ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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27.登らぬ太陽

 

夜に出て、ベクセリアに戻ってくる頃には太陽が昇ってこようとしている明け方になっていた

 

 

ロード「くぁぁ....流石に眠いぜ。疲れたな」

 

 

 

ソール「そうですね。帰ってすぐ寝ましょう」

 

 

 

エイリーク「一旦寝て、その後で町長さんに話にいきましょ」

 

 

 

ナイン「うん。宿屋にすぐ向かわないと」

 

 

ベクセリア

 

 

ベクセリアに到着すると、明け方だというのに人が出てきていた

 

 

女の人「あんなに苦しかったはやり病が消えたのよ!」

 

 

 

男の人「うちの女房も復活した!やったー!!」

 

 

皆それぞれ病気が消えた事を喜んでいたり、報告したりしていた

 

 

ナイン「凄い、もう元気になったんだ」

 

 

 

ソール「一安心ですね。よかったー」

 

 

 

エイリーク「よかった、皆.....本当によかった!!私、お母さんとお父さんに報告してくるね!ナイン、ソール、ロード、本当にありがとう!お礼は寝たら必ずするから食堂に来てね!」

 

 

エイリークははやる様子で食堂へと走っていった

 

 

サンディ「これで人助けもカンペキでしょ。さ、アタシ達も宿屋に戻って休みましょ」

 

 

 

ナイン「うん、今回は疲れたねー」

 

 

宿屋

 

 

部屋は分かれる事になり、僕とサンディ、ソールとロードという部屋割りになった

 

 

ナイン「おやすみ、ソール、ロード」

 

 

 

ロード「おー、おやすみ」

 

 

 

ソール「ナインさんもサンディさんもおやすみなさい」

 

 

 

食堂

 

 

バタン

 

 

エイリーク「お母さん、お父さん、ただいま!無事にはやり病はなくなったよ!私達、本当に解決したんだよ!!......お母さん?お父さん......?」

 

 

 

 

昼過ぎ

 

 

どんどんどん

 

 

町長「すいません、ナインさん達。私です、町長です。お急ぎお耳に入れてほしい事が!」

 

 

僕は部屋の扉を叩く音と町長さんの慌てた様子の声で目を覚ました

 

 

扉を開けると、同じく隣のソール達も起きてきた

 

 

ナイン「どうされました?」

 

 

 

町長「ナインさん達、はやり病の事本当にありがとうございました。町の人達皆喜んでおります。しかし、よい情報だけではないのです。どうやら.....間に合わなかった方達がおりました」

 

 

 

ソール「間に合わなかったって.....」

 

 

 

町長「おなくなりになられた方達がおりました。私の娘、エリザと......町食堂の夫婦、ビークとダリアです」

 

 

 

ナイン「え....」

 

 

 

ロード「あの学者の奥さん.....っていうか、ビークとダリアってあの女の両親じゃねえか!!」

 

 

 

ソール「エイリークさんは!?」

 

 

 

町長「......家に閉じこもっているみたいです。ルーフィンも朝に帰ってきて、部屋でなくなっているエリザを見つけたそうです。ルーフィンも......研究室に閉じこもっております」

 

 

 

ナイン「そんな.....」

 

 

 

町長「これから至急御三方の葬儀を行います。もしよければ、ナインさん達にもご参加くださると幸いです」

 

 

 

ナイン「わかりました。行きます」

 

 

その後、教会のそばにあるお墓に多くの人達が集まった

 

 

新しく出来た墓にはエリザとダリアとビークの名前が彫られている

 

 

神父「ベクセリアの民は試練を乗り越えました。しかしその結果、我々はかげかえのない者達.....エリザさん、ビークさん、ダリアさんを失いました。この犠牲はあまりにも大きく、重く我々の心にのしかかってきます。

 

 

ですが、彼女達は私達に人がいかに強くあれるか、いかに明るく優しくあれるかを教えてくれました。残された私達は彼女達の強さに学び、悲しみを乗り越えていかなくてはなりません。

 

 

さあ、彼女達がうれいなく天に召される事ができるよう共に祈りましょう」

 

 

神父さんがそう言うとそっと祈りを捧げた

 

 

それにならって他の皆も祈りを捧げている

 

 

ナイン「(そこにいるんだけど.....言わない方がいいのかな)」

 

 

あちらこちらから涙ぐむ音や鼻をすする音が聞こえて、とても重苦しく悲しい空気に包まれていた

 

 

