今回から異世界からのヒーローが電撃登場します。
まず第1弾は彼から。
欲望。
それは、人々の生きる糧となる無限のエネルギー。
食物も、器物も、家も、建物も、街も、国も。
全て人の"欲しい"という思いからできた欲望の塊。
赤ん坊が生まれたとき、"欲しい"と言って泣く。
生きるとは、"欲する"こと。
その最大にして最強の力から生まれた生きた塊を人は『コアメダル』と呼んだ。
そのコアメダルを最大に集めたとき、生まれるのは『
さらに、それすらも凌駕する存在が……。
――――『
バルダーシティの一つの海浜公園。
そこで潮風に当てられて一人の青年が目覚めるのだった。
「ううん……ここは、どこだ?」
見慣れない街の様子に驚きながら、その青年は自身が倒れていたベンチの上から起きあがった。
ハネッ毛気味の黒髪にエスニックな服装をしており、整った顔立ちのその青年の名前は『火野映司』。
かつて、世界を巡る旅人をしていた彼は現代によみがえった欲望の怪物・グリードとの戦いに巻き込まれ、その中で欲望の戦士『仮面ライダーオーズ』として戦い抜いた人物でもある。
グリードとの戦いを終え、かけがえのない相棒との再会を目指して再び旅を出た。
そんな奇想天外な出来事を経験した彼は、記憶のない場所にて目覚めた。
周囲を見回しても異国の何処かの都市、という雰囲気を感じ取れるが、実際にここがどこなのか分からなかった。
「前に行ったアメリカのサンフランシスコを思い出すな……よし」
自分が困っていても状況は変わらないと悟った映司はとにもかくにも情報収集することにした。
幸いにも道路標識や看板を見る限り自分の知っている言語と分かり、少しだけ気が楽になった。
そうして映司は持ち前の明るい性格で街の人々と交流……時折、困った人々を助けながら、情報収集をしていた。
そして、いくつかわかった事を自分の言葉で口に出した。
「ここはバルダーシティ。光り輝く街、か……やっぱり聞き覚えのない所だな」
自分が聞き覚えのない街の名前を口にして、映司は首を傾げる程に訝しんだ。
なぜ自分がこのバルダーシティにいるのか、何があって此処へやってきたのか。
……つまるところ、この街へやってきた記憶が今の映司の中すっぽ抜けているのだ。
「これっておかしいよな。オレ、いつのまに此処へやってきたんだっけ?」
明かに自分の状況がおかしい事に気付いた映司は、自分の記憶を遡ろうとする。
確か、今までのように世界各地を旅していたら、日本へ向かうことになった。
その理由は、確か――。
そこで、その先の記憶を思い出せなった。
まるでいつの日か見たTVの砂嵐のように、思い出そうとすると映像にノイズがかった靄がかかってその先が認識できない。
今までこんな事は経験してない映司は戸惑った。
「っ……どうなっとるんだ?」
映司は何度も思い出そうとするも、結果は先程の通りだった。
一体、何故自分の記憶が思い出す事を阻んでいるのか分からない。
流石にこれはおかしいと気づく映司……そこで、ポケットを弄ってあるものを思い出す。
「あった……!」
ポケットから何かを取り出すと、それは折りたたまれた派手な柄の布だった。
手の上で広げてみるとその布の正体はトランクスタイプのパンツであり、その中にはいくつかの金銭が入っていた。
明日のパンツとその日のお金さえあれば生きていけるという信条の映司にとっては十分な持ち物だが、そこで"あるもの"がないことに気付く。
「ない、メダルがない!」
自分の数少ない持ち物を確認して唯一見当たらない物がないことに気付いた映司は焦りの表情を見せる。
それは鳥の姿が刻まれた赤いメダル……二つに割れている形のそれは映司にとって大切なものであり、かけがえのない確かな代物だ。
それが無くなっている事に気付くと、映司は本来見せない焦る様子を浮かべる。
