ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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38.ぬしさまの正体

 

ロード「そのデケェ腹に叩き込んでやるよ!」

 

 

ロードが一瞬でぬしさまへ距離を詰めた

 

 

ロード「おらあ!」

 

 

ボゴン!

 

 

ぬしさまのお腹であろう赤い皮の部分にロードの蹴りが当たる

 

 

しかし、ぬしさまに特に変化は見られない

 

 

ソール「水中にいなければどうって事なさそうですけどね!火炎突き!」

 

 

ソールがぬしさまの真正面から炎を纏った槍で突き刺した

 

 

ブス!

 

 

ぬしさまに刺さるが皮がブヨブヨとしており、あまり効いていない様子だ

 

 

エイリーク「なんか効いてないみたい!」

 

 

 

ぬしさま「グオオオ!!」

 

 

ぬしさまが大きく吠える。思わず耳を塞いでしまうような雄叫びとともに地鳴りが聞こえてくる

 

 

ナイン「....なんだ?」

 

 

 

ロード「!?やべえ、つなみだ!!」

 

 

ぬしさまの後ろから大きな津波がこちらにやってきた

 

 

ドッバァァン!!

 

 

ぬしさまの呼んだ津波が海岸を突き破り、僕達を砂ごと押し流していく

 

 

ぬしさまからもかなり遠くに戻されてしまった

 

 

ナイン「大丈夫?皆」

 

 

全身びしょ濡れになってしまったが、なんとか起き上がって皆を確認する

 

 

ロード「ぺっ、ぺっ!しょっぺっ!!」

 

 

 

エイリーク「もー!ここに来てからずっとこんなんばっかなんだけど!」

 

 

 

ソール「いててて、なんとか。こんなんされたら戦いどころじゃないですよ!」

 

 

 

エイリーク「確かに。よし、ナイン。あれ、またやろっか!」

 

 

 

ナイン「え、風はどうやって起こすの?」

 

 

 

エイリーク「え?.......あー!そっか!私が風魔法使えないから!」

 

 

 

ロード「そもそも、出来たとしてもあの巨体はいくらなんでも浮かせられないだろ」

 

 

 

ソール「なら、ナインさん。俺との練習のやついきましょう!」

 

 

 

ナイン「わかった!」

 

 

ソールが炎を纏った槍を振り回しながらぬしさまに向かっていく

 

 

僕はその後ろにピッタリくっついていく

 

 

エイリーク「どんなやつかなー!」

 

 

 

ロード「炎、ねえ」

 

 

 

ぬしさま「グオオオ!!!」

 

 

ソールを見たぬしさまがまた咆哮をあげた。それと同時に地鳴りが聞こえてくる。またつなみだ

 

 

ナイン「まずい、ソール!つなみがくる!」

 

 

 

ソール「ぐっ、そんな連発してくるのはまずいのに!」

 

 

 

ロード「二人とも一旦離れろ!」

 

 

ロードの声に二人で離れようとすると

 

 

ぬしさま「グオオオ!!」

 

 

ぬしさまがこちらに向かって巨体を振り回し、大きなしっぽが僕達二人を薙ぎ払った

 

 

バシィィン!!

 

 

ナイン「うわあ!!」

 

 

 

ソール「ぐはあ!!」

 

 

ドォン!ドシャアアア!

 

 

勢いのあるしっぽが背中に当たり、その威力に僕は岩壁に叩きつけられ、ソールは砂浜を思いっきり滑っていった

 

 

エイリーク「ナイン、ソール!!」

 

 

 

ロード「ちっ、つなみがきやがった!」

 

 

その間につなみが砂浜を思いっきり押し流していく

 

 

エイリーク「キャアア!!」

 

 

 

ロード「ぐっ...ダメだ、耐えられねえ!」

 

 

エイリークとロードもつなみに押し流されて岩壁へ叩きつけられる

 

 

僕も痛みで動けないうちにつなみが全身を包み、ソールも僕の元へ押し流されてきた

 

 

ナイン「うぐぐぐ.....ソール....大丈夫?」

 

 

 

ソール「は......は.....はい」

 

 

 

エイリーク「こんなん、ずるいって.....」

 

 

 

ロード「自然を、相手にしてるような.....もんじゃねえか」

 

 

全員が動けなくなっている間に、ぬしさまがこちらへやってくる

 

 

ぬしさま「グオオオ!!」

 

 

ぬしさまが僕達を飲み込もうと大きな口を開けた

 

 

その中に、オリガちゃんの姿が見えた

 

 

ナイン「オリガちゃん!!」

 

 

僕は思わずぬしさまの口の中に飛び込んでいった

 

 

バクン!!

