オリライの元ネタはPixivやTwitterで見た三位一体仮面ライダーのイラストです。
世界の何処かにある、とある道。
静まり返った夜のとある山中の道路。
車が一台も通らない時間帯、そこを切り裂くかのように稲妻の閃光が走る。
激しい稲光を纏わせながら、光で作られた時空の裂け目が出来て、そこから一つのバイクが出てきた。
ホンダ・スティードによく似た外見の赤を主体としたアメリカンバイクであり、そのバイクを駆るのはヘルメットを被ったライダースーツ姿の人物。
法定速度をとっくに超えたスピードで山中の道路を駆け抜け、前方にある大きな都市へと向かっていく。
「さーてと、急がないとね」
バイクを走らせている運転手が呟いた言葉が風の音共に掻き消え、ライトの残光がバイクの道筋を照らす。
向かう先にあるのは、一つの大きな都市。
その名は【バルダーシティ】
光り輝く街と異名を持つ大陸有数の場所である。
これからお送りするのは、いくつもの世界を巡る旅人が遭遇した出来事。
また、多くの世界に侵略しようとする脅威から人々を守る、とあるヒーローの旅路でもある。
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何処かの大陸のとある国に存在する街・バルダーシティ。
かの極東の島国・日本の東京とも勝るとも劣らない経済都市であるこの街は多くの人々が住んでいた。
何本もの摩天楼が建設されており、人種問わずに多くの人々が賑わうこの街は観光面でも充実している。
そんなバルダーシティの森林公園の芝生で眠るのは、一人の若い男性だった。
「ふわーぁ……暇なもんだな」
タンクトップシャツの上から赤いジャンパーを羽織り、茶髪の若い男。
彼は大きな欠伸をしながら、公園の芝生をベッドのマット代わりに束の間の微睡を味わっていた。
そんな最中、誰かの声が聞こえてきた
「おーい、グレンさん!」
「んん?」
自分の名前を呼ばれ、反応する男はゆっくりと起きあがる。
彼の名前――『グレン・ウォーダイン』を呼んだのは、この町に住む一人の少年。
少年の名前は確か、セイム……両親が共働きながら健気に勉学を頑張っている地元の子だと記憶している。
セイムはグレンに急いで近づくと、切羽詰まった様子で話し始める。
「大変だよグレンさん! スワローマウンテンの奴らが暴れまわってるんだ!!」
「マジか、懲りないなアイツらも……で、場所は?」
「路面電車通りのとこ! なんとかしてくれよ!」
焦るセイムの姿を見て、グレン彼を安心させるように不敵な笑みを向ける。
一つの事件が起きているにも関わらずその余裕っぷりはまるで日常茶飯事かのように慣れている様子だった。
「丁度暇していたんだ。任せな」
ニヤリと口角上げて芝生から立ち上がったグレン。
手荒くジャケットを直すと、すぐさま件の騒動の中心へと向かい始めるのであった。
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バルダーシティ・繁華街区。
この街を駆け巡る路面電車が目立つそこでは、怪しい集団が暴れまわっていた。
「オラオラァ! 邪魔だ邪魔だ!」
「死にたくなけりゃどきやがれってんだぁ!」
違法改造された車・ジープを乗り回し、人々を蜘蛛の子蹴散らすようにさせている集団。
その名はスワローマウンテン……この街を中心に犯罪行為を容易にする集団であり、この街を悩ませている犯罪の原因を作っている張本人達だった。
改造ジープにて後部座席に乗っている構成員の男は鉄バッドで他の乗用車や路面電車の車体を殴りつけるなどの破壊行為を繰り広げていた。
人々は走り回る改造ジープに人々は逃げるしかなかった。
