ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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36.浜辺の救世主

 

ツォの浜

 

 

ダーマ神殿より南にある小さな漁村。漁で生計をたてており、のどかで穏やかな村。心地よい潮風と海の音がどこか懐かしさを感じさせる

 

 

ソール「小さい漁村ですね。あまり人は多くなさそうですが」

 

 

 

エイリーク「早いよ、ナイン、ソール。ロード殴ってたら見失っちゃう所だった」

 

 

エイリークはボロボロになったロードを引きずってやってきた

 

 

ナイン「わぁ....ロード、大丈夫?」

 

 

 

ソール「ひっ、今ホイミしますね!」

 

 

ロードの惨状に僕とソールで小さく声を出した後、ソールが慌てて回復魔法をかけた

 

 

エイリーク「なんか浜辺の方に人が集まってるよ。私達も行ってみようよ」

 

 

 

ナイン「わかったよ。ソール、ここは任せてもいい?」

 

 

 

ソール「はい、後で追いかけますね」

 

 

ソールと動けないロードを残してエイリークと二人で浜辺に近寄る。そこでは人が集まっており、海の方を見ていた

 

 

ナイン「なにかやってるの?よく見えないんだけど」

 

 

 

エイリーク「うーんとね、なんか女の子が立ってるよ。何してるんだろう」

 

 

 

村民「おや、旅人かね?ちょうどいい時にきたね、今面白いものが見れるよ」

 

 

 

ナイン「面白いもの?」

 

 

 

村民「ぬしさまのご加護をきっと授かれるさ。オリガー、今日もたんまり頼むだぞー!」

 

 

 

エイリーク「なになに、どういう事?魚がほしいなら漁に出ればいいんじゃないの?」

 

 

 

村民「ろくに魚の取れない漁に出て必死になってた頃もう思い出したくもねえ。今の俺達は本当に幸せものだよ」

 

 

 

エイリーク「あ!ねえ、ナイン、女の子が海に!」

 

 

前を見るとピンクの髪のツインテールの女の子が祈りながら海にゆっくり入っていく。あの子がオリガちゃんだろうか

 

 

オリガ「ぬしさま。海の底よりおいでください。どうかあたし達にお力を。ツォの浜のため、海の恵みをお授けください」

 

 

オリガちゃんがそう言うと、少しして地鳴りのような音が聞こえてくる

 

 

ナイン「地震!?」

 

 

 

村民「違うべ!来たんだべ、ぬしさまだ!!」

 

 

 

エイリーク「だからぬしさまって!?」

 

 

 

サンディ「ちょっと、なになに?ねえ、なんなの?」

 

 

流石にサンディも慌てたように出てくる。すると、海の方から魔物のような気配がした

 

 

ナイン「エイリーク!」

 

 

 

エイリーク「うん!なんか、海からよくわからないけど変な気配がする!」

 

 

二人で武器を構えようとするが、海から怪しく光る目がこちらを見た後、すぐに潜っていき、大きなしっぽがバシャァンと巨大な波飛沫をあげた

 

 

バシャァァ!!

 

 

エイリーク「キャッ!」

 

 

 

サンディ「ちょっ、マジでサイアクなんですケド!!」

 

 

魔物?のあげた巨大な水しぶきがエイリークとサンディに降り注いで二人はビショビショになった

 

 

ナイン「あ!」

 

 

その近くでは水しぶきに乗せられたのか、多くの魚も浜へと打ち上げられていた

 

 

村民「いやっほー!来たぞ、魚だ!」

 

 

村民達は魚に大はしゃぎしている

 

 

エイリーク「うー、濡れちゃった〜」

 

 

 

サンディ「冷た.....もー!マジでありえないんですケド!」

 

 

エイリークとサンディが流石に可哀想だと思っていると、ソールとロードもやってきた

 

 

ソール「お待たせしました。あれ?二人とも、どうしてそんなに濡れてるんですか?」

 

 

 

ロード「なんだよ、俺がいない間にお前らだけでまた海ではしゃいでたのか?ガキだなあ」

 

 

 

サンディ「ムカつくー!!エイリーク、やっちゃいなさい!」

 

 

 

エイリーク「ロードの馬鹿!!」

 

 

 

ロード「いい!?待て、今復活したばかり!!」

 

 

イライラしてたのか、エイリークもサンディもロードの発言に怒ってまたロードがエイリークに殴られそうになっている

 

