ごちゃまぜ習作集   作:お否さま

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【スリル】

ばかみたいなじんせいなら、いっそ。

 

後悔しないくらいおもいっきり吸い込んだ。思ったよりも冷たくてびっくり。だが決断はその戸惑いもすぐに踏み潰す。

 

視線は下を向く。今までとおなじ。問題ない。

 

目標は小さく、自分のためとすら考えられず。

迷惑なんてかけられず、息を止める。

 

私ごときができることなら。

 

羽音のような喚声が徐々に消えていく。

 

無理に掴む必要は無い。

そう考えると体が爆発するように痛くなり、収まれば痺れるぐらいの痛さに体が崩れていく。

小さかったからすぐに手が届く。今の私にとって、近づいてしまうだけで、そんなことでさえ大きく重く感じてしまうけど。

バクリバクリ心臓は吠えながら弱っていく。

私のカウントダウンは黒く刻まれていく。

知っているとも。今手を離してしまえばきっと何事もなく、生きていけるんだろう。

けれども、1度決めて飛び込んだのは私なのだから。

1の次は2。小学生だって知っている。だから私の選択肢はとっくに2つの2つ。どっちも取るか、どっちも捨てるか。片方だけ、なんて大人みたいな冷静さも大人みたいな力もないから。

大丈夫。

ダメだ。

2つの濁流が思考を撹拌するが、体は関係なく動き続ける。じゅわりじゅわりと骨に凍み込むような気持ちがする。けれどどこか温かさとも熱さとも一致しない、絵の中の炎が心で燃えている。

 

諦めるなんて、それこそ無理だ。

 

溺れそうになりながらも、固まった身体中の筋が引きつって悲鳴をあげても腕を動かす。

 

 

気がつけば白い天井。

見覚えは無いが薬品の匂い。きっと病院だろう。

驚くほどの体のだるさを押して、起き上がる。暖かい布団をかけてもらってるのに、私の体は死人のようだ。だが死人のようと感じられるのであればそれは生きているということ。成功はしたのだろう。フィフティフィフティじゃなく、100%に。

確信をもって隣のベッドを見れば、私の小さな目標だった女の子が横たわって静かに息をしていた。

確かに息をしていた。

 

体の力が抜け、ふたくとベッドに倒れる。

同時にとてつもない眠気がやってくる。

 

再度気がついた時は、女の子はいなかった。

 

ベッド脇にはただ一言の書き置き。

 

「ありがとう」

 

 

馬鹿みたいな人生ならいっそ。

スリルに笑って踏み出そう。

なに、最悪死ぬだけだ。破滅的だって?

違う違う。フィフティフィフティじゃなくて100%を選んでるだけだ。妥協したくない時はしないだけ。

それがリスクとリターンの狭間。スリルの為に私は生きていける。

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