ベクセリア 広場
三人の驚いた声が静かな広場に響いた
エイリーク「そんなに驚く事かなー」
エイリークは苦笑いしている
ロード「てっきりただのガキだと」
ソール「だって食堂の人ですから。戦えるなんて想像してなかったです」
エイリーク「そっかー。それもそうね、仕方ないわ」
ナイン「エイリークはどうしたい?」
エイリーク「私は.....少し悩んでる。正直言って案内の役目は終わったし、食堂のお仕事もやりたい。でも、今町はこんな状況で、皆苦しんでる。それを解決出来るかもしれない所に来てる。私一人じゃどうしようもないけど、ナイン達とならもしかしたら本当に解決できるかも。
......少し、お母さんとお父さんにお話してくる!町長さんの家は案内したからわかるわよね?私、一度食堂に戻るね」
ナイン「わかった。終わったら僕達もそっちに向かうね。町長さんの家はあっちだよね」
僕が町長さんの家があったであろうと方角に指をさすとエイリークはキョトンとした顔を、ソールは苦笑いを浮かべ、ロードは呆れたような顔になった
ナイン「あれ?」
ソール「薄々感じてましたけど、ナインさんって方向音痴ですよね」
エイリーク「なるほどね。ソールとロードはわかってる?」
ロード「馬鹿が悪いな、あっちだろ?」
ロードが僕が指した方向とは違う場所を指した
ナイン「あれー、そっちかー」
エイリーク「うん、あってる。じゃあナインの案内お願いね。また後で!」
エイリークは手を振って階段を登っていった
ナイン「またあとでねー」
ロード「ほら、町長の家はこっちだ。迷うなよ、ガキ」
町長の家
町長に古文書の解読でわかった事を報告した
町長「ほうほう、では病魔の呪いを解くためにはこの町から西にある祠の封印を直す必要があると。そして、それが出来るのはルーフィンだけ。しかし、魔物がうじゃうじゃいて危険だと、なるほど」
ナイン「はい。なので、僕達が力になれたらと考えてるんですがどうでしょうか」
町長「よいのですか?関係ない事なのに」
ロード「その代わり、礼は貰うぜ。いいもん用意しといてくれよ」
町長「それはもちろんです。こちらから出来ることならなんでもやらせていただきます。では、お待ちください。祠の鍵を持ってきます」
町長は出ていった
ソール「はははは....流石ロードさん。抜かりないですね」
ロード「たりめえだ。この馬鹿がなんでも顔出そうとしてるし、礼とかなんも考えてねえんだ。俺達はボランティアじゃねーんだっての!」
ナイン「偉いね、ロード。よく考えてる」
ロード「てめえはこれくらい考えられる脳を持ちやがれ」
町長「お待たせしました。こちらが祠の鍵です、これで西の祠の扉が開きます。よろしくお願いします」
ソール「ありがとうございます。一度ルーフィンさんの所に向かっていきましょう」
サンディ「なんか、本格的に病魔?ってのをなんとかデキそうな雰囲気じゃネ?めちゃくちゃ困ってるみたいだし、このまま人助けしちゃいましょ!」
ナイン「そうだね。なんとかなりそう」
ソール「うーん.....俺、実は少し引っかかってる事があるんです。はやり病の原因は病魔、とルーフィンさん言ってましたよね。病気なのに病魔と言ったのが少し不思議だなって。魔が付くって事は、それなりに厄介かもしくは魔物のようなものの可能性が考えられるよなって」
ロード「お、いい所に気づいたな。おそらくその通りだぜ」
サンディ「え、ナニナニ?なんかマズイの?」
ロード「ギャル妖精には難しいよな。古来より人間は病ってのは気持ちからなるもんだと思ってる。ただ、気持ち以外からやってくる病。呪いや今出た魔物からやってくるもんには別の名前、病魔と名付けたんだ。今回はこっちの魔物からの類だと思うぜ。ま、要するに魔物と戦う事になるって事だ」