ナイン「(......なんでだろう。人助けをしたはずなのに.....たくさんの人間を助けられたはずなのに......とても、むなしい気持ちだ)」

 

 

僕はそっと空を見上げた。憎たらしいほどの晴天が、今のこの町には似合わない。久しぶりにこんなに悲しい空気になった。天使界にいた時と.....似た雰囲気だ。人間界にいる時はずっと楽しかったから

 

 

皆がそれぞれお墓に祈りを捧げているのを少し離れて見ているとサンディが出てきた

 

 

サンディ「せっかく町を救ったのにこんなフンイキ暗いんじゃ星のオーラなんて出てこないよネ。どうする?お礼だけでもせしめておく?」

 

 

 

ナイン「うん。でも.....まだ、今はそんな気分じゃないかな」

 

 

 

サンディ「.....そうよネ。アタシもなんかヘンな気分。皆ハッピーになると思ったのにサ」

 

 

その後、広場

 

 

ソール「......どう、しましょうか」

 

 

 

ロード「つっても.....なあ?」

 

 

ソールとロードも少しいつもより元気がないように感じる

 

 

ナイン「エイリークとルーフィンさんが心配だ。少し様子見に行かない?」

 

 

 

ソール「そうですね!ルーフィンさんの研究室は.....確かエリザさんが特殊なノックの仕方してましたよね」

 

 

 

ロード「あの研究者はめんどそうだし、後回しにしようぜ。まずはあの女だろ、ちょっとやばそうだぜ」

 

 

 

ナイン「うん。まずは食堂に行こっか」

 

 

食堂

 

 

食堂前に向かうと何人かの人がここでも祈りを捧げていた

 

 

ナイン「すいません、食堂って入れますか?」

 

 

 

女の人「それが入れないみたい。ノックすると、エイリークちゃんの返事はあるんだけどもういつもの活気もないし、開けてくれなくて.....」

 

 

 

男の人「はやり病がなくなったのはルーフィンさんだけじゃなくて、ルーフィンさんを支えたエリザさんと、あんた達と、エイリークちゃんのおかげだろ?その恩人達に対する仕打ちがこれかい?こんなのって.....あんまりだぜ」

 

 

 

おじいちゃん「デイブレイク.....。はやり病もなくなった、とっくに陽も登った。じゃが......ここにはもう、太陽は登らないのかもしれんのう」

 

 

 

ソール「.......ナインさん、俺達もノックしてみましょう。もしかしたら、何かおこるかもしれません」

 

 

 

ナイン「うん」

 

 

僕は食堂の扉を叩いた

 

 

こんこん

 

 

エイリーク「........はい」

 

 

初めて聞いたエイリークの元気で明るい声とは想像もつかないくらい冷たく暗いエイリークの声が返ってきた

 

 

ナイン「エイリーク、大丈夫?僕だよ、ナイン。ソールとロードもいる。開けてくれるかな」

 

 

 

エイリーク「..........また後でにして。一人になりたいの」

 

 

 

ソール「エイリークさん、あれから寝ましたか?まずはゆっくり休むのが大事ですよ」

 

 

 

エイリーク「そんなの知らない。休める場所なんて......もうない」

 

 

 

ロード「........とりあえず開けたらどうだ?声だけじゃなくて直接顔出してみろよ」

 

 

 

エイリーク「後でにしてって言ってる!!」

 

 

 

ロード「やれやれ、こっちもこっちで手間取りそうだな。まあ仕方ねえな。少し時間おいてまたこようぜ」

 

 

 

ナイン「わかった。エイリーク、じゃあまた後でくるよ。横になるだけでもいいし、ゆっくり休んで」

 

 

 

ソール「ご飯も食べてくださいね」

 

 

宿屋

 

 

ロード「俺達ももう少し休んでようぜ。町長も大変そうだし、今はお礼どころじゃねえって」

 

 

 

ソール「そのようですね。ナインさん、ここ数日はゆっくりしてもいいかもしれません」

 

 

 

ナイン「うん、僕達も疲れたからね。いろいろおこったから」

 

 

その日の夜、宿屋

 

 

少し話し合った結果、ソールとロードが町長にお礼をもらいに、僕は少し別行動をしたいと言って分かれる事にした

 

 

ロード「終わったら宿屋で待ってるんだぞ。いなかったら覚悟しておけよ」

 

 

 

ソール「もしどこかに行かれる際はメモでもいいので宿屋に残してくださいね。よろしくお願いします」

 

