巴マミは暗殺者   作:百乃綾香

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更新が遅れて大変申し訳ありませんでした!!!

他ジャンルに浮気してました!!

低頻度ではありますがまた更新を再開したいと思います。

暗殺教室映画絶賛上映中です!みんな見に行こう!!!


56時間目 取り分の時間

 

夏休みに入って俺はさっそく朝から店の手伝いに駆り出されていた。珍しく団体客、といっても常連のひとりが納涼会をウチでしようとなっての団体客ってことだ。自分でいうのもアレだけどどうかしている。このマズイ飯でよく納涼会やろうと思えるよな、とお袋に愚痴るとどうやらウチはビールが比較的安めに呑めるらしい。だからウチでやりたいんだと。大人ってわからねー。

まあ、なんにせよ客が入るのはいいことだ。それに今は閑古鳥が鳴く店でもいいと決めたのはなんにせよ俺だ。新規の客だって来るには来ている。あの3人娘以降いねぇけど。今だってお昼の時間だっていうのに未だに客が入ってこねぇし。

なんてことを心の中でぼやいているとガラッと店の扉が開かれた。

 

「いらっしゃい・・・あら」

「村松君のお母さんこんにちわ」

 

顔を出したのは巴だった。なぜか木村矢田もいっしょだ。どういう組み合わせだよ、と思うと巴の後ろから神崎こちらを遠慮深そうに覗いてきた。そんな神崎に巴は目配せをすると俺の母親に話を始めた。

 

「あの、ちょっと村松君借りてもいいですか?話したいことがあるので」

「いいわよいいわよ。うちの子でよかったら」

 

何を勘違いしたのかお袋に送り出され、俺達は4人は近所の人目に付かないところに移動した。おそらくは議題は神崎の件についてだろう。

昨日ラインで神崎の件を見た時は見た時は俺でも動揺してしまった。キュゥべえに願った結果、父親を傷つける事になってしまっただと。詳しい話は聞いてないがそんな叶え方もあるのかと引いた。俺は運がよかったほうかもしれない。

4人の間の空気は静まり返っている。巴以外あまり関わらないメンツだからどう話そうかと迷っていると、以外にも神崎が火ぶたをきった。

 

「ゴメンね村松君。勝手に連れ出しちゃって。ちょっと聞きたいことがあって・・・」

「聞きたいこと?なんだよそれ」

 

神崎は伏せていた顔を上げて、

 

「契約した後、殺せんせーに何かいわれなかった?」

 

そう俺に聞いてきた。ああ、なるほど。俺を連れ出したのはそういうことか。大っぴらに話すつもりはなかったけど、俺が契約した直後はイトナの事件があったりテストだったりと詳しい話をするときがなかった。大した話でもないけど何か力になるんならはなしてもいいかな。

 

「あー・・・えっとだな、『目に見えて結果がみえてこないことを願ったのだから、自分の本当の願いを決して忘れてはならない』だったかな?別に店を潰さなせないって本心そのまま願ったんだから忘れるも何もねぇんだけどよ」

 

そう語る俺に巴が向ける視線がなんだか意味あり気だった。

 

「な、なんだよ」

「いえ、ちょっと思い出す子がいてね。でも村松君、殺せんせーが言ってた事は大事な事よ?私たちがいるとはいえ戦う動機は大切なんだから忘れずにね。なにもかも自己責任なんだし」

 

巴に変に真剣に言われて俺は頷く他なかった。そして首を傾げた。

店を潰さないようにって俺が忘れるはずもないんだけどな。そんな俺を置いといて巴は話を続けた。

 

「神崎さんが色々思い悩んでるだろうからって私が語る場を設けたの。人のために願った子は他にもいるけどその中でも家族と他人じゃまた話は変わってくるからね。村松君誘ったのもそのため。よかったらでいいけどみんなの話も聞かせてくれるかしら」

 

巴に促されて最初に話し出したのは矢田だった。

 

「私はただ、弟の病気治してって願ってちゃんと叶って、本当によかったっておもっているよ。きっかけは自分の身を護るためって意味だけど、それでもずっと苦しんでいた弟が元気になっただけで心から嬉しいんだ。それだけで魔法少女を続けられる」

 

やや遠慮気味にもけど優しい顔で矢田は話した。誰が聞いてもよかったと言えるようなものだろうしな。

そんな矢田を見て、木村が少しため息をついた。あ、そういやコイツは・・・

 

