セントシュタインから北東にある関所を超えると、そこには自然豊かな土地が広がっていた。赤や黄色の葉っぱがついている木々がたくさんある。坂も多く、道中にはキノコも多く生えていた
ナイン「ここも綺麗だなー」
ソール「そうですね。これが紅葉っていいましたっけ、ロードさん」
ロード「おう、そうだぜ。エラフィタの桜も乙だったがここの紅葉も中々に乙なもんだろ」
ナイン「あ!見て見て、赤い葉っぱの魔物ー。同化してるのかな、可愛い」
道の先には木々と同じ赤い葉っぱの形に顔がついてる魔物がいた
ロード「こいつは、もみじ小僧」
ナイン「へー、名前も可愛い」
もみじ小僧「ギェェー!」
もみじ小僧は僕達に気づくと周りに声を出している
ナイン「なにしてるのかな」
ソール「!?ナインさん、こっちからも来ます!」
ロード「ちっ、こいつは厄介なんだよ!後ろからも来るぞ!」
ワラワラとどこかからもみじ小僧がたくさん集まって僕達を囲んだ
ナイン「うわ、こんなにたくさんいるー。仲間を呼んだのか」
ソール「落ち着いてる場合じゃないですよ!8匹ですよ!」
ロード「どんどんこいつらも仲間呼んでいやがる!終わらなくなる前に急いで倒すぞ!」
ナイン「え、それはまずいね。甘く見すぎてたかも。よし、大勢なら一気にいくよ!」
僕は魔力を込めて並ぶもみじ小僧達に手をかざして地面に水色の魔法陣をたくさん作り出す
ナイン「ヒャダルコ!」
もみじ小僧達の地面から氷柱を突き刺していく
ばったばったとたくさんいたもみじ小僧達が倒れていく
ロード「お、新しい魔法使えるようになったのか」
ソール「わー、凄いです、ナインさん!助かりました!」
ナイン「前から練習はしてたんだけどね。まだ少しコントロール難しいけど慣れていけばどんどん出来ると思う」
ロード「んじゃ、複数いた時はよろしくなー。楽してるわ」
ナイン「わかった」
ソール「いやいや、ロードさん。俺達もやらないと!」
ロード「へいへい。ここら辺は今みたいに面倒な魔物がいるから気をつけろよ。俺はテンツクっていうやたらとテンション高い魔物が嫌いだ」
ナイン「可愛い名前だね」
ソール「ナインさんもしかしてなんでも可愛いと思ってません?それより、テンツクは俺も知ってます。こちらを煽ってきたり、魔物を励ましたりと動き回るやつですね」
ロード「そうそう、そいつ出たら俺がバラバラにするからよろしくな」
ソール「な、なんでそんなに....」
ロード「前から煽られまくってムカつくからだよ。弱えんだから煽ってんじゃねえよ」
ナイン「そういう生態なのかなー」
その後、夕方
ベクセリア
紅葉の木々が立つ山のふもとにある大きな町。名所となっている高台からは周りにある紅葉がたくさん見える絶景ポイントとして旅人達がよく訪れる
ナイン「......なんか、全然人いないね」
しかし、町に入って周りを見渡しても出歩いている人が見当たらない
ロード「妙だな、ここはそれなりに大きい町だぜ。旅人や商人もよく来るんだ、こんなにいないのなんて見た事ねえぞ」
ソール「あ、教会から神父さんが出てきましたよ。お話聞いてみましょう」
階段の先にある教会からちょうど神父さんが出てきた
ナイン「すいません、少しお話いいですか?」
神父「おや.....旅人さんですか。このような時によく来てくれました」
ロード「なんでこんなに人がいねえんだ?」
神父「神は我々に過酷な試練を与えているのです。謎の病がこのベクセリアを覆い尽くそうとしているのです」
ロード「謎の病?」
神父「はい、大地震の後突然原因不明の病が町中に感染しているのです。治療も出来ず、原因もわからず、感染力も高く、人によって症状も違う.....謎の病なのです」
ナイン「大変そうだ」
ソール「でも、病気は俺達もどうしようもないですね」
神父「わざわざ足を運んでくださりありがとうございました。ですが、この町からは離れてください。いつか、きっとこの病が収まる日が来ますので」
ナイン「ありがとう。少し、町の偉い人に話を聞いてみようよ」
ソール「それもそうですね。すいません、ここには町長さんとかいますか?」
神父「町長でしたら、階段を登った高台の近くにある大きい家にいらっしゃいます」
ソール「ありがとうございます」
ロード「まさか今度は病気をどうにかしようってんじゃねえだろうな?」
ナイン「流石にそれは無理かなー。でも、いろんな人に話を聞くのも大事だよね。もしかしたら、原因とかに心当たりある人とかいるかも」
