木村にさやかは何か言葉をかけたかったが、何も出なかった。
「あたし・・・何かダメなこと言ったかな」
自分の失態には気づいたものの、何がどう失礼だったかはさやかにはわからなかった。
己の正義を疑った記憶が抜け落ちているさやかに、木村のトラウマに気が付くわけもなく、正体がはっきりしない反省に立ち止まるだけだった。
ため息をつきながら帰路に立つ木村。それを電灯の上から眺める白い小さな影があった。その影は赤い瞳に木村の姿をしっかりととらえていた。
おわかりの通り、魔女戦書くの苦手です
省けるのなら省きます!