ちゅどーん。
今日も今日とて爆発音。
田舎から華の街渋谷まで出てきた初めの頃は一々ビビってたけど、今じゃもうすっかり慣れた。
毎日あるんだもん。
とはいえ、一応こっちに流れ弾が飛んでこないか多少は気にする程度の感性は残っている。
少なくとも店の周りでは無い。この見え方だと通り2本か3本先か。
「今日は荒い人じゃなけりゃーいいっすねー」
隣の後輩がのほほんと話しかけてくる。
「この前は流れ弾で店の商品全部ひっくりかえってたからなぁ。割と客入りは悪くないけど、事件がよく起こるとこにあるコンビニってのはちょっと考えものだよ。」
そう言いつつ、外の騒ぎから興味を失った俺はレジの収支を確認していく。
店内にはマスクの男が1人いる。サボってばかりいても店の心象悪くなるからな。
だが、カウンターから離れた位置にいるからか、後輩はポニテでこっちの背をぺしぺし叩きながら私語を続ける。
「まだ強盗があんま来ないだけいいじゃないっすかー」
「そりゃまぁ、こんなとこにあるからなぁこっちだって___」
「おらぁ、金出せ金ぇ!!!」
フラグじみたこと言っていたのが悪かったのだろうか。
「おい後輩」
「えー、あたしのせいじゃないっすよ。冤罪っす冤罪」
さっきまで奥の方にいた男が目の前でナイフを突きつけてくるが、後輩はまだのほほんとしたまんまだ。アホだろこいつ。
「何をごちゃごちゃ抜かしてんださっさと金出せっつってんだろ、早くしろ!」
というか、未だにここらにこんなテンプレみたいな奴いたんだな。いや、
「もしかして、あんた最近この辺来たばっかか?だとしたらやめといた方がいい
「だったらなんだってんだ、1回刺されないとわかんねぇか!?」
血の気が多いなー。
ナイフを振りかぶる男に場違いな感想を抱きつつ、俺は準備していた物を男に向ける。
「ほい」
びびびび。
「あがっ」
振りかぶったままの姿勢で後ろに倒れる男。
信じられないものでも見たような顔だ。
その熱烈な視線は俺の手元、正確に言えば持っているものに向けられていた。
まぁ、俺もここに来た初めの頃は嘘だろと思った。
「いつ見ても面白いっすよね、それ。
なんか悪ふざけの領域越えてる感じっす」
男と後輩が見ているのは、近未来とも玩具っぽいとも取れるフォルム、ビームでもうてそうな、というか今実際放った物。
有り体に言えば、自己防衛用の光線銃だ。
「形は悪ふざけだけど性能は十分すぎるからなぁ……」
今も実際役に立ってるから、別に問題は無い。
後輩が裏から取ってきたロープで男をキツめに縛る。男は未だに痺れているようだ。
警察が来るまで邪魔だなこいつ、なんて考えながら業務に戻ろうとした時、「あっ」と後輩が声を上げる。
「もしかしてこいつ、外で暴れてる人の仲間じゃないっすか? こう、陽動してる間に金ガッポガッポみたいな」
「なんでコンビニにそれやるんだよ……」
普通、銀行とかだろ。
とはいえ、否定しきれない___
「というかさっきもそうやって言って、実際来たんだからやめてくんない?」
「あはは、まさか。当たってたとしても外のやつはあっちで捕まえてくれるっすよ」
だからそういうのが……
どぉん!
「くそ、首尾はどうだ兄…弟……」
吹っ飛ばされたと思しき男が、縛った男に目を向け唖然とする。
後輩はあらぁとか腑抜けた声を出していた。
お前もう喋るな。
「はーい、おててあげてくださーい」
ため息を着きながら俺はもう一度、悪ふざけな光線銃を相手に向けるのだった。