 

ソール「流石にもうホイミできませんからねー!エイリークさん、落ち着いてくださいね!で....何があったんですか?」

 

 

僕はソールに今の事を伝えた

 

 

ソール「ぬしさまと呼ばれる大きな魔物みたいなもの、ですか。あの女の子がそれを呼んだんですか?」

 

 

 

サンディ「流石にありえなくない?ちょっと話聞いてみよう」

 

 

 

ナイン「もしかしてさ、また女神の果実の?」

 

 

 

ソール「な!?だとしたら、かなりまずいですね。とりあえず、エイリークさん!ちょっとこっち来てくださーい!」

 

 

 

エイリーク「はーい!」

 

 

 

ロード「あっぶね〜....マジでなんなんだよ、まったく」

 

 

エイリークとロードがこっちにやってきた。ロードにも同じ説明をした

 

 

ナイン「それで、オリガちゃん?って子に話聞いてみようと思うんだ」

 

 

 

ロード「ん、了解。別に今は変な気配は感じねえけど」

 

 

 

ナイン「今はね。もう潜ってわからなくなったかも。あの、オリガちゃん?」

 

 

 

オリガ「え?あなた達は....?」

 

 

浜辺で服についた砂を落としていたオリガちゃんに声をかけると、少し戸惑った様子でこちらをみた

 

 

エイリーク「突然ごめんね。私達、旅してるんだけど偶然今の見ちゃってさ。あのぬしさまって一体なんなの?」

 

 

 

オリガ「あ!旅の方なんですね。ぬしさまについて、ですか。あの、夜になったらあたしの家に来てくれますか?そこでお話します。あたしの家は、あそこです」

 

 

オリガちゃんが指さす先には作る途中の船などが置いてある近くに、小さな小屋のようなものがあった

 

 

ナイン「あれが、お家なの?」

 

 

 

オリガ「ごめんなさい。あたしの家、周りより小さいしボロいんです」

 

 

 

ソール「あ、いえ、別に気にしませんので。わかりました、夜にまた来ますね」

 

 

 

オリガ「お願いします」

 

 

夕方、宿屋

 

 

それぞれ村人に話を聞いて情報を集めた後、宿屋で早めの夕食として魚の塩焼きを食べながら少し話していた

 

 

ナイン「ぬしさま、ってなんなのかな」

 

 

 

ソール「周りの人達はどうやら海の守り神と思っているみたいでしたね」

 

 

 

エイリーク「あれが守り神?そんな風には見えなかったし、いい魔力も感じなかったよ」

 

 

 

ロード「まあぶっちゃけありえねえだろうな。なんだかヤバい雰囲気がするぜ。特に、ここの大人どもは俺は嫌いだね。そのぬしさまってのもそうだが、あの嬢ちゃん一人に全部放り投げて頼りきりなんて呆れたぜ。腐った性根ごとぬしさまに食われちまった方がいいんじゃねえの?」

 

 

 

エイリーク「ちょっとだらしないよね。漁が危ないってのも、魚が取れないと困るってのもわかるけどさ。今までだってそうしてきたのに、いざぬしさま?ってのが現れた途端やめちゃうなんて.....。私、オリガが可哀想だと思う」

 

 

 

サンディ「わかるー、アタシもなんかここの村の雰囲気キラーイ。ぬしさま?ってのも水かけてきて許せないし」

 

 

 

ナイン「まだ怒ってるの?」

 

 

 

サンディ「当たり前でしょ!女の子の髪、傷んだらどうしてくれるつもりだし!」

 

 

 

ソール「なんか、嫌な予感がしますね。もし、そのぬしさまと戦う事になっても、海の中にいたんじゃどうしようもないですし、巨体なんですよね。苦戦しそうですね」

 

 

 

ロード「ダーマ神殿の時といい、なにか変だぜ。あの女神の果実ってやつのせいだとすると納得できちまうやつだ」

 

 

 

ナイン「.......」

 

 

僕はそう言われてふと、ジャダーマの時の事を思い出した。意識を失う直前、なぜかあの力を使った時と同じ甲高い音がした。少しの間使っていなかったな

 

 

エイリーク「そろそろ家の方に向かってみよっか」

 

 

 

ナイン「あ、うん。そうだね」

 

 

オリガの家

 

 