「俺は本心そのまま願わなくてよかったよ。下手したら親父消してたかもしれないんだし。そういう意味では神崎はまだいいほうだよ。喉がやられただけで済んだんだから」

「うん、死ななかっただけよかったってわかっているんだけど、それでもお父さんを傷つけたことには変わりない。お父さんを黙らせたくて、そう思いながら願った結果そうなってしまった。この結果は受け止めないと。私の責任なんだから」

 

見るからに怯えてはいるけど目は強い目をしている。なんか楽観視している俺が恥ずかしい。

 

「つーか責任ってどう取るんだよ。喉をどうにかするとか?」

「ううん。喉のやけどが治ったとしても二度と声がだせないかもって。仕事の事は私じゃどうしようもないから、魔法少女の役目をきっちりこなさないと。巴さんみたいに、魔女も使い魔退治していく。それが私に出来ることだから」

 

「へー、随分ご立派だねぇ」

 

頭上から聞き覚えのする声が聞こえて来た。一斉にその声のした方、街灯がある場所に目を向けると。

 

「罪滅ぼしにご奉仕ってか。動機はどうあれ手に入れた魔法は自分のもんなんだ。罪悪感とか感じてる暇あったら自分のためにつかいなっての」

 

そこにいたのはいつぞや俺達を襲い、狭間に人違いで襲ってきた赤い髪の女、佐倉がいた。

 

「あー!お前、あの時の暴力女!」

「うるせぇ!!あの時謝っただろうが!!つかテメーまでいんのかよ!!」

 

佐倉を見つけた巴の雰囲気は一変した。アイツの周りの空気がややピリピリとしている。昔馴染みって言ってたけど・・・それだけじゃねぇなコレ。

 

「少し久しぶりね佐倉さん。今日はなんの用?」

「別にー?そろそろ夏休みだろうからちょいとばかし遊んでやってもいいかなーって」

 

そう言って佐倉が降りてきて俺らを睨みつけている。

 

「にしてもマミよぉ・・・流石に仲間増えすぎじゃね?これで全員じゃねぇんだろ」

「別にいいでしょ?なんやかんやでうまいことやってるんだし。で、そっちはどうなの?魔女が減ったとかいってたけど」

「もしかしてまた椚ヶ丘(コッチ)の魔女を奪いにきたとか?」

「いや、それはいいんだ。なんか魔女の数回復したし」

 

佐倉がそういうと俺以外がズルっとずっこけた。いまいち佐倉の情報よく知らねぇけどそういうやつってことでいいのか?

 

「・・・ならよかったじゃない」

「よくねーよ。魔女が増えたっつてもなんか気味わりー魔女でよ、グリーフシードは取れるけど釈然としない・・・ってあたしのことはいいんだよ。アタシが用があるのはどちらかってとアンタ等だ」

 

「特にポニーテールの奴と金髪のテメー。聞いた話じゃ人のために願ったんだって?くっだらねぇことに使ってさ」

 

佐倉のその貶し言葉に俺はカチンときた。

 

「あぁ!?」

「くだらないってどこが?」

 

対して矢田は冷静に佐倉に対して対話をしようとしている。

 

「くだらないも何もわざわざたった一度の奇跡を他人のためなんかに使っちゃってさ。・・・言っとくけど家族相手だろうが他人だ。で、アンタらも魔法を人のために使わなきゃーってタイプ?」

 

そう聞かれて俺は言葉に詰まった。正直そこまで考えてはいなかった。巴がいる手前魔女退治はやるつもりはあるけど人助けってのは頭になかった。貰えるもん貰ってトンズラこいてもいいってキュゥべえも言ってたわけだし。

けど、矢田はそうでもないらしい。

 

「そうだよ。みんなのための魔法だし。この力でみんなの平和を守るために使うんだから」

 

そう堂々と言い切って佐倉を睨みつけている。

 

「うざったいね。それも奴の受け売りってやつかい、マミ」

「前も言ったけど使い魔も人を襲うのよ。ほっとけないから退治するようみんなに言っているわ」

「へー・・・」

 

佐倉は何か気にいらないのか顔をしかめっ面でそれを聞いていた。

 

「でもそれでなんで誰も食いっぱぐれることがないんだ?魔女が集まる体質にされた奴がいるって前は言ってたけど、それだけでそんな大人数が保てるなんておかしいとは思わないのか?」

 

そう言われ俺らの間に緊張が走った。俺らだけが手に出来るグリーフシードの劣化版はクラス内の秘密になっている。一応2年の美樹には伝えているらしいけど基本的には口外禁止だ。あれのことがバレると他所の魔法少女に襲撃されかねないと。目の前のコイツのように。

 

