「集団自殺未遂をしている」
です
理事長に最大級に効く秘密です
効きすぎて劇薬もいいところです
A組は今、屈辱と憤怒に震えている。なぜならE組との賭けに負けたからだ。
正直侮っていたし、見くびってもいた。しかし一切手は抜いてなどいなかった。僕の全力を使ってE組を叩きのめすつもりがこの様だ。情けない、非常に情けない。
僕の計画ではE組に圧勝しA組に従属を誓わせる協定書にサインさせるのが前提だった。表向きはwinwinの地位協定だが、この協定書の項目の一つである「E組の隠し事を禁ずる」、この項目がこの計画のミソだった。この項目を使いE組の隠し事を暴き、父を支配する。その算段であった。
どうにも今年度に入ってからの父のE組への介入は度を過ぎている。以前にも行方不明になったE組生徒の捜索に自ら乗り出すのは何度かあった。しかしそれは本校舎相手でも変わらずだったので気にも留めなかった。
が、今年度はどうにもE組まわりの様子がおかしい。新任教師が急に二人も配属されるし、いつのまにかE組専用グラウンドが整備されてるし、校舎もより清潔になっているうえに教室にはわけのわからない黒い箱が設置されている。おまけに後ろの壁に掲示されている習字のお題が「触手」。まるで意味がわからない。
何より金の流れだ。資金繰りは父の十八番で学校の経営が赤字になってもありとあらゆる手段で黒字にしている。その手段は全てなんら罪に問えるものではないのではあった。しかし、今年度の額はいくら父が株の天才であろうがコネが無数にあろうがあまりに非常識な額が動いているのがわかってしまう。具体的な数値は把握はしていないが、一緒に暮らしている上にあの父から色々教わっているのだから肌感でそれを察知するのはたやすい。しかし収支の情報を手に入れたところで父につきつけてものらりくらりとかわすだろう。もっと決定的な証拠が必要だ。
少し気になるのが不審者の噂。黄色いタコを目撃したとか、コンビニスイーツを買い占める黒ずくめの男とか、Gカップのねーちゃんにヌルフフフと声をかける者とか。あとはこちらに威嚇する浮浪者少女や瀬尾が目撃したとかいう黒い霧に覆われたバケモノ。まあ、これらは関係ないだろう。
だからこそE組への勝利は必須だったし勝ちを確信した上で父を支配する駒になってもらう予定だった。
計画が狂った。思いのほかE組が強敵だった。A組が取れたポイントは国語と数学の2ポイントのみ。しかも取ったのは僕だけだ。おまけに上位50位のいくつかはE組がぶんどり、E組最下位でも菅谷の96位。A組だけではない。本校舎全体にとっても屈辱的だ。考えてみれば前回の中間でも50位以上を取ったのは赤羽以外いないとはいえE組の平均点は格段にあがり、クラス最下位の寺坂でも160位。学年最下位ではない。
わかっていたことじゃないか。今年度のE組はいつもと違う。しかし僕はE組の成長性を侮って負けた。ここまでの伸びはありえないと決めつけていた。笑えない。
「3-Aの浅野学秀君、理事長がお呼びです。至急理事長室へ来てください」
放送で呼び出され僕は何も言わずに向かった。理事長室に入ると父は背中を向けて出迎えた。
「個人総合1位おめでとう、と言いたいところだがなにやらE組と賭けをしてたそうじゃないか。そしてその賭けに君は負けた。
全校中に賭けの話が広まった以上・・・E組の要求は簡単には断れないよ。どうする?学校が庇ってあげようか?」
父はにこやかにしているがおそらくは呆れているはずだ。
「結構です」
そう断ると父は僕へ近づく。
「私の事を「首輪つけて飼ってやる」とか言ってたね。ありもしない私の秘密を暴こうとしたり。よく言えたものだね。同い年との賭けに勝てない未熟者が」
父が見下した目で僕を見てくる。覚えてろよ。次はあんなことを言わせない。僕は父に一礼をして理事長室を後にした。
◆
