巴マミは暗殺者   作:百乃綾香

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なんか書き上げられたので投稿します

杉野視点のお話です

多少の捏造入ってるので注意してください


3時間目 野球の時間

「毎朝HR前は校舎裏でくつろぐのが日課、マッハ20でハワイに寄って買ったドリンクと英字新聞で・・・、でいいんだよな、渚」

 

朝、俺は渚から聞いた情報を確認していた。簡易的なものとはいえ俺も暗殺者ではある。狙うのは月を破壊したとかいう怪物、人呼んで「殺せんせー」

 

校舎裏を覗いてみると渚の情報通りにサマーベンチに寝っ転がり、のんきに新聞を読んでいた。

 

「お前の情報通りだ。サンキュー渚」

「頑張ってね、杉野」

「おう!百億円は俺のものだ!」

 

俺は対先生BB弾を埋め込んだ野球ボールを握り、しっかりと構える。奴の頭に狙いを定めてボールを投げた。ボールは先生へと向かい

 

「おはようございます。渚君、杉野君」

 

背後から挨拶された。ってええ!??さっきまであそこのサマーベンチにいたじゃねーか!!

 

「野球ボールを改造した暗器、なかなかいいアイディアです。これならエアガンと違い発砲音もない。ですが、先生にボールが届くまで暇だったし、直に触ると先生の細胞が崩れてしまう・・・」

 

殺せんせーはヌルっとグローブをだした。

 

「そんな訳で用具室までグローブを取りに行きました」

 

・・・確かに俺が投げたはずのボールがしっかりとグローブの中に納まっていた。マッハ20だからってそんなのありかよ!!

 

「殺せるといいですねぇ。卒業までに」

 

殺せんせーはいつも通りニヤニヤした顔で校舎へと戻っていった。うまくいかなかった。落ち込む俺と渚の元に声をかけるやつがいた。

 

「どうやらうまくいかなかったみたいだね、友人(ともひと)。試したいことってこれだったのかい?」

 

キュゥべえ。昨日俺たちの前に現れた不思議な生き物。巴を魔法少女にしたっていう妖精?みたいなやつ。そして

 

「僕と契約すればあの教師とやりあえる力を持ち得るんだよ?どうだい?」

「・・・考えとくよ」

 

俺達にも契約を持ちかけていたりもする。

 

 

 

授業中、俺は今朝の事が頭に過って集中できなかった。

 

「渚。杉野暗殺失敗したんだって?」

「うん、それからあいつすっかり元気なくしてさ。あんなに落ち込む事ないのにね。今まで誰も成功してないんだから」

 

言うなよ渚。それぐらい俺だって分かってる。

だけど、あの余裕しゃくしゃくな顔をされると元居た野球部のことを思い出す。

 

『杉野。もうお前降りろ。お前の球は遅すぎる。そんな球じゃチームの役にも立たない。つまり、お前は用済みにもなれないってことだ』

 

そう言われ俺はレギュラーを降ろされた。野球に対する想いは人一倍とは思っていたけど、それだけじゃ何にもなれない。

 

ならせめて、暗殺には使えるんじゃないか・・・とは思ったけど現実はそう甘くなかった。

 

 

授業が終わり放課後、防衛省の烏間さんが俺たちの様子を見に来た。

 

「どうだ。奴を殺す糸口は掴めたか?」

「無理ですよ烏間さん」

「速すぎるってアイツ」

 

なんでもこなせる磯貝でさえも匙を投げる相手だ。しかも今、あのタコはマッハ20で飛んでニューヨークでスポーツ観戦だとか。・・・すこしだけ羨ましい。ともかく、そんな奴殺せるわけがない。

 

「ああ、どんな軍隊にも不可能だ。だが君たちだけはチャンスがある。奴は何故か君たちの教師だけは欠かさないのだ。それに・・・」

 

烏間さんはため息をついた。

 

「どうしたんスか?」

「今、防衛省では見滝原の復興に人員を割かなくてはならなくてな。こちらに充てられる資金も限られている」

 

なんかこの前見滝原にスーパーセルかなんかがやってきたってニュースでやっていたな。確か結構な人数が被害にあったとか・・・不謹慎かもしんないけど、大変そうだような。あとで募金でもしとくかな。

 

「しかし、奴をほっておけば来年3月。奴は必ず地球を爆発させる。その時人類は誰一人助からない。奴は生かしておくには危険すぎる。この教室が奴を殺せる現在唯一の場所なのだ!」

