ごちゃまぜ習作集   作:お否さま

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【何でもないフリ】

 

 

「うーん、やっぱ変じゃないか?」

 

兄様がボソリとつぶやきます。

その先にはお母様とお父様。私にはいつも通りに見えますが……。

 

「僕もはっきりとは分からないのだけど」

 

そう前置きをして、私の方へ顔を近づけます。ひしょひしょ内緒話の形ですね。お顔がよろしいので妹であってもドキドキしてしまうので、やめていただきたいです。

 

「おや、スーにも反抗期かな」

 

私が少しだけ距離をとると、寂しそうな表情を取られるお兄様。あぁ、そんな傾国の美女さえ憂慮してしまいそうな顔をされてはいけません。ぎゅう。

 

「まだまだ甘えん坊だね」

 

くすくすと私の頭を撫でてくださるお兄様。将来は多数のお人を誑かすわるーい人になってしまいます。私が守って差し上げなければ。

 

「それで、話の続きなんだけどね。今日はなんだかお父様とお母様がよそよそしい気がするんだ」

「そうですか? おはようのぎゅうとちゅうはありましたよ?」

「ハグは僕にもあったよ、キスはさすがにスーにだけかな。でもお話する時、すぐに切り上げてしまわれるというか外に出てほしがっているというか……」

 

そう言われると、私も心当たりがなくもないような。午後のお散歩にお母様を誘おうとしたらお断りされて、お出かけ自体を辞めようとしたらお兄様を連れて行ってきなさい、と諭されたりとか。

むぅ。

 

「そう考えると、お母様とお父様にもっと愛されないといけない気がしてきました」

「スーは素直でいい子だね。でもお二人共お仕事もあるだろうし、そういう日もあるのかも。今日は2人で遊ぼうか」

 

そう言うと、兄様は顔を隠して私の手をお引きになります。きっと私を抑える為、お二人の邪魔をしたくないという心持ち、この2つがお心の大半を占めてらっしゃるのでしょう。けれど少しだけ、私よりも抑えていらっしゃるでしょうが、少しだけ、同じ気持ちがあるはずなのです。愛しのお兄様にそのような憂慮は似合いません。世界から愛されているべきなのです。

 

「お兄様、少しだけご用をたしてきてもよろしいですか?」

「あぁ、気づかなくてごめんね。もちろんだともスー」

 

すみません、お兄様後でいっぱい愛しますから少しだけお待ちくださいな。

 

部屋から廊下に出てお二人の行方を探します。いつもなら執務室にいらっしゃるのですが……。むぅ。

 

屋敷内を歩き回っていると、普段使わない広間から何やら物音が聞こえました。皆あまり立ち寄るとこを見ないので、もしかしたら泥棒さんかもしれません。そう考えると非日常を感じて不謹慎ながらちょっぴりの冒険心が湧いてきます。少しだけ覗いて見ましょう。

そーっと扉に近づき、気づかれないように少しだけ。

隙間から見た部屋の中は何やら色々な料理が用意されていました。パーティの準備中だったのかしら。執事の皆様やメイドの皆様も飾り付けを各々行っており、その真ん中にいるのは……。

 

「なるほど」

 

私は何も見なかった振りをして、その場を後にします。そうして、屋敷をはしたなくも疾く駆けお兄様の元へ。寂しそうな顔から一転、目をまん丸くするお兄様に息を切らした私は手を差し出します。

 

「ね、お兄様。今日はお花を摘みましょう、お2人に差し上げれば喜んでくださいます。でも、できるだけ何でもないフリをしてくださいね?」

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