祠 中心部
重たい扉が赤と青の光によって開かれた。そこに向かうと大きな壺が落ちて割れていた
ナイン「あれは?」
ルーフィン「おお、古文書で見た通りです。あそこに転がっているのは病魔を封じていた封印の壺です。やっぱり地震で壊れてしまったようですね」
ルーフィンさんは壺に向かって歩いていき、壺を触っている
エイリーク「だ、大丈夫?ルーフィンさん。病気とかは」
ルーフィン「問題なさそうだ。よし、封印の紋章が描かれた部分は壊れてないから楽勝だ。一流の考古学者の僕ならこれくらいの割れ物を直すのなんて朝飯前ですよ」
ルーフィンさんは周りに散らばった破片を集めていく
ソール「ルーフィンさん、気をつけてくださいね。その壺から、すごく嫌な気配がします」
ルーフィン「その時こそあなた達の出番ですよ。頼みますよ、あとは特性接着剤で」
ルーフィンさんはソールの指摘もあまり聞く耳を貸さずにどんどん作業していく。すると、壺からゆっくりと謎の煙が出てきた
エイリーク「え、なになに!?」
煙は意志を持って動き出し、形を成していく
???「愚かなる侵入者よ。我を再び封印せんとやってきたか。そうはさせぬ!させぬぞ!!汝に病魔の災いあれ、あれ、あれ!」
煙の魔物はそばに居るルーフィンさんを狙っている
ルーフィン「こ、こいつが病魔か!?くそ、まだ封印の壺が直ってないのに」
ロード「一旦お前は引け!壺から引き離す!そしたら壺を直してるんだ!」
ナイン「ルーフィンさん、こっち!」
僕はルーフィンさんの手を無理やり引いて壁によらせる
ルーフィン「とっととお願いしますよ!壺なら任せてください!」
ソールとロードとエイリークが魔物の前に立つ
???「我の邪魔をする者、等しく死あるのみ!のみ!のみ!」
エイリーク「あなたのせいでベクセリアの町の皆は困ってるの!許さないんだから!」
ルーフィン「こいつの名前は病魔パンデルム。攻撃を食らうと毒になるそうです!」
ソール「毒ですか、厄介ですね」
パンデルム「まずはそこの貴様からだ!」
シュン!
三人「!?」
パンデルムは突然三人の前から消えた
ナイン「わ!?」
突然僕とルーフィンさんの目の前にパンデルムがあらわれる。ルーフィンさんを狙っているようだ
ルーフィン「わああ!!」
パンデルム「死あるのみ!」
ナイン「させない!」
急いでルーフィンさんに覆いかぶさる
どす!
ナイン「ぐっ」
僕の背中にパンデルムの牙が当たる。途端に体がジクジクと熱を帯びてくる
パンデルム「頑丈だ、ならば」
ロード「させるわけ!」
ソール「ないですよね!」
ロードがパンデルムの背後から短剣で素早く切りかかり、ソールが横から炎を纏った剣で切りつける
パンデルム「我に物理など....ぬうっ!熱か!」
パンデルムはロードの短剣はすり抜けるが、ソールの放つ炎はまるでダメージがあるように苦しんだ
ロード「こいつ、炎が効くのか!」
ソール「俺の出番ですね。この技使えるようになってよかった」
エイリーク「ナイン、大丈夫?ホイミ」
エイリークが隙を見て駆け寄ってくれて背中に魔法陣を描いてくれた。ゆっくりと熱が取れていく
ナイン「ありがとう、エイリーク」
エイリーク「大丈夫よ。私も何もしないわけにはいかない!物理が効かないなら魔法だよね。いくよ、バギマ!」
エイリークがパンデルムの足下に魔法陣を描くと、そこから竜巻が発生する
パンデルム「ぬおお!!」
パンデルムの纏う紫の空気が薄くなっていくと同時にパンデルムも苦しそうにする
ナイン「物理が効かない代わりに魔法や属性なら効くという事かな」
ロード「なるほど.....。俺は攻撃魔法使えないからな。ちょっくらサポートに回らせてもらうぜ」
パンデルム「図に乗るな!!」
パンデルムが駆けてくるソールに向かっていく
ソール「れんごく斬り!」
ソールが炎を纏って剣を振るうと
パンデルム「ならばこうしてやる!」
パンデルムが瞬間移動してソールの背後に現れる
ロード「後ろだ!」
ソール「!?」
ガブ
ソールの首にパンデルムの牙が刺さる
ソール「ぐあああっ!!」
ソールはそのまま刺さった場所を抑えながら地面に転がって悶え始めた。その場所から煙のようなものがでている
ナイン「ソール!!」
ロード「おい、この反応やべえ!!」
エイリーク「キャーッ!今行くわ!」
パンデルム「ひひひひ」
ソールに三人で急いで駆け寄る
ロード「!?」
ロードの目の前にパンデルムが突然現れる
パンデルム「次は貴様だ!」
ロード「あいにくさま.....俺は簡単には食らわない、ぜ!!」
ロードは一瞬で体勢を変えて地面を滑り込むように低い体勢でスライディングした。パンデルムの牙を避けて体を突き抜けてロードが走ってきた
パンデルム「くそ」
ナイン「上手い、ロード!」
ロード「おう。この反応、猛毒だ。このままだと一瞬で力尽きる。回復より毒を抜くのが先決だ。キアリー」
ロードが慣れた手つきでソールの首に緑の魔法陣を描いてなぞるとソールの首から出ている煙が消えた
エイリーク「毒消しの魔法だわ!ありがとう、ロード!」
ナイン「回復だね、ホイミ!」
今度は僕がソールに魔法陣を描いて回復させる
パンデルム「ならば女だ!」
パンデルムがエイリークの背後に現れる
エイリーク「どっか行って!バギマ!」
エイリークは素早く魔法陣を描くと、今度は竜巻を横向きにしてパンデルムに直接ぶつけた
パンデルム「ぬうう!」
だああん!!
