ドラクエIX 地上で輝く星空に   作:サムハル

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6.絶望

 

 

天使界

 

 

あれからどうやって帰ってきたのか覚えていないが、僕は天使界に帰ってきていた

 

 

ナイン「......はぁ」

 

 

帰ってきて早々、周りの天使達のざわめきが聞こえる。いつもよりやけにうるさいし、気になるように感じる

 

 

ナイン「.....とっととオムイ様の所に向かおう。あ、先にジーンさんに顔だしておこうかな」

 

 

想定よりも早く帰ってきてしまったが、きっとジーンさんなら笑っておかえりと言ってくれるはずだ

 

 

2階へ向かう階段前

 

 

階段の前には大きな男の先輩天使が立っていた

 

 

先輩天使「よう、疫病天使」

 

 

 

ナイン「......なにか用でしょうか」

 

 

 

先輩天使「最近イザヤールとは一緒じゃねえんだな。あんなにベッタリしてたくせによぅ」

 

 

この先輩天使はイザヤールさんを勝手にライバル視しているようで、その弟子である僕になにかとちょっかいをかけてくるのだ。イザヤールさんからすれば小物らしいが、僕には上級天使である以上逆らう事ができない

 

 

ナイン「オムイ様に報告があるのでこちらの階段を使わせてください、お願いします」

 

 

僕がそう言って頭を下げると周りからくすくすと笑い声が聞こえてくる

 

 

先輩天使「聞いたか?疫病天使がオムイ様に話す事があるんだってよ。俺の言った通りだろ?」

 

 

先輩天使があざ笑うように周りに話しかけている。僕にはなんの事か全くわからない

 

 

先輩天使「こいつが!!!この天使界に不幸をばらまいてるんだぜ!!だから最近この天使界でも、地上でも変な事ばかり起きてるんだ!!オムイ様も大変だよなぁ、こんな奴を面倒みなくちゃいけなくてよ!とっととこいつも他の天使達みてえに帰れなくなっちまえばいいのに!!」

 

 

先輩天使のそんな声に周りの天使達も笑い声をあげていく

 

 

苦しい.....こんな空気は.....苦しいよ

 

 

そんな風に思っていると、怒鳴り声が上から聞こえてきた

 

 

ジーン「あんた達!!!なによってたかっていじめてんのよ!!!みっともない!!!」

 

 

ジーンさんが上からドスドスと音を立てて降りてきた

 

 

ジーン「あんた、またこんな馬鹿な事して!!」

 

 

 

先輩天使「なんだよ、ジーン。またお前はこれの肩持つんだな。そこだけは本当にお前の事理解できねえわ」

 

 

 

ジーン「あんたみたいなやつに理解されたくないわ。とっととどきなさい。オムイ様が通られるのよ、邪魔」

 

 

ジーンさんが無理やり先輩天使を横に押し出すと、上の階からゆっくりとオムイ様が降りてきた

 

 

先輩天使「な、なんでオムイ様が!!」

 

 

 

ナイン「オムイ様.....」

 

 

突然の事にポカンとしてしまうが、急いで膝をついて頭をおろした。周りの天使達もそそくさとポーズをとる

 

 

オムイ「........うむ。すまなかったな、ナイン。まずはよく帰ってきた。任務はどうだったかな」

 

 

 

ナイン「は、はい!少しですが無事に星のオーラを集めましたのでこちらに持ち帰ってきました」

 

 

 

オムイ「おお、素晴らしい。流石イザヤールの弟子、ウォルロ村の守護天使ナインじゃ」

 

 

オムイ様のイザヤールの弟子という言葉にまた泣き出しそうになってしまう

 

 

ナイン「.......あ....ありがとうございます」

 

 

 

オムイ「少し上で話すとするかの。......ここでは落ち着かぬじゃろう」

 

 

 

ナイン「......はい」

 

 

 

2階 長老の間

 

 