サンディ「えー!病気なのに魔物が原因な事あるんだ!ま、戦闘ならあんた達に任せればすぐにけちょんけちょんでしょ。やっちゃいなさい!」
ソール「ふふふ、はい、頑張りますね」
ナイン「ロードもソールも賢いね。僕なんも気づかなかったよ」
その頃、食堂では
エイリークはビークとダリアにこれまでの事を話した
エイリーク「だからね、私も祠に行っていいかな?」
ダリア「ゴホッゴホッ!.....ふう、エイリーク、危険な事なのはわかってるわよね?これは遊びでも採取でもないのよ」
エイリーク「うん、わかってる。ナイン達の邪魔にならないようにするし、魔物にももちろん油断しない」
ビーク「親としてはあまり無茶はしないでほしいが、行きたいんだろ?」
エイリーク「うん!今、はやり病で皆が困ってる。私が少しでも皆の役にたてるなら役にたちたいし、一刻も早くはやり病を止めていつものベクセリアに戻したい!」
ダリア「わかったわ。必ず無事に帰ってくるのよ、おかえりって言わせてね」
ビーク「はやり病が治ったらまた食堂を盛り上げていかないとな」
エイリーク「お母さん、お父さん....。うん!ありがとう!私、頑張ってくる!すぐに帰ってくるからね!」
エイリークは支度を済ませると町長の家に向かっていった
ダリア「......言わなくてよかったの?」
ビーク「大丈夫だ。エイリーク達ならきっとなんとかしてくれる。俺達は耐えるだけだ」
研究室
ルーフィンさんとエリザさんに町長の話と鍵を渡した
ルーフィン「えっと、ナインさん達が護衛してくれるんですね。ありがとうございます。それにしてもお義父さんが僕にだって?」
エリザ「よかったね、ルーくん!」
ソール「そういえば、町長さんってエリザさんのお父様なんですね」
エリザ「あ、わかっちゃったか。そうなんです。でも、パパはルーくんに少し厳しくて.....。きっとこれで見直してくれたはず」
ルーフィン「これで見返せるかもしれない。よし、早速祠に向かいましょう。僕についてきてくださいね」
ロード「お前がしきんなよ、もう一人いるんだから待てって」
ルーフィン「もう一人?もしかして、町食堂の?」
ナイン「はい、エイリークも来てくれるみたいです」
ルーフィン「女の子なんか連れていいのかな。大丈夫なのかい?」
ソール「その言い方はあまり良くないと思いますが、戦えるそうなので」
ルーフィン「ああ、ごめん。ついね」
ルーフィンと一緒に外に出ると、広場近くの階段から急いで降りてくるエイリークがいた
エイリーク「あー、やっぱりここにいた!町長さんの家に行ってもいなかったから探したのよ!」
ナイン「ごめんごめん、早かったね」
エイリークはバンダナを外しており、紺の髪をツインテールにしている。エプロンのあった場所には鉄の前当てがあり、背中に盾と槍を背負っている
エイリーク「うん!私も行くよ!魔物には負けないんだから!」
ロード「あんま無理すんなよ。基本は俺達だからな」
エイリーク「もちろん!僧侶だからね、回復がお仕事!」
ソール「それだけでもとても助かります。お願いします」
西ベクセリア地方
山の近くにあり、海から繋がる川が流れているため塩や水を求めにやってくる人も多い。山の途中には祠がある
ソール「後ろから別のとっしんこぞうが来ます!エイリークさん、お願いできますか?」
前からやってくるとっしんこぞうと後ろからやってくるとっしんこぞうで別れて対応していた
エイリーク「任せてー!こいつはこうするのが早いよ!」
エイリークは駆けていくと飛び上がった
エイリーク「えーい!」
エイリークはやってくる乗り物を無視してそのままとっしんこぞうの真上から本体を直接殴りつけた
ドゴン!
