次の日、セントシュタイン周辺
あれからニードとリッカちゃんは昼過ぎまで仲良く寝ており、夕方前にようやく僕達はセントシュタインに帰ろうと歩いていた
リッカ「すいません....。私達のせいでこんな遅くになってしまって」
エイリーク「気にしなくていいよー。私達もホテルでゆっくりできたんだから」
ソール「そうですよ。お二人とも疲れてたんですからよく休めたみたいでなによりです」
ニード「ふかふかでいいベッドだったよな」
ナイン「ねー、気持ちよかった」
リッカ「ナイン、ソールさん、ロードさん、エイリークさん、今回は本当にありがとうございました。とっても素敵な休日になりました」
ニード「俺も!冒険も楽しかったし、海も気持ちよかった!サンキュー!」
ロード「楽しめたならよかったな。そういや、お前はウォルロ村に帰るんだろ?なんか、飛び出してきたとか最初に言ってたが平気なのか?」
ニード「.........やべ」
リッカ「え、ニード、もしかして」
ニード「だ、大丈夫だって!ちゃんと冒険してた事とか、リッカに会った事とか言えばどうにかなる!.......はず」
ナイン「あははは.....あの村長さんだとそれでも凄く怒ってそうだけど」
ニード「ぐ......ナイン、なんとかしてくれないか!守護天使と同じ名前だろ!助けてくれ!」
ロード「!?」
ナイン「えー、そんな事言っても.....」
ニードに苦笑いしていると、こっそりサンディが出てきた
サンディ「ねえ、ナイン。忘れてるかもしんないケド、ベクセリアでも結局かなり星のオーラ出てたから、もう一度峠の道に行って天の箱舟動くか試してみてもいい?そのついでで、ニードもウォルロ村に送っちゃえばいいのよ」
ナイン「なるほどね、確かに。わかった。サンディ、ありがとう。ニード、僕がウォルロ村まで送っていこうか。村長さんにも言い訳のお手伝いするから」
ニード「マジで!?いいのかよ、ナイン!!めっちゃ助かる!!」
ナイン「ソール、ロード、エイリーク。三人はこのままリッカちゃんをお願いしてもいいかな。それが終わったら各自自由にしてていいからさ、僕も夜には戻れるはずだし」
ソール「わかりました」
エイリーク「いいよー!セントシュタインもまだ観光してなかったしちょうどいいわ!」
ロード「はいよ。あんま遅くなるなよ」
ナイン「うん、じゃあリッカちゃん、また後で」
リッカ「うん、また宿で待ってるね。ニード、またいつでも来てね」
ニード「おう!またすぐ行くから待ってろよ!」
その後、ウォルロ村
ニード「.......あのよ、ナイン。お前が先に行ってくんね?」
ナイン「いいけど、なんで?」
ニード「ほら、お前ならまた来ましたーとかで親父の気をそらせるかなーって」
ナイン「必死だね、ニード」
ニード「そりゃあ.....とりあえず頼むぞ!」
ニードが僕から離れていく
村長の家
こんこん
ナイン「失礼します」
村長「ん?おお、旅人のお方!また来てくれたのですね。突然すみません、我が馬鹿息子ニードをみませんでしか!数日前から出ていったきり行方不明でして」
ナイン「はい、その事で報告にきました」
村長「おお!!なにかご存知なんですか!」
ナイン「ニードはセントシュタインに来て、リッカの様子を見に来たんです。それでついつい、僕達が依頼の仕事をニードと一緒に受けてしまい、そのまま一緒に冒険してました」
村長「冒険!?ニードが!!今、あいつはどこに」
ニード「お、親父......帰った、ぜ」
村長「ニード!!!この、馬鹿息子が!!!!」
ニード「ひっ」
村長「今回という今回は何があっても許さないからな!!連絡もなしに数日もいなくなるなど、一体何を考えておる!!!それも旅人の方にまたお世話になって!!」
ニード「ナイン......話が違うぜ.....」
ナイン「あははは.....こればっかりはどうしようもないよ。ニード、頑張って」
ニード「ぐぅぅ.....」