ロード「めんどくせーなー」
高台
階段をいくつか登った先に高台があり、紅葉の木をたくさん見る事ができる。そしてそこに食堂があった
ナイン「食堂だって、ちょうどいい時間だしここでご飯にしない?」
ソール「いいですね。やってるみたいですし」
ロード「デイブレイク、ね。オシャレな名前だな」
カラン
扉を開けると扉に付けられた鈴が鳴った
???「いらっしゃいませー!」
店に入ると元気な女の人が明るい声で出迎えてくれた。オリーブ色のエプロンに赤いバンダナをした緑の瞳の女の人だ。バンダナにはデイブレイクと文字が綴られている
???「3名様ですね!すいてますので、よかったらこの窓のお席にどうぞ!夕焼けの紅葉が見れますよ!」
女性は大きな窓のそばにある席に案内してくれた。夕日が差し込んでおり、ちょうど窓からは紅葉が見えている
ソール「ありがとうございます」
???「旅人さんなの?」
ナイン「うん、たった今来たんだ」
???「そうなんだ!こんな時に来てくれてありがとう!」
ロード「なんか謎の病が出てて大変なんだってな」
???「あ.....もう聞いたんだ。早いね。うん、ちょっと今大変なの.....。でもでも!!皆それで暗くなってるけど、私は負けないよ!だって必ずいい事あるもん!だからそれまでは頑張るの!皆が笑顔になれますようにって!」
女性は明るい笑顔で人差し指を空に向けてそう言った。どこか暗い雰囲気を町全体から感じていたが、この女性は明るいなと、いい子だなと感じた
ソール「偉いですね、そういう風に前向きに考えるのはとても大切ですよ」
ロード「元気なのはいい事だな」
話していると、奥から女の人と男の人がやってきた
???「なにやってんだ、エイリーク。いくら久しぶりに人が来たからって話してばかりはダメだろう」
エイリーク「あ、お父さん、お母さん。えへへ、ごめんね。ついつい」
今まで話していたエイリークと呼ばれた女性は二人に振り返って少し苦笑いしている
???「ゴホゴホ.....すいません、旅のお方。娘が長話してませんでしたか?ほら、メニューもまだ渡してない。お水も渡してあげないとよ」
???「大丈夫か?ダリア」
ダリア「ええ、平気よ。ありがとう、あなた」
エイリーク「渡すの忘れてごめんなさい、こちらメニューになります!」
???「ほい、すいませんね。お水になります」
男の人が容器から水をコップに入れて渡してくれた
ナイン「ありがとうございます。元気で明るいいい子ですね。エイリーク、だっけ」
エイリーク「わ、もう名前覚えてくれたの?ありがとう!紹介するね、こっちが私のお父さんのビーク!こっちがお母さんのダリア!私が看板娘のエイリーク!三人でここ、ベクセリア唯一の町食堂DAYBREAKをやってるの!もし他の町に行った時によかったら宣伝してくれると嬉しいなー!」
エイリークの父親ビークと母親ダリアは少し恥ずかしそうに笑っている。とても笑顔が似ている三人だな
ロード「あんたらはまだ病ってのにかかってねえのか?元気そうだけど」
ビーク「......ええ、一応は。まだ大丈夫みたいです」
ビークは一瞬ロードから目を逸らして答えた
エイリーク「お母さん、最近コホコホ咳してるけど大丈夫?お父さんも時々むせ込んでるよね」
ダリア「大丈夫よ、エイリーク。心配してくれてありがとう、無理だったらすぐに休むから安心して」
ソール「あとすいません、町長さんのお家ってこの先で合ってますか?」
エイリーク「町長さんの家はこの食堂出て左にある階段を進むとすぐき大きな家があるからそこだよー」
ナイン「ありがとう。来たばかりだからまだわからなくてね」
ロード「宿屋とか武器屋とかもあるか?」
エイリーク「うん!宿屋は階段降りた先だし、武器屋とかは町長さんの家から奥に進むとあるよー。あ!なんなら私案内しよっか!」
ナイン「いいの?」
エイリーク「いいよね?お母さん、お父さん。旅人さん達困ってるよ」
ダリア「旅のお方達がよければね」
ビーク「すいませんね、うちの娘が無理やり」
ソール「いえいえ、こちらこそ案内してくれると助かります。聞こうにも全然人が見当たらないので」
ビーク「皆さん病気のせいで家から出て来れなかったり、出てこようとしませんからね。エイリーク、はしゃぎすぎるんじゃないぞ」
エイリーク「やった、ありがとう!あ、旅人さん達の名前は?」
