オムイ様との話が終わって、ジーンさんと共に外に出た
サンディ「ナイン、本当にごめん。あと、アタシやる事あるからさ一旦抜けるね。また後でー!」
ささっとサンディはそう言って僕から離れていった
ジーン「.....今、なんかナインの近くにピンクの光なかった?」
ナイン「あ、気にしないでください。それにしても、ジーンさん。あの.....ごめんなさい」
ジーン「.......ふぅ、それは何に対して?」
ナイン「え。えーっと、僕が天使界から落ちる時、ジーンさんの手を.....」
ジーン「ああ、あれね。そんなの気にしてないわよ。そんな事よりもめちゃくちゃ心配したんだから!!もう!!こんな姿になっちゃうし!!」
ナイン「わあ.....ごめんなさい」
ジーン「ま、無事なだけよかったわよ、本当に。それにしても.....」
ジーンさんが周りを見る。以前よりかなり数は減ったが、前と変わらずコソコソとこちらを見て話す天使達は多い
ジーン「奇跡の生還をしたってのにナインへの対応は何にも変わらないのね。本当、バッカみたい」
呆れた顔でジーンさんは周りを一瞥した
ナイン「きっと、それもまた拍車をかけてるんだと思いますよ」
ジーン「.......まだ、あの力使えてる?」
ナイン「え?はい。普通に地上でも使ってました」
ジーン「そう....。前も言ったけど無理しちゃだめなんだからね!」
ジーンさんは僕にビシッと人差し指を向けた。顔は少しムスッとしている
ナイン「はい。わかってますよ」
その時
ラフェット「ナイン!!無事に帰ってきたのね!!」
イザヤールさんの同期の天使、ラフェットさんが慌てた様子でやってきた
ナイン「ラフェットさん」
ラフェット「無事でよかった。イザヤールは?一緒じゃないの?」
ジーン「ラフェット、イザヤールはナインもわからないみたい。まああいつはそう簡単にくたばるタマじゃないけどさ」
ラフェット「そっ.....か。私、ナインが天使界から落ちて、他の天使達も帰ってこなくなって、まるでエルギオスやノーヴの時みたいになってるなって思ってたの」
エルギオス、は確か前にイザヤールさんと話していたのを盗み聞きしてしまった時に聞いた名前だけど.....ノーヴ?その名前は.......
ズキン!!
ナイン「うっ」
その名前を聞いた途端、頭の奥が強く痛んだ。思わず頭を押さえて座り込んでしまう
ジーン「!?ナイン、大丈夫!?ラフェット、気持ちはわかるけど気軽にその名前は出しちゃダメ!」
ラフェット「あ......ご、ごめんなさい。ナイン、ごめん!大丈夫?」
ナイン「は、はい.....なんとか。ノーヴって.......あれ......なんだっけ」
ジーン「..........まだ、思い出せない?」
ナイン「え.....どういう事ですか」
ジーン「いえ、なんでもないわ。また今度にしましょ。ナイン、立てる?」
ナイン「はい、もう大丈夫です」
ジーン「よかったわ。ナイン、とりあえず世界樹に祈りを捧げてきて。オムイ様も言ってたでしょ。もしかしたら、ナインの翼と光輪も戻ってくるかも」
ナイン「わかりました。じゃあまた後で」
僕は世界樹に向けて階段を上っていった
ラフェット「ごめんなさい、ジーン。つい」
ジーン「いいのよ、まだナインも思い出せてないってわかったし。まあ、あの力がある時点でそうなのはわかってるんだけどさ」
ラフェット「.......イザヤール、ずっと気にしてたもんね」
ジーン「........あいつも、いろいろあるからね」
世界樹
ボロボロになって至る所が崩れてきている足場を慎重に進みながら、ここまでやってきた。初めて来た時はあんなに迷ったのに、気づけばここに自然とやってこれた。イザヤールさんのおかげだろうか
天使界は悲しい雰囲気に包まれていた。いろんな天使達が頭を抱えて嘆いている。その矛先が、全て僕へと向けられている
ナイン「仕方ない、よね。僕が.....疫病天使だから.....」
一人が心苦しい。サンディも、ソールも、ロードも、エイリークもいない。久しぶりの悪意の視線や言葉に、心が耐えられなくなってきていた
僕って、こんなに弱かったんだ
ポツリと涙が流れそうになるのをぐっと堪えて世界樹へと向き直す
ナイン「祈らないと、だもんね」
膝をおろして祈りのポーズをとる。すると、突然強い眠気が襲い、僕は意識をとばした
暗闇のどこかから男性の声が聞こえる
男「人間達はこの世界にはふさわしくない。己の事しか考えず、嘘をつき、平気で他者を貶める。そんな人間のなんと多いことか。私は、人間達を滅ぼす事にした」
そう聞こえると、遥か空高くから赤い光線が地上に向けて振り落とされた
まずい!!
