ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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4.地上へ

 

 

天使界 頂上

 

天空にそびえる大きな建物の中でも一際存在感を放つ神聖な大きな樹。それが世界樹である。まるで輝くような一枚一枚の大きな葉だ。幹も太く遥か昔からここに存在していた事を厳かに示している

 

 

そんな神聖な場所に僕はなんとかふらふらと迷いながらやってきた。遠くから見た事はなんどもあったが、こう間近で見るとどうしても緊張してしまう

 

 

 

ナイン「ふぅ、姿勢が正されるような感じだなー」

 

 

そう思いながらゆっくり世界樹に近づいていく

 

 

ナイン「あ、そうだ。星のオーラを捧げるんだよね」

 

 

祈りをするように星のオーラを空間から取り出す。これも不思議なものだよね。ふわふわ?ゆらゆらしているようで掴みどころがない。風なんか吹いたらそのまま飛んでいきそうだ

 

 

ナイン「捧げるってどうやって、あ」

 

 

取り出して固まっているとオーラはそのまま勝手に浮き上がり、世界樹に吸い込まれていった。すると

 

 

ナイン「わ〜.....」

 

 

星のオーラを取り込んだ世界樹は輝きを放ち、キラキラと陽の光を浴びながら輝くその姿はまさに星そのものだった。言葉にならないような美しさを目の前にただ感嘆の声を漏らす

 

 

ザッザッ

 

 

後ろから誰かやってくる足音がするまで僕は世界樹を眺めていた。輝いていたのはそんな長くなかったのにまるでずっと見ていられるようだった

 

 

イザヤール「どうだ、ウォルロ村の守護天使ナインよ」

 

 

 

ナイン「あ、イザヤールさん」

 

 

 

イザヤール「星のオーラを捧げられた世界樹はじつに美しいだろう」

 

 

イザヤールさんは僕の隣にやってくると一緒に世界樹を見上げた

 

 

イザヤール「人間達からオーラを受け取り、世界樹に捧げる。これこそがわれら天使のつとめだ。周りにいるようなつとめも忘れてここで呆けている天使達のようになるなよ。

 

 

それとあの門番天使の話は腹黒天使から聞いた、オムイ様のお傍にいながらなんと腑抜けな....。この後私がじっくりと体に説教してやるからどうか気にしないでくれ」

 

 

 

ナイン「は、はい」

 

 

額にシワを寄せて嘆かわしそうな怒ってそうな表情をしながら言うイザヤールさんのその顔は既に見慣れきっていたが、やはり門番天使さんが可哀想に思えてくる。どうか生きのびてほしい

 

 

イザヤール「ウォルロ村の守護天使ナインよ。お前の今後に期待しているぞ」

 

 

ナイン「はい!」

 

 

 

イザヤール「ふむ.....」

 

 

ふとイザヤールさんは考え込むような顔になった。何かあったのだろうか

 

 

ナイン「イザヤールさん?」

 

 

 

イザヤール「いや、ふと思ったのだが。やはりいちいちウォルロ村の守護天使ナインと呼ぶのは少し面倒だなと思った。これからは時々そう呼ぶ事にしようか。それでいいか?」

 

 

へ〜、あのイザヤールさんでも面倒とか思う事あるのか

そんなどこか違う事を感想に抱きながらも内心自分もいちいち長いなと思っていたのでちょうどよかった

 

 

ナイン「はい!構いませんよ」

 

 

 

イザヤール「うむ、上級天使には逆らえぬのが天使のならわし。あまり勝手に決めてばかりはよくないが、私としても以前のように呼びやすい方が助かる。さあ、オムイ様の元にいき無事に役目を果たしたこと報告するがよいぞ、ナインよ」

 

 

少し微笑むその姿にどこか安心しながらイザヤールさんに礼をして去っていこうとすると

 

 

イザヤール「......ま、待て、ナインよ。どこへ行く?」

 

 

 

ナイン「え?オムイ様の元に行こうかと」

 

 

 

イザヤール「はぁ.....。来た道はそっちではないだろう。さてはここに来るのにも迷っていたな?」

 

 

イザヤールさんはため息をついている。あれ?確かここを右だった気がしてたんだけど

 

 

ナイン「あはは、いやー、全然慣れてなくてですね」

 

 

 

イザヤール「まったく.....。私がついていこう。ただし!次からは一人でもしっかり行けるようにしておくのだぞ。道を覚えるのだ」

 

 

 

ナイン「はい!ありがとうございます!」

 

 

イザヤールさんは僕の前を歩いていく

 

 

この頼もしい背中を見られるのも、そう長くはないのかもしれない

そんな事をふと思ってしまい、寂しいと感じてしまった

 

 

 

長老の間

 

 

オムイ「ご苦労じゃった、ナイン。.....して、世界樹の様子はどうであったかな?」

 

 

 

ナイン「はい。星のオーラを捧げたところ、陽の光にも負けないほどの輝きを放っておりました。まるで、星そのもののようにも思えました。美しかったです」

 

 

僕のその返事に隣にいるイザヤールさんも満足そうに頷いている

 

 