「アンタ等・・・なんかズルしてるな?でなきゃ説明がつかねぇ。どうなんだよマミ、アンタ主導でやってるわけだろ?そこんとこ」

 

巴は何かを考えているようで黙って、

 

「魔女の数は元に戻ったんでしょ?なら私たちに構わなくてもいいんじゃない?」

「うーん、そりゃそうなんだけどさ。こっちはなんか釈然としねーんだよ。それにそうやって誤魔化すってことは隠してるってことでいいんだよな?」

 

ニタニタと詰め寄って来る佐倉と一定の距離を取る。

 

『佐倉さんがいつ襲ってきてもいいように戦う準備はしておいて。佐倉さんはここにいる私以外の魔法を知らない。だから有利はとれるわ。けど油断しないように。それは佐倉さんも承知しているから』

 

「別にどこかに言いふらそうだなんて思ってねぇ。ただアンタ等に正直に話してほしいだけだ」

「それだけ?本当にそれだけなの?」

「そうだよ。流石に大勢相手にこの縄張り奪い取ろうだなんて無謀な事は企まないよ。あのタコ教師にまた睨まれちゃしょうがねぇ。アタシは気になるだけだ。マミとつるんでるアンタ等のこともな」

 

お、と佐倉は何かを思いついたようで俺らに何かを語り掛けた。

 

「ここは賭けをしよう。お前らでアタシと手合わせをしろ。いっとくけどマミはなしだ、そこで審判をしてもらう。お前ら全員で勝てればアタシはこれ以上追及はしねぇ。けど、負けたらしっかり吐いてもらう。いいな?」

 

急な対戦申し込みに俺は意味がわからずしかめっ面になるしかなかった。けど他の奴はなぜかやる気なようで戦闘の構えをとっていた。え、マジでやんの?

 

「・・・みんなはいい?」

 

みんなは頷き、俺もしょうがないので頷いた。

 

「それじゃあ始めるか。決着方法は相手に手を付かせて参りましたって言わせることだ。」

 

佐倉が変身したと同時に俺らも変身をして武器を構えた。

 

「お前ら先行でいいよ。かかってこい」

 

佐倉がそういうと同時に木村が弾丸を奴の足元に撃ち込んだ。とっさに佐倉はバックステップで弾丸を避けるが、その回避するであろう場所に目掛けて矢田の斧の斬撃が奴目掛けて振り下ろされる。

 

「案外容赦ねーな。けど、こっちだって手ェ抜く気ねぇからよ!!」

 

その瞬間、矢田が俺の目の前に吹っ飛んできた。

 

「え・・・」

 

俺には何が起こっているのか分からないまま激突され同時になぎ倒されてしまった。俺がクッションになったからかあまりダメージをくらってなさげだけど俺が滅茶苦茶いてぇ・・・

 

「いってぇ・・・いつまでも乗ってんじゃねぇよ矢田ぁ!」

「うっ・・・ご、ゴメン村松君」

 

矢田とぶつかったのが背中側でよかった・・・じゃなくて、戦いは・・・木村がどうにか佐倉の動きを制限するように弾丸を撃っているけどどれも華麗に躱していやがる。それと同時に襲い掛かろうとした神崎の武器である薙刀を軽々と受け止めていた。

 

「ふん、ひよっこ共が。そんなんじゃ・・・!?」

 

突如として佐倉の武器が燃え上がった。佐倉はギョッとしてとっさに武器を捨てて神崎に蹴りを入れた。少し混乱しているだろう隙を見て俺の武器である弓矢で佐倉の足元を狙った。矢は見事にくるぶしに命中した。

 

「しまっ・・・!?」

 

片足が動かなくなったところにようやく木村の銃弾が命中し佐倉は膝をつき、手をついた。よかった決着がつけた。

 

「マイリマシタ・・・!?」

 

佐倉は自分が何を言ったのかわからないとでもいうかのように口を手で覆った。

 

「勝負あり、ね」

「は、アタシこんなこというつもりじゃ・・・」

 

抗議しかけて何かを考えこんだ佐倉は、何か思い至ったようで木村の方をキッと睨みつけた。

 

「おい、お前・・・洗脳系の使い手だな?」

 

そう突き付けられた木村は気恥ずかしそうにハハハと笑っていた。この作戦をテレパシーで伝えてきたのは意外にも神崎だった。

俺、矢田、神崎の三人が佐倉を攻撃するかのように振る舞い、実際のトドメは木村の一発に賭ける。作戦は簡単そうに聞こえるけど俺と矢田は衝突事故を起こすし神崎も初見殺しだったからうまくいったものだけど、佐倉の蹴り一発で動けなくなっていた。

