ソール「え.....えええ!?俺ですか!?」
ナイン「うん。どうかな?ソールさえよかったら」
ソール「.....えっと......気持ちは嬉しいですけど、ごめんなさい。突然にはちょっと」
ナイン「そっか、突然だったもんね。ごめん、もしよかったら考えてみて。いつでも歓迎するからさ」
ソール「は、はい....」
その時
兵士3「なんか声がすると思ったらソールじゃん」
別の場所から違う兵士がやってきた
ソール「あ....お疲れ様」
兵士3「俺達はさっきまで訓練だったっていうのに、お前はこんな所でお喋りかよ。いいねえ、先輩にひいきされてるやつは気楽でよ」
兜で顔は見えないが、なんとなくソールを馬鹿にしているようなそんな雰囲気を感じる。ソールもさっきまでの表情と変わって俯きがちな暗い表情をしている
ソール「そ、そんなんじゃないって。俺、今日は本当なら見張りの仕事だったんだ。君達だってこれから見張りの仕事も」
兵士3「へいへい、俺はお前らとは違って特別練習なんですってか?それがムカつくって言ってんだよ!」
ガシャン
ソールの鎧を殴って金属のこすれる音がした。ソールはびくともしてないが、やはり表情は暗い
ソール「ごめん....」
兵士3「ちっ、ごめんの気持ちがあるならまた雑用代わりに頼むわー」
ソール「.....う、うん。まかせて」
兵士はチラリと僕を見た後去っていった
ナイン「.....仲間、だよね?」
ソール「あ、ごめんなさい。変なところ見せちゃって。じゃ.....俺、行かなきゃなんで」
ナイン「.......もし、もしも、ソールが苦しいなって思ってるんなら、僕は力になるよ。どうしてもここで兵士をやりたいなら止めないけど、旅をしていけば世界各地の人を助ける事だってできるしね。しばらくセントシュタインにいるから、今度またソールの答えを聞かせて。待ってるから」
ソール「ナインさん.......はい、ありがとうございます」
城下町 広場
サンディ「ソールとか言ったっけ?あいつちょっと弱々しすぎじゃネ?もっとガツンと言ってやればいいのに。なーんかムカつくんですケド」
ナイン「僕はソールの気持ちはよくわかるよ、似た環境だったからね。ソールは優しいんだよ、迷惑かけたくないんだよ。誰にもね」
サンディ「そんなん無理よ、無理。人間なんて特に生きてれば誰にでも迷惑かけまくりだっての」
ナイン「ふふふ、確かにね。でも、僕はソールの事少し気に入ったかな。優しいし、どうやら剣も強いみたいだしね」
サンディ「えー、マジで?アタシ的にはぽやっとしたあんたを補助してくれるようなビシッとした人がいいんですケド。ってゆーか、この後どうすんの?」
ナイン「とりあえず今日はリッカちゃんの宿屋に泊まろうかな。魔物倒したりクエストやってお金も稼いでおかないと」
サンディ「お、やったわ。アタシもリッカの宿屋どんななのか気になってたのよ。早速行くわよ!」
その頃、城下町の屋根の近くでは
???「.......」
フードを被った人がナインを黙って見ていた
ナイン「.....?」
なんとなく視線を感じて家の方を見あげる
しかし、誰もそこにはいなかった
サンディ「何?突然。早く宿屋行こってば」
ナイン「なんでもないよ、行こう」
気のせいかと思い直してリッカちゃんの宿屋へ入っていく
屋根の反対側では
???「.......ふーん、気づくのか」
夕方、セントシュタイン城 訓練所
兵士達が集まる訓練所。日頃の訓練や練習、鎧や武器の管理などがここでされている
ソール「はぁ.....やっと終わった」
ソールは兵士全員の武器や鎧の掃除、点検などをやっていた。本来なら当番で複数人でやるものだが、今はソールだけがやっている