 

 

ナイン「二人とも心配性だなー。わかった、気をつけるね」

 

 

 

ロード「俺達のこれは心配性なんかじゃねえっての。じゃあな」

 

 

ロードとソールは町長の家に向かっていった

 

 

サンディ「で、何するつもりなワケ?」

 

 

 

ナイン「うん。夜になったからもしかしたらエリザさんやビークさんとダリアさんに会えるかなって」

 

 

 

サンディ「ナルホドね。行ってみる価値はありそうね」

 

 

教会

 

 

お墓のある所に向かうとそこには僕の予想通りエリザさんの姿があった。しかし、ビークさんとダリアさんの姿は見当たらなかった

 

 

ナイン「エリザさん、こんばんは。皆さんとても悲しんでますよ」

 

 

 

エリザ「あ、ナインさん。こんばんは。えへへ、あたし死んじゃいました。.......って、あれ?もしかしなくても私の事が見えるんですね!?すごーい、どこか普通の人と違うと思ってたけど、ナインさんって霊能者だったんだ」

 

 

れいのうしゃ、ってなんだろう。エリザさんの口から出てきた知らない言葉に首を傾げる

 

 

エリザ「あれれ?違うのかな。霊能者って幽霊が見える人って聞いたんだけど」

 

 

なるほど。そんな便利な言葉があるのか。それならソールとロードに話しても大丈夫そうだ

 

 

ナイン「ううん、霊能者で合ってるよ。思ってたより明るくてよかったなって思ってね」

 

 

 

エリザ「まあどうしようもなかったですからね。でもよかったぁ、ナインさんがいてくれればなんとかなるかも」

 

 

 

ナイン「どうしたの?」

 

 

 

サンディ「まあここにいるって事はなーんか未練あるんでしょ?あのルーフィンとかいうヤツの事じゃない?アタシはあいつ嫌いですケド」

 

 

 

エリザ「お願いなんですけど、ルーくんを立ち直らせるのに協力してくれませんか?きっとこのままだとルーくんダメになっちゃうと思うんです。お願いします」

 

 

 

サンディ「ホラー、やっぱり予想的中デショ」

 

 

 

ナイン「うん、いいよ。ルーフィンさんにも助けられたからね、もちろんだよ」

 

 

 

エリザ「よかったー。まずはルーくんに出てきてもらわないとですよね」

 

 

 

ナイン「研究室に閉じこもっちゃってるみたい」

 

 

 

エリザ「そうだと思います。まずは研究室に行きましょう」

 

 

その頃、町長の家

 

 

町長「はい、お礼の品ですね。こちらの装備でいかがでしょう。皆様にそれぞれ用意してみました」

 

 

町長はソールとロードにはねかざりバンド、戦士の兜、かげのターバン、聖なるカロットを渡した

 

 

ソール「ありがとうござ」

 

 

ソールがお礼を言おうとすると

 

 

ロード「おいおい、こっちは命かけて戦ってきたんだぜ。ルーフィンを守りながらよぅ。もう少しくれてもいいんじゃねえの?」

 

 

 

ソール「え」

 

 

ロードが悪そうな顔で町長に詰め寄る

 

 

ロード「仮にも俺達は町の救世主なわけだ。それがちょっとした装備だけかあ?」

 

 

 

町長「ひえっ....で、ですが、他にお渡しできるような物も」

 

 

 

ロード「いやいや、あんだろ?例えば、金とか」

 

 

 

町長「ええ!?」

 

 

 

ソール「ちょちょちょ、ロードさん!!やめてください!はしたないですよ!」

 

 

ソールは慌てて町長とロードの間に入った

 

 

ロード「あー?なんだよ、邪魔すんなよな」

 

 

 

ソール「お礼やお金のためにやったわけじゃありませんので!!すいません、町長さん。お仲間が失礼しました。装備だけで充分ですので!俺達はこれで失礼いたします!大変すいませんでした!」

 

 

ソールは不満そうなロードを無理やり引っ張って早足で出ていった

 

 

高台

 

 

ソール「もう!!何してるんですか、ロードさん!」

 

 

 

ロード「別にいいじゃねえか。きっともう少し揺さぶれば金出してくれそうだったのに」

 

 

 

ソール「無理やりお金出させたらそれこそそういう目的で助けたみたいになります!!ナインさんもそんな事望んでないですよ!」

 

 

 

ロード「へいへい、わかりましたよっと。わるうござんした」

 

 

 