浅野が去った後の理事長室。浅野理事長は席につきタブレットを取り出し操作した。画面に映し出されたのは2年前にE組から本校舎へ脱出した女生徒。名前は綱吉茂美。復帰したはいいものの本校舎の勉学についていけずに半年ほど前に退学。そして3月から行方不明になっている。
ただ実力が共わなかった、と断じていたが先日のE組担任の報告で事情は変わった。
魔法少女。願いを叶えてもらう代わりに怪物退治をさせられる存在。正直おったまげたが、綱吉茂美の件や前から発生していた行方不明になった生徒の行方。魔法少女や魔女という存在を知れば納得のいくものであった。
E組担任からは本校舎生徒である美樹さやかの面倒を見てくれと頼まれた。正直なのか冷酷なのか彼女の面倒までは見切れないと言ってきた。浅野理事長にとってはそのくらいはたやすいと了承した。むしろ美樹さやかは
浅野理事長にとって自分の生徒だけが不利益を被るのはご免願いたかった。明らかに詐欺みたいなものに自ら引っかかりにいくのであれば、自己責任なので止めやしないが、生徒に狙いをつけてわざと陥れようとするなら話は別だ。しかしやっかいなのがその魔法少女に関わる妖精というのが大人に見えないということだ。それが本当であれば浅野理事長としても出せる手が限られてくる。
おそらくは綱吉茂美も魔法少女だったのだろう。そして願い事も予想がつく。そして末路も。
しかし、それがどうしたというのか。怪物がいようが魔法があろうがそれは以前からあるものだろう。それらがあったとしてもこの学校の教育理念は機能し続けていた。一層生徒の監視に目を配るが、特別なことはしない。むしろ危険視すべきは
だからこそ手を打とう。夏休みの間に。
◆
A組の教室に戻ると少し空気がピリッとしていた。
「悔しいのなら実行に移せ。ギャーギャー喚いたところで結果は覆らない」
「浅野君・・・」
すると僕のスマホにピリリと着信音がした。E組の代表、磯貝悠馬からだった。
「E組からの要求だ。「今回の賭けの戦利品として“特別夏期講習”をE組によこせ」・・・だそうだ」
その内容を周りに伝えるとホッとするやらしかめっ面をするやらだった。
「これだけかよ。拍子抜けだな」
「この程度しかねーってことだ。ギシャシャシャ!よかったよかった」
「「「よくねーよ!!」」」
五英傑以外のクラスメイトがキレて掴みかかろうとしたが僕はそれを制した。
「やめないか。そろそろ集会の時間だ。我がA組が遅刻でもしたら恥の上塗りだ。さっさと体育館にいくぞ」
皆は僕に従って静かに体育館に向かった。その体育館に入った直後だった。
「おお~やっと来たぜ生徒会長サマがよぉ」
E組の寺坂が偉そうに僕らを出迎えた。今回の賭けになんの戦力にもなってなかったのに。これは無視に限る。
「何か用かな。式の準備でE組に構う暇なんてないけど」
立ち去ろうとする僕の肩を寺坂が馴れ馴れしく掴んでくる。顔もなんだかいやらしい。
「おーう待て待て。何か忘れてんじゃねーのか?」
「浅野。賭けてたよな。5教科を多く盗ったクラスが一つ要求できるって。要求はさっきメールで送信したけど、あれで構わないな?」
後ろで蓮たちが悔しそうにしているが、ここで怒りに任せたらこちらの立場がなくなるだけだ。
「5教科の賭けを持ちだしたのはてめーらだ。まさか今更冗談とかいわねーよな。何ならよ、5教科の中に家庭科とか入れてもいいぜ、それでも勝つけどな」
寺坂が嬉しそうに煽って来るが、僕の家庭科のテストは98点。確か100点を取った奴が4人もいたが、・・・こいつらだったか。家庭科であろうが僕は負けた。その事実は受け入れるしかない。体育館横の準備室につくと他の生徒会の奴らがビクビクした顔で僕らを出迎えた。
「式の準備は出来たのか?そんな反応してたら式が滞る。さあ、生徒会らしく修了式を勧めようじゃないか」
他の生徒会からの反応はなかった。一人を除いて。
「はい、式で配るプリントは用意してあります」