 

そんな事言われたって何をどう殺したらいいのかわからない。まだあの“魔女”とかいうのの方が殺しやすそうだ。こんなこと口にすれば巴に叱られそうだけど。その等の巴はどうしているか後ろの方を見ると真剣な顔で烏間さんの話を聞いていた。

 

 

 

帰りに俺は巴に話をするために呼び止めた。

 

「なあ、巴。話が・・・」

 

と、巴は指を口にあてて、シッとすると

 

『魔法少女の話はここでは禁止。あとで裏山に来て話しましょ』

 

と、脳内に直接話しかけてきた。なんだコレ、テレパシーってやつ?

 

『キュゥべえを介したら杉野君でも使えると思うわよ』

『マジで?すげぇ!!』

『言っとくけど、今は僕の力だからね』

 

巴の足元にひょっこりとキュゥべえが現れた。なんか利用?したつもりもないけどなんか神出鬼没なやつだな。

 

『まあいいか。じゃ裏山集合で』

 

と、解散しようとしたら

 

「あれ?杉野に巴?どうしたんだよ」

 

ゲ・・・岡島に見つかったか。なんか変な勘違いされたくないんだよなぁ・・・って!!

 

「二人とも今帰るところ?」

「か、神崎さん!!!??」

 

い、いたのかよ!?っやべ、神崎さんに誤解されるかもしれねぇ・・・

 

「もしかしてお邪魔しちゃったかな?」

 

「え?いや、そんなことないよ!ただ、話してただけだから!!」

 

・・・なんか巴の視線が痛い気がする。そのうえ岡島がニヤニヤしながら俺の肩に手を回してきた。

 

「なんだよ杉野。神崎さんだけじゃなくて巴も狙ってんのか?」

「んなわけねぇだろ!!俺は神崎さん一筋なんだよ!!」

「わーってるって。修学旅行の班もお前に譲るしさ」

「譲るじゃねぇよ。お前は神崎さんのなんなんだ!でもありがと」

 

巴がひとつ咳払いをしたので俺が苦笑いで岡島を引きはがした。

 

「じゃあまたな!」

 

そういって二人に別れを告げた。あとで巴と話すことはバレたくない。神崎さんと岡島、それぞれ違う意味で・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「しっかし巴の奴、いつの間にペット連れてきたんだ?しかもアレ・・・猫か?」

「なんか・・・かわいい姿だったね」

「ああ、新種かなんかか?倉橋に伝えたら喜びそうだな」

「そうだね。でも・・・」

「でも?」

「あのネコちゃん・・・あの日死に損ねた私たちの魂を取りに来た死神って感じしない?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

周りに人がいないことを確認して俺は裏山の一角で巴と合流した。そこには渚もいた。

 

「お、渚。お前も興味あんの?」

「興味というか・・・暗殺の手助けになれば、って思ってさ」

 

暗殺か・・・渚は真面目だな。確かに巴のあの戦闘力を暗殺に使えるならサイコーだよな。なんか巴はこっそり使って聞かなかったみたいだけど・・・

 

「で、茅野と不破は?不破あたりなんか好きそうな感じしたんだけど・・・」

「不破さん、今日は新刊の発売日だから後日って。茅野さんは興味ないって断られちゃった」

「そっか。ま、あんな化け物と戦えって言われて簡単に受け入れる訳ねーか」

 

それもそうねと巴は頷くと話を始めた。

 

「それじゃあ魔法少女について話しましょうか。キュゥべえに選ばれた以上、他人事とは言えないものね」

 

巴は左手を差し出すとどこからか黄色の不思議な宝石を出してきた。

 

「え!?なんだ今の・・・それも魔法?」

 

「そう言えばそうね。これはソウルジェム。魔法少女の魔力の源よ。キュゥべえに選ばれた子が契約によって生み出す宝石なの・・・男の子も同じ?」

「同じさ。基本システムは女の子でも男の子でも変わらない」

「ですって杉野君」

「だからなんで巴さんは僕を男の子の枠から外すの!?」

「・・話、続けてくんね」

 

話はキュゥべえは続けた。

 