「どうしよう、アイツのメダル何処で落としたんだ……探さないと!」
映司は自分の落としたそのメダルを取り戻すべく探し始める。
一体どこで落としたのかと考えるより先に、いち早く見つけようと躍起になっていた。
何時も持ち歩いているそれをどうにかしようと探す映司……そんな映司に声をかける人物がいた。
「おい、大丈夫か?」
「えっ?」
映司が振り向くとそこにいたのは赤いジャケットが印象的な一人の青年。
その青年……グレンは心配そうな目で映司を見つけると、彼の事情を伺う事にした。
これが二人の仮面ライダーの出逢いであった。
~~~~
同じ頃、Davies。
店内ではトツカがパソコン型デバイスを駆使してネット上に広がる情報を集めていた。
目の前のテーブルの上に置いてあるそのパソコン型デバイスは、この世界の物をトツカ自身が扱いやすいように高性能に改造した代物であり、モニターにはこのバルダーシティ街の地図が映し出されていた。
「うーん、やっぱりか」
トツカはモニターに映っている情報を読み解いて、ため息をついていた。
そんな浮かない様子の彼女へ、デイビスは注ぎ立てのコーヒーが入ったカップを差し出す。
「進捗どうですか?」
「ありがとうデイビスさん。こっちの様子はてんでだめね」
デイビスからコーヒーのカップを受け取り、まずは一口含む。
口内に酸味を含んだ苦味を味わっているとデイビスから質問を受ける。
「何をしているのか、伺ってもよろしいでしょうか」
「んー……こっちの言葉で分かりやすく言うと、時空間察知アプリっていう時空の歪みを察知できるアプリを試してるだけどね」
トツカはそう言いながら、デイビスにデバイスのモニターに映し出された情報を指を指さした。
デイビスがまじまじと見てみると、自分が見知ったバルダーシティの地図が展開されており、各地に数値に変換されたパロメーターが僅かに変動している様子が伺えた。
知識がない自分が見ても何ら分からない……それを見ているデイビスへ、トツカは他にもわかるようにかみ砕いて説明した。
「これはですね、この街に起きている時空の歪みを事前に察知できるものなんですけどね」
「ほうほう」
「私のような時空を超えてきた人を察知できるようにできるものなんですよ」
「それはまた、何のためにですか?」
デイビスの質問を受けて、トツカは一旦渋い顔を浮かべる。
聡明で賢い印象を持つ彼女にしては意外な表情を見せたことにデイビスは少し驚くが、一方でトツカはその動機を口にした。
「本来はコレ、私が追ってる奴らを見つけ出すために組んだモノなんですけど……今朝試しに起動したら、別の物が反応しちゃいまして」
「それはまた……その別のものってなんですか?」
「今グレンに頼んでその場所に確かめに行っていて、不確定事項なんですけど、……異世界からの来訪者」
トツカが口にした『異世界からの来訪者』。
その言葉を聞いていたデイビスは少しだけ見開く仕草をした。
未知の来訪者に少しだけ心配をするトツカ。
その『来訪者』がグレンと遭遇し、共に行動している事も知らず。
~~~~
一方その頃。
海浜公園にて、グレンは謎の青年こと火野映司と共に、彼の探し物を手伝っていた。
最初に出会った時に軽く自己紹介をした後、ベンチの下などを覗き込んで探しているグレンは映司に対して問いかける。
「で、映司よ。もう一度探し物の特徴教えてもらっていいか?」
「えっと、コアメダルって言ってね。タカの意匠が入った赤いメダルでさ、真っ二つに割れている」
「……さっきも聞いたけど、真っ二つで壊れてるんじゃねえのか? それでも大事な物なのか?」
「うん、それでも大事な物なんだ」
グレンの言葉に対し、映司は人のよさそうな笑みを浮かべて近くの歩道の上を何か落ちてないかくまなく探す。
先程彼が言い放った声音と言葉を察するに、それほど大事な物なんだろうとグレンは察する。