志筑仁美。編入試験の優秀さ、そして日々の授業態度の良さから先日生徒会入りさせた。今回の期末試験でも1位の成績だ。なかなかに見込んだ生徒だ。ややE組に肩入れしている所は頂けないが。
「ありがとう・・・E組の分のプリントもあるんだな」
「え?それが何か。全員分用意するのが当たり前でしょう?」
志筑はやや戸惑っていたが僕は何もいわなかった。ここでE組にプリントを配らないとかしても負け犬による嫌がらせにしか映らない。
「いや、問題ない。式はいつも通り行う。いいな?」
はい、と返事は帰ってきたが志筑以外の顔は浮かないままだ。当たり前だ。E組が
式の間、僕らの心境は穏やかでなかった。申し訳ないがB組の多川心菜への追悼だけが僕らの心を落ち着かせることができた。この借りは必ず返す。父より先にまずE組。標的はお前らだ。お前らには反省してもらう必要がある。この学校の秩序を乱したことを地面に地をつけ謝罪しなければならない。どんなことをしても償ってもらわなねば。そのためにも彼女を利用するしかない。
美樹さやか。
本校舎で最もE組と親しくしている生徒。しかし彼女はE組の秘密は知らないだろう。だからこそ彼女を利用すればE組の秘密を握れる。夏休みの間に接触し、コネクションを得ねば。
◆
「いやー、愉快だったね。E組いじりも受けが悪かったし、みんな悔しそうにしてたし。今まで馬鹿にしてたツケってもんよ!ザマーミロ!!」
「莉桜さんお口が悪いわ。そんなこと言ってるとバチ当たるわよ」
「大丈夫大丈夫。バチはもう受けたもんだし」
「もう、調子いいんだから」
そんなことを話しながら教室に入ると目に飛び込んで来たのは紙の束だった。やけに多くない?みんなで首を傾げながら席に座ると殺せんせーが「おかえりなさい」とニコニコしながら出迎えてくれた。
「一人一冊です。取りに来てください」
「先生それは・・・?」
「なつやすみのしおりです!」
みんな呆れすぎてツッコミの言葉も出てこない。あーだこーだ言ってもどうしようもないのでみんな渋々その馬鹿みたいに分厚いしおりをとりにいった。
「・・・出たよ恒例過剰しおり」
「アコーディオンみてーだな」
「これでも足りないぐらいです。夏の誘惑は枚挙にいとまがないですから」
全てのしおりを配り終えると殺せんせーが総括に入った。
「これより夏休みに入るわけですが、皆さんメインイベントがありますよね」
「ああ、賭けで貰ったコレのことね」
今回の戦利品の豪華さに殺せんせーもウキウキしすぎてもったいぶった言い方をしちゃっている。
「本来は成績優秀クラス、つまりA組に与えられるはずだった特典ですが、今回の期末はトップ50のほとんどをA組とE組で独占している。君たちにだってもらう資格は充分にあります。
夏休み椚ヶ丘中学校特別夏期講習!!沖縄離島リゾート2泊3日!!」
パンフレットには綺麗な写真がいくつも並べられ、ここで夏休みを過ごせるのかと思うとワクワクしてくる。それはみんなも同じで教室の色んなところから歓声が聞こえてくる。
「君たちの希望だと、触手を破壊する権利は教室では使わずこの離島合宿中に使用するということでしたね。触手9本の大ハンデでも満足せず四方を先生の苦手な水で囲われたこの島を使い、万全に貪欲に命を狙う。
正直に認めましょう。君たちは侮れない生徒になった」
悔しい、とは口で言っているけど私たちの成長を喜んでいるのはわかる。だからこそ、この島で私たちの
「親御さんに見せる通知表は先程渡しました。これは
殺せんせーがブワッと紙の束をバラまいた。教室中に一杯の二重丸。
「一学期で培った基礎を存分に生かし、夏休みも沢山遊び、沢山学び、沢山殺しましょう。
暗殺教室、基礎の一学期。これにて終業!!」
私たちは胸に一杯の希望をためて校舎をでていった。夏休みは始まったばかりだ。
ちなみに、あの分厚すぎるしおりは置いていった。さすがに魔女退治には邪魔すぎるしね。
◆
あ~、昨日は驚いた・・・。
