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KO!
「はい私の勝ち〜」
画面の中のむくつけき豪傑が誘惑性の塊な女性の細腕によって、地面にバウンドして動かなくなる。
わなわなと震える俺は隣を見る。
そこには当然勝ち誇った顔をしたやつがいる。
「なーんでそんなに弱いんですか?
ホントやれやれって感じのザコさなんですけど!」
「うっせぇ、次は勝つ」
「はーーい、次は勝てるつもりでいるよぉでーっす!いやーいつも威勢『だけ』はいいんですよねぇ〜♪」
こいつ……!
目の前でせせら笑うコイツは召香きな子。
お世話になってる親戚の一人娘で、幼い頃から面倒を見てやっているのだが、小四の今、どうしてか人を煽り散らかすクソガキへと育ってしまった。少なくとも、小二の時点じゃマシだったから3年生の時にネットを与えたのが問題だろうな。
おじさんおばさんにゃ悪いけど、紛うことなきクソガキなので俺が勉強してようが、家事を手伝っていようがずっとこの調子だ。
一応、おばさんが窘めてはいるのだがその時は素直に聞き入れて、俺の前でだけやるようになりやがった。おじさんもほとんど帰ってこないので、苦言を呈するのは俺だけって訳だ。
とはいえ、まぁ子供のすることだし、という自制心が働いて結局遊びに付き合ったりしてしまうし、何より俺はこいつをほっとけない理由がある。
「ところで、最近学校はどうだ」
「なんですかそのウザイお父さんみたいな質問」
「舐めとんか。じゃなくて、最近頑張って学校行ってるみたいだし、あったこととか聞きたいなーってさ」
「図書室の本面白かったです。」
「そういうのじゃなくて、友達とこんなことしたーとかさ」
「なんでそんな酷いこと言うんですか」
「俺そんな変なこと言ってないよな?」
「私にそんな人いるはずないじゃないですか」
「いや、まぁ……うん」
「ちょっとは考えてから物言ってください……」
「ちょっと弱ってんじゃねぇよ、おい泣くなよ、わかったわかったもう1回ゲームやろ、なっ?」
その理由がこれ。
人のこと煽るくせに、他人の前ではだいぶ大人しい……というかほぼ無口だし俺とかおばさんとかいればその後ろに隠れっぱなしだし。
打たれ弱いし、ヘタレだし、ほかのコミュニケーション能力は絶滅してるし。
なんやかんや心配で目が離せないし、ついつい家でも構っちまう。こいつになんとか自信をつけてやれればとは思うけど、何も思いつかないからとりあえず、元気になってくれるゲームを一緒にしたり、勉強教えたり色々してはいる。
これでも多少は改善してる方。前は、いじめは無いけど学校ずっと休んでたし。
「仕方ないですね、そんなに、そ、ん、な、に私とやりたいなら付き合ってあげます〜!
ほら早く早く私は忙しいんです」
「腕引っ張るな」
「もう、しっかりしてくださいよ。即行動は社会の基本ですよ?そんなんじゃ、い、一生私が隣にいてあげないとじゃないですかー、もうそんなの絶対イヤですからね。まぁ、仕方なく、仕方なく? 土下座して頼めば? まぁほんと仕方なくですけど相手してあげないこともないというか 」
「将来はお前のいない所に行きたいな」
「私の事嫌いなんですか……?」
「嫌いではねーよ、ほんとめんどくさいなお前」
「あれあれー、照れちゃってー、好きっていえばいいのにー!」
「うぜぇ……」
まぁ、なんやかんや一緒にいて楽しい存在ではある。のは、本人には絶対に伝えないけど。