ソール「.........冒険者、か」
ソールは昼間のナインとの事を思い返していた
兵士2「お、ソール。お前まだこんな所にいたのか。そろそろ勤務終わるぞ」
先輩の兵士が見回りにやってきた
ソール「あ、先輩。すみません、急いで出ますね。そ、そうだ。今日は見張りのお仕事、途中になってしまいすいませんでした」
兵士2「ん?あぁ、いいって別に。仕事は急ぐものじゃないしな。どうだった、あの旅人。強そうには見えなかったけどな」
ソール「えっと、優しい方でしたよ。少し好奇心旺盛でしたけど」
兵士2「はっはっは、冒険者なんて皆そんなもんかもな!俺の友達にも冒険者がいるが、気になるとどこにでも旅に出るからな」
ソール「........あ、あの!先輩、少し相談いいですか?」
兵士2「ん?どうした?珍しいな」
ソール「あの、もし、もしもですよ?俺も冒険者やりたいって言ったら、兵士は......やめなきゃですよね?」
兵士2「........なるほど。興味出たのか?それか誘われたのか?まあどっちでもいいが、基本は兵士をやめないといけないな。いざって時に城にいないと兵士としてやっていけないからな」
ソール「そ、そうですよね.....」
先輩の答えに下を向いてしまう
兵士2「ソールはどうしたいんだ?」
ソール「俺、ですか?」
先輩の質問に頭をあげる。先輩はまっすぐに俺を見てくれていた
兵士2「ああ。ソールはまだ若い、やりたい事や未来はたくさんの選択ができる。自由にするといい。だが、ソールが何をやりたいのか、どうしたいのか。それをしっかり考えて決めるといい。どちらの選択でも、俺はお前の手助けができるぞ」
ソール「手助け、ですか?」
兵士2「先輩、だからな。さあ、お前はどうしたいんだ?兵士になって王様や国民を守りたいか、冒険者となって世界中を旅して回りたいか」
ソール「........」
ソールの頭の中に昼のナインの言葉がよみがえってきた
ナイン「.......もし、もしも、ソールが苦しいなって思ってるんなら、僕は力になるよ。どうしてもここで兵士をやりたいなら止めないけど、旅をしていけば世界各地の人を助ける事だってできるしね」
ソール「俺は......冒険者を、やってみたいです。冒険者になって、世界中の人を助けてあげたい。力になってあげたいです」
先輩の目を見てはっきり伝える。僕の気持ちを先輩に伝えるんだ
兵士2「......そうか。兵士はやめたいか?やめたくないか?」
ソール「え?でも、やめなきゃいけないって」
兵士2「普通は、な。だが、今は黒騎士退治なんてもんがあるだろ。それに、見たところあの旅人には仲間は見当たらなかった。明日、俺が直接王様に話をしておくさ。
黒騎士退治の旅人に戦力が少し足りないと思われるので戦力としてソールを入れます、と。そうすればお前は兵士としてあの旅人と冒険をする事ができる。どうだ?」
ソール「......い、いいんですか?そんな事」
兵士2「まあ少し無茶ではあるがな。でも、かわいい後輩がせっかく考えて決めた事だ、先輩として応援してやらないとな」
ソール「先輩......。本当にありがとうございます。俺、先輩に指導してもらえてよかったです」
兵士2「はは、なんだー?急にそんな最後の別れみたいな事言いやがって。とりあえず、明日からお前は冒険者なんだ。その旅人ともちゃんと話をしておけよ。よし、解散だ!」
ソール「はい!先輩、ありがとうございます!失礼します!」
俺は笑顔で訓練所を出ていった
兵士2「......若いっていいなあ」
次の日、リッカの宿屋
こんこん
ナイン「ん?はーい」
朝から誰かが部屋をノックしてきた
ガチャ