まあ、何はともあれ目出度く俺らの勝利ということだ。

 

「だぁーーー!!!!こんなの卑怯だろうが!!!洗脳で無理やり言わすってよ!!」

「ルールを決めたのは貴女よ。負けを認めたら?」

「・・・マミ、お前はこうなるってわかってたんじゃないのか?このメンバーとアタシの勝利条件を聞いてなんか余裕そうにしてたし」

 

巴は佐倉にそう聞かれても知らん顔してた。俺らは頭を傾げていたけど神崎だけは涼し気な顔をしている。お前昨日契約したばっかだよな。それであの作戦を立てたのか?やべぇ

 

「さ、勝ったのは私たちなんだしもう余計な詮索はしない。いいわね?」

「わかったよ。もう探ったりしねーよ」

「本当に?」

「本当だよ。これで抜け道使ったらアンタは・・・怒るだろ」

 

佐倉はふてくされて呟いた。相変わらず態度は悪いがなんだかさっきと違って少しだけしおらしい気がする。あんだけ暴れててちょっと力が抜けてしまう。なんなんだよテメーの態度は。

 

『マミちゃんちょっと嬉しそう』

 

テレパシーでの矢田の発言に俺は信じられなかったが、確かにニコニコとしていた。昔馴染みとは聞いていたけど確かにそんな空気は感じる。なんかあったんだろうな、知る気もねーけど。

 

「・・・じゃ、アタシはオサラバするよ。もうどうなっても知らねーからな」

「あ、ちょっといい」

 

背中を見せて去ろうとしたところを巴が呼び止めて佐倉はカッコが付かなかったのかズッコケてかなり不機嫌な顔をこちらにみせてきた。

 

「なんなんだよ。人がせっかくカッコよく去ろうとしてんのによ。ここは黙って見送るところだろ」

「そんなことどうでもいいのよ。貴女言ってたわよね、魔女の数は戻ったけど釈然としないことがあるって」

 

そう聞かれ佐倉の顔つきは真剣なものに変わった。

 

「一体何が釈然としないの?貴女の勘はそうそう侮るものではないわ」

 

佐倉はふぅーと深く息を吐くと、気分が悪いとでもいうように呟いた。

 

「弱すぎるんだよ、魔女が」

 

その疑問点に俺は何が問題なのか意味が分からなかった。

 

「弱すぎるって・・・弱くて悪いことでもあるのか?」

「そうだよね。弱いなら楽に倒せるし魔力も使わずにすむし・・・あ、グリーフシード落とさないとか?」

「いや、さっきも言ったけどちゃんと落とすし使えもするけどさ・・・そうじゃなくて・・・」

「んだよ、さっさといえや」

 

なんだか煮え切らない態度の佐倉に俺はさっさと言えよとイライラしてると

 

「魔女、というには弱すぎて何かの罠を感じるの?」

 

神崎がそう切り出してきた。それをきいた佐倉は目をかっぴらいて

 

「そう!そうなんだよ!」

 

と力強く言い放った。

 

「よえーんだよ!下手したらその辺の使い魔の方が強いんじゃないかって奴もいるぐれーで、なんか気味悪いんだ。今まで手応えのない魔女はいるにはいたけどそれ以上なんだよ」

「要はダンジョンボスを名乗っているのにワンパンで倒せちゃってドロップアイテムもいいから逆に・・・ことだよね」

「悪い、ダンジョンがある感じのゲームはあまりやったことないからあまりピンと来ないんだ・・・」

「ううん、いいの。私が納得できる形に翻訳しただけだから」

 

幸いにも神崎の例えでピンときた。装備を整えて挑んだボスがワンパンだと勝った気にならないということかな?確かにそれはおかしい気がする。なんならすぐにイベント戦かと身構えそうだ。

 

「うーん・・・いくら弱くても魔女が増えているのは確かなんでしょ?それって一大事じゃない?キュゥべえは何か言ってこなかったの?」

「それがなーんも。そんな魔女もいるさだとよ。だからなんにもわかりゃしねぇ」

 

矢田の疑問に佐倉はやれやれと答えにならない答えを返しこちらもお困りというようなポーズをとった。

一連の話を聞いていた巴は静かに考えて、ようやく言葉を発した。

 

「そう・・・でも椚ヶ丘(こちら)にはそんな弱すぎる魔女は出てきてないわ。他の地域はどうなの?」

 

その問いに佐倉はうーん・・・と頭を抱え、

 