「僕との契約によってソウルジェムを手にしたものは“魔女”と戦う使命を課されるんだ」

「それって昨日の・・・あれ?」

「魔女は絶望をまき散らす存在なんだ。魔女は常に結界に身を隠し、誰かが迷い込むのを待っている。ぶっちゃけ個体差はあるけど人を襲うことに変わりないよ」

「世間でよくある理由のはっきりしない自殺や殺人事件、行方不明はかなりの確率で魔女の呪いが原因なの」

「自殺・・・そんなバケモンと毎日戦ってんのかよ」

「なんか・・・怖いね」

「そうよ、命がけよ。だからあなた達も契約するかどうかは慎重に選んだ方がいい」

 

俺は渚と一緒に悩んでしまった。

 

「でもその代わり、昨日言ってたようになんでも一つ、願い事を叶えるよ」

 

それも十分魅力的ではあるけどなぁ・・・

 

「なんでも叶うのはいいけどその代償?がアレって考えるとちょっとな・・・明らかに殺せんせーより危険に感じたよ」

 

渚じゃ肩を窄めて小さく震えた。そうだよな。渚はあの魔女?に食われかけたもんな・・・。俺は渚の肩を叩いた。

 

「そうね。危険度でいえば殺せんせーは私たちを襲わないからダントツで安全よ」

「そうなのか。じゃあ巴ならラクショーじゃね?」

 

少し自傷気味に聞いたみたけど巴は首を振った。

 

「いいえ。速さだけでいったらどんな魔女よりも速い。私だってこっそり試したことあるけど当たった試しがないわ。それに私たちを襲わないのは政府との約束だから、いつそれを破るかもわからない・・・」

「そう上手くいかないもんだな」

「それに・・・」

「まだあるのかよ!!」

 

巴は少し眉をひそめた

 

「ええ。魔女を倒すとそれなりの見返りがあって・・・昨日偶然茅野さんが拾ったのがそれね。その手柄の取り合いで他の魔法少女と衝突する方が多いのよ。縄張り争いになることも・・・」

「任侠映画かよ・・・」

「巴さん、生きて来た世界が違うね・・・」

「願いが叶うっていいなーって思ったけど、そんな話聞くとモチベ下がるよな」

 

巴はそんな俺の言葉にクスっと笑った

 

「いいのよ。たくさん悩んで。あなた達には選択の余地があるんだから。焦らずじっくり決めて」

 

焦らずじっくり・・・か。ま、3月まで時間あんだからここで先走っても仕方ない・・・よな。

 

 

 

 

次の日の朝、少し考え事がしたくて一人で校庭にやってきた。

 

「結論は出たのかい?」

「キュゥべえ・・・急かすなって巴から言われていただろーが」

「まあまあ。でも君には叶えたい願いがあるんじゃないのかい?」

 

・・・図星だ。コイツには神通力みたいなものがあるのか?

 

「・・・あるよ。願い事くらい・・・。けどな、叶えたところでインチキしてるみたいで嫌なんだよ」

 

落ち着いて話すために雑草の生えている所に腰かけた。

 

「何度思ったか、俺の球速が速かったらって。・・・でも、アイツらは自分の実力で頑張っているのに俺だけ奇跡で得た力を使うわけにはいかねーんだよ・・・」

「でも、今の君は野球していないのだろう?そのまま野球の場に出なければインチキでもないんじゃないかな?」

「・・・」

「僕と契約すれば君が望む力を得られる。さあ、君は何を望むんだい?」

 

そんなの・・・いいのか?でも、今の俺には野球をする機会なんてない・・・。なら、せめて、怪物退治の場なら・・・なんも気にしなくても、いいんじゃ。有田選手のような、進藤(アイツ)のような速い球を投げれるのなら・・・

 

 

 

 

急に目の前にボールが差し出された。俺が昨日暗殺に使った改造ボールだ。

 

「磨いておきましたよ。杉野君」

「殺せんせー・・・」

 

殺せんせーがヤシの実をバリバリ食いながら現れた。飲むだろフツー。

 

「昨日の暗殺はよい球でしたね」

 

先生が俺の隣に腰かけた。

 

「よくゆーぜ。考えてみりゃ俺の球速でマッハ20の先生に当たるはずがねー」

「君は野球部に?」

「前はね」

「前は・・・?」

 

俺は先生にこの学校のシステムの事を話した。E組では部活禁止。成績悪くてE組に落ちたのだから勉強に集中しろって事で・・・

 

「・・・でも、もういいんだ。昨日みたろ?遅いんだ俺の球。遅いからバカスカ打たれてレギュラー降ろされて、それから勉強にもやる気なくて・・・今じゃエンドのE組さ」

 

なんだか自虐的になってしまう。ま、自業自得なところもあるし・・・しょうがない・・・。

 

「杉野君、先生からアドバイスを上げましょう」

「アドバイス・・・?」

 

なんて思ったら、殺せんせーの触手が俺の全身に絡みつかれて、抵抗するまでもなく持ち上げられてしまった。なんなんだよコレ!!口にも猿ぐつわみたく噛ませられて悲鳴も上げられない。助けて!!キュゥべえ引いてんじゃねぇ!!