警察を待っているその間にも、スワローマウンテンは被害を出し続けるだろう。
彼らの犯罪行為に歯止めを止める事はいるだろうか……。
――その答えを示すかのように、一つの人影が殴りこんできた。
「オラァァ!!」
とある掛け声と共に、スワローマウンテンの構成員が地面をはねながら突き飛ばされた。
自分達の仲間である男が文字通り蹴り飛ばされ、他の構成員達は恐れ戦いた。
「ブ、ブライアン!!!」
「テッメェ、よくもブライアンをぉ!」
「血祭にあげてやるぞぉこの
ブライアンと呼んだ仲間が倒されて激怒した三人の構成員がその【襲撃者】へと襲い掛かる。
一人はメリケンサック、一人は鉄パイプ、一人は鎖を振り回しながら三人同時に攻撃を仕掛けようとした。
だが、その襲撃者であるその男は咄嗟に地面を蹴り上げ、瞬く間にメリケンサックの構成員へ正拳突きを繰り出した。
「ハァ!」
「ぎゃぁ!?」
メリケンサックの構成員は咄嗟に拳を繰り出すも、それより前に男の拳が叩き込まれ、軽く飛んで改造ジープへと突っ込む。
突っ込んできた改造ジープは方向を失い、近くの道路へと突っ込み暴走は止まった。
一方、襲撃者の男の隙をついて背後から鎖の構成員が手に持った鎖を投げ飛ばし、巻き付かせようとする。
「くらいなぁ!」
「ふんっ」
「なぁ!? ぐへぇ!?」
咄嗟に振り向いた男の手が鎖を掴み、そのまま持っていた鎖の構成員ごと引っ張った。
余りの膂力に軽く飛び、そこへ顔面目掛けて回し蹴りによるカウンターキックが叩き込まれた。
まるで捨てられたボールのように飛んでいく鎖の構成員……そこへ鉄パイプを持った構成員が殴り掛かってくる。
「くたばれぇオラァ!!!」
「ちょっと待て……ぐるぐるっと、おらぁ!」
「ッッ!?」
振り下ろされる鉄パイプを避けながら、男は右腕に鎖に鎖を巻いていく。
そして鎖で巻かれた部分で鉄パイプを受け止めると、鉄パイプを掴み、そのまま突っ込む。
男から繰り出される怪力に構成員は抑えきれず、やがて近くの壁へ突っ込んだ。
「ドラァ!!」
「ギャァ!?」
轟音。
激しく土埃を舞い上がらせながら襲撃者の男が出てくる。
その襲撃者の男……グレンの登場にとある構成員たちはあることを思い出して、恐れ戦いた。
「お前まさか、あの
――
それは、数年前からバルダーシティ噂されている
街に入り込んできたいくつもの悪者達を壊滅させてきた伝説のアウトロー。
自身の物なのか返り血なのか、絶望的な戦力差でも真っ赤な姿となって帰還するところから不死身の名がつけられているという。
真実か否かを疑う者はいたが、火があるところに煙が立たぬというように、その噂となっている男の姿がここに姿を現した。
一方、グレンは渋い顔をしながら言葉を漏らす。
「あー……不死身じゃないけど、そう呼ばれているな」
「ひ、引くんじゃねえ! コイツを倒さないと俺達に明日はないぞッッ!」
構成員の一人の言葉が合図となり、他の構成員たちはグレンへ一斉に襲い掛かる。
前後左右、一斉に迫る構成員達を前にも関わらず、狙われているはずグレンはニヤリと笑う。
「よっしゃ、全員かかってこーい!」
グレンはそういうと、地面を蹴り上げて拳を振り上げた。
――30分後。
「おいおい、まるで
目の前に広がる惨状を見て、地元の警察官の誰かがそう呟いた。
通報を受けてやって来た頃には、既に地面へと突っ伏した構成員達が全員ぐったりと倒れていた。
全身打撲をはじめどれもが重傷でもう二度と悪いことができないような傷を物理的な意味合いと……精神的な意味でも追わされてしまった。
若干気の毒に思いながらも駆けつけた警察官たちは犯罪行為に走ったスワローマウンテンの構成員達を捕縛した。
「どうするんだよ、この数?」