そう考えると同時にもう一つ、青い光がやってきて光線を打ち消した
女「お待ちください!!」
青い光からは女性の声がした
男「なぜ止めるのだ」
女「私は人間達を信じます。人間を滅ぼしてはいけません。どうか」
男「ええい、黙れ!もう決めた事だ。人間は滅ぼさねばならぬ」
女「私は人間達を信じます。この身に代えても人間と人間界を守りましょう」
その言葉を最後にはっと目を覚ます。僕は世界樹の側で夢を見ていたようだ
ナイン「今のは....?」
不思議に思っていると、どこからか声が聞こえてきた
???「守護天使ナインよ、よくぞ戻ってきました」
ナイン「わ!」
突然の事に驚くが、さっきの女の人の声ととても似ているように聞こえる
???「翼と光輪をなくしてもなお、ここに戻ってこられるとは。これもまた運命なのかもしれません。守護天使ナインよ、あなたに道を開きましょう。私の力を宿せし青い木があなたを新たな旅へと誘うでしょう。
そしてもう一つ。これまであなたが旅した地へと戻る呪文を授けましょう」
謎の声とともに頭の中に魔法陣と呪文の言葉が浮かび上がる
ナイン「ルーラ、っていうのか」
???「守護天使ナインよ、再び地上へ戻りなさい。天の箱舟で人間界へ行き、散らばった女神の果実を集めるのです。そして人間達を.....世界を救ってください」
謎の女の人の声は聞こえなくなった
ナイン「......なんだったんだ、一体。僕が......世界を救う?」
突然の事に少し戸惑うが、同時にまた地上へ戻る事になりそうで嬉しさもやってきた
ナイン「オムイ様の所に行かないと」
ゆっくりと長老の間へと戻っていく。その足取りはさっきよりも軽やかに感じた
長老の間
オムイ「ナインよ、よくぞ戻った。じゃが、世界樹に祈りを捧げても翼と光輪は戻らなかったか」
ナイン「オムイ様、いろいろあったので報告します」
僕は夢の事、世界樹から女神の果実を集める事を言われた事を話した
オムイ「世界を滅ぼさんとする者とそれを止めようとする者、か。わしらの知らない所でとんでもない戦いが始まっているのかもしれん。ナインが翼と光輪をなくした事や、天の箱舟に乗れる事にもなんらかの意味があるのじゃろう。
ナインが見たその夢はおそらく神のお告げ。聖なる世界樹の声がお前に女神の果実を集めよと言うならば、わしはそれを信じよう!」
オムイ様のその言葉に僕は少し顔を上げる
ナイン「いいのですか?また.....僕なんかを信じたら.....伝承のように騙されて」
オムイ「何を言う。お前を信じて騙された事など一度もない。あの伝承はまだ嘘だったと決まってもおらん。女神の果実には世界樹の力が宿っておる。女神の果実を集めれば、人間界も天使界も救われるかもしれん。
行きなさい、ナインよ。人間界に落ちた女神の果実を集め、無事天使界へ持ち帰るのだ。頼んだぞ、守護天使ナインよ」
ナイン「はい!」
天の箱舟の近く
天の箱舟にまた乗ろうとすると
ジーン「ナイン!!」
ラフェット「もう行っちゃうの?」
ジーンさんとラフェットさんが追いかけてきた
ナイン「ジーンさん、ラフェットさん。はい、使命を貰ったので」
ジーン「またすぐいなくなっちゃうんだから!もう少し休んだりしてもいいのに。イザヤールも帰ってくるかもしれないしさ」
ナイン「あははは。すいません」
ラフェット「ナイン、もしイザヤールを見つけたら急いで帰ってきてって伝えてね」