何かあった女の子を追いかけたら変な緑色の何かが出るし、その女の子は暗殺者だし、エイリアンにフツーに話しかけられるし。光学迷彩で咄嗟に逃げたはいいものの、なんとなく面倒なことに巻き込まれたような気がします。
ただでさえ、残酷な運命しかない魔法少女。せめて存命の間は平穏な暮らしがしたいものです。だから魔女退治も極力最低限で済ませているんですから。
そんなことを思いながらお店でぼんやりしていると店先に一台の黒い車が停まりました。なんだろう、と思っていると車からいかにもお堅そうな人たちが降りてきてお店に入ってきます。
「あ、えっと、いらっしゃいませ~」
私が挨拶すると黒いスーツの女性が私の前に立ちはだかり
「愛生まばゆさんですね」
まるで刑事のようなまなざしで私に尋ねました。
「はい・・・えっと」
「申し訳ありません。少々お時間いただけますか?」
その物々しい雰囲気に流石の咲笑さんもいつものほわほわさが消えています。
「あの、私何か・・・」
「我々とご同行お願いできますか」
ご同行・・・?え、マジの刑事?私何かしましたっけ???身に覚えがな~~い!!
すると女刑事さん(暫定)が私にだけみえるようにこっそりとメモを見せてきました。
『我々は防衛省です。愛生まばゆさんが魔法少女だということを受けてご依頼したいことがあります』
全ての文字は読めます。しかし、全文が理解できません。頭に入りません。読み込みエラーがでました。しかし私は何も理解できないままに「これはNOはいえないやつだ」ということだけは把握せざるおえませんでした。
かんっぜんにやばいことに巻き込まれた。さらば平穏な暮らし。さらば穏やかな余生・・・。
せめて、魔女になるまでの時間を出来る限り伸ばしていられるようになることだけを願おう。
◆
家で過ごしているとトントンとドアをノックする音がした。
「有希子。入るぞ」
入ってきたのは父だった。手にしてあるには郵送された成績表だ。父が何がいいたいのかわかった。
「お父さん。私E組を出る気はないよ」
父の眉がピクッとあがった。
「この優秀な成績なら本校舎に戻るのだって容易だ。本校舎の方に入ればよりよい大学にだって入れるぞ」
「E組にいたっていい大学には入れるでしょ?」
私が言い返すと父の顔つきが厳しくなってくる。
「こちらから編入の話を聞いてみたら「本人の意向次第」といわれてな。お前が首を縦に振るだけでいいんだ。E組を出るんだ」
私は首を横に振った。
「私、本校舎に戻らない。何を言われてもE組は出ないから」
父の拳はプルプル震えて声を荒げた。
「お前はいつからそんな態度を取るようになった!!近頃は中指立てるわ帰りは遅くなるわ、あげくに不良学生と遊ぶようになるわ!!E組に悪い影響をもらったか!!それとも・・・あれか」
父がズンズンと進みあるゲームを手にした。あれは、おばあちゃんから貰ったへそくりで買ったゲーム・・・!
「選ぶんだ有希子。本校舎に入るか、E組に残ってゲームを捨てるか。2つに1つだ。選ぶんだ」
「人の持ち物を勝手に捨てるのって違法だったよね?弁護士がそんなことしていいの?」
「法で戦う気か有希子、法のプロ相手に。だいたい訴えてみるといって実行しないのも違法なんだぞ。わかっているのか!!」
「まだ、訴えるなんていってないわよ」
「ああ、言っておくがE組に入るのならゲームを捨てるだけじゃない。今後永久にゲームはさせないし、どこかに遊びにも行かせない。今後悪い影響に触れないよう監視させてもらう」
その言葉に私は息を呑みこんでしまった。いやだ、そんなの嫌。
「時間を与えてやる。しっかり考えることだ」
父はそういって私の部屋をでていった。どうぜE組を出る選択肢しか許さないに決まっている。ここ最近父とケンカが続いている。もう言いなりになんてならないと静かに、時に激しく抵抗を続けていた。けどついに実力行使にでてきた。思い通りにならなくなったからって・・・!