ノックすると、オリガちゃんが開けてくれて中に入れてくれた。中は小さな囲炉裏と小さなベットで小屋が半分埋まってしまうほど小さな家だった

 

 

オリガ「旅人さん、ありがとうございます。あたし、ずっと村の外から誰かが来るのを待ってたんです。あたし......」

 

 

オリガちゃんが話始めようとすると、ドンドンと大きなノック音がした

 

 

村民「オリガ!入るぞ!ん?なんだお前達は、見かけない顔だな。まあいい、来なさい、オリガ。村長がお前をお呼びだ」

 

 

 

オリガ「あっ、はい!」

 

 

村人はオリガちゃんに少しキツそうに言うと、そのまま出ていった

 

 

オリガ「ごめんなさい、せっかく来てもらったのに。あたし、ちょっと行ってきます」

 

 

オリガちゃんはそう言うと村長の家に向かっていった

 

 

エイリーク「ねえ、私達も行ってみようよ」

 

 

 

ロード「えー、別にほっとこうぜ」

 

 

 

エイリーク「そんな事言わないでさ!」

 

 

 

ロード「だりー」

 

 

村長の家

 

 

オリガちゃんを追って村長の家に入ると話し声が聞こえてきた

 

 

村長「オリガ、もうお前の父が行方知らずになったあの嵐の日からずいぶんになる」

 

 

全員でこっそり覗いたり聞き耳をたてたりすると、村長と思われる人とオリガちゃん、そして男の子も側にいた

 

 

村長「厳しい事を言うが、お前の父はしんだのだ。もう浜に戻る事はあるまい。だからな、オリガ。うちの子にならないか?」

 

 

 

男の子「パパ....。そうだよ、オリガ。それがいい!ひとりぼっちなんてさみしいよ」

 

 

あの男の子は村長の息子らしい

 

 

村長「息子のトトとお前は仲もいい。わしはお前を娘のように思っているのだ。お前は本当によく頑張った。もう充分だろう」

 

 

 

オリガ「..........ありがとうございます。少し、考えてみます。..........あの、実はあたしもお話したい事があったんです。村長さま、あたし、もうこれ以上ぬしさまをお呼びしたくないんです」

 

 

オリガちゃんはずっと俯いていた頭をあげて、村長さんにお願いしている

 

 

エイリーク「やっぱりオリガもあれはおかしいって思ってるんだよ」

 

 

 

ソール「みたいですね」

 

 

 

村長「オリガ........」

 

 

 

オリガ「あたし、こんな暮らしなんだか間違ってる気がするんです。だから」

 

 

 

村長「馬鹿な事を言うでないぞ!そんな話、今更村の者が納得するわけないであろう?それにお前はどうするつもりだ?村のために他に何が出来る?」

 

 

 

オリガ「それは.......」

 

 

村長の言葉にオリガちゃんは再び顔を俯けてしまった

 

 

ロード「........」

 

 

ロードは壁に背を預けながら聞き耳をたてていたが、指がパキッと鳴った

 

 

エイリーク「なにあのおっさん、親をなくしたまだ小さい子にあんな言葉かける事ある?信じらんない」

 

 

 

ソール「いくらなんでも酷いですね」

 

 

 

村長「まあよい。今日は一度帰りなさい。お前も疲れているだろう、な?」

 

 

村長のその言葉にオリガちゃんは暗い表情でお辞儀した後こちらにやってきた

 

 

オリガ「あ、旅人さん。聞かれちゃったんですね。でも、ちょうどよかった。あたしの家まで来てくれますか?」

 

 

 

エイリーク「うん、もちろん。さ、早く行こう」

 

 

エイリークはオリガちゃんの手を優しく握ると一緒に並んでオリガちゃんの家に向かっていった

 

 

オリガちゃんの家

 

 

オリガちゃんは囲炉裏の前でいろいろ話してくれた

 

 

オリガ「海の神様に甘えきってしまうなんていけない事だわ。なのに、誰も耳を貸してくれない。村長様だって.....。でも、村の事に関係ないあなた達になら、きっと話を聞いてもらえると思ったんです。教えてください、あたし達のこんな暮らし、やっぱり間違ってますよね?」

 

 

オリガちゃんは不安そうにこちらに向いて聞いてきた

 

 

エイリーク「間違ってるよ!オリガに頼らなくたってこれまでなんとかしてこれたのに、あの神様?が来たから甘えるなんておかしいよ。オリガは間違ってない」

 