ナイン「はい、わかりました。あと、ジーンさん」
ジーン「ん?」
ナイン「僕、地上で大切な仲間達ができたんです。僕を変な目でみなくて、守ってくれる、そんな大切な人間達です。だから地上でも大丈夫ですよ」
ジーン「.........そ、う。よかったわ、ナインが地上でも安心して過ごせるみたいで。無茶は絶対しないでね、せっかく無事だったんだから」
ナイン「はい、ありがとうございます」
ジーン「ナイン!また、帰ってきなさいよ」
ナイン「.......わかりました。また必ず」
僕は天の箱舟に入った
天の箱舟
中ではサンディがぶつぶつとつぶやいていた
サンディ「なんであの親父いないかなー。ここまで来たらフツー顔ぐらい見せるでしょ。もしかして、箱舟が落ちた時人間界のどこかに落ちちゃった?探すの超ダルいんですケド。でも、テンチョーいないとバイト代もらえないし」
ナイン「サンディ?」
サンディ「え、あれ!ナイン!よかったー!実はアタシ困ってんだよね。ちょっと人探しで人間界戻らなきゃなんなくて」
ナイン「僕も人間界に戻らなきゃなんだ。女神の果実ってのを集めたくて」
サンディ「ちょ、マジで!?それいい!協力するする!よし、一緒に行こー!アタシの人探しとナインの女神の果実?ってのどっちもガンバロー!」
ナイン「おー!」
サンディ「ってゆーか、また箱舟ちゃん少し壊れちゃってない?大丈夫なワケ?人間界行ける?」
ナイン「そういえば、サンディ。青い木のある所って行ける?」
サンディ「青い木?あー、なんかあるね。お?止まれるみたい、ラッキー!早速、青い木の所に出発シンコー!」
その頃、とある場所では
???「女神の果実?」
???「はい。黄金に輝く果実になります。そちらを集めてもらいたいのです」
???「ふーん、何に使うのかはしらねえけどいいぜ」
???「7つあるようです。全て集めたらまた連絡お願いします」
???「了解」
ぷつっ
何者かが通信で話していた
ナイン「ジーンさん、お久しぶりです」
ジーン「ここに来るのも久しぶりだけど、なんでこんな派手なの?ナインってこんな趣味してたっけ」
ナイン「いやいや、これは違う人の趣味ですよ」
ジーン「そうよね、ナインがこんなの好きなわけないよね」
ナイン「はい。あの、ジーンさん。僕って何歳なんですか?」
ジーン「ん?うーん......130とかじゃない?私も詳しくは把握できてないけど」
ナイン「そうですよね。なんか、80年くらい前までは覚えてるんですけどそれより昔が思い出せなくて」
ジーン「......そうね。まあ歳取ると昔の事忘れちゃうわ。私もそうだもの」
ナイン「ジーンさんっておいくつなんですか?」
ジーン「あらあらあら。ナイン?乙女に歳聞くなんてダメって前に言わなかったかしら」
ジーンさんが怖い顔で僕の頬を思いっきりつねる
ナイン「いひゃい、いひゃいでしゅ、ジーンしゃん」
ジーン「全く。そもそも、あのつるっぱげと同期なんだから大体はわかるでしょ」
ナイン「イザヤールさんっていくつなんだろう」
ジーン「ええ、あいつの年齢もわかってなかったの?」
ナイン「あはははは、ほら。イザヤールさんもジーンさんも若く見えますし」
ジーン「私はあんなつるっぱげより老けてないわよ!もう!まあ、少なくともナインの二倍は生きてるわね」
ナイン「わー、先輩だなー」