リゾートホテル
別のホテルに預けていた荷物を持って海から少し離れた丘の上にある美しいホテルにやってきた
ロビーの中は広く涼しい空間が広がっており、なんだかとてもいい匂いがした。赤い綺麗なカーペットが隅々まで敷かれてあり、天井にはステンドグラスやシャンデリアがある
エイリーク「なにここすっご!!」
ソール「い、1泊いくらするんでしょうか....」
ロード「こりゃあ.....たまげたぜ。なんか、あまりにも場違いって感じだぞ」
ナイン「ここも綺麗だねー、いい雰囲気」
リッカ「ね、ねえ....ニード。私達、本当にこんな所に泊まるの?」
ニード「夢、みてえだよな。こんな金持ちな所、見た事ねえぞ」
スタッフ「おかえりなさいませ。市長から話はお伺いしております。この度はブールシーの海を救っていただき、スタッフ一同ナイン様達に心より感謝を申し上げます。大変ありがとうございました」
全員でキョロキョロと見渡していると、大勢のスタッフがやってきてこちらに全員で綺麗にお辞儀をしてくれた
ナイン「いえ、そんな、全員でありがとう」
ロード「おっさ....市長から話が来てるんだな。本当にいいのか?ここは貴族とか王族向けじゃあ」
スタッフ「もちろんでございます。私達にできる事ならなんでもやらせていただきます。いつでも申し付けください」
ソール「な、なるほど.....」
スタッフ「お荷物、私達でお部屋まで運ばせていただいてもよろしいでしょうか?」
エイリーク「お願いします!」
スタッフさんと一緒にお部屋まで案内される。ここにはお部屋だけでなく、プール、フィットネスルーム、サウナ?、温泉、レストランなどたくさんの設備が整えられていた
リッカ「プールか、こういうのがあると喜ばれるのかな」
ナイン「なんだか急に見る目線が変わったね、リッカちゃん」
リッカ「うん。なんか、いろいろあるから凄いなって。私達のところでも真似出来ないかなって思ったの」
ニード「真面目だなー、リッカは」
お部屋
スタッフ「こちらの部屋を用意させてもらいました。いかがですか?何かあれば別の部屋に変えることもできますので」
スタッフさんに通された部屋は大きな部屋で靴を脱ぐ場所があり、その先にはまたカーペットが隅々まで敷かれてあり、大きなソファに高そうなテーブル、オシャレな棚に大きすぎるベッドまで。壁には巨大な窓があり、ブールシーの綺麗な海が余すことなく部屋から眺められた
ニード「すっげえ.....」
ソール「ここで全然大丈夫です。ありがとうございます!」
スタッフ「とんでもない事でございます。それでは心ゆくまでおくつろぎくださいませ」
スタッフさんはまた綺麗にお辞儀をした後、静かに部屋から出ていった
ソール「はぁ.....なんか、偉い人みたいな扱いになっちゃいましたね」
ロード「ま、気分は悪くねえな」
エイリーク「ちょっとむず痒いかなー」
ナイン「不思議な言葉づかいだったねー」
ニード「ナインには縁のなさそうな言い方してたな」
リッカ「ふんふん、なるほど。コップをこんな風に見せて置く事で上品さがあるんだね」
リッカちゃんはすっかり勉強モードになってしまい、部屋のあちこちを見てはメモに書き込んでいる
ニード「なんか全然違う部屋の使い方してないか?リッカのやつ」
エイリーク「敵情視察ってやつだね。まあリッカからしたらいいのかもね」
ロード「俺は流石に風呂に入りてえな。あの魔物のせいで身体中塩水だらけだ」
ニード「なんか乾いてきたんだけど、カピカピすんだよな。塩水ってこうなんのか」
ソール「確かに。エイリークさん、リッカさん、すいませんが俺達は先にお風呂使わせてもらいますね」
エイリーク「いいよー!リッカ、後で私達は温泉に行こ!」
リッカ「はい!」
それからはお互い部屋でゆっくり過ごしたり、ホテルの中を探索して過ごしていた
夕方
ロードとソール、エイリークとリッカちゃんはそれぞれ温泉に向かって部屋には僕とニードだけになっていた。二人で椅子に座って夕陽を眺めていた
ニード「夕陽がこんなに綺麗に見渡せるなんてすげえな」
ナイン「ね、沈むのもよく見える」
巨大な窓からは大きな夕陽が海に沈んでいくのを見る事ができた。オレンジ色の空と輝く太陽が終わりを告げようとしており、上空では既にいくつか星がキラキラと光っていた
ニード「........あのさ、ナイン」
ナイン「なに?」
ニード「俺、リッカが好きなんだ」
ナイン「......ふふふ、知らなかったな」