オムイ様とジーンさんと共に長老の間へと戻ってきた。今は門番天使はいないようだ

 

 

オムイ「ナインよ、イザヤールとは会ったかの?」

 

 

 

ナイン「!!」

 

 

オムイ様の言葉にまた胸が痛くなった。その様子を見たジーンさんが心配そうな顔を向けた

 

 

オムイ「.......やはりそうか。お主も知っておるかもしれぬが、ここ最近天使界で異変が起きておる。地上に降りていった天使達が帰ってこなかったり、空に不穏な雰囲気が流れておる。天の箱舟が慌ただしい事もあるそうじゃな。少しお主が去った後の事を話そう。

 

 

わしもお主のその謎の力は聞いておる。イザヤールからもジーンからも、周りからもな。わしはお主がそれに苦しめられていた事を知らなかった。すまなかった、ナイン。周りからは先程のように畏怖の対象として見られていたのだろう。

 

 

お主が去った後、あの天使がわしにこう言ってきた。ここ最近の異変はナインが地上に行くようになってからではないか、とな。イザヤールに付いてウォルロ村の守護天使の仕事を教わりにいくようになってから、確かに異変の話が出てくるようになった。わしはそれとこれは何の関係もないと思っておる。

 

 

どうも周りからはどうも結びついて考えているみたいじゃ。嫌な噂も聞くようになった。ナインが人間と積極的に関わっている。天使の掟が破られたからこうなった、とな。確かに掟の中に天使と人間が深く関わると災厄が訪れるとある。

 

 

じゃが、その災厄とはそういう意味ではない。ナインよ、周りに流されてはいかぬからな。あの者らは間違っておる。お主は何も間違っておらぬ。大丈夫じゃ」

 

 

 

ナイン「......あり....がとうございます」

 

 

 

オムイ「イザヤールは地上に行って帰ってこない天使達を探す役割をお願いした。本人からの申し出じゃったがな。さて、話はここまでじゃ。早速ナインが持って帰ってきた星のオーラを世界樹に捧げるとするかの。ジーンもついておいで」

 

 

 

ジーン「はい、オムイ様」

 

 

ジーンさんがゆっくり手を引いてくれた。オムイ様の話を胸に響かせながらどこか抜け殻のように、ただジーンさんとオムイ様に付いていった

 

 

 

世界樹

 

 

世界樹の所にやってくると、昼に見たあの時よりも夜になっている影響なのかよりキラキラと輝きを増しており、まさに光り輝くという言葉がふさわしいほどだった

 

 

ジーン「凄い.....こんなに世界樹が力を貯めているなんて」

 

 

 

オムイ「ふぉっふぉっふぉ。あとほんの少しの星のオーラで世界樹は実を結ぶはずじゃ。女神の果実が実る時、神の国への道は開かれわれら天使は永遠の救いを得る......そしてその道は開き我らを誘うは天の箱舟。その伝承がまさに起ころうとしている」

 

 

 

ジーン「ナイン、今持っている星のオーラ全部世界樹に捧げちゃいましょう。オムイ様の予測が正しいなら、いよいよ世界樹が実を結ぶわよ」

 

 

 

ナイン「はい」

 

 

空間から持っている星のオーラを取り出して大樹へ近づく

 

 

星のオーラがふよふよと世界樹へ吸い込まれていくと、輝きを放ちながら葉の一部分にぽんぽんと黄金の光を放つ果物が出来上がる

 

 

オムイ「おお、女神の果実じゃ!」

 

 

 

ナイン「これが.....女神の果実」

 

 

その時、世界樹の上を汽笛を鳴らす黄金の列車、天の箱舟が走っていく

 

 

天の箱舟は天使界を回るようにして世界樹の近くまでやってくる

 

 

ジーン「あれが天の箱舟.....なんて綺麗なの」

 

 

 

オムイ「おお、全て伝承の通りじゃ!!」

 

 

天の箱舟がゆっくりと止まった瞬間

 

 

 

ドォォォン!!!