だったらとことん付き合うまで……と、そう気合を入れなおしたグレンは一層失せもの探しに尽力することにした。
「しっかし、映司。お前旅人なんだっけ? このバルダーシティに訪れたことはあるのかよ」
「いや、初めてだよ。こんないい街の事を知らないってのはちょっと妙だなと思って」
「それはまた……妙な話だな。バルダーシティはある意味、日本の東京と同じくらいには有名だと思ってたんだがなぁ」
バルダーシティを知らないという映司の発言に、グレンは少し眉を潜めた。
この街は東京と同じく経済都市であり、知名度が高すぎて耳が痛いよく聞く話だが、全く知らないのはちと違和感があった。
しかし、『この街の知らない人間もいるんだな』とグレンは心の片隅に留めておいた。
そんなこんなで件の赤いコアメダルなるものを探して、早1時間。
海浜公園をくまなく探したが何も見つからなかったグレンと映司の二人は別の場所を探そうかと提案し始めていた。
「どうするよ、映司。他にめぼしい所はないか?」
「うーん、とはいっても人助けした事以外でこの街を歩いたところとなると……」
映司が自分が練り歩いた所を思い出そうとした、その時だった。
大爆発のような爆音が、遠くから響いたのは。
まるで『欲望の怪物達でよくあったあの時』のような光景を彷彿とさせた映司は驚きの声を上げた。
「今の爆発は……!」
「あの方向は、砂浜近くのサーフショップだ!」
グレンは場所を思い出しながら走って向かう。
その後に続いて映司も追いかけていく。
二人が事件が起こっているであろう場所であるサーフショップへと辿り着くと、そこには異形の怪物達の姿があった。
複数いる怪物達のいる中のうち、一体は歪な姿をしていた。蛸と象の意匠が入った両足、左手は大きな鉤爪、右手は大きな鎌の刃を有した腕、何より目立つは鳥を模した頭部。
まるで多種様々な動物が合わさった怪物・キメラのようなその怪人の傍には、何体もの包帯を身に纏ったミイラのような外見をした怪物達が彷徨っていた。
怪物達の様子を見て、包帯の怪物の方を見ると、映司は驚いた。
「あれって、ヤミー!? なんで……!」
そこにいたのは、ヤミーと呼ばれる怪人だった。
本来、ヤミーはグリードから生み出される怪人であり、肥大化する欲望に反応してその力を強大化させるという厄介な特性を持っていた。
数々の戦いの果てにグリードらの消滅によってヤミーはもう二度と生み出されることはない……はずだった。
そんなヤミー達がなぜ今ここで破壊活動をしているのか、映司には理解できなかった。
「グリードはもういないはずなのに……とにかく止めないと!」
映司は動き出そうとするが、それに待ったをかけるようにグレンの腕によって止められる。
一瞬驚く映司に対して、グレンは自身に親指を向けて、自慢げに言い放つ。
「待ちな、ココはオレが行くぜ」
そう言いながら、何処からか取り出したトリニティドライバーを腰にセット。
さらに1号、クウガ、ゼロワンのライドクォーツを取り出し、ベルトに一つずつ装填してく。
【Trinity-Driver】
【1GO・KUUGA・ZERO-ONE】
グレンの前方に浮かび上がるのは三人の仮面ライダーの
展開された三人のライダーを見ながら、グレンは叫ぶ。
【
「変身!」
【BEGINING-STORM】
電子音声が鳴り響いた直後、グレンは3人のライダーの幻影と融合し、全く新しい仮面ライダーの姿へと変わっていく。
そして変身を遂げたグレンの姿を見て、映司は何かを悟ってグレンの方を見て驚いた。
「グレンくん、君ってまさか……!」
映司の前に立つグレンが変身した仮面ライダー・ゼクス。
彼は目の前に立つヤミーらを前に大声で叫ぶ。
「
高くジャンプしながら、ゼクスは謎のキメラ怪人とヤミー達へと飛び掛かる。
異世界からの訪問者・火野映司をも巻き込んでの戦いが、今始まる。