ニード「うそつけ!!いろいろナブと一緒にやってきた事覚えてんだからな!!まあいい、それでだな。俺、決めたんだよ。やりたい事」
ナイン「え、本当!?なになに」
ニード「今回の冒険で、こうやって街を守ったり救ってみて、誰かに感謝される。それがとっても、嬉しかったんだ。俺のやった事が認められるってこんなにいい事なんだなってさ。だから、俺、大したことできないと思うけどよ、ウォルロ村を守りたい。あの村は俺にとっても、村の皆にとっても、リッカにとっても、大事で大切な村だ。俺が守ってやりたい」
ニードが少し恥ずかしそうにしながらもポツリポツリと話してくれる。どこか耳や頬が赤くなって見えるのはきっと夕陽のせいだろうな
ナイン「うん。とってもいい事だと思う。ニードは前からウォルロ村が好きだったもんね」
ニード「......へへ、まあな。それに、ナインとも出会った思い出がある。いつでもまた来てくれよな」
ナイン「うん。僕もあの村の雰囲気大好きだからまた行くよ」
ニード「やりたい事、見つけたのはいいけどよ。まだ.....ダメなんだ」
ナイン「ダメ?なにが?」
ニード「俺、まだまだよええからよ。もっと強くならなきゃ。ナインやリッカがいつでも安心して帰ってこれるように、俺が強くなってウォルロ村を守るんだ。だから、帰ったらしばらくは特訓だな」
ナイン「......そっか。ニードならきっと出来るよ。だって、ニードはかっこいいから」
ニード「かっこいい?俺が?」
ナイン「うん。ニード、一緒に少しだけ冒険したあの時、覚えてる?ニードは思った事をやっただけなのかもしれないけど、あの時のニードの行動はとてもかっこよかったよ。村の皆が安心できるようにって、そのために頑張ったニードは凄くかっこよかったよ」
ニード「......ぐ、て、照れるからあんまりそういう事言うな!!」
ナイン「照れなくてもいいのに」
ニード「うっせえ!.......でもよ、ナイン。俺も、あの時お前と一緒に冒険してなかったら、俺はずっとあのまま村の中でくすぶってたかもしれねえ。そんな気がするんだ。だからナイン、ありがとな。俺のやりたい事を見つけてくれて。感謝してるぜ」
ナイン「僕は何もしてないよ。ニードが自分で見つけたんだから」
ニード「そうかよ。.......そういや、お前、守護天使?と同じ名前だったよな。天使なんざ信じちゃいねえが、お前の事だったら信じてやろうかな」
ナイン「.....そ、そうだね。嬉しいよ」
その夜
夜もすっかり更けた時間。真っ暗な部屋の中、ニードはゴソゴソと落ち着かない様子だった
ニード「くそ....なんか、いつもと場所が違うからか寝れねえな」
ボソリと呟くとニードの近くのベッドもモゾモゾと動いた
ニード「やべ」
リッカ「ニード、起きてるの?」
リッカが大きな布団から小さく顔だけ覗かせてニードを見ていた
ニード「リッカ。な、なんか落ち着かなくてな」
リッカ「ふふふ、私も。なんか目が冴えちゃって」
ニード「リッカもか。ナイン達は寝てるしな.......そうだ」
ニードはゆっくりとベッドから降りた
リッカ「ニード?」
ニード「なあ、リッカ。少しだけ抜け出さないか?」
リッカ「ええ!?ナイン達起きちゃうよ」
ニード「だから静かにだぞ。バレないようにこっそりだ。へへ、なんか面白そうじゃね?」
リッカ「......もう。なんかそういうの懐かしいね」
リッカも静かにベッドから降りた
ニード「よし、このままどうせなら海に行っちまうか」
リッカ「海に?」
ニード「ああ。こんな夜の海なんて誰もいないだろうし、中々見れないだろ?俺達だけで独り占めしちまおうぜ」
リッカ「ふふふ、うん。面白そう」
ニード「よーし、夜の冒険だ」
リッカ「おー」
ニードとリッカはこそこそと部屋から出ていった
ベッドでは
ナイン「むごごご(エイリーク、痛い、痛い)」
僕はニードに話しかけようとしたらエイリークに口を塞がれてしまった
エイリーク「見た見た?夜中のお忍びデートよ!キャー、ニードったらやるー!」
ロード「おアツいこったな」
ソール「エイリークさん、ナインさんが苦しそうにしてます。そろそろ離してあげてください」
全員が起きており、二人の様子を優しく見守っていた
浜辺
昼間の太陽が照らす眩しいほどの青い海の輝きはすっかり鳴りを潜め、綺麗な月と星が鏡のように海に照らし出されていた。海岸にはたくさんいた観光客達もほぼいなくなり、波の音だけが静かに響いていた
ニード「なんか....昼見た時とは全然違うんだな」
リッカ「そうだね。でも、これも凄く綺麗だよ」