ソール「.....なんにも悪いと思ってないですよね」

 

 

 

ロード「まあな。......ん?おい、食堂前になんかいるぞ」

 

 

 

ソール「え?」

 

 

高台近くに偶然来ていたため、ふと食堂を見たロードが少し驚いたような顔をしている

 

 

食堂の入口には青白い二人の姿があった

 

 

ソール「......な、なんですか、あれ!」

 

 

 

ロード「し、知るかよ!見た事も信じた事もねえが.....幽霊?」

 

 

 

ソール「幽霊!?俺見たことないですよ!?」

 

 

 

ロード「馬鹿、俺だってねえよ!これが初めてだ!なんだって、突然......ん?よく見るとあの二人もしかして」

 

 

 

ソール「ええ、怖くてあんまり凝視したくないんですけど......。あれ?ダリアさんと、ビークさん?」

 

 

食堂の入口に立って中を見ようとしている青白い二人はエイリークの父ビークと母ダリアだった。ソールとロードはゆっくりと二人に近づく

 

 

ダリア「あ、あなた方は、ロードさんとソールさん、でしたか」

 

 

 

ビーク「な!?お前達、俺達の姿が見えるのか!?」

 

 

 

ソール「ロードさん、どうしましょう。なんか、声まで鮮明に聞こえてきます」

 

 

 

ロード「俺に聞いてどうすんだよ。えっとー、二人はなんでここに?というか、これ周りには見えてねえんだよな?」

 

 

 

ダリア「それにしてもちょうどよかったです。あなた達なら、エイリークをなんとかできるかもしれません」

 

 

 

ビーク「うちの娘が塞ぎ込んでるみたいだな。こんな幽霊に頼まれるのは気が引けるだろうが、すまない。うちの娘のために頼まれてくれないか?このままじゃ、最悪エイリークもこっちに来てしまう」

 

 

 

ソール「.....そんなに、エイリークさん塞ぎ込んでるんですね」

 

 

 

ロード「かといって、俺達に何ができるんだよ。声掛けたけど、あっち行けって雰囲気だったぜ」

 

 

 

ダリア「こちらに裏口があります。いざという時のためにここ、戸締りはあまいのです」

 

 

ダリアが案内する建物の裏手には扉があった

 

 

ビーク「鍵はかけてあるが、それもゆるいやつでな。最悪体当たりでも開くはずだ」

 

 

 

ロード「ほう?それなら簡単そうだな。失礼」

 

 

ロードは指を軽くポキポキ鳴らすとさっと金具を取り出した

 

 

ソール「え、ロードさん。何する気ですか?」

 

 

 

ロード「ピッキング」

 

 

 

ソール「不法侵入だー!!」

 

 

 

ロード「馬鹿!許可出てんだろうが!」

 

 

 

ビーク「はははは!いいぞ、やれやれ!確か、右に3回、左に2回だったか?」

 

 

 

ロード「ほー、サンキュー」

 

 

 

ダリア「ふふふふ、賑やかになってきましたね」

 

 

 

ソール「.....俺がおかしいだけなのか?この状況をおかしいと思ってるのは俺だけか!?」

 

 

 

 





サンディ「人間ってどうしてお墓ってのに祈るのかしらネ。そこに本人いるんだから直接言えばよくネ?」


ソール「サンディさんも幽霊見えるんですか」


サンディ「あ、そっか。人間ってフツー見えないんだっけ。あれ?じゃあなんでソールとロードは見えてるワケ?変じゃネ?」


ソール「いや、見えた事なかったんですよ。それなのに突然見えてびっくりしてます」


サンディ「突然見える事なんてあるの?アレじゃない?エイリークと関係が出来たからとか」


ソール「その基準だとエイリークさん達は町の皆と知り合いですから、他の人にも見えてないとおかしいんですよね」


サンディ「あ、そっか。うーん.....わかんない!」


ソール「そういえば前に不思議なことがあったら僕に聞いてってナインさん言ってましたっけ。聞いてみようかな」


サンディ「そーなんだ。まあナインは幽霊見えるしいいんじゃない?」


ソール「え!?ナインさん、幽霊見える人なんですか!?」


サンディ「ヤバ....。バラしちゃった」


ソール「ま、まあ、サンディさんが言ったのは黙っておきますけど。それなら尚更いいですね、聞いてみます」


サンディ「アタシの事は隠しといてね!」


ソール「ふふふ、はい。大丈夫ですよ」


サンディ「マジヨロシク!」

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