村長「聞いておるのか、ニード!!!」
ニード「おう!!」
ナイン「し、失礼しましたー....」
家の外からもはっきり聞こえるくらい村長の怒鳴り声が響いていた。これはしばらくかかりそうだな
その頃、セントシュタインでは
リッカちゃんを宿屋に送った後、ソールとロードとエイリークはそれぞれ話していた
ソール「じゃあこれからナインさん戻ってくるまで自由にしてましょうか」
ロード「おー、じゃあまた後でな」
エイリーク「えー、ロード、せっかくなら案内してよー」
ロード「ぶらついてくる」
ロードはそそくさと離れていった
エイリーク「話聞けっての!!もう!」
ソール「あははは....。盗みとかしてないといいけど。エイリークさん、俺も少しお城に顔出してくるんですけど、それが終わったらでよければ案内しましょうか。俺、ここが出身なので」
エイリーク「本当に!?ありがとう、ソール!そっか、ソールって兵士さんだもんね。うん、じゃあ待ってるね!」
ソール「はい、ではまた後で」
ソールも城に向かって歩いていった
エイリーク「じゃあ私はその間リッカとお話でもしてようかな」
エイリークも宿屋に戻っていった
峠の道
ウォルロ村から戻ってくると、天の箱舟の近くにフードを被った幽霊の女性がキョロキョロとしていた
サンディ「うう、なにこの暗そーな女。ちょっとナイン、幽霊だし相手してやれば?」
ナイン「うん。あの、なにかおさが」
???「.......いない」
ナイン「え?」
サンディ「はあっ?」
???「.......あの人はここにもいない」
女の人はそう言うとどこかに歩いて消えていってしまった
ナイン「消えちゃった」
サンディ「ちょっとー!なにあれ!?シカトかましてくれちゃってさ!むっかつくー!!」
ナイン「まあまあ。仕方ないよ、とりあえず天の箱舟に乗ってみようか」
サンディ「そうね!」
サンディはスイスイと天の箱舟に入っていく。少しだけ躊躇っていると
サンディ「ほーれ、さっさとナインも乗ってみて。あんたが乗ってくれないと始まらないんだから」
ナイン「う、うん」
僕がゆっくり箱舟に乗ると
ガコン!!シュウウウ
箱舟が大きく揺れた後、箱舟が光り出す。煙突や車輪からは煙がたちのぼる
サンディ「おお!!この雰囲気.....ようやくナインが天使だって認めてくれたカンジ!?行ける、今度こそ行けるわー!」
サンディは前と同じく、運転席のパネルに向かっていく
サンディ「よし、きっと今なら!す、す、す、スウィッチ・オンヌッ!!」
サンディが前と変わらずへっぴり腰で何かのボタンを押した
すうっ
箱舟が浮き上がった感覚がする
ナイン「!?待って、サンディ!もう発車するの!?」
サンディ「あ......。ま、待って、わかんない!箱舟、ちょっと待って、このままだとナインも!」
僕の声にサンディも慌ててボタンを操作しようとするも、箱舟は動き出す
サンディ「あああ......えっと、その.....ごめんなさい、ナイン」
ナイン「.........すぅー.......いや、大丈夫だよ。もう行こう、このまま。僕が、怖がってるだけだからさ。きっと.....大丈夫」
突然の事に流石に血の気が引いている気がするが、もうこうなった以上は仕方ない。なんとか、頑張ろう。サンディならきっと、天使達にいろいろ言われても平気だろう
サンディ「......マジで、ごめん。めっちゃ反省してる。アタシ、嬉しくなっちゃってさ」
ナイン「サンディ.....。そうだよね。サンディはずっとこれ動かそうと頑張ってたもの。嬉しくなるのは当たり前だね」
サンディ「でも!全部ナインのおかげだから。ありがとね、ナイン」
ナイン「どういたしまして」
サンディ「よーし、それじゃあ天使界に向けて出発シンコー!......は、このボタンだったよね?」
サンディは相変わらずビクビクしながらボタンを押す。確か、運転手なんじゃなかったかな、大丈夫かな
ポーーーッ!