「とりあえずフン縛っておくから警察病院の病室確保をなんとかしろ。めっさいるぞこれ」
幸い逃げるといった抵抗しなかったが、その数は十数人にも及び、『増援を呼ぶべきだった』と内心愚痴る警察官達であった。
同じ頃、犯罪者らを文字通り殴り倒しきったグレンは被害に遭った路面電車の前で手をこまねいていた。
どうやら打ち所が悪かったのか先程の騒動で動かなくなったそうだ。
「流石の俺も電車の悪い所を退治できないんだよなぁ」
グレンはぼやく様に呟いた。
しかし、見捨てる事はどうにもなぁと諦めきれず渋っていると……。
――そんな時だった、隣から声が聞こえてきたのは。
「はいはい、ちょっとどいてどいて」
「ん?」
グレンが気になる声を耳にして振り向くと、そこで目にしたのは車の間を駆け抜けてやってくる一台の青いバイクと、それを駆るライダースーツの人物。
男にしては甲高い声を発しなら人混みをかき分けてやってきたライダースーツの人物は電車の前にやってくると、運転席の中へと入る。
そして慣れた手付きで運転席内に取り付けられた蓋をとり、内部機械を少し観察、そして答えを発した。
「ああ、この程度なら何とかなるわよ」
「おいアンタ、この程度って電車だぞ!? 専門の整備士じゃなければ迂闊にあつかっていいもんじゃ……」
「まあ任せてみて」
心配する路面電車の運転手に自信ありげな言葉で返したライダースーツの人物は、腰に備え付けてあったポーチから様々な工具器具を取り出し、両手に握ったそれで作業をし始める。
「おい、手伝ってやる。何すりゃいい?」
「ん? ありがと。じゃ、これ持ってて!」
「おう」
ライダースーツの人物から受けとった工具器具を受け取り、グレンは手伝いを始める。
まるで患者を手術する医者のように直していく様子をグレンは間近で見て何らか真髄さを感じ取った。
やがて長いようで短かった修理作業が終えるように、路上電車のエンジンが吹き返して唸りを上げた。
通りすがりのライダーによる修理によって路面電車が通常道理に動き出し、今まで見ていた人達は歓声を上げた。
その様子を見てライダースーツの人物はVサインを掲げる。
「ふふん、どんなもんよ」
「やるじゃねえか。電車を直すなんてスゲェじゃねえか」
嬉しそうな声を上げる彼へとグレンは賞賛の声をかけた。
ライダースーツの人物はお褒めの言葉を受け取って自慢げな声を上げる。
「どんなもんよ。いくら古くても私に直せないものはあんまりないの」
「そうか、んじゃあ賞賛代わりに俺が自慢の飯屋で飯をおごってやるぜ」
「ホント!? いやぁこの街に来てからまず食事どうしようか迷っていたのよねぇ」
そう言いながら二人は青いバイクの前まで戻ってくる。
ライダースーツの人物は今まで被っていたヘルメットに手をかける。
そしてヘルメットを頭から外すと、長い金髪が零れ落ちた。
腰まで長く伸ばした髪を振りほどきながら、彼――否、彼女はその綺麗な素顔をグレンに露にした。
その様子に見惚れ、様子が気になった彼女は訊ねてきた。
「どうしたの?」
「ああ、悪いな、こんな美しいレディだったのかと思って」
「ふぅん、初対面相手にお世辞かしら?」
「本当のことだ。さ、案内するから来いよ」
そう言いながら、グレンは先導して自慢の店へと案内しようとする。
彼の進む歩みに合わせて彼女はバイクを押しながらついていくことにした。
「名前、聞いてなかったな。俺はグレン、グレン・ウォーダインだ」
「私はトツカ・ハーケン、気軽にトツカって呼んでね」
グレンとトツカ。
不死身の賞金稼ぎと、不思議な科学者。
彼ら二人はこうして出会った。
これから起きる、"この街を揺るがしかねない大事件"が起こることも知らずに。