カラコタ橋
アサ君の家
家があった場所は崩れて燃え盛っていた。激しい炎が家のあった場所を燃やし、煙が橋中を包み込んでいた
アサ君は燃えている家の前で謎の二人組に出くわしていた
アサ「なんだよ.....なんでこんな事すんだよ!!」
アサ君の前には赤い鎧を全身に着た男と黒い鎧を全身に着た男が立っており、どちらも兜で覆われていて顔は見えなかった
黒鎧「抵抗するな。そうすればアサ、お前には手荒な真似はしない」
アサ「俺に何の用事だ!」
赤鎧「アサ、黙ってついてこい」
アサ「そんな事言われて、はいそうですかってなると思ってんのかよ!」
アサ君は短剣を構えた
黒鎧「かなうと思っているのか?」
黒い鎧と赤い鎧の二人も武器を構えた
アサ「かなわなくて結構!俺は、生き残らなきゃいけないからな!!」
アサ君は二人に走り込んでいく
黒い鎧の男が剣をアサ君に向けて突き刺した
ガァン!
アサ君は短剣で軌道を逸らすと、そのまま跳びあがった
アサ「よっ!」
黒い鎧の男の剣を持った手を踏んで、鎧の男達を飛び越した
黒鎧「な!!」
アサ「逃げるが勝ちってな!お前らの目的なんざ丸わかりなんだよ!」
赤鎧「逃がすか!」
赤い鎧の男が振り向きざまに槍を振り回した
ブン!
アサ「げ、ぐわあ!!」
ガン!
アサ君が着地した所に槍が当たり、橋の石壁に吹き飛ばされる
ドォン!!
アサ「いって〜.....」
アサ君の頭から血が流れてくる
アサ「とりあえず....逃げねえと」
アサ君がなんとか立ち上がろうとすると
グサッ!
アサ「ぐああああ!!」
飛んできた槍がアサ君の脇腹を貫いた。アサ君の悲鳴が響き渡る
黒鎧「おい、殺してないだろうな」
赤鎧「ああ。死ななければ多少痛めつけてもいいだろう、その方が抵抗されないだろうからな」
二人は脇腹を押さえ込んで倒れるアサ君に近づいていく
アサ「(やべえ.....殺される.....)」
痛みで動けないアサ君の前に男の人が立ちはだかった
男の人「あ、あああああの!!男の子にこんな事、しなくてもいいんじゃねえんすか!」
橋の上でロードに男達の情報をあげた人だ
黒鎧「お前には関係ない。どけ、邪魔だ」
ブン!
ズバッ!!
男の人「あ.....」
ドサ
アサ「!!!!」
黒い鎧の男はなんの躊躇いもなく、男の人を切りつけた。男の人はそのまま血を流して倒れてしまった
黒鎧「邪魔者が入ったな。さあ行くぞ、アサ」
赤鎧「俺達に逆らわない方がいいのはわかったな」
アサ「.......くっ.....」
アサ君は震える手足をなんとか堪えてキッと睨みつけた
アサ「誰がお前らなんかの所に戻るかよ!!」
黒鎧「.......そうか。なら、仕方ない。痛めつけられたいのだから、あの方も許してくれよう!」
黒鎧がアサ君に向けて剣を振り下ろした
アサ「(助けて、兄ちゃん!!!)」
アサ君が思わず目をつぶった瞬間
ガァン!!
黒鎧「な!?」
ロード「てめえら......誰のもんに手出したかわかってんだろうな!!!」
ロードがアサ君の前に立ち、爪で剣を防いだ
アサ「兄ちゃん!!!」
ロード「無事だな、アサ!!まだ動けるか!」
アサ「っ、うん!」
ロード「お前は一旦」
黒鎧「来たぞ、あの方の通りだ!」
赤鎧「馬鹿め、ノコノコと現れやがって!」
ロード「!」
ロードに赤い鎧の男から槍が飛んでくる
ロード「はあ!!」
ロードは剣を防いでいた爪を支えに両足を浮かせて、向かってくる槍を踏み込み、地面に叩きつけた
ガァン!
ロード「ふん!」
ロードはそのまま爪で剣を切り裂いた
ジャキィン!
