ベクセリア 広場
町長から話を聞いた僕達はエイリークの案内の元、ルーフィンさんという人の家に向かっていた
ロード「くそ....あのおっさん、俺達をいいように使いやがって。なんで話聞くだけなのにあいつが行かねえんだよ」
ソール「なんかブツブツ言ってましたね。何かあるんでしょうか」
エイリーク「ルーフィンさんとはあまり話した事ないけど、奥さんにエリザさんって人がいて、その人は明るくてたまにお話してたよ」
ナイン「あ、奥さんがいるんだ。じゃあいい人だね」
ロード「それだけでそう決めんのは早すぎだろ、思考回路どうなってんだ」
エイリーク「という事で、ここがルーフィンさんとエリザさんのお家だよ」
広場から少し奥まった所にある家についた
こんこん
エイリーク「すいません、ルーフィンさん。エリザさん。エイリークです、いますかー?」
しーん
中からは返事が返ってこない様子で、エイリークの元気な声が少しこだました
エイリーク「あれ?いないのかな」
ナイン「もうすぐ夜なのにねー」
ロード「いや、中から人の気配はする。いるみたいだぜ」
ロードがそのまま扉を開けた
鍵はされておらず、普通にあいた
ソール「不用心だなー。すいませーん、入りますよー」
エイリーク「ルーフィンさん?エリザさん?」
全員でこっそり中を覗くと、電気はついているが特に物音はせず静まり返っている
ナイン「大丈夫かな」
ロード「寝てんじゃね?入ってみるか」
寝室
ベットの上でピンクのリボンを付けた女性が寝ていた
エイリーク「よかった、寝てるだけ。ルーフィンさんはいないみたいね。エリザさーん、すいません」
エイリークが揺すって起こしている
エリザ「....ふぁ....あれ、エイリークさん?あ!私、寝ちゃってました。えへ。どうしました?あれ、この方達は?」
エイリーク「起こしちゃってすいません、エリザさん。あの、ルーフィンさんはどこにいらっしゃいますか?」
エリザ「ルーくんですか?あ、ルーくんってのは夫のルーフィンの事なんですよ。ルーくんなら今お仕事で研究室にこもってるんですよ」
ナイン「そうですよね。あの、旅人のナインです。町長さんにお願いされて、ルーフィンさんの古文書の解読の進捗を見にきたんです」
エリザ「え、パ.....ちょ、町長に?それなら私が一緒に行って研究室の扉開けてもらいますね。ルーくん、人見知りなので。研究室はこっちですよ」
エリザさんは起き上がって少し支度するとそのまま案内してくれた
ソール「すいません、エリザさん。勝手に入っただけでなく、わざわざ案内まで」
エリザ「いえいえ、こちらこそ寝てしまっててごめんなさい」
エイリーク「返事なかったから心配で入っちゃったんだ。ごめんなさい」
エリザ「大丈夫ですよ、泥棒さんじゃないんですし。すいません....こほっこほっ....」
エイリーク「大丈夫?エリザさん」
エリザ「んんっ、すいません。心配ありがとうございます。最近咳が酷くて」
エイリーク「.....最近、うちのお母さんやお父さんも似た咳してるよ。はやり病.....じゃないといいけど」
エリザ「大丈夫ですよ、きっとすぐ治るので。ここがルーくんの研究室です」
こんこんこん
エリザさんは独特なリズムでノックをした
すると、中から返事がきた
ルーフィン「エリザかい?こんな時間に珍しいな」
エリザ「お疲れ様。ルーくんにお客様だよ。パパのお使いの人が古文書の解読が進んでるか聞きたいんだってー」
ルーフィン「.....入ってもらってくれ」
エリザ「入りましょう」
エリザさんと共に中に入ると少し埃臭い匂いがした。たくさんの本棚があり、周りにはいろんな本が積まれている
エイリーク「わ〜、たくさんの本だわ」
エリザ「も〜、またこんなに散らかして。これお掃除しようとするとすっごく怒るんですよ。酷いと思いません?」
ルーフィン「エリザ、今は本当にやめてくれよ。忙しいんだから。それに、お義父さんの使いは無視できないしな。なんでしたっけ、古文書の解読でしたか?」
エリザ「ルーくん、自己紹介しちゃって」
ルーフィン「ん〜、それって意味あるのかい?めんどくさいな....。はじめまして、ですよね?僕はルーフィン。考古学などをやっています。あなた方は、あー、確かあなたは町食堂の」
エイリーク「はい、ここの町食堂DAYBREAKのエイリークです!」
ルーフィン「そうだよねー、あそこはいつも美味しそうだよね。じゃあ、こっちがお義父さんの使いの人達かな」
ナイン「旅人のナインです」
ソール「俺はソールです」
ロード「ロードだ。この三人で冒険者やってる」
ルーフィン「ナインさん、ソールさん、ロードさんね。まあ出来るだけ覚えておきますよ。.....すぐ忘れちゃうけど。それよりも、古文書の解読の結果、はやり病の原因が一応判明しましたよ」
エイリーク「え、本当に!?」
エリザ「さっすがルーくん」
ナイン「凄いですね!」
ソール「一応って?どういう事ですか?」
ルーフィン「少しお話しますね。事の起こりは100年ほど前、この町の西でとある遺跡が発見された事です。遺跡を発見したベクセリアの民は軽はずみに遺跡の扉を開いてしまったそうです」
ロード「まあやりがちではあるよな」
ルーフィン「しかし、その中に病魔と呼ばれる恐るべき災いが眠っていたんです。この病魔こそが今広がっているはやり病の元凶というわけです。古文書によると実際には病魔というより呪いの一種だったようですね。
当時の人々は病魔を封印し、遺跡の入り口を祠で塞ぐ事で呪いから逃れたといいます」
ナイン「じゃあ、今このはやり病が復活してるという事は」
ロード「.....また、あの大地震か」
ウォルロ村、セントシュタイン、そしてベクセリア。各地であの大地震による被害が出ている。それもかなり人々を困らせているようだ。やはり、あの黒い雷の影響もあって、かなり人間界にも魔物の被害が出ている。
.......ん?足下に落ちていた本のタイトルが気になるな。なになに、ちょいワルのススメ?