 

 

ソール「あ.....」

 

 

 

エイリーク「ナインまで!!」

 

 

 

ロード「あのガキ!......嬢ちゃんを見つけたのか?」

 

 

ぬしさまの中

 

 

口の中は歯の部分以外広い空間となっており、その下にオリガちゃんが倒れていた

 

 

ナイン「オリガちゃん、オリガちゃん」

 

 

オリガちゃんを必死に揺する

 

 

オリガ「ん......あれ、ナインさん。私.....」

 

 

 

ナイン「よかった、無事だね。急いで出よう」

 

 

 

オリガ「そうだ、あたし、ぬしさまに!」

 

 

 

ナイン「うん。ここはまだぬしさまの口の中。ここから出ないと、掴まって」

 

 

 

オリガ「は、はい!」

 

 

オリガちゃんがギュッと僕の腰を掴んだ

 

 

ナイン「っていっても.....」

 

 

見渡してみたりするも、口は開いていないし時折グラグラ揺れて不安定だ

 

 

ナイン「どうしようか」

 

 

その頃、ソール達は

 

 

ロード「とにかく回復するぞ」

 

 

ロードが薬草を取り出して全員で食べていた

 

 

エイリーク「オリガ、まだ大丈夫だったんだ」

 

 

 

ソール「でも.....どうやって外に出れば」

 

 

 

ロード「なんとかあいつの口を開けさせられれば......だが、つなみも厄介だし」

 

 

ロードは考えながら悔しそうにギュッと手を握った。その手の力に柔らかい砂浜の砂が手の隙間から溢れてきた

 

 

ロード「.......砂、柔らかいよな。...........いちかばちか、だな」

 

 

ロードは立ち上がった

 

 

ソール「何か思いつきました?」

 

 

 

ロード「おう。ゴリラ女、お前ならつなみを食い止められるかもしれねえ」

 

 

 

エイリーク「だからそう呼ぶのやめて!もう!私が?」

 

 

 

ロード「つなみが俺達に来そうになったらここから思いっきり走ってその砂浜を殴れ。その隙に俺とこいつで切り開く」

 

 

 

ソール「なるほど?ロードさんについていきます」

 

 

 

エイリーク「んー、いいけどそれでつなみがなんとかなるの?」

 

 

 

ロード「わからね。確証はねえし失敗する可能性もある。いちかばちかだぜ。ま、冒険者ならこの賭けくらい勝ってみせようぜ!」

 

 

ロードとソールがぬしさまに向かっていく

 

 

ぬしさま「グオオオ!!!」

 

 

案の定、ぬしさまは咆哮をあげてつなみを呼び起こした

 

 

グラグラ!

 

 

地鳴りと共につなみがやってくる

 

 

ソールとロードは無視してぬしさまに向かっていく

 

 

ぬしさま「グオオ!!」

 

 

ぬしさまはまた巨体を振り回し、しっぽでなぎ払おうとする

 

 

ソール「その動きは!」

 

 

 

ロード「もう読めてるぜ!」

 

 

ソールは地面に四つん這いになり、ロードは高く跳びあがって避けた

 

 

その間につなみがやってきた

 

 

ドッパアアァン!

 

 

つなみが砂を巻き込んでソールとロードも飲み込もうとする

 

 

エイリーク「はああああ!!!」

 

 

エイリークが助走をつけて走ってきた後大きく跳びあがり、砂浜を思いっきり殴りつけた

 

 

ドガアアアン!!

 

 

柔らかい砂浜の砂が一気に舞い上がり、辺り一面砂埃だらけになると共に大きなクレーターができあがる。ソールとロードがいた場所も大きくひび割れていく

 

 

ソール「ひいい!!」

 

 

 

ロード「ひゅー、さっすがだぜ。キモイくらいの馬鹿力だ!」

 

 

 

エイリーク「こらー!!ちゃんとやったんだから褒めなさい!!」

 

 

エイリークの起こしたクレーターとひび割れた砂浜の大地につなみが入り込み、クレーターにどんどん波が入っていき収まっていく。足元には冷たい静かな波だけが残った

 

 

エイリーク「え、凄い!」

 

 

 

ロード「今だぜ!!」

 

 

 

ソール「はい!!」

 

 

ソールの槍とロードの持つ爪にそれぞれ炎と氷が纏った

 

 

ソール・ロード「合技!氷炎乱撃!」

 

 

ソールの炎の槍とロードの氷の爪の連続攻撃がぬしさまのお腹に連続で当たっていく。火の跡と氷の跡がそれぞれ出来上がっていく

 

 

ぬしさま「ぐおおお....」

 

 

ぬしさまが苦しそうにしてドスンと横になった

 

 

エイリーク「やった!!倒したかな!」

 

 

 

ロード「手応えはあったが、倒せたかまでは」

 

 

 

ソール「消えないって事はまだみたいですね。もっといきますか」

 

 

 

ロード「待て、中にいる二人が大丈夫かわからねえ」

 

 

すると

 

 

ピカッ!

 

 

ビリビリビリビリ

 

 

三人「!?」

 

 

倒れたぬしさまの身体から突然黄色の光が出るとともに、痺れるような動きをしてビクビクぬしさまが震え始め、少しすると口が開いた

 

 

じゅううう....