けたたましい金属音と共に剣がバラバラになっていった
黒鎧「ちっ!」
赤鎧「やはり一筋縄ではいかないか!」
ロード「かかってこいよ、格下共が。誰にたてつこうとしてんのかわからせてやんよ!!」
その頃、ビタリ平原では
ソール「ナインさん、ナインさん、起きてください!」
ソールに激しく揺さぶられて僕は目を覚ました
ナイン「ん.....あれ?ソール、どうしたの」
ソール「すみません。でも、大変なんです。ロードさんがいないんです」
ナイン「え!?」
僕はそれを聞いて飛び起きた。外に出るとエイリークとサンディもいた
エイリーク「どこ行ったんだろう」
ソール「ナインさん、あの力お願いできますか?ロードさんは、不寝番でここに座ってたはずです」
ナイン「あ、確かに。よし、やってみる」
エイリーク「え?なに?力?」
ソール「すいません、エイリークさん。後で説明するので今はロードさんの行方が先です」
僕はロードが座っていた地面に手を触れて目を閉じた。久しぶりにキーンと高い音が頭の中で鳴った
映像が視えてきた
ロードが座って何か考え事をしている。ふと、ロードが空を見るとそこに白い煙があがっていた。それを見てロードは駆け出していった
そこで僕は目を開けた
ナイン「ロードは遠くに白い煙があがってるのを見てそこに向かったみたい。随分焦った顔をしてたよ」
ソール「煙.....。今はあまり見えないですが」
エイリーク「あ、本当だ!なんかあっちの方で微かに煙があがってるよ!!」
エイリークが指さす先は確かに視えた方角と同じ気がする
サンディ「ねえ、あっちの方ってさ.....カラコタ橋の方じゃネ?まずくネ?」
ソール「ナインさん、ロードさんもいるかもしれません!」
ナイン「うん!行こう!!」
その頃、カラコタ橋
ズバン!!
ロード「ぐっ.....」
槍がロードの右腕を切りつけた。切られた傷から血が流れてくる
黒鎧「たった一人で俺達二人にかなうと思ったか!」
赤鎧「いくら貴様でも、二人がかりならどうにでもできる!」
ロード「くっそ、面倒なやつらがよ!」
ロードは爪が鎧に通じず苦戦していた
アサ「兄ちゃん!!」
アサは自分が持っていた短剣を投げた
ロード「サンキュー、アサ。お前は早く逃げろ」
アサ「で、でも....」
ロード「でもじゃねえ!!わかってんだろ!!俺はともかく、お前は逃げるんだ!!行け!!!」
アサ「っ.....うん!」
アサは傷を押さえながら走り出した
赤鎧「行かせるか!」
ロード「それはこっちのセリフだぜ!!」
アサ君の短剣を持って赤い鎧の男に飛びかかる
ロード「氷刃連撃!」
短剣に纏った氷が赤い鎧を包み込んだ
赤い鎧「ちっ!厄介な!」
ロード「行かせるかよ!!アサをお前らなんかに、渡すもんか!!」
ロードが短剣に氷を纏わせた瞬間
黒鎧「ギラブレイド」
ロード「な!?」
黒い鎧の持つ剣に巨大な火花が纏われた。火花は形を成して橋すら一刀両断出来るほどの大きさの大剣となる
ドガアアアァァン!!!!
ロードだけでなく、近くにあった橋や石壁、川すらも熱で焼き切れるほどの威力が落とされた
巨大な亀裂が攻撃の跡にできあがり、橋が大きく傾いた
赤鎧「流石にやりすぎではないか?」
黒鎧「あの男にはこれくらいしなければならないはずだ。当たった手応えも少ない、まだ生きているだろう」
赤鎧「ふむ」
バシャァ
ロード「はあ.....はあ.....ぐぅ.....」
堪らず川に飛び込んだが、ロードの右足が大きく切り裂かれており、痛みで動けなくなっている
赤鎧「無様だな」
黒鎧「アサは......あそこだ!」
亀裂の途中で大きく吹き飛ばされたアサ君は橋や岩の瓦礫と共に倒れていた
アサ「う......」
黒鎧「まだ生きているな。このまま連行するぞ」
黒い鎧の男がアサ君の腕を掴んで瓦礫から引っ張り出した
ロード「やめろ......」
ロードが必死に身体を震わせながら立ち上がろうとする
赤鎧「お前は這いつくばってればいいんだ!!」
ガァン!!
ロード「がっ.......」
背後にいた赤い鎧の男に思いっきり頭を槍で殴られ、地面に叩きつけられる。顔と頭から大量の血が流れてくる
黒鎧「ふん、最初から大人しくしてればよかったものを」
アサ「にい.......ちゃ......」
ロード「やめ.....ろ......やめてくれ.........」
アサ君は力なくロードに手を伸ばすも、黒い鎧の男に運ばれていく
ロード「やめろーーーーーー!!!!!!!」
ロードが赤い視界の中で大粒の涙をこぼしながら、アサに届かない手を伸ばす。その悲痛な叫び声が橋中に響き渡った
そんなロードの後ろでは赤い鎧の男が再び槍を構えている
その時
ガァァン!!!