竜巻に勢いよく押されたパンデルムが壁に叩きつけられる
ナイン「ヒャダルコ!」
そのままパンデルムに水色の魔法陣をいくつも描いて力をこめて、氷柱を突き刺していく
パンデルム「ぐうう....ならば、最後の奥義!」
パンデルムは力を込め出すと、周りに漂う紫の空気が動き始める
ロード「なんだ!なにしてるんだ、あいつ!」
ソール「まさか....最初からあった、この祠の濃い空気。これ全てがこいつの仕業だったとしたら」
エイリーク「どんどん大きくなってる!」
紫の空気がなくなって視界が鮮明になった代わりにパンデルムは僕達の優に5倍はありそうな巨大な大きさへと成長していた
パンデルム「この力でねじ伏せてやろう!はあ!」
パンデルムの巨大な腕が僕達に向かってなぎはらってくる
ナイン「ソール、二人で!」
ソール「はい!盾で持ちこたえましょう!」
ソールと二人で盾を構える
しかし
バアアァァン!!
四人「ぐああああ!!」
巨大な腕に適わず、四人まとめて壁に強く打ち付けられる。壁が大きく崩れて穴が広がっていく
ソール「ぐっ.....」
ロード「いっってぇな....」
ナイン「皆...大丈夫?」
エイリーク「はあ.....はあ....つ、強い」
パンデルム「このまま貴様ら全員死あるのみ!町も村も全員死あるのみ!」
ナイン「なんてやつだ....」
エイリーク「......そんな事、そんな事させないんだから!!」
エイリークが強くうちつけた腕を抑えながら立ち上がった
エイリーク「あんたなんかにあの町は潰させない!!家族や大事な町の人達がいるの!!皆の幸せを奪わないで!!」
パンデルム「人は皆等しく死あるのみだ!」
エイリーク「あんたがもたらす苦しみや悲しみになんか絶対負けない!私がそんなもの、終わらせてみせるんだから!!」
叫ぶエイリークの手が光り始める。そのままエイリークが腕を広げていく
エイリーク「吹き荒れなさい、ハリケーン!!!」
エイリークが広げた腕を高く上に振り上げる。すると、パンデルムすら覆い尽くす巨大な竜巻がパンデルムを包み込んだ
パンデルム「ぐあああぁぁぁ!!!おのれ、のれ...我が呪いよ、この愚かなる者共に死の病を」
ルーフィン「させませんよ!ようやく直りました!さあ、封印の壺よ。悪しき魔を封印せよ!」
ルーフィンさんが駆け寄って壺を置いて言葉を唱えると、壺から奇妙な光が出てくる
その光はパンデルムをどんどん小さくさせていき、壺の中に閉じ込めた
ルーフィン「蓋をしてっと。ありがとうございます、皆さん。見事病魔を封印してやりました!これでお義父さんも僕の事認めざるを得ないでしょうね」
ナイン「助かったよ、ルーフィンさん。ありがとう」
エイリーク「ナイン、手分けしてソールとロードを回復しないと」
ナイン「そうだね!大丈夫?二人とも」
ロード「なんとかな。不甲斐なくてすまねえ」
ソール「ありがとうございます」
ルーフィン「それじゃあ僕はここで調査をやってるので、四人は帰って大丈夫ですよ。ありがとうございました」
ルーフィンさんはそう言うとこの部屋でブツブツと色々呟きながら壁を眺め始めた
ロード「いきなり自分の世界に入っちまった。まあいいや、とっとと俺達も帰ろうぜ」
エイリーク「うん!これではやり病治ってるんだもんね」
ナイン「そうだね。きっと皆待ってるよ」
エイリーク「お邪魔しまーす。わぁ....何この部屋、とっても素敵!!可愛い!!」
サンディ「いらっしゃい、エイリーク。でしょでしょ!ここ全部アタシがデコったの!ヤバくない?めちゃよくない?」
エイリーク「うん!めっちゃいいよ、サンディ!いいなー、私もこんな部屋がいいー」
サンディ「やっぱ女の子がいないとダメよネー。ナインもソールもロードもこの部屋なーんもわかってくれないんだから」
エイリーク「男の子ってこういう部屋には興味ないもんね。それにしても、サンディって妖精さんなんだね。すごく可愛いな」
サンディ「別に妖精じゃないケドね。フツーなら驚くのにエイリークは全然驚かなかったのはなんで?」
エイリーク「んー、びっくりというより、憧れとかかな?妖精って見れるなんて思ってなかったし、想像よりずっと可愛いし話しやすいしオシャレではしゃいじゃった」
サンディ「へっへーん、でしょでしょ!やっぱあんたいいわ、一緒にどんどんお話しましょ」
エイリーク「やったー!ねえねえ、私もその可愛いお花のコサージュ付けたい!オソロやらない?」
サンディ「えー、エイリークが言うなら仕方ないですケド。トモダチの証として特別に許可してあげる」
エイリーク「ありがとう、サンディ!私達友達!」
サンディ「ヨロシク!」