重たい音がすると同時に乗り物もその衝撃で粉々になる。凄いパワーである
ロード「.....どこが僧侶だよ。ただのゴリラじゃねえか」
エイリーク「えー、ひっどーい!」
ナイン「でもパワーは本当に凄いね」
エイリーク「私、馬鹿力みたいなのよね。うっかりしてると鎧とか盾とかも曲がっちゃうの」
ソール「そ、それは凄いですね....」
ロード「女っぽくねー」
エイリーク「なによー!そんな事言わなくてもいいでしょ!」
ナイン「まあまあ。それにしても、結構強いんだね。助かるよ」
エイリーク「でしょ!足は引っ張らないからね」
ロード「僧侶なんだよな?回復できんのか、本当に。ゴリラな所しか見てねえぞ」
エイリーク「できるってば!ナイン達戦うの上手であまり怪我しないから出番ないだけ!スカラとかもあるわよ」
ナイン「ロード疑ってるの?じゃあ、はい」
僕は持っていたナイフで腕を軽く切った。そこから血が出てくる
エイリーク「キャッ!」
ソール「え!?いきなりなにやってるんですか、ナインさん!」
ロード「はあ!?おまっ、急にやめろ!」
三人に突然驚かれ、ロードにナイフを持っていた手を叩かれて落としてしまう
ナイン「あれ?なんで驚いてるの?」
ソール「いきなり自分を傷つけるからですよ!そんな事しないでください!」
ソールが怪我した腕を持ってくれてエイリークに出した
エイリーク「怪我しろなんて言ってないでしょ!もう!ホイミ」
エイリークが優しく緑の魔法陣を腕に描いてくれると、そのまま傷がなくなった
ナイン「ありがとう、エイリーク。ほら、回復に慣れてるよ」
ロード「......あんまこういうことすんな。俺の発言が不用意だったのは謝るが、こいつも言ったように自分を大事にしろ」
ナイン「ごめんね」
ロード「お前のよくない所だぞ、自分が丈夫かなんかだと思ってんのか知らねえがこっちはヒヤヒヤする。なんにも嬉しくねえからすんなよ」
ナイン「わかった、気をつける」
封印の祠
山の中にある祠。病魔が封印されており、扉は厳重に閉められている
鍵を使って開けると、中にある壁が崩れていた
ルーフィン「やはり壁がこんな事になってますね。予想通り中の封印もどうなってる事やら。さて、ここからナインさん?達の本格的なお仕事ですよ。しっかり守ってくださいね」
ナイン「はい、大丈夫ですよ」
中に入ると、ジメジメした空気と共に嫌な空気で満ちていた
ナイン「魔物の気配が濃いね」
ロード「空気も妙な感じだ。長居するとここは危険かもな。手短にいくぞ」
歩いていくと、大きな石碑があった。その奥には頑丈な扉がある
"二人の賢者の目覚めし時、赤き光と青き光が蘇る。導きの光照らし出す時、閉ざされし扉は開かれん"
ソール「二人の賢者?あの扉を開くためには赤の光と青の光が必要なんですね」
ナイン「賢者って人を連れてくればいいの?」
エイリーク「えー、そんな人いないよー」
ロード「馬鹿、そんな事しなくていい。こういうのはよくあるパターンなんだ。中にこのギミックみたいなのがあるはずだ。まずは中を探索するぞ」
ルーフィン「僕の出番ではないみたいですね。早めにお願いしますよ」
奥に向かっていくと、左右それぞれの奥地に謎の石像があった
ロード「ほらあった。きっとこれが賢者ってやつだと思うぜ」
ソール「でも、光はないですね」
エイリーク「きっと動くのよ!なんかあるし押してみましょ」
エイリークはそのまま胸のところにあるスイッチを押した
ロード「あ!馬鹿!何も考えずにやると罠の可能性も!」
ピカン!
石像の手の部分から青い光が出た。様々なところにあった鏡に反射してどんどん伸びている
ナイン「おー、青の光が出た。じゃあ反対のやつもスイッチ押せばいいんだね。凄い、エイリーク」
エイリーク「えっへん!」
ソール「あ、あははは.....ロードさん、抑えて抑えて」
ロード「......ちっ、馬鹿共がよー」
ロードは青筋を浮かべながら体を震わせていた
ナイン「病気ってつらいの?」
サンディ「アタシも知らないわよ。でも、ここの人間達は咳き込んだり熱が出てたりで動けなくなってるみたいだし、ツラいんじゃない?」
ナイン「体の自由が効かないのもつらいよね。なるほど」
サンディ「ソールやロードにエイリークは病気にならないかしら。ま、丈夫そうだから大丈夫なんでしょうケド」
ナイン「確かに!人間の三人に移ったら大変だ!どうしたらいいかな」
サンディ「だからアタシに相談されてもよくわからないっての!ここの町の人間達は大人しくしてるんだし、大人しくしてれば治るんジャネ?」
ナイン「そっか、なるほど。今度はそういう事にも気をつけないと皆を危険な目に合わせちゃうかもしれないね」
サンディ「そうネ。いい子達なんだし、大事にしていきたいわヨネ」
ナイン「ね、ソールもロードもエイリークも優しくて僕なんかにはもったいないな」