オムイ「ほほう....。そんなにも輝いておったか。これはいよいよかもしれんな。ナインも知っていようが、われら天使の使命は世界樹を育て女神の果実を実らせること」

 

 

女神の果実....。イザヤールさんの勉強会で教わった事がある。世界樹に星のオーラを捧げ続け、時が経つと世界樹に果実が実る。それが女神の果実。輝かんばかりの黄金の実だと聞いた

 

 

美味しそうですねと言ってイザヤールさんに呆れられたのも思い出した。神聖なものにそんな事を思うとは何事かとその後の訓練でしこたま厳しく指導された

 

 

オムイ「守護天使達が人間を守り、星のオーラを集めてくるのも全てはそのためなのじゃ。守護天使ナインよ、自分のするべき事がもうわかったであろう?再び地上へと赴き星のオーラを集めてくるのじゃ。イザヤールは供をせぬぞ。

準備が整ったら下の階に行き、輝く星型の穴のそばにいる女天使に話しかけるがよい

 

 

守護天使ナインよ。なんじに星々の加護のあらんことを」

 

 

オムイ様は胸に手を当て軽く祈りを捧げてくれた

 

 

 

廊下

 

 

イザヤール「では話通り私は供はしない。大丈夫だと信じているが、何かあればすぐに戻ってきて報告するのだぞ。私でなくとも腹黒天使でもオムイ様でもよい。期待しているぞ」

 

 

 

ナイン「はい!頑張ってきます、イザヤールさん!」

 

 

 

イザヤール「うむ。行ってこい」

 

 

イザヤールさんは優しくまた頭を撫でてくれた

 

 

 

1階

 

 

女天使「げ。な、なにか用ですか?」

 

 

 

ナイン「.....ここの穴使って地上に行かせてください」

 

 

 

女天使「えー.....。どうしよっかなー」

 

 

やっぱり

薄々わかってはいたが、簡単にはいかないようだ。この女天使さんも僕にいい感情は持っていなさそうだ

 

 

どうしようかと考えていると

 

 

ジーン「あんたねえ!これは仕事よ!個人の勝手な考えで馬鹿みたいな事しようとしてんじゃないわよ!」

 

 

僕の後ろからジーンさんが睨むようにやってきた

 

 

ナイン「あ、ジーンさん」

 

 

 

女天使「ぐ....」

 

 

 

ジーン「ナイン、今回は一人?つるっぱげはいないのね。こいつは無視していいわ、代わりに私がやるから。さっさとあっち行きなさい」

 

 

ジーンさんは片手で女天使さんを追い払うようにしっしとやっている

バツが悪そうにしながら女天使さんは去っていった

 

 

ジーン「.....一人で任務なのね。もう守護天使なんだもんね。なーんか寂しいなー。あんなに小さかったナインがいつのまにか、だもの」

 

 

 

ナイン「ジーンさん....。僕、頑張ってきます。待っててください」

 

 

 

ジーン「.......ふふふ。うん、頑張ってらっしゃい。いつでも待ってるわ。あ!出来るだけ怪我しないように!あと!何かあったらすぐに戻ってくるのよ!力も使いすぎないでね!それと」

 

 

 

ナイン「あははは、大丈夫ですよ、ジーンさん。心配してくれてありがとうございます。......誰かに心配されるのって、こんなに嬉しいんですね。イザヤールさんとジーンさんとオムイ様だけですよ、こんな事してくれるの。

 

 

僕、またすぐに戻ってきます。いってきます!」

 

 

僕は走るように穴へ入っていった。風が吹き抜ける中、ジーンさんの叫び声が聞こえた

 

 

ジーン「行ってらっしゃい、ウォルロ村の守護天使ナイン!!いっぱい人助けして星のオーラを集めてくるのよー!!

 

 

頑張んなさいよ」

 

 

 

 

 




イザヤール「ふぅ.....。全く、オムイ様をお守りするというのにあの弱さでは話にならんな。腹黒天使に動かせるようにしてもらったらまたすぐに訓練してやらねば」


イザヤールは訓練所からコキコキと首を鳴らしながら1階へ降りてきた


イザヤール「おい!ジーン!医務室にあの門番を送りつけたぞ......何をしている?」


ジーン「あ.......つるっぱげ」


イザヤール「......ナインが行ったか」


ジーン「ええ、すぐに戻ってくるって」


イザヤール「.......私の弟子だ。何も問題ない」


ジーン「そりゃそうだけどさ!少しくらい思い馳せててもいいでしょ!あんたと違って私は乙女なんだから!」


イザヤール「お前が?乙女???まあいい。あの門番天使、早々に動かなくなったから医務室に送りつけた。すぐに動けるようにしてやれ、もう一度訓練させてやる」


ジーン「えっ、それ本当、イザヤール!!あんた最高!!でもちょっと待ってね、私もあいつにムカついたからいろいろやってやるつもりなの!それが終わったらそっちに叩きつけるわね!うふふふ〜」


ジーンは嬉しそうに医務室に向かっていった


イザヤール「......あれの何処が乙女なのだまったく。わからん女だ」


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