「そもそもアタシ自身他所の魔法少女とパイプがあるわけじゃないからな。ただ、縄張りで張り合ったりする回数は格段に減った、気がするかな」

「つまり魔女の数が他の地域でも安定している。ってことね」

 

二人の話的になにやらただ事ではないと肌で感じはするけど俺の足りない頭では何がどうヤバいのかがわからない。

 

「話ありがとうね。・・・ちょっと弱すぎる魔女が引っかかるわね。何かまた気になることがあったら来てくれるかしら」

 

そう巴に言われた佐倉はしばらく黙りこくっていたが観念したのか、手をパタパタとした。

 

「わかったよ。何かわかったらまた来るわ。次は喧嘩売ったりしねーしよ。・・・じゃあな」

 

そういって佐倉は去っていき、この場に謎の静寂が流れた。

 

「・・・もう、アイツが襲ってこない、でいいんだよな?」

「そうね。結構義理堅い子だし。もう身構えなくてもいいかもね」

「よかった・・・魔法少女同士で争いたくないもんね。始めて対人やったけど・・・怖かった」

 

矢田はその場でへたり込みそんな弱音を呟いた。魔女やイトナとは違う他所の魔法少女との戦闘。こんなことを巴はやってのけてたのかと思うと想像以上に只者じゃねぇなと思ってしまう。ちょっとヤンキー漫画ぽくてかっこいいなとも。題材がメルヘンすぎるけれども。

 

「みんな、今日は私のためにゴメンなさい。戦闘にも巻き込まれちゃって」

「いいんだよ。むしろ神崎のあの火炎魔法がなかった勝てたかどうか・・・」

「ふふ。そろそろお昼ね。ごはんどっかで食べる?」

 

ちょっと気まずそうな目線を俺に向けた。分かってる俺んちのラーメンは候補にない事ぐらい。

 

「というかお昼なら俺は店に戻るわ。そもそも夜に団体客入ってるから手伝いしなくちゃいけねーしよ」

「そう。ならムリに連れ出してゴメンなさいね。じゃあ、また」

「おう、じゃあな」

 

俺は巴たちに別れを告げて駆け足で店へと戻った。

しかしよえー魔女なあ・・・そう言われても俺自身魔女との戦闘は数えるほどだ。何がどうおかしいのかたんと想像がつかない。そんな考え事をしているうちに店に到着した。丁度店から客が出ていくところだ。例の新規の三人娘がワイワイしながら帰るところだ。俺は目があった一人と軽く会釈をかわして店に入った。ふと、三人娘の話声が聞こえて来た。

 

「ねぇこのは~ここのラーメンのどこがいいの~?」

「え?この辺で一番おいしいでしょ?」

「まあ、このはが気に入ったのならいいけど。ザーサイはおいしいし」

 

・・・とりあえずあの三人娘が常連になった理由はわかった。好みは人それぞれだしな、うん。それは置いといて俺は即座にエプロンを身に着けて支度にかかった。

わざわざ危険な魔法少女になってまで守ろうとした店だもんな。どんだけまずかろうと仕事に手を抜くわけにはいかないよな。

俺は決意も新たに仕込みを再開した。

 

 

◆◆◆

 

「あちしなんど食べてもあのラーメンオイシイと思えないよ~」

「アタシは逆に癖になってきたよ。あの古臭いラーメン」

「ラーメン評はいいけどそろそろ考えないと葉月あやめ。この街に留まるか出ていくか」

「えー!この街に魔女が集まってるって話で来たでしょ~?また引っ越すの~?」

「でもここ最近はその魔女も見つからなくなってる。正確には先回りされてウチらの取り分がないってこと」

「所詮私たちは神浜から流れてここに一時的に根を張るよそ者。おこぼれすらいただけないのなら去るしかない。私たちは縄張りを奪いにきたわけじゃないから」

「・・・じゃあしょうがないのかな」

「ここ最近はグリーフシードにありつけてないからね。特にあやめのソウルジェム・・・だいぶ薄汚れているし」

「大丈夫だよ。魔力使わずに戦えればいけるって!」

「気を付けてよ。先回りされてるってことは他の魔法少女の数はかなり多いってこと。しかも一回戦闘になりかけたしね」

「ゴメンねっていいながらかなりきつめの攻撃受けたよね。しかも覚悟決まってる顔しててちょっと怖気ずいちゃった」

「あの黒い魔法少女もう会いたくないよ。死神かと思った」

「そういうこともあるし・・・出ていくしかないかもね」

「せめて新しいところに住むまでのグリーフシードがゲットできたらいいんだけどね・・・」

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