ナイン「僕はナインだよ」
ソール「俺はソールです、セントシュタインの兵士でもあります」
ロード「俺はロードだ」
エイリーク「ナインにソールにロードだね。うん、覚えた!なんで町長さんのお家に?」
ナイン「その謎の病ってやつの原因とかを知りたくて。もし力になれるのなら力になりたいなって思ってね」
三人「ええ!?」
僕の発言にエイリーク達がびっくりした
エイリーク「そんな事できるの!?旅人さんなのに!?」
ソール「そんな、大した事は出来ませんよ。特に魔物ならまだしも病気ではどうしようもないですし」
ロード「まーたガキが変な事に首突っ込もうとしてるよ」
エイリーク「でもでも、それってめちゃくちゃ助かるよー!凄く嬉しい!ね、お父さんお母さん!」
ビーク「そうだな。わざわざそんな事までやろうとしてくれるなんて、素敵な方達だ」
ダリア「本当に。優しい心遣い感謝いたします」
エイリーク「私達三人とも応援するからね!」
エイリークが僕の手を握ってぶんぶんと振ってくる。あれ、結構力強いな
ナイン「ふふふ、ありがとう、エイリーク」
その後、食事を終えると
ナイン「美味しかったねー!」
ソール「そうですね。ボリュームもありましたし、結構お腹すいてたのかパクパク食べられちゃいました」
ロード「悪くなかったな」
エイリーク「でしょー!お母さんが選んだ素材に、お父さんがピッタリな調理をして、私が味付けするの!」
ナイン「エイリークが味付けしたんだ。とっても美味しかったよ」
エイリーク「やったー!ありがとう、ナイン!そう言ってくれると凄く嬉しいわ!」
エイリークは少し照れたような嬉しそうな顔で笑っている
ロード「さて、そろそろ町長の家に向かおうぜ」
エイリーク「そうね。夜遅くなる前に行かないと」
町長の家
べクセリアの中でも大きな家の中は、想像よりも静かであり、人もあまりいなかった
エイリーク「町長さん、突然すみません。旅人さん達が町長さんにお話あるそうでしたので案内に来ました」
町長「おや、旅人ですか。このような時に珍しい」
ナイン「旅人のナインです。すいません、謎の病について少し聞きたいのですが」
町長「ふむ、わかりました。知る限りの事をお話しましょう。このベクセリアに広がる病、はやり病と呼んでおりますが、実はこのはやり病、100年ほど前にも今と同じように流行ったものらしいです。そこで古い記録を漁って治療法を探しているのですが何が何やらさっぱりでしてな。
やむを得ず学者のルーフィンという男にそれらしき古文書の解読をまかせておるのです。そろそろ何かわかってもよさそうな頃だが......こちらから聞きに行くのも癪だな」
町長さんは少しボソボソと呟き始めた
町長「そうだ!旅の方もどうなっているのか気になっておるのでしょう?すいませんが、ルーフィンの所まで行って様子を見てもらえますかな?場所は....」
エイリーク「あ、ルーフィンさんの家なら私知ってます!案内してるので私も行きますね!」
それを聞いたエイリークが元気に手を挙げて案内役をまたかってくれた
町長「そうか、それならよろしく頼もう」
サンディ「~♪」
ロード「なーんかまた妙な飾り増えやがったな。この部屋」
サンディ「妙なとか言わないでほしいんですケド。可愛いでしょ!イケてるでしょ!」
ロード「へいへい、そうですねっと。ギャル妖精は病気とかにはならねえのか?」
サンディ「それもしかしてアタシの事?まあ別にいいですケド。病気にはならないわね、たまに羽動かすのがダルくなる時はあるケド」
ロード「....その羽、綺麗だよな」
サンディ「でっしょー!チョーイケてるでしょ!アタシのお気に入り!」
ロード「高く売れそうだ」
サンディ「ちょ、ちょっと待つし!!!なに、アタシを売ろうとしてる!?それか、アタシの事切断でもしようとしてる!?いくらなんでも金に執着強すぎだし!」
ロード「はははは、ビビったか?わりいわりい」
サンディ「......ロード、あんたってそんな風に笑うのね」
ロード「あ?笑うくらいするわ、普通だろ」
サンディ「いや、ごめん。アタシがあまり見てなかったからカモ」
ロード「そりゃあいつみたいにぽやぽやニコニコはしてねえけどな」
サンディ「わりとしかめっ面を多く見てた気がするケド、どうせなら笑ってた方がイイわよ」
ロード「俺には似合わねえよ、そういうのはあいつにしておけ」