 

 

どことなく焼けた匂いとともにぬしさまの開いた口からナインとオリガちゃんが出てきた

 

 

ナイン「びっくりしたね、オリガちゃん」

 

 

 

オリガ「あたし....なんともない.....」

 

 

 

ソール「ナインさん!オリガさん!」

 

 

 

ロード「今何かしたのか?」

 

 

 

ナイン「うん。突然ぬしさまが大きく揺れ始めたからソール達が頑張ってるんだと思って、僕も何かやらないとって思ったんだ。だからなんとなくで、雷の技を本当に使えないか試してみたんだよね。そしたら出来たみたいで」

 

 

 

エイリーク「雷!?今のは雷だったんだ!」

 

 

 

ぬしさま「ぐ....おお....」

 

 

ぬしさまは力なく横たわっている

 

 

オリガ「皆さんも、お怪我はありませんか?」

 

 

 

エイリーク「私達は大丈夫!オリガも無事で本当によかったー!」

 

 

オリガちゃんに全員で近づこうとすると

 

 

ぬしさま「グォォ....!!」

 

 

ぬしさまがぐっと力を振り絞って立ち上がった

 

 

全員「!!」

 

 

全員で思わず武器を構えるが、オリガちゃんが僕達の前に出た

 

 

オリガ「やめて、ぬしさま!!この人達には手を出さないで!!」

 

 

 

エイリーク「オリガ、危ない!」

 

 

その時、どこからか男の声が聞こえてきた

 

 

???「オリガ.....その者は村長の手下ではないのか?」

 

 

 

全員「!?」

 

 

 

オリガ「その声.....」

 

 

ぬしさまの頭上に魂が現れる。その魂は形を成していき、人の姿になった

 

 

オリガ「おとう.....さん....?」

 

 

 

エイリーク「え!?」

 

 

 

ロード「また幽霊が!」

 

 

 

ソール「オリガさんのお父さんだって!?」

 

 

 

ナイン「まさか.....ぬしさまがオリガちゃんの言う事を聞いていた理由って」

 

 

 

オリガ「お父さん!!」

 

 

オリガちゃんは思わず涙を流しながらぬしさまに抱きつく

 

 

村長「な、なな.....」

 

 

遠くからこっそり見ていた村長も驚いている。というか、いたんだ

 

 

サンディ「なに?ちょっと、どーゆーこと?」

 

 

 

オリガの父「旅人達よ、申し訳ない事をした。怒りで私はどうかしていたようだ。オリガ、つらい思いをさせてすまなかった。あの嵐の晩、海に投げ出された私のもとに、黄金の果実が降ってきたのだ」

 

 

 

オリガ「黄金の果実....?」

 

 

 

サンディ「そーゆーことね」

 

 

 

オリガの父「薄れゆく意識の中、それを手に私は浜に残したお前を想った。まだ小さいお前がこれからどう生きていくのかと。そしてあの時、私は確かにしんだ。だが、次に目覚めた時、私はこうしてこの姿で蘇っていたのだよ」

 

 

 

オリガ「そんな.....そんな......」

 

 

 

オリガの父「私は、お前が生きていくために浜に魚を届けていたのだ。だが、いつしかお前の元に人々が群がるようになっていった」

 

 

オリガちゃんのお父さんはギッと村長を睨んだ

 

 

村長「ひっ」

 

 

 

オリガの父「黙って見ていたがもうここまでだ。行こう、オリガ。こんな村は捨てて遠くへ行こう。これからもずっと私がお前の面倒を見てやる、何も心配はいらない」

 

 

 

オリガ「お父さん.....」

 

 

オリガちゃんは悲しそうな顔をして、下を向いた。その顔は何かを我慢しているかのようだった

 

 

 




ナイン「ロード、ロード!!」


ロード「なんだよ、ガキ。そんなに呼ばなくても聞こえてるっての」


ナイン「オリガちゃんに面白い遊び教えてもらったんだ!ロード知ってる?」


ロード「遊び?なんだよ」


ナイン「あのね、じゃんけんって言ってグーとチョキとパーがあってね」


ロード「まてまてまてまて。あー.....お前は知らなかったのか?」


ナイン「うん!」


ロード「マジか.....。普通はガキなら知ってて当たり前なんだぜ、その遊び」


ナイン「へー、有名なんだね。じゃあロードだけじゃなくて、ソールやエイリークも知ってるってこと?」


ロード「当然知ってるだろうな。まあその反応だと、お前はやった事ないんだろ?だからそんなにはしゃいでんだろ?」


ナイン「うん!やりたい!」


ロード「ったく......わーったよ、すぐ終わるぞこんなん」


ナイン「ありがとう、ロード!いくよー、じゃんけん」


二人「ポン!」


僕がチョキを、ロードがパーを出した


ナイン「やった、僕の勝ち!」


ロード「........」


ナイン「ソールとエイリークにもやってこよー」


ロード「待て、ガキ。もう一回だ」


ナイン「へ?」


ロード「もう一回!」


ナイン「わ、わかった。じゃんけん」


二人「ポン!」


僕はグーを、ロードはチョキを出した


ロード「......ちっ!もう一回!」


ナイン「えー!!ロードも楽しんでんじゃん!」


ロード「ちげえ、そんなんじゃねえ!」

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