 

「思ってたより絡まれてる!!」

 

渚!!来てくれたのか!てかなんだよそのツッコミは!

 

「何してんだよ殺せんせー!生徒に危害加えない契約じゃなかったの!?」

 

渚の抗議に殺せんせーは平然としていた。

 

「杉野君、昨日見せた投球フォーム、メジャーに行った有田投手を真似てますね」

 

バレていたのか・・・。先生は俺を地面に降ろした。

 

「でもね。触手は正直です。彼と比べて君は筋肉の配列が悪い。真似しても彼のような剛速球は投げれませんねぇ」

「なんで先生にそんな断言できるんだよ」

「昨日、本人に確かめてしましたから」

 

渚の反論に対して先生がみせたのは有田投手が触手責めにさせた写真が載ってる新聞だった。確かめたんならしょうがない!それとマジ切れサイン見せなくていい!!有田投手そういうこと書くのか・・・いや、書かれてもしょうがねぇわ!

 

・・・けど

 

「そっか。やっぱ才能が違うんだな」

「一方で」

 

先生は俺の手首を触手で優しく包み込んだ。

 

「肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい。鍛えれば彼を大きく上回るでしょう」

 

それって・・・本当か?なんだか心にずっとモヤモヤしていたものが晴れていく気がした。

 

「いじり比べた先生の触手に間違いはありません。才能の種類は一つじゃない。君の才能にあった暗殺を探してください」

 

それを言うと先生は校舎へと帰っていった。

 

 

肘や手首が・・・俺の方が・・・俺の才能か・・・

心を覆っていた闇みたいなものはすっかりなくなってしまった。

 

「それで・・・どうするんだい?」

 

今までのやり取りを黙って聞いていたキュゥべえが訪ねてきた。

 

「ん・・・悪いなキュゥべえ。なんか願い・・・叶っちまった。契約の話、一旦なしでいいか?」

「・・・そうかい。まあ、僕としては無理強いはしないから君の結論になんの口出しもしないよ」

「また叶えてほしいことあったら頼むわ。巴によろしく言っといてくれ」

 

ハイハイといってキュゥべえはどこへともなく去って行った。

なんでストレートばっかりに拘っていたんだろうな。フォークボールとかプロは色んな変化球も持ってんのに。でも、俺にはそんな技を生み出せるかもしれねぇんだ・・・!そうと決まれば練習あるのみ!

 

 

 

お昼休みに俺は渚をキャッチボールに誘った。さっそく変化球を試すことにした。

 

「うわっ!すごいよ杉野!消えたみたいに変化した!」

 

渚の反応は上々。予想以上の出来栄えだ!

 

「肘と手首をフルに活かした変化球を習得中だ!遅い球速《ストレート》もコイツと二択で速く見せれる。あいつにとっちゃ欠伸がでるような球だろーけど」

 

でも、これは自信になる。例え、殺せんせーにあっさりキャッチされても、もうへこんだりしない。

 

「俺、続けるよ。野球も、暗殺も」

「うん」

 

渚は何も言わなかった。けど、その精一杯受け止めた顔はより一層自信に繋がる。

 

「付き合うよ、キャッチボール」

「おう!」

 

俺は職員室の窓から身を乗り出して殺せんせーを呼び出した。

 

「殺せんせー。ちょっと殺したいんだけど来てくんない?」

「ヌルフフフフ。懲りませんねぇ」

 

相変わらずムカつくけど、それが気持ちいい。

俺、好きだな。この暗殺教室




神崎さんが岡島に対して言った(キュゥべえが)死神発言は杉野相手でも渚相手でも言っていると思います

逆に茅野ちゃんや殺せんせーには言えないんじゃないかと
修学旅行のアレを通しても言えないと思います
自分だけならともかくクラス全体だからね・・・


まどマギ知っている方は察しているでしょうが集団飛び降りは魔女の口づけが原因です
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