リッカ「朝からごめんね、ナイン。あのね、ナインにお客さんがきてるわ。ソールさん、だって。酒場で待っててくれてるわ」
ナイン「ソールが!!ありがとう、リッカちゃん。すぐ行くね」
サンディ「昨日の今日でしょ?めちゃ早くネ?」
ルイーダの酒場
僕が降りて酒場に向かうと、ルイーダさんと見慣れぬ姿をした人が話していた
ルイーダ「はい、じゃあこれで冒険者登録できたわ。これから頑張ってね、ボン・ヴォヤージュ!よい旅を」
ナイン「おはようございます、ルイーダさん。こちらは」
ソール「え....。やだなあ、ナインさん。俺ですよ、ソールです」
軽く笑うソールは昨日の兵士の姿とは違い、赤を基調とした身軽そうな服と軽そうな鎧を着ており、剣と盾を背負っていかにも冒険者、という雰囲気だった
ナイン「え!?ソールなんだ!兵士の姿じゃないけど」
ソール「はい。俺、冒険者としてナインさんの仲間になります。よろしくお願いします!」
ナイン「いいの!?やった!ありがとう、ソール!本当に助かるよ!」
ソール「こちらこそありがとうございました。あ、これ、王様と先輩からです。お渡ししておきますね」
ソールは小さい筒と封筒を渡してくれた
ナイン「王様と兵士長さんって人から?どれ」
"ナインよ 兵士長からの推薦もあり、わが兵士の中からソールをお主の仲間として加える事にした。剣の腕前も申し分ないとの事。黒騎士退治の戦力として使ってくれたまえ セントシュタイン国王"
"旅人へ ソールの先輩の兵士長だ。突然すまない、ソールからの希望もあり、兵士として旅人の冒険に同行できるようにした。こちらの事はやっておくので、旅人は遠慮なくソールを仲間として迎えてほしい。私のかわいい後輩だ、あまり無理をさせないでくれると助かる。では、よろしく頼む"
ナイン「じゃあ、ソールは兵士でもあるし、冒険者でもあるの?」
ソール「はい、そういう事になります。先輩のおかげなんですけどね」
ナイン「.....ふふ、先輩に大事に思われてたみたいだよ。よかったね、ソール」
ソール「へ....。な、なんて書いてあったんですか、その手紙!」
ナイン「それは秘密かな」
ソール「えー、教えてくださいよ、ナインさん」
ナイン「ふふふ、いつかね。じゃあよろしく、ソール」
ソール「はい!まずは支度から始めましょう」
ナイン「という事で、仲間になったソールです!」
ソール「よ、よろしくお願いします」
サンディ「ふーん、やっぱり仲間になったのね」
ソール「サンディ、さんでしたっけ。妖精、さん?」
サンディ「別に妖精ってワケじゃないけどね。まあいいわ、よろしくソール。ナインはポヤポヤしてるからしっかりしなさいよ」
ソール「あはは....そうなんですか?ナインさん」
ナイン「よく言われるんだよねー。まあ少しマイペースかなとは思うよ」
ソール「あー、そんな雰囲気ありますよね。わかりました、できる限り頑張りますね」
ナイン「あんまり気張らずで大丈夫だからね。まずは黒騎士退治からだね」
ソール「できたらもう一人くらいいるとありがたいですが、あまり期待はできないですかね」
サンディ「確かにー、二人だけじゃなんかあんま頼りにならないんですケドー。なんとかもう一人見つけなさいよ、ナイン。しっかりしてくれそうなやつ」
ナイン「えー、酒場でなんとか見つけてみるか」
ソール「サンディさんは戦えはしないんですよね」
サンディ「アタシがそんな野蛮な事できるワケないでしょ」
ソール「そうですよね、すいません」
ナイン「まあサンディもソールと顔合わせできたし今回はここまでかな」
ソール「はい、わざわざありがとうございました」
サンディ「アタシはよくナインの所にいるけど、なんかあったら出てくるからよろしくー」