ルーフィン「そうですね。この前の大地震で祠の封印に何か異変が生じたんだろう」
エイリーク「じゃあ!祠に行って病魔ってのを封印し直せば解決って事ですか?」
ルーフィン「その通りだよ。僕なら封印を直せる」
エリザ「ルーくんが行ってくれるの?」
ルーフィン「そりゃもし上手くいったらお義父さんだって僕の事を認めてくれるだろうし、何よりあの遺跡を調べられるまたとない機会なんだから、行きたいのはやまやまなんだけど......。あの遺跡や周りにはかなり魔物が出るらしい。わざわざ出かけていって怪我するのもな....」
ナイン「それなら」
本を読む途中でルーフィンさんの護衛をしようかと考えて頭をあげた
ロード「待て。お前はそうやってすぐに安請け合いすんな。せめて町長に報告してからにしろ」
ソール「そうですね。勝手に決めるのもよくないでしょうから、まずは聞かれていた進捗についてを町長に報告に行きましょう」
ナイン「ん、そっか」
読んでいた本を閉じて元の場所に置いた
ソール「本読んでたんですか?」
ナイン「うん、なんか気になってね。やってみよ。ねえ、ロード」
ロード「あん?」
ナイン「えい」
僕は本に書かれていた通りにおしりを突き出して軽く叩いた後、ロードに向かって舌を出してみた
ガン!!
ナイン「あが....」
ロード「なんだクソガキ、いっちょまえにそんな煽り方覚えるとはいい度胸じゃねえか。オモテでろや」
頭が....くらくらする....
ソール「な....なに、やってるんですか?ナインさんは」
エイリーク「この本?ちょいワルのススメだって。ムカつくやつにはちょうはつをしてみよう。相手が勝手にポカをやらかしてくれるはずだ、だって」
ソール「なにそれ.......とりあえず、どうやってこの場を収めようかな」
ソールは僕がロードに引きずられて外に出ていく際に頭を抱えていた
しばらくして
ナイン「ロード.....つよいね....」
僕はなぜかボコボコにされた後、広場のベンチで横になっていた
ソール「なんでいきなりあんな事したんですか。よりにもよってロードさんに」
ナイン「本にムカつく?ってやつにするといいって言ってたから。ムカつくってのがよくわからなかったから一番近くにいたロードにやったんだよ」
ロード「本当にバカなんだな、お前」
エイリーク「ナイン、ムカつくって知らないの?その人に怒ってる、とか嫌いって事よ?」
ナイン「え?そうなの?僕はロード好きだよ」
ロード「ちょうどいいから教えてやるよ。ムカつくってのは俺がお前に基本的に思ってる事だ!わかったか、クソガキ」
ナイン「えー」
ロード「なんなら俺も同じ事やってやるよ、ほら」
ロードはさっき僕が本で知ったポーズと同じポーズをした
ナイン「わー、凄いね、ロード。なんで本読んでないのに知ってるの?」
ロード「......なんにも効いてねえ」
エイリーク「ふふふ、仲良いのね。私どうしよっかなー。遺跡にもついて行っちゃおうかなー」
ソール「え。魔物がたくさん出るって言ってたので、危険ですよ」
ロード「そうだそうだ。ただのガキは町で大人しくしてな」
エイリーク「え?ううん、私全然戦えるよ。町の外に何度も出てるし、周りの魔物にも慣れてるよ。私、これでも僧侶なんだ」
三人「えええ!?」
サンディ「あのルーフィンっていうやつなんかムカつくんですケド!こだわり強すぎるってゆーか、どこか偉そうってゆーか!とにかくムカつく!」
ソール「あははは....。まあこの町に一人しかいない考古学者みたいですから。今、ベクセリアの救世主となるのはルーフィンさんだけでしょうから少し嬉しいのかもしれませんね」
サンディ「だとしてもでしょ!学者ってなーんであんな感じなのかしらネ!アタシあいつキライかも」
ソール「人それぞれですからね。それにしても、エイリークさん、まさか僧侶さんで戦えるとは」
サンディ「ネ!マジビビったんですケド!ただの活発オテンバ娘だと思ってたわ」
ソール「それに....今のパーティだと回復できるのナインさんしかいませんからね。僧侶さんがいてくれたら、かなりバランスよくなります」
サンディ「どうする?仲間にしちゃう?アタシは構わないケド。結構可愛いじゃん、あの子」
ソール「俺一人の意見だけじゃなんとも。それに、町食堂やってますからね。付いてきてくれるかはちょっと....」
サンディ「あ、確かに。町食堂に誇り持ってそうだったし無理かもネ。あそこのご飯美味しかったナー、いろいろ落ち着いたらまた行きましょ」
ソール「そうですね。俺もまた食べたいです」