赤鎧「なに!?」
ナイン「ロード!!!大丈夫!?」
黒鎧「ぐあああっ!!」
ソール「その子から離れろ!!!」
赤い鎧の男からの攻撃はナインが、黒い鎧の男にはソールが炎を纏った槍で飛び込んできて吹き飛ばした
エイリーク「よいしょ!アサ君は返してもらうわよ!!」
振り落とされたアサ君をエイリークが抱きしめた
ロード「.......ナイン.....ソール.....エイリーク.....」
赤鎧「なんだお前らは!!」
ナイン「仲間だよ!!この二人に手を出す事は許さない!!」
ナインの剣が黄色く光る
ナイン「サンダーボルト!」
バチバチバチ!!
剣から放たれた雷撃が赤い鎧の男に直撃する
赤鎧「ぎゃああああ!!」
黒煙をあげながら赤い鎧の男は倒れた。そのまま煙となって消えてしまった
ナイン「消えた....?」
サンディ「そんな事よりもナイン、ロードもアサも怪我チョーヤバいんですケド!ソール、早く回復!!」
ソール「はい!」
ソールはロードに駆け寄って大急ぎで回復魔法をかけていく
ロード「.........」
アサ「兄ちゃん......俺達、助かった?」
ロード「みてえ.....だな。アサ.....よかった.....」
ロードは血がついた手でアサ君を抱きしめた
アサ「兄ちゃん......うええーー!!怖かったよー、兄ちゃん!!」
ロード「ああ....悪かったな、アサ。すまねえ」
二人は泣きながら抱きしめあっている。少し安心していると
黒鎧「何をしてくれたんだ、お前ら!!」
全員「!!」
ソールの槍で大きく穴が空いた鎧をなんとか動かすように黒い鎧の男がやってきた
アサ「気をつけて、ナインさん達!そいつ、強いよ!!」
黒鎧「アサ!!お前が着いてきていれば俺達の昇格は間違いなかったというのに!!」
ロード「ナイン、手を貸せ。あいつをやるぞ」
ソール「ロードさん!でもまだ怪我が」
ロード「動けるようになった。サンキュー、ソール。この礼はたっぷり返してやらねえとな」
ナイン「ロード.....。うん!」
ロードと一緒に黒い鎧の男の前に並んだ
黒鎧「許さぬぞ、お前ら!!」
ロード「アサをこんな目にあわせたお前らは絶対許さねえ!!いくぞ、ナイン!!」
ナイン「もちろん!」
僕は剣を構えて走り出した
ナイン「ロード、仲間の僕達を頼っていいんだからね。信じていいんだからね、僕達はいつだって君の味方なんだから!」
ロード「ああ!信じてるよ、とっくに!お前らは俺にとって、もう大事な仲間だ!!」
僕が剣を空へ突き立てる。その剣に眩い雷が落ちてきた
ドォン!!
ロードが後ろから服に隠していた仕込みナイフに氷を纏わせて全て飛ばしていく
剣に纏った雷にナイフが反応してくっついていき、雷で輝く剣が青く凍りついていく。青い氷の中で雷がキラキラと輝いて宝石のようにみえる
ナイン・ロード「合技!サファイアソード!」
巨大な青い氷の柱のような剣を黒い鎧の男に叩きつけた
バリィィィン!!
黒鎧「ぐああああぁぁぁ!!」
氷が砕けると同時に雷が黒い鎧の男を叩き切る。黒い鎧の男は黒煙をあげて、そのまま煙となって一緒に消えていった
ナイン「よし」
ロード「ナイスだぜ、ナイン」
ナイン「うん!」
パアン!
ロードと僕でハイタッチをした。ロードの嬉しそうな爽やかな笑顔が輝いてみえてとても嬉しかった
ナイン「〜♪」
ロード「......なんだよ、ニヤニヤして」
ナイン「えー、だってロードが仲間と思ってくれて嬉しかったんだもん」
ロード「まあ.......仲間じゃなかったらこんな旅途中でやめてるよ」
ナイン「戦いばかりで大変だもんね。また息抜きに遊んだりしていかないと」
ロード「そういうのも必要だよな。強いやつらばかりで俺達のスキルアップにもなるが、ずっとはキツイよな」
ナイン「ロードは何かしたいのある?」
ロード「そうだな。なら、宝の地図とかどうだ?誰もクリアした事ねえ遺跡や洞窟を踏破して未知のお宝を探すんだ。夢があるだろ?一攫千金だぜ」
ナイン「夢.....か」
ロード「あん?夢がどうかしたか?お前にもあんだろ?」
ナイン「........夢って、なんだろうなー」
ロード「...........夢は大事なもんだぜ。どんな事であれ、自分が前を向くための大切なものになる。持っておくと、心が折れずに済む事もあるんだぜ」
ナイン「.........うーん、考えておこうかな」
ロード「ああ、そうしておけ。そんで見つけたら俺達に教えろよな。応援してやるぜ」
ナイン「うん!ありがとう、ロード!」