リッカは静かに海に向かって歩いていく。こちらに振り返ってニコリと笑うその姿はとても美しかった
リッカ「少しだけ、海に入っちゃう?」
ニード「.......珍しいな、リッカからそんな事言い出すなんて」
リッカ「そうかな。でも......そうかも。浮かれてるのかもしれない」
ニード「少しだけならいいだろ。ほら」
俺はそっとリッカに手を差し出した
リッカ「うん!」
リッカは嬉しそうに手を繋いで、二人でゆっくりと海に入っていく
リッカ「わ、少し冷たい」
ニード「川とかはこれくらいだよな。へへ、気持ちいいじゃん」
足先を海水につけて、リッカと手を繋いだまま海を眺めていた。そっとリッカを覗き見ると、月や星の光が彼女の青い髪と黒い瞳にマッチして美しい夜空色が見えた
ニード「.......綺麗だな」
リッカ「え」
ニード「あ.....い、いや!!別に、海の事だからな!!」
リッカ「......ふふふ、うん。海も凄い綺麗だよね。まるで星の海みたい」
優しく笑ってリッカが手を離すと、その場でリッカは水をすくった
リッカ「ほら、こうやるとお月様やお星様を捕まえられるみたい」
そう言って楽しそうにリッカは笑っている
ニード「へへ......なあ、リッカ」
リッカ「ん?」
ニード「好きだ」
リッカ「え」
ニード「本当なら、旅立ちの日の時に言うつもりだったんだが.......邪魔も入ったしな。でも、この冒険でもっと、リッカを好きになった、ような気がする」
自分の顔に熱が集まっていくのを感じる。心臓がバクバクしてうまく話しにくい
ニード「お前は!別に俺の事なんとも思ってないのかもしれねえけどよ.....俺は、昔っからお前が.......好き、だぜ」
リッカ「.......ニード。うん、あのね、気づいてたよ。ウォルロ村を出る時も、嬉しかったんだ。ニードがそう言ってくれて。私で、よければ......よろしくね」
ニード「!!リッカ!!!」
リッカ「キャッ!」
思わずリッカを引き寄せて抱きしめた
ニード「ありがとな、リッカ」
リッカ「......私も。凄く嬉しいよ、ニード」
リッカも優しく抱き返してくれた。少しの間、俺達は抱きしめ続けていた
ニード「あのさ、リッカ。ナインにも話したんだけどよ。俺、見つけたんだ。やりたい事」
リッカ「そうなの?」
ニード「ああ。俺、村を守れるような強い男になってみせる」
リッカ「門番さんみたいな?」
ニード「そんな感じだな。まあ、まだまだ鍛えていかないとだけどよ。俺、頑張るからよ。リッカもナインも、安心して帰ってこいよな」
リッカ「そっか.....。ニードなら絶対できるよ!私、信じてるから。頑張ろうね、ニード」
ニード「ああ。皆のおかげだ。ありがとう」
リッカ「また、セントシュタインにも遊びに来てね」
ニード「また来るさ。そしたらさ、今度は二人で遊びに行こうぜ。この街でもいいし」
リッカ「うん。私、楽しみにしてる」
ニード「あとさ、これ。今回の冒険で手に入った宝物なんだ。リッカ、受け取ってくれないか?」
俺は真珠のネックレスをリッカに渡した
リッカ「わあ.....。綺麗なネックレス。いいの?」
ニード「ナイン達がいいって言ってくれたんだ。俺はこれ、ピンクパールって言ってたかな」
薬指に嵌めた指輪をリッカにみせた
リッカ「あ、こっちも綺麗だね。じゃあ.......どうかな」
リッカは早速ネックレスをつけてくれた
ニード「似合ってるぜ、リッカ」
リッカ「よかった。私、これつけて今度から仕事しようかな」
ニード「おう、そうしておけよ。きっと客もバンバン来てくれるだろうぜ」
リッカ「そうね、ふふ。うん、ありがとう、ニード」
ナイン「夜の海いいなー、僕も行きたい」
ニード「へへ、めっちゃ綺麗だったぜ。ナイン達ならここにすぐ来れるからまた来ればいいじゃねえか」
ナイン「そうだね。綺麗だしまた今度来ようかな。皆も喜んでたし」
ニード「そうそう、ずっと旅で戦闘ばっかも疲れるぜ。息抜きしないとな」
ナイン「確かに。皆しっかりしてるから、たまに休憩挟むのも大事かも」
ニード「ナインの仲間達、いいやつばかりだったな。ぼけーっとしてるお前を助けてくれそうじゃん」
ナイン「うん、ニードとリッカちゃんも仲良くなってくれてよかった」
ニード「また今度セントシュタインに遊びに行くからよ、もしそん時は冒険の話聞かせてくれよな」
ナイン「うん!もちろん。また一緒に冒険しても楽しそうだしね」
ニード「いいけど、あんま変なところには連れていくなよ」
ナイン「ふふふ、うん。任せて」