私の心はどす黒く渦巻いていた。最悪、あの人に支配なんてされたくない。私はE組に卒業までいたい。殺せんせーに教わり続けたい。私の居場所は私が決めたい。どうこう口出しなんてされたくない。ましてやおばあちゃんを見捨てた父になんて。E組が私の居場所なんだ。E組に残りたい。
そのためなら私は何をしたってかまわない。
何を、したって・・・
何を・・・
・・・
「キュゥべえ、いるんでしょ」
私がキュゥべえを呼ぶと後ろにひょこりといるのを感じた。振り返ると本当にちょこんと座っていて白い大きなしっぽをユラユラ揺らしている。
「僕を呼んだということは願い事があるということだね?」
私は頷いた。殺せんせーは悲しむかもしれない。こんな自ら危険なことに飛び込むようなマネをするだなんて。でもかまわない。この命は捨てたも同然だから。あの日、みんなで飛び降りた日には私たちは命を落としたはずだった。けど、巴さんに助けられて命拾いした・・・のかもしれない。正直覚えてないけどそれ以外考えられない。でも、だからこそ命をかけることに一切の抵抗はない。私は私の居場所を守るためならこの命もおしくない。
「ええ、契約する」
「そうか、じゃあ君は一体何を願うんだい?」
喉に突っ返そうなものを取り払い、私ははっきりと願いを声にだした。
「お父さんに私のやることを口出しさせないで!」
胸に鋭い痛みが走った。胸元から光る球が出て来た。
「契約は成立だ。さあ、受け取ってごらん」
光りの球は私の手の中に納まるとコロリと卵型の宝石になった。これでもう父が煩くいうことも・・・
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
居間の方から叫ぶ声が聞こえて来た。突然のことで何が起きたのかわからない。
「な、なにがあったの?」
「今、君のお父さんの喉が焼かれているんだ」
キュゥべえは冷静にというにはあまりにも感情が無さすぎるトーンで語った。
「な、なんでそんなことに・・・まさか」
「そのまさかだよ。お父さんに口出ししてほしくない、そう君は願ったよね?それでその通りになったんだ」
「どうして?」
「どうしてって・・・君が心の中でそう思ってたからじゃないかな?考えなかった事ないだろう?お父さんに黙ってくれって。意図してなくても心の中のイメージをくみ取って願いが反映されるのはよくあることだ。例え文言から読み取れなくてもね」
呆然とする私の耳にガラスを叩く音が聞こえて来た。見ると殺せんせーが窓から慌てた様子で窓をスマホの角で叩いていた。
「神崎さん!神崎さん!何があったのですか!?」
「こ、殺せんせー・・・」
私は窓を開けて殺せんせーを部屋の中に入れた。いろんな感情が私の中で渦巻いていてうまく話せない。
「殺せんせー・・・私悪い子だ・・・」
殺せんせーは何も言わずに私の頭を撫でてくれている。先生には何もかもお見通しだ。私が契約したことも願いも。
父が私のせいでひどい目に遭っているのにも関わらず、「ザマァ見ろ」って思っているなんてことも。
自分がどれだけ自分勝手で卑怯な子なのか思い知ってしまう。今はただ殺せんせーに縋るしかない。この汚い心と向き合う時間がほしかった。逃げるのだけはいやだった。そのための勇気がほしい。私は顔をうずめて殺せんせーの服を握っていた。殺せんせーは何も言わなかった。
一学期編 完です
夏休み編に入る前にあいつらが大暴れするらしいです?