 

 

ロード「そうだな。周りに反対され続けて苦しいのはわかるが、嬢ちゃんは間違ってねえよ。その考え、しっかり持っておきな。村のためにも大事な事だぜ」

 

 

 

ソール「若いのにしっかりしてますね、オリガさん。偉いと思います。オリガさんなら、きっと村のためになんだって出来ますよ」

 

 

 

ナイン「大丈夫だよ、オリガちゃん。僕達はオリガちゃんの味方だよ」

 

 

僕達のその返事にオリガちゃんは不安そうな顔がぱああっと明るくなった

 

 

オリガ「そう、そうですよね!皆さんならそう言ってくれるんじゃないかって思ってました!あたし、もう一度村長様にぬしさまを呼ばないって言ってみます!」

 

 

 

ナイン「うん、僕達も行こうよ、皆」

 

 

 

エイリーク「賛成!」

 

 

 

ソール「数があればもしかしたら聞いてくれるかもしれませんね」

 

 

 

ロード「待て、薄々思ってたがこの村、田舎にはよくある文化だがあまり村人以外には友好的じゃねえ。いきなり知らない俺らがあのクソに意見言ってもこの嬢ちゃんが危ないかもしれねえぞ」

 

 

 

ナイン「えー、そうなの?それなら、やめた方がいいね。オリガちゃんの安全が一番だもの」

 

 

 

オリガ「ご心配ありがとうございます。でも、あたし一人で大丈夫です。そういえば、旅人さん達のお名前って」

 

 

 

ナイン「あ、紹介忘れてたね。僕はナイン」

 

 

 

ソール「俺はソールです、よろしくお願いします」

 

 

 

ロード「俺はロードだ」

 

 

 

エイリーク「私、エイリーク!男達は強いから安心してね、オリガ」

 

 

 

ロード「お前もだろ、ゴリラ女」

 

 

 

エイリーク「こらー!小さい子の前でそんな風に言わない!」

 

 

 

オリガ「ふふふふ、楽しい方達ですね。あ、ごめんなさい。お喋りしてたらすっかり遅くなっちゃった。とにかく、今日は夜も遅いですしどうか泊まっていってくださいね」

 

 

全員で軽く寝床の準備をしていると、サンディがこっそり出てきた

 

 

サンディ「ねえ、皆。もしこれでオリガが村からハブンチョにされたらどーすんのさ。確かにあのぬしさまってやつ、なんてゆーかよくないかもしれないよ?でもサ、どうする気?この村の事に関わるの?」

 

 

 

ナイン「まあ大丈夫じゃない?」

 

 

 

エイリーク「でもー、このままなんてちょっとオリガが可哀想だよ」

 

 

 

ロード「俺はギャル妖精の意見に賛成だけどな。女神の果実絡みと決まったわけでもねえ、最悪放っておく選択もあるぜ。面倒事はダルい」

 

 

 

ソール「うーん.....それはそうですけど。意見くらいならよくないですか?」

 

 

 

サンディ「まあ別にアタシは構わないですケド。毎回顔突っ込むのもダルいんでホドホドにね」

 

 

 

 

 




エイリーク「あ!ナイン、ちょうどいい所に!ねえねえ、この浜で取れた魚を塩焼き以外でも食べられないかと思って味付け変えてみたの、食べてみてー」


ナイン「いいの?ありがとう、エイリーク。美味しそう......ん!美味しいよ!」


エイリーク「本当?よかったー。どう?タレの味濃くない?」


ナイン「全然。魚の臭みもないし、タレも身を柔らかくしてて美味しい」


エイリーク「やったー!ナインって意外と食レポ上手ね、またお願いしよーっと」


ナイン「そう?参考になったならよかった。あ、これ朝ごはん?」


エイリーク「明日の朝に出す予定だよー。ソール達も気に入ってくれるといいなー」


ナイン「美味しいから絶対大丈夫だよ、明日の朝楽しみにしてるね」


エイリーク「うん!」


ナイン「でも、研究は程々にしてゆっくり休んでね。無理はダメだよ」


エイリーク「もちろん。そろそろ片付けて私も寝るわ」


ナイン「じゃあおやすみ、エイリーク」


エイリーク「ええ、おやすみ、ナイン。ありがとねー」

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