巴マミは暗殺者   作:百乃綾香

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なかなか続きが書けないので番外編です
映画見れてない・・・遠出しないとみれない・・・
田舎つらぁい・・・
●●(ネタバレ)って誰だよ・・・


課外授業 ほむらの時間 2時間目

ワルプルギスの夜が襲撃する数日前

 

ほむらはいつものように自衛隊基地に潜入し武器を漁っていた。

なりふり構わずに強力な兵器を持つ自衛隊や在日米軍基地に忍び込むのにも随分と手慣れてしまった。まどかを守ると、魔法少女の宿命から救って見せると覚悟を決め、自分や周りにどんな被害が出ようとも目もくれないようにしてこれまでやってきた。

時間停止魔法を使えばどれだけ優れたセキュリティがあろうとも侵入は可能でカメラに証拠が残ることはない。指紋はついてしまうだろうが自分にたどり着くことはまずないだろう。

 

いままでの時間軸でもそうしてきた。なのでこの満月が三日月になってしまった時間軸でもそれは変わらないことだ。

 

この時間軸はイレギュラーが発生していた。月のことでない。マミのことだ。

巴マミがこの時間軸では見滝原に在住しておらず、椚ヶ丘に引っ越しをしていた。

正直言ってそれぐらいだった。そうであればよかった。

 

ほむらにとって巴マミは懸念材料だ。上手くこちらの陣営に取り込めばとてつもなく頼りになる戦力になりえるが、大抵の場合敵対することの方が多い。ただ敵対するならまだしも彼女はまどかを魔法少女へと勧誘してくるのがやっかいだ。

 

なのでほむらとしては彼女が全く関わることのなさそうな場所にいるのがありがたい。それである程度の人間トラブルを回避できるのだから・・・

なぜかいつも通り杏子が知り合いになっていたが。

 

しかしそれでも予定調和とでもいうべきか。まどかはキュゥべえと出会ってしまい、さやかは契約してしまった。そして諸々のトラブルが発生し、さやかを救うべくまどかは契約をした。

 

結局はこうなってしまうのか・・・。

まどかが魔法少女になってしまった以上はこの時間軸は立ち去る一択になる。しかし、なにもまどかを見捨てる訳がない。せめてワルプルギスの夜を超えてもらわななければいけない。そのためにも武器は補充しなければ。

 

そう考えてほむらはいつものように時を止めて自衛隊基地に潜入した。いつも通り、何も変わらないラインナップ。ある程度武器を某四次元ポケットのような盾にしまった時、ほむらはふと、今まで見たことのない扉の文字列を見た。

 

「“special arms against unidentified slimy octopus”・・・?正体不明のぬめりタコ用特別武器・・・かしら。なんなのこれ、始めて見るけど・・・」

 

ほむらは久々に心が跳ねた。書いてあることは意味がまるでわからないが特別な武器、となると何かワルプルギスの夜に有効な武器があるのだろうか。ほむらは息を呑んでそのドアノブを掴みまわし、押し開けた。

 

そこにあったのはなんの変哲もない銃と・・・もうひとつにほむらは目を疑った。

 

「なにこれ・・・ゴムナイフ?」

 

まさかと思いそれに手を伸ばしてつかみ取る。感触は堅めのゴム質なもの。刃先に指を押し当て押してみる。すると刃先はぐにゃりと曲がり、指を離すとビョーンと固めの反発音と共に振動した。どう見てもオモチャのナイフだ。なんなんだこれは。

 

次に銃をよくよく観察してみる。手に持った感覚からして本物ではない。モデルガンだ。自衛隊基地で?その傍らにあるプラスチックの筒の中身をよくみてみると入っているのはピンク色のBB弾。おもちゃじゃないか。

 

なんだこれは?なんでこんなおもちゃが厳重保管されているんだ。ほむらは一瞬眩暈がした。いくら平和ボケした国だからってこんなバカげた装備を用意するんだ。

サバゲーごっこでもするのか?と考えたがほむらはふと思い出した。この部屋の扉には不思議な文言が書いてあった。特別武器がどうたらと。ならば、これはおもちゃにみえて何か特別な武器だとか?例えばこのBB弾は実は化学兵器で、壊れやすいのでモデルガンにしているとか・・・。

ワルプルギスの夜に毒物が効くかは分からないが(化学兵器を試そうと考えたがまどかに影響があるといけないのでなしにした)もし使えるのなら拝借してしまおうとほむらはその謎のBB弾をモデルガンに装てんしその辺の壁に試し打ちをした。

シャっと軽い音で射出され、カツンとこれまた軽いぶつかった音。カンカンカンカンと軽い音でBB弾は跳ね地面を転がって行った。

間違いない、これ本当にただのBB弾だ。

 

ほむらは顔を抑えた。そしてBB弾が入った筒を開いた手でなぎ倒した。

 

「ふざけてるの!!!」

 

なぎ倒された筒から大量のBB弾が軽い音と共に溢れていき、床一杯に散らばって行く。

 

「平和ボケもいいとこだわ!!こんなオモチャで遊んでいるだなんて自衛隊も落ちぶれたものね!!」

 

それは溜まりに溜まった怒りだった。まどかをいつまでも救えぬもどかしさ。自身の不甲斐なさ。説明しても理解されない、されてもループするごとに一からしなくていけないむなしさ。それに加え、巴マミがいないことで思わぬ事態も起こり、ほむらのストレスはピークであった。

そんなときにあの不思議な文言は一種の光の筋に見えた。この時間軸はまどかを救えるかもしれない。しかしほむらは裏切られた。とてもではないがワルプルギスの夜どころか有事になんの役にも立たないオモチャを置いとくだなんて。

 

一通りにキレかましたほむらは息も絶え絶えに顔を伏せる。

キレたところでこのオモチャが本物の武器になることはない。冷静さを取り戻したほむらは黙ってその部屋から出て行った。別にいい。見滝原近くの米軍駐屯基地でいい武器を仕入ればいいんだ。

 

ほむらはそのオモチャが置かれた部屋のことを忘れることにした。結論から言うとほむらにとってはその“オモチャ”のことは忘れるのが正解だった。

あの“オモチャ”は世界規模で秘匿されている超破壊生物、通称“殺せんせー”にのみ通じる武器なのでワルプルギスの夜には効くはずもない。この時間軸にしか存在しない武器に気を留める必要もない。

それにほむらは殺せんせーについての情報は全く持ち合わせていない。知れば始末しにくるだろうが世間一般的には暁美ほむらは見滝原に住む一般女子生徒だ。そんな彼女の元に殺せんせーの情報が舞い込んでくることもない。

そして殺せんせーは限られた時間軸にしか存在しない。

よってほむらにとって例の“オモチャ”はなんの価値もないものだ。本当の存在価値に気付くことは永遠にやってこないのだ。

 

 

ほむらはワルプルギスの夜に挑み、そしてまどかを失い、この時間軸を立ち去った。そのときにはもうあの“オモチャ”のことは記憶から消し去っていた。

後日、魔法少女の存在を部分的に把握した政府によって指名手配されたことをほむら知る事はない上に、政府もほむらを捕まえられることもない。

 

それがこの時間軸におけるほむらのストーリーである。

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