高らかな汽笛が鳴り響く
列車が空間から現れて連結していく。すっかりあの時みた箱舟と同じ形になり、光の煙をあげて天に登っていく
ナイン「(........ジーンさん、オムイ様......イザヤールさん。どうしてるかな)」
その頃、セントシュタインでは
ソール「え、なんだあれ!?」
ソールは城から天に登っていく金色の列車を見ていた。時を同じくして
ロード「んな!?なんだ、見た事ねえもんがある!空を、登ってんのか」
エイリーク「綺麗〜.....。どこに向かっていくんだろう」
ロードとエイリークもまた、天の箱舟が天使界に向かっていくのを見ていた。周りの人は不思議そうにソール達を見ていた
天使界
黒い暗雲に包まれた空高く浮かぶ天使界。美しかった面影はなく、暗雲から落ちてくる雷が不気味さを強調させている。塔にも大きくヒビが入っている
世界樹
世界樹の近くでは長老のオムイ達と一緒に何人かの天使が祈りを捧げていた
オムイ「神よ.....聖なる世界樹よ。どうか、我らをお守りくだされ。このままでは天使界は.....」
門番天使「オムイ様、これも全てあの疫病天使のせいです。我々は、あの天使のせいで」
ジーン「馬鹿言ってんじゃないの、こんな所で!!ナインは......あんた達のせいで.....」
オムイ「二人ともやめるのじゃ。この聖なる場で慎むのじゃ」
門番天使「す、すいませんでした」
ジーン「.....すみません、オムイ様」
その時
ポーーーッ!
全員「!?」
暗雲から突如現れた光と汽笛の音に全員が空を見た
オムイ「あれは!?」
天の箱舟が世界樹の周りを回るようにやってきて、近くにとまる
ジーン「天の箱舟だわ!!」
オムイ「神よ.....祈りを聞き届けてくださったのですね!天の箱舟が我々を救いにきてくださったのだ!」
オムイ達はそのまま天の箱舟が止まった場所へ走ってくる
箱舟の中では
サンディ「ついたわよ、ナイン。久しぶりの天使界よ。随分ボロボロになってるじゃない」
ナイン「.......僕のせいで、こうなっちゃったんだよ」
サンディ「え......ど、どうゆう事!?」
僕の発言に驚くサンディをスルーして、ゆっくりと箱舟から降りた
オムイ「な.....なんと!」
ナイン「オムイ様......」
オムイ「ナイン!?ナインなのか!?」
出口に立っていたオムイ様達が驚いた顔をしている。僕なんかが戻ってきてしまって、申し訳ないな。そう思って顔を伏せると
ジーン「ナイン!!!」
ジーンさんがオムイ様を避けて抱きついてきた
ナイン「ジーンさん.....」
ジーン「あんた......生きてた......生きてたのね......うう」
ナイン「あの.....その」
オムイ「どうして天の箱舟からお主が.....。しかも、翼も光輪もないその姿はどうしたのじゃ!」
僕はゆっくりとこれまであった事を話した
オムイ「では、他の天使達はおらぬのか。そうか......。いや、すまない。ゆっくり話そう、よく天使界へと戻ってきてくれた」
オムイ様とジーンさんにそのまま案内されて、長老の間へとやってくる。すれ違う天使達もザワザワと騒がしい。悪意も、なにも変わらない。きっと僕が帰ってきた事は一瞬で知れ渡るはずだろう
長老の間で、ジーンさんとオムイ様の二人で地上の事について話した
ナイン「あれから、天使達が更に減りましたね」
オムイ「うむ。ナインが落ちてしまってからも、地上に向かった天使達は誰一人として帰ってきておらぬ。そして、やはりあの時の邪悪な光は天使界ばかりでなく、人間界までも襲っていたのか。
ナインも覚えておろう。女神の果実が実ったあの日の事を」
その言葉に胸がズキズキと痛み出す
ナイン「はい.....忘れるはずもありません」
オムイ「地上より放たれた邪悪な光が天使界を貫いた。天の箱舟はバラバラになり、そして女神の果実全てが人間界へと落ちたようじゃ。ナイン、お主とともにな。地上に向かった天使達は仲間や邪悪な光の原因、そして女神の果実を探すために降りていったが.....」
ジーン「ナインだけでも戻ってきてくれて本当によかったわ。あのさ、つるっ.....イザヤールは?」
ナイン「すいません。イザヤールさんとは僕も会えていません。でも、イザヤールさんほどの方ならきっと大丈夫です」
オムイ「うむ。イザヤールは強いからな。他の皆が気がかりじゃが、ナインだけでも帰ってきてくれてよかった。ありがとう、ナイン。そのまま世界樹に祈りを捧げてくるのじゃ。もしかしたら世界樹の力が失われた翼と光輪を蘇らせてくれるかもしれんぞ」
オムイ様のその言葉に、僕は少しだけ蘇らなくてもいいのにと思ってしまった
オムイ「行きなさい、守護天使ナインよ。お前に神と聖なる世界樹の守りがありますように」