 

 

 

全員「!!!」

 

 

 

狙ったように天の箱舟に禍々しい黒い雷が落ちた

 

 

 

雷に当たった天の箱舟はバラバラになり、地上へと真っ逆さまに落ちていった

 

 

 

ジーン「なんてこと!!!」

 

 

 

落ちた天の箱舟が見えなくなると、闇の光があちこちから溢れ出し、天使界を大きな揺れが襲う

 

 

 

建物が割れ、きしみ、たくさんの叫び声が聞こえてくる。世界樹も輝きを失い強い風にあおられ葉をひどくはためかせている

 

 

 

オムイ「そんなまさか.....!わし達は騙されていたというのか!!」

 

 

僕は必死に幹に掴まるが、頭の中で先程の先輩天使の言葉が思い浮かんでいた

 

 

先輩天使「こいつが!!!この天使界に不幸をばらまいてるんだぜ!!」

 

 

 

ナイン「(この異変も、僕が星のオーラを捧げたから.....僕が.....やったせいで.....不幸に.....)」

 

 

絶望と申し訳なさと後悔が頭を支配する

 

 

ナイン「(僕のせいで、オムイ様も、ジーンさんも......イザヤールさんも......不幸になるんだ......。

 

 

僕、もう、いらないよね)」

 

 

 

きっと、イザヤールさんもそれが理由で破門にしたんだ

 

 

 

必死に掴まっていた手をそっと離した

 

 

 

その瞬間、黒い大きな雷が天使界に落ちた

 

 

 

ジーンさんが涙を流しながら僕を掴もうとした手を、僕は払いのけた

 

 

 

雷の衝撃で天使界にヒビが入る。女神の果実も地上へ全て落ちていく

 

 

 

果実と一緒に僕も真っ逆さまに落ちていく

 

 

 

翼をはためかせれば飛べるのに何も力が入らない

 

 

 

動かす気力がない

 

 

 

このまま.....死んでしまおうか

 

 

 

背中に強い空気の流れを感じながらそんな事を考える

 

 

 

羽根が耐えきれずにどんどん抜け落ちていく

 

 

 

ごめんなさい、ジーンさん。約束を守れなくて

 

 

 

ごめんなさい、オムイ様。僕のせいで信じていた伝承が台無しになってしまって

 

 

 

ごめんなさい、イザヤールさん。僕なんかが、弟子になってしまって

 

 

 

天使でいていい事なんて、何もなかったのかもしれない

 

 

 

 

人間に......なりたかったよ

 

 

 

 

そんな考えを最後に僕は気を失った。最後にふと浮かんだ顔は優しく笑うリッカちゃんだった。白い羽根と共にキラキラと目から伝う止まらない涙が軌跡を夜空に作り上げていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、たくさんの星空にキラキラと複数の流れ星が落ちた後、消えることのない一筋の白い大きな流れ星を世界中の人が見ていた

 

 

 

とある城の中庭

 

 

???「はぁ.....はぁ.....」

 

 

赤い瞳の青年が剣の素振りを終えて汗を拭っていた。その周りにはたくさんの鎧が置いてある

 

 

???「......俺、こんな雑用ばっかりだな」

 

 

青年がふと夜空を見上げると白い流れ星が見えた

 

 

???「流れ星だ.....なんかいい事あるかな」

 

 

 

 

 

 

とある屋根の上

 

 

青い瞳の青年が静かに夜空を見つめていた

 

 

???「......変な流れ星」

 

 

 

 

 

 

とある街の高台

 

 

近くにあった建物から緑の瞳の女性がエプロンで手を拭いながら外に出てきた

 

 

???「わぁ〜、綺麗な流れ星ね。よーし、どんよりとした空気に負けないように私も頑張るぞー」

 

 

 

 

 

 

後の3人はこう語った

 

 

「ひどく美しい星空だった」と

 

 

 

 

 






星空の